『第60回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 3日目編
配信日:6月20日
大津びわこ競輪場で開催されている第60回高松宮記念杯競輪(東西対抗戦)は3日目を終了。本日は準決勝戦を中心に各レースが行われ、各戦ともに熱い攻防が繰り広げられた。メインの準決勝では優勝候補の伏見俊昭や佐藤友和、井上昌己らが敗退したが、前年度覇者の渡邉晴智を筆頭に、小嶋敬二、山崎芳仁、平原康多らが勝ち上がり、これで9名のファイナリストが出そろった。
本場でのイベントも連日大盛況。明日(21日)は、「LOVE9」による模擬レースやステージショー、タレントのたむらけんじによるお笑いステージ、ほかