『第60回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 初日編
 
配信日:6月18日
 



 第60回高松宮記念杯競輪(東西対抗戦) が大津びわこ競輪場で開幕。東西に分かれた一次予選に加え、今開催は昨年から選抜2個レースを制定。メインの白虎賞、青龍賞とともにいずれも白熱した攻防が繰り広げられた。明日は「龍虎賞」をメインに各戦が行われる。
 なお、本場では様々なイベントを開催しております。明日は9月に開催されるオールスター競輪のファン投票や素敵な景品の当たるラッキーカードの配布、ほかにも場内予想会や高松宮記念杯競輪歴代優勝者パネル展などが行われます。どうぞ、大津びわこ競輪場へお越しください。なお、高松宮記念杯開催中、特設携帯サイトを開設します。アドレスはhttp://g-keirin.jp。ライブ中継(docomoのみ)やダイジェスト映像を配信します。その他にも注目レースの紹介など内容盛りだくさん。こちらもアクセスしてください。



白虎賞・青龍賞ダイジェスト

 〈白虎賞レース経過〉
 号砲で加藤慎平が飛び出して正攻法の位置に入る。稲垣裕之が上昇すると加藤がこれを迎え入れて前団を形成。このラインに石丸寛之と三宅伸が続き、小嶋敬二―山田裕仁―山口幸二、井上昌己―紫原政文の順で初周を終えた。動き出しは早いタイミングで、赤板で各ラインがバンク中段に上がって隊列を崩す。まず石丸が稲垣を押さえると、その上をさらに小嶋が叩いて誘導後位へ。稲垣は特に抵抗せずに車を下げ、打鐘手前から踏んで主導権を狙う。井上も踏み込んで中団取り。先頭に立った稲垣はイエローラインぎりぎりを走って後続のもつれを誘う。インから位置を取ろうと後方の石丸が最終ホームで突っ込むと、させじと小嶋も締め込む。井上も引かず一時は稲垣ライン後位で三車併走となったが、最終的に好位を占めたのは石丸。終1コーナー過ぎからは稲垣も本格的に先行態勢に入る。立ち後れた小嶋は6番手まで車を下げさせられ、バック過ぎにようやく仕掛けたが、石丸に合わせられ不発。このまま稲垣の番手から加藤が抜け出すかに、不発の小嶋後位からバンク中段を一気に伸びた山田が出色のスピードで前を飲み込み快勝。2着には続いた山口、3着が加藤で、岐阜勢が上位を独占した。

 〈青龍賞レース経過〉
 スタートは佐藤友和が決め正攻法に構える。ここに岡部芳幸が続き前団を形成。以下海老根恵太―渡邉晴智、山崎芳仁―伏見俊昭、平原康多―武田豊樹―神山雄一郎の並びで隊列が収まる。
 レースは赤板を過ぎても動きを見せないが、打鐘で平原が上昇を開始すると、三番手から海老根も合わせて踏んで誘導を交わし佐藤を押える。更に平原が海老根を叩いて最終ホームでハナに立ちペースを緩めたところを、すかさず山崎がカマしてそのまま先行態勢に入った。山崎はまくりを警戒して中バンク辺りを走行し、後続に仕掛けの糸口を与えない。二角から全開で踏み込んだ山崎がグングン加速しスピードに乗ると、伏見も最終バックから車間を空け山崎を援護する。3番手に入った平原も懸命に踏むが山崎の掛かりが良く前団には迫れず。先頭のまま直線を迎えた山崎は直線で踏みなおすが、番手の伏見が空けていた車間を詰めるように怒涛のスピードで追込みゴール寸前で山崎を捕らえた。見事、ワンツー決着を決めた福島勢。3着には平原後位から直線鋭く伸びた武田が入線した。
青龍賞ゴール
青龍賞ゴール

白虎賞ゴール
表彰式
白虎賞ゴール
表彰式



<1R>
柴崎淳選手
柴崎淳選手
   1レースは中川誠一郎と柴崎淳の二分戦。中川がペース駆けに持ち込むと、バックから猛スピードで柴崎淳(写真)がまくりを放ち中川ラインを飲み込んだ。柴崎は最後はマークの濱口高彰に交わされたが、「今日は二分戦だったし、引いてまくるか叩いて駆けるかのどちらかで行こうと考えていました。2センターで風がきつかったけど、車間を空けて落ち着いて仕掛けられたし乗り越えられると思った」と競走内容には満足げだ。濱口高彰も「グングンかかっていったし、柴崎のスピードが良かった」と、柴崎を称える。


