『第60回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 2日目編
 
配信日:6月19日


 大津びわこ競輪場で開催されている第60回高松宮記念杯競輪(東西対抗戦)は2日目を終了。メインの龍虎賞を中心に本日も熱い攻防が繰り広げられた。二次予選では村上義弘、神山雄一郎、岡部芳幸らの実力者たちの脱落こそあったが、小嶋敬二、井上昌己、佐藤友和らが各レースを勝ち上がった。なお、龍虎賞を制したのは伏見俊昭。昨日に引き続き、山崎芳仁マークから展開を利して2連勝を達成し、明日(20日)以降に向けて弾みをつけた。
 本場では様々なイベントをご用意しております。明日の土曜日は、「侍戦隊シンケンジャーショー」や、プロレス団体「ドラゴンゲート」によるイベント、ほかにもネイルアートや豪華景品の当たるラッキーカードの配布など盛りだくさん。どうぞ、大津びわこ競輪場へお越しください。なお、高松宮記念杯開催中、特設携帯サイトを開設しています。アドレスはhttp://g-keirin.jp。ライブ中継(docomoのみ)やダイジェスト映像を配信します。その他にも注目レースの紹介など内容盛りだくさん。こちらもアクセスしてください。



龍虎賞ダイジェスト
 号砲と同時に平原康多が飛び出し、伏見俊昭が続く。平原が誘導の後ろを取り、並びは平原-武田豊樹、山崎芳仁-伏見-成田和也、浅井康太-山田裕仁-山口幸二-加藤慎平の順となる。
 周回が進み、赤板ホームから浅井が上昇をはじめ、山崎の横で止まって蓋をする。浅井は更に踏み込んで前の平原を押さえにかかったが、ジャンで平原が突っ張る素振りを見せた。浅井は慌てて踏み込んでペースを上げると山田が離れ、平原が番手にはまる展開に。最終ホームで山田が浅井の番手に追い上げると、これを目標に山崎が一気に後方から巻き返しに出た。浅井は懸命に合わせて踏んだものの、山崎にあっさりと出切られてしまう。山崎が逃げる一方、山田は浅井を捨てて自力まくりを放つが、番手の伏見にけん制を受けて2センターで失速。直線に入ると、番手の伏見が抜け出して1着でゴール。続いた成田が2着となり、山田を追った山口が鋭く伸びて3着に入った。
ゴール
表彰式
ゴール
表彰式


<1R>
伊藤正樹選手
伊藤正樹選手
   1レースは後方八番手からまくりを決めた伊藤正樹を、マークの坂上樹大が交わして快勝。両者でワンツーを決めた。坂上が「伊藤さんはもう少し遅め(に仕掛ける)かなと思ったんですけど、あんなに早く仕掛けてくれるとは。最終バックからのダッシュやスピードが凄かったし、自分は離れないよう必死でした」と話せば、伊藤正樹(写真)は「打鐘のところで、藤田(竜矢)君とノリ(佐々木則幸)がやりあうと思っていたら、佐々木君が下げたでしょう。あれで後方になったし厳しいと思ったんですけどね。仕掛けたら車も出たし、ノリも仕掛けなかったのでスムーズに前に踏めた」と話す。


<2R>
山内卓也選手
山内卓也選手
   2レースを勝ったのは山内卓也(写真)。金山栄治の仕掛けに乗って、最後は直線を鋭く伸びた。
 「前のもつれがあったし、自分で踏もうとしたら金山さんが仕掛けていたのでそれを追いかけるかたちになった。今日は昨日の悔しさもあったし、何とか1着が取りたかったんです」
 バックまくりを決めた石毛克幸が3着に残った。
 「バンクが全体的に重かったけど、風が流れていたしまくりが決まると思った。3着だから何とも言えないけど、(昨日の)落車の影響が無かったことが分かっただけでも収穫でしたね」


<3R>
香川雄介選手
香川雄介選手
   石橋慎太郎と中川誠一郎。本格自力型の攻防となったが、このレースを制したのは自在戦を宣言していた佐藤慎太郎。すんなり中団キープからのバックまくりで快勝した。
 「位置自体はすんなり取れたけど、内から香川さんが来たのでタイミングを取れずに踏んだ。きつかったけど、思ったより車は出ましたね。勝ち上がれなかったけど、しっかり気持ちを切り替えて、残り全部1着を狙うつもりで走ります」
 不発の中川ラインから切り替えて2着の香川雄介(写真)は、「(中川君は)行くタイミングが何度もあったのでギリギリまで我慢してたんですけどね。行けるところまでって感じで思いきって前々に踏みました。一瞬、佐藤の後ろで勝負することも考えたけど、うまくスイッチできました」。
 山田敦也は連結を外してしまったが、意地で3着入線。
 「僕が弱いのか、慎太郎さんが強すぎるのか…。あっと思ったら、もう踏み遅れていた。香川さんの動きが気になったのはありますけどね。恥ずかしいけど、3着に入れたのは大きい」
 中川誠一郎は悔しげに「あの切り替えが痛かった…。これからってタイミングでしたから」と語る。