<2R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   2レースは山口貴弘のまくりに乗った十文字貴信が外コースを伸びて1着をゲットした。
 「藤田(竜矢)君が逃げたけど、石毛(克幸)君が粘ってラインがもつれたでしょう。山口の行きごろになったね。良いスピードをもらえたし、良く伸びました」
 2着には内藤宣彦(写真)が。目標不在の苦しい番組だったが、山口ラインの後位から脚を貯めて大外を強襲した。
 「山口君は十文字君が付いている以上、絶対に仕掛けるでしょう。だからそれに期待していた。それに、展開がもつれてくれたから俺にチャンスが向いたね。あれで石毛(克幸)君がイン粘りをしなければきつかったでしょう。このレースを勝ち上がれたのは大きい」


<3R>
南修二選手
南修二選手
   3レースは濱田浩司の健闘が光った。一旦は主導権をにぎりかけたが、最終1センターで松岡健介の仕掛けと被り中団に入り直す。するとすかさず伊藤正樹が仕掛けたため、内に包まれる絶体絶命の展開となったが、慌てずに立て直して、最後は大外を強襲した。
 「ホーム手前で内から松岡(健介)さんに来られて、スピードが合ったからすかさず中団に入った。やりあっても仕方ないでしょ。だけどすぐに伊藤さんも来たし、やばいと思ったんです。そうしたら前で踏み合うかたちになったでしょう。あれで立て直せると思い、落ち着いて仕掛けました」
 松岡健介が主導権をにぎると、ライン三番手の南修二(写真)が外コースを伸びて2着を確保した。
 「松岡さんが先行してくれたから自分は良い位置にいられた。最後は内に踏もうとも思ったけど、ちょっときつそうだったし外へ踏みました。バンクも軽く感じたし、良く伸びたね」


<4R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
   4レースは栗田雅也(写真)がマイペース先行。直線で鈴木誠に交わされたものの別線の反撃はシャットアウト。3着に遠澤健二まで連れ込み、南関ライン三者で確定板を独占した。
 「今日は飯野(祐太)君と二分戦でしょう。彼の動きだけを警戒していました。だけどなかなか来る素振りもなかったし、ああなれば自分は駆けるだけ。もしまくってきても合わせられる自信はありました」 
 1着の鈴木誠は「レース前、栗田君は相当気合が入っていましたね。その勢いどおりの走りをしてくれたし良かった。ただ、四角で踏み直されたとき、一瞬焦りましたけど(苦笑)」と話す。


<5R>
北津留翼選手
北津留翼選手
   5レースは松尾淳が先行すると、後方七番手から北津留翼(写真)がバックまくりを敢行。中団からまくった市田佳寿浩の外をさらにまくり上げて1着をさらった。
 「自分の仕掛けたいタイミングでいけました。それに、市田さんが先にまくってくれたから、追い掛けるように駆けられた。2センターで市田さんがブロックされたときのあおりもあったけど、自分が仕掛けるころにはそれも落ち着いていたし、乗り越えられると思った。今回は相当仕上げてきたんで、やれる自信があったんです。結果に出て良かった」
 松尾ライン三番手の一丸安貴が2着に。ところが、「前の二人(松尾、坂上樹大)があれだけ仕事をしていたのに俺だけじゃね…。それに内を踏んでと、きれいな勝ち上がり方じゃないなあ…」と、両者の脱落に、表情は険しい。


<6R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   6レースはホームカマシで矢口啓一郎が主導権を奪取。そのさい、マークの諸橋愛が石橋慎太郎に粘られたが、何とか耐え凌ぎ、最後は直線で追い込んだ。
 「斎藤(登志信)さんが自分のところに来るならわかるけど、まさか石橋とはね。凌いだけど、外を踏んでいたからその分最後は脚に来ていた。それだけに、最後は交わせるかなと少し不安でした」
 矢口啓一郎(写真)はレース後、ぜえぜえと息を切らし、相当苦しそう。少し間を置き、呼吸を整えて改めて取材に応じる。
 「ホームから仕掛けて最後までいけるかな? と半信半疑だったんです。だけど身体が勝手に反応した。積極的に動いて正解でした。ただ後ろの動きを気にしながらだったし、相当きつかった」


<7R>
金子貴志選手
金子貴志選手
   7レースは金子貴志(写真)が強烈なダッシュ力を披露。踏み出しにマークの山内卓也が離れてしまったが、出色のまくりで別線を粉砕し、仕上がりの良さをアピールした。
 「ホーム手前からカマそうと思ったけど、金山(栄治)さんが結構踏んでいたので様子をみました。そうしたら1センターでちょうど流していたので、ここだと思って踏みました。ちょうど良いタイミングでしたね。村上(博幸)君のブロックもあったけど、スピードもあったし、四角の下り坂を使えたので行けるだろうと。最後も踏み直せたし、十分ですね」
 村上博幸は2着に。金山栄治マークから直線を鋭く伸びた。
 「ブロックしてから前に踏みました。だけど気が付いたらもう金子さんがいたし、うまく対応できなかった。金山さんに申し訳ないですね」
 金子ライン三番手の有賀高士が辛うじて3着を確保する。 
 「ここは直線が長いし、2センターで必要以上の動きをしたらきつい。だから脚を溜めて直線で突っ込もうと思ったけど、コースが空いていたから少し早めに踏みました。でも内に香川(雄介)がいたし、外の西田(雅志)も伸びていたから、3着までに入れないと思った」


<8R>
長塚智広選手
長塚智広選手
   8レースは福田知也が先制すると、長塚智広が早めの巻き返しで1センターからスパート。長塚が2センターで福田をまくりきると、マークの中村淳が直線で抜け出した。
 「長塚は、相当長い距離だったのに迷い無く仕掛けてくれた。一旦追い上げて、緩んだらすかさず踏んだりと、腹を決めたときの(長塚の)レースは凄いよ。最後、外からバタバタ来られてしまったけど、俺も落ち着いていたし、抜けると思った」
 その長塚智広(写真)は3着に入線し、「あれだけの距離を踏んだのは久々でした。でも結果にも出たし問題ないね。今回は戦えるだけの状態だって昨日言ったでしょ(笑)」と口は滑らかだ。
 人気を集めた木暮安由は着外に。後方に置かれてしまい見せ場を作れずに終わった。
 「福田さんが流していたし、あそこを叩いておけば良かったかも。だけど顔見せから重たかったし、反応できませんでした。あとは長塚さんの仕掛けが思いのほか早かったのが誤算で、ワンテンポ遅れてしまった。GⅠの洗礼を受けましたね」


<9R>
浅井康太選手
浅井康太選手
   7番手に置かれた浅井康太(写真)が最終ホームから空いた内をスルスルと上昇。先行した荒井崇博の後位を確保し、最後は直線を伸びて1着に。見事に龍虎賞へと駒を進めたが、ラインで決着を果たせず手放しでは喜べない様子。
 「ホームで七番手に置かれた時点で、外から追い上げるのはきついと思っていたら、とっさに身体が反応してインを突いていた。1着を取れたけど、後ろには迷惑を掛けたし良いレースではないですね。ただ、身体が勝手に反応するということは調子が良い証拠。今回は決勝に乗る事が目標だし、乗れる状態にあると思う。今日の競走を反省して、明日からも良いレース内容で勝ちあがって行きたい」
 浅井康太に番手を明け渡した大塚健一郎は、すぐさま立て直して2着入線を果たすも、「浅井君が内から来るなんて全く予想していなかったから驚いてしまった。その後はもう…。なんだか訳が分からないうちにレースが終わってしまった。自分の状態もよく分からずじまいです」と言葉少なに検車場を引き上げる。
 浅井をマークした永井清史にとっても、浅井の運行は全くの想定外。マークを外しラインは空中分解し、共同通信社杯決勝の再現とはならなかった。
 「ホームで(浅井)康太が急に視界から消えた感じ。必死に追ったけど、あいつが3.64で僕が3.85のギアでしょ。その差が出ましたね。やっぱり番手を回るときは、ある程度ギアを合わせないと駄目ですね。結果は仕方ないし気持ちを切り替えてまた明日から頑張ります」