<4R>
松岡健介選手
松岡健介選手
   4レースでは松岡健介(写真)が健闘。後方七番手からのまくりで別線を一蹴すると、マークの市田佳寿浩の猛追を振り切り快勝。勝ち上がりを逃した昨日のうっ憤を晴らした。
 「機動型が福田(知也)君だけでしょう。誘導を斬って、彼を相手に1周以上もがくよりは、落ち着いて踏めば良いと思い、一旦車を引きました。そっちのほうが市田さんと二人で決められる確率が大きいとも思ったし。コーナーでも踏み切れたし、内容も良かった。気持ちを切らさず、明日以降も頑張りたい」
 市田佳寿浩は松岡にしっかりと食い下がった。最後は抜きに行くも交わせなかった。
 「道中、慣れない競りもあったし、そこで脚を使った。でも、それを割り引いても松岡が強かった。抜けない2着は悔しいけど、仕方が無い」


<5R>
太田真一選手
太田真一選手
   前団がもつれ、まくりに構えた木暮安由に絶好の展開となったが、最終バックで仕掛けるも思いのほか車が進まず5着。連日の凡走にスーパールーキーもただ首をひねるばかりだ。
 「仕掛けるタイミングも間違って無いはずなんだけど…。思った以上に車が前に出なかったし、2センターで(山口)富生さんに当たられた所で完全にスピードが死んでしまいました。昨日の負けを引きずっている訳ではないんですけど…。気持ちを切り替えてまた明日頑張ります」
 木暮後位から直線で大外を鋭く伸び1着となった太田真一(写真)も敗れた木暮を気遣った。
 「僕は展開に恵まれただけ。最後は山おろしを使って良く伸びてくれました。木暮は脚も重そうだったし、車の出はイマイチだったけれど、それは自力選手には誰しも必ずある事。僕だって何度も経験してきたからね。仕掛けのポイントさえ見誤らずに、辛抱すれば、彼の力ならすぐに復調してくるでしょう」


<6R>
内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
   ここからは2着までが隼決勝に勝ち進める二次予選B。レースを制したのは最終ホームからカマした渡邉一成に何とか食らい付いた内藤宣彦(写真)。位置が無かった初日の2着に引き続き動きの良さが目立つ。
 「カマシだと離れそうだと思っていたけど何とか付いていけました。最後は『早くゴール来てくれ!』と祈るような思いで踏んでました。一成がゴールまでタレずに行ってくれたおかげですね。あいつがタレたら絶対にこの着は無かったですから」
 カマした渡邉一成も2着に粘り、北日本勢のワンツーで決着。力を出し切った競走だけに納得の表情を見せる。
 「とにかく脚を溜めることだけ考えていたけど、ホームで一旦流れが緩んだので思いきっていきました。出切ってから内藤さんが付いてきているのも確認できたから、後はジワジワと踏み上げ行きました。キツかったけれど、昨日の番手戦と違いレースは楽しめました。これで準決勝という最低目標はクリアできたし、後は決勝目指して頑張るのみです。今の状態であれば、十分に戦えるはずですよ」
 地元戦に燃えていた村上博幸は8着の結果に「コースが空かなかったので仕方ない。でも、軽かったし脚には余裕があっただけに悔しいですね」と足早に検車場を後にした。今回仕上がりの良さが目立っていた長塚智広も「内藤さんの位置を狙っていたんだけど失敗した。やっぱりこのクラスのメンバーになるとみんな強いね」と悔しさを滲ませる。


<7R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   1着はバック五番手から豪快にまくった矢口啓一郎(写真)。個人上がり13秒4と圧巻のスピードで直線鋭く突き抜けた。
 「走った感じ、脚も軽かったし疲れも抜けてきています。前受けで脚を使わずいけたし、最終ホームで上手く五番手に入れた事も大きかったですね。結果的に突き抜けられたのだから、仕掛けどころも悪くなかったはず。ただ、やっぱり兵藤さんとワンツーを決めたかったですね」
 果敢な先行策で1周以上踏みっぱなしだった永井清史はゴール前必死に踏みなおすも1/4車輪差の3着で準決勝進出を逃した。
 「新田(祐大)が相手では、先行は譲れないですからね。バンクも軽く感じたし良い感じで脚を回せた。気持ち良い先行でした。勝ち上がりは逃したけど良いレースは出来たと思います」
 2着入線を果たした南修二は、ゴール前の落車事故で審議の対象となったが判定はセーフ。
 「直線ではそんなに動いてなかったから、審議は心配してなかったけれど、伊藤さんが落車しているから素直には喜べませんね。ただ、今日は作戦通り良い位置(三番手)も取れたし思い描いていた展開になった。GⅠの準決勝は初めてだけれど、脚の状態も悪くないし明日も頑張ります」