<10R>
成田和也選手
成田和也選手
   新田祐大が先制すると、その後位に新田康仁が競り込みレースは混戦模様となったが、北日本3番手で脚を溜めていた成田和也(写真)が直線で鋭く伸びて、ゴール線を突き抜けた。
 「今日は前の二人のおかげ。競り込まれる事は想定していたけれど、(渡邉)一成も新田(康仁)さんを相手に不慣れな競りを良く頑張っていた。それにしてもこの1着は大きいですね。準決勝へフリーパスですからね。今日は思い切って踏めたし、感触も良かったです」
 新田康仁は新田祐大の後位を奪ったが、直線で伸びを欠き2着まで。
 「最終ホームでは先行するつもりで新田君を叩きに行ったら、突っ張られて慌ててしまった。仕方が無く番手勝負に行った感じです。何とか競り勝ったは良いけれど、そこでもう脚が一杯。最後は交わすだけの余裕がありませんでした」
 番手戦に敗れた渡邉一成は「もう、『競られるから別線勝負』という競走はしたくなかった。だから今日は競り覚悟で3人並んだし、僕も番手戦で頑張りたかったけど、まだまだ技術不足ですね」と振り返れば、新田祐大も「後ろで一成さんが頑張っているのが見えた。あそこで僕が踏んでしまうと後ろが離れて誰かに入られてしまうので流していたら、その後は全然掛からなくなってしまった。僕にもっと力があれば良い感じの勝負になったんですけどね」と反省の弁が口をつく。


<11R>
山口幸二選手
山口幸二選手
   11レースの白虎賞を制したのは山田裕仁。前を任せた小嶋敬二が三角からまくり気味に追い込むと、直線は外の空いたコースを鋭く伸びた。
 「今回は小嶋の番手を回してもらった以上、絶対に失敗は許されなかった。それだけに、しっかり(1着を)獲れてホッとしています。途中、三宅(伸)君にからまれたけど、自分のデキさえよければどうにでもなると思ったし、そこはいけると思った。前回の宇都宮に比べれば、格段に調子は上がっています。今日、中部が結構勝ち上がっているし、明日も頑張りたいですね」
 着外に沈んだ小嶋敬二は「最低でも中団を取らないといけない展開でした。悔しいな…。気持ちを切り替えます!」と、悔しさをにじます。
 片や、山田マークの山口幸二(写真)の表情は明るい。バック最後方に置かれる絶体絶命の展開から2着に入線し、「小嶋が後方に置かれてしまったけど、前に山田がいたから、気楽に構えていられました。小嶋のスピードをもらえた分、自分も伸びた。幸先の良いスタートが切れました」と納得の表情を浮かべる。
 レースは稲垣裕之が主導権をにぎった。四角を通過すると、加藤慎平が番手から抜け出して3着を確保する。
 「展開とはいえ、稲垣さんが先行してくれたからチャンスが巡ってきた。自分は腰痛明けにしては、良かったほうだと思う。体調が整えばもっと動けると思います」


<12R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   12レースは青龍賞。レースは、山崎芳仁(写真)が最終ホームで平原康多を叩いて先行すると、伏見俊昭が大きく車間を空けて徹底ガード。山崎がそのまま別線を封じると、ゴール寸前に伏見が鮮やかな“チョン差し”で1着をゲットした。
 「平原が踏んでいなかったし、山崎が駆けやすい展開になりましたね。今回は2車だったし、自分がやれることを精一杯やって山崎を援護したかった。最後も交わせたし、しっかり仕事ができて良かった」
 山崎芳仁は2車ながら積極策に打って出た。
 「最終ホームの辺りでは、平原とやり合っても仕方が無いから、落ち着いて自分のタイミングで行こうと思っていたんですけど、平原が仕掛けなかったので叩いて逃げました。最後まで踏めているし、抜かれたのは伏見さんだけだし、内容には納得しています」
 平原康多は「逃げることはもちろん頭にあった。だけど三番手に入って少し仕掛けに躊躇してしまった。そうしたら伏見さんがすごく車間を空けていて、あれがきつかったです」と両者にしてやられた様子だ。
 平原マークの武田豊樹(3着)も、「平原は終始落ち着いていましたよ。それに、あれだけ車間を空けられてはきついでしょう。自分が前だとしても仕掛けどころに困ったと思う」と平原を労わる。
 海老根恵太は最後まで仕掛けどころに窮した。
 「今日は中団にこだわりたかったんです。もっと思い切りがあれば良かったかもしれません。最後、バック過ぎから踏みましたけど、自分のタイミングではなかったし、思いのほか車が出なかった」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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