<8R>
前田拓也選手
前田拓也選手
   栗田雅也の先行を村上義弘がまくる展開となったが、直線で抜け出したのは村上後位からレースを進めた前田拓也(写真)だった。
 「僕は村上の後ろで脚を溜められていたけれど、村上は村本と併走となって、結構当たられていたので厳しそうだったね。本当は二人で一緒に準決に上がれれば良かったんだけど。今日はとにかく緊張したし、付いていくだけで必死でした」と語り、村上とのワンツーを決められなかった事を悔やむ。
 村上義弘は「レースの組み立ても、仕掛けどころも間違っていなかったとは思うんですけどね。悔しいですね」だけ言い残し検車場から立ち去った。
 会心の先行策で大金星かと思われた栗田雅也だったが、ゴール直前での渾身のハンドル投げも準決勝には1/8車輪足りなかった。
 「自分のレースをした結果なので仕方無いけれど、自分のレースが出来ただけに3着は悔しいですね。思い切り仕掛けられたけれど、途中からは村上さんの動きが気になってしまい、そのぶん掛かりはイマイチでした。村本さんにも迷惑を掛けてしまいましたね。最後は必死だったし自分が何着かなんて全く分からなかったけれど、2着と3着では天と地ですから」


<9R>
紫原政文選手
紫原政文選手
   9レースからは二次予選A競走3個レース。ここでは北津留翼が大暴れ。ホームカマシで吉田敏洋を叩いて主導権をにぎると、後続を一切寄せ付けぬ圧巻の逃走劇を披露。マークの紫原政文をも寄せ付けずそのまま押し切った。
 「昨日はまくりだったし、逃げて結果が出せたのは大きいですね。今日は顔見せから脚もバンクも軽かったんです。バックでは風が流れていたし、立って踏んだらより一層風が流れたので行けると思った。だけど2車だったし、いつ誰が来るか分からなかったから最後は必死でした」
 紫原政文(写真)は、直線で北津留翼を目一杯抜きにいくも交わせず。それでも両者でワンツー決着を遂げて満足げ。
 「吉田が早めに斬って自分らを出して中団に入ったから、ちょっと厳しいかなとも思ったんです。だけど、そんな心配は全く要らなかった。翼は本当に良いペースで駆けていましたね。直線では一瞬抜けるかなと思ったけど、実際は抜けんですよ(苦笑)。えらいきつかった」
 石丸寛之はホームから仕掛け、中団外併走からまくりを放ち3着に食い込んだ。
 「もしもホームで追い上げていなかったら、ずるずる後方に置かれてしまい厳しかったでしょう。あそこで身体が自然と反応してくれたことが全て。あとは(佐藤)友和が引いてくれたことも大きかった。だけど、タイミングを取れずに前の二人を追いかけたし、最後は一杯でした」
 2センターからの遅めの仕掛けとなった佐藤友和は、辛うじて4着に入線し、薄氷を踏む思いで準決進出を決めた。 
 「(準決勝の)権利を取るには取れたけど、昨日、今日と変な展開に置かれたりと、どうも流れが良くない。というか、レースが全く見えていないな。そこが面白くないですね」


<10R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
   10レースは井上昌己が三角から仕掛けると、マークの大塚健一郎(写真)が直線で中バンクを突き抜けて1着をさらった。 
 「前が併走で、昌己がずっと内にいたでしょう。最終バックではどうなるかと思ったけど、昌己を信頼して付いていきました。直線での伸びも良かったし、チャンスをモノにできてよかった」 
 レースは稲垣裕之が先行に打って出た。別地区ながら、番手が転がり込んできた諸橋愛が展開を生かして2着を確保した。
 「地区が違うのに稲垣君があれだけの競走をしてくれた以上、何が何でも仕事がしたかった。後ろがずっと併走だったけど、準備はしていました。今日は本当に展開が向いたとしかいえませんね。最近はずっと流れが悪かったけど、今開催は昨日と今日といずれも目標選手が先行してくれた。こらえて我慢した甲斐がありました」
 3着入線の小倉竜二はゴール線を通過後に落車。さらに直線で十文字貴信らが落車した際のプレーが審議対象となったが、判定はセーフ。結果を受けてホッと胸をなで下ろす。
 「今日は濱田が前々に踏んでくれたからチャンスがあったようなもの。直線でも狭いコースを自分なりに踏めたし、感じは悪くない」
 井上昌己は中団外併走の海老根恵太ラインの内に包まれてしまい、万事休すかと思われたが、2センターから踏み込んで4着を確保した。
 「(海老根ライン三番手の)十文字さんが外にずっといてなかなか車を外に出せなかった。バック過ぎに引いて、その瞬間に間髪入れずに仕掛けたのでスピードが思うように乗らなかった。もっと早めに踏めていれば外コースを良い感じで伸びていたでしょうね」


<11R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   ただただ、怪物・小嶋敬二(写真)の強さだけが際立つレースとなった。打鐘過ぎから先行態勢に入ると、最終ホームで叩きに来た渡部哲男を突っ張り、バックでは新田康仁のまくりにも合わせきる。直線に入っても迫り来る後続を力でねじ伏せる驚異の逃走劇で『小嶋強し!』を強烈に印象付けた。
 「昨日は不甲斐ないレースをしたし、今日は中部勢があまり勝ち上がれていなかったので、気合は入っていました。あの状態で新田君にまくられなかったのは自信になりますね。レース中も『すげー、新田に合わせてるよ!俺』って思っていましたもん(笑)。これで濱口さんも一緒に決勝に行けていたら最高の結果だったんですけどね。ただ、状態は良いですよ。この結果で悪いといったら怒られてしまいますからね」
 小嶋敬二と渡部哲男が併走となり、絶好のまくり頃となった南関勢も小嶋のパワーの前には成す術が無かった。まくりを合わせられた新田康仁が「展開も絶好だったし、仕掛けるタイミングもバッチリだった。正直『よっしゃー』と思ったけれど、それでまくれないのだから、小嶋さんが強いとしか…」と白旗をあげれば、3着入線を果たした渡邉晴智も「新田の仕掛けに狂いは無かったし、正直二人でワンツーが決まったと思った。まさか合わされるなんて思ってもみなかったですよ…」と小嶋の強さにただ呆然とするばかり。
 2着に割って入ったのは連日、直線で鋭脚を爆発させている阿部康雄だ。この日もバック最後方ながら外を強襲し7車を抜き去った。
 「脚は残っていたし、最後は良いコースが空いたので思いっきり踏んだら上手く2着まで伸びてくれた。やっぱり500バンクで直線が長いから、脚さえ残っていれば僕みたいなタイプでも勝負になりますね。それにしても僕は必死に踏んでいるのに、前で小嶋が涼しい顔してハンドルを投げているのが見えて憎たらしかったですよ(笑)」
 中村淳は4着で準決勝に進出。中部勢追走の選択が吉と出る結果となった。
 「今日はレース前から小嶋さんからは先行する雰囲気を感じていたし、付けたラインの前がそういう気持ちになってくれるだけで、僕にとっては嬉しいですよ。良い流れが向いて来ましたね」


<12R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   押さえ先行の中部勢のインで平原康多が粘り前団がゴチャ付いたところを山崎芳仁が一気にカマす。直線に入ると番手から伏見俊昭が抜け出し無傷の2連勝で準決勝を迎える。
 「山崎はかなり早めの仕掛けだったね。僕としては二角あたりからの仕掛けを予想していたけれど、相当長い距離を踏んだ分、最後は少しタレ気味だった。残してあげられなかったけれど仕方ないかな。僕も最後は成田に交わされたと思ったけれど、何とかしのげて良かった」
 末を欠き4着に沈むも1周以上全開で駆けた山崎芳仁(写真)。前半戦は不振に苦しんだが、状態は完全に戻っているとみて良さそうだ。
 「まさか平原は粘るなんて思ってもみなかったけれど、緩んだところを上手く仕掛けられました。身体が勝手に反応した感じ。少し早めかとも思ったけれど、どのみちホームで仕掛けるつもりだったし。今回は考える前に身体が自然に動いてくれているし、こういうのは調子が良い証拠。ここは相性も良いバンクですしね」
 前受けからイン粘りの奇襲に出た平原康多だったが、策は実らず。8着でレースを終える。
 「突っ張るつもりだったけれど、突っ張りきれずにああいう形になってしまった。ああいう作戦に出るからには一発で決めなくてはだし、結果的には僕が山崎さんの展開にしてしまいましたね」と反省しきり。一方、内で粘られた山田裕仁も「今日の相手は北日本勢だと思っていたので、まさかの展開だったし、どうしようか迷って中途半端な競走になってしまった。気持ちで負けていたね。ライン4車だし、自分で出て行くという選択肢もあったよな…」と表情は険しい。

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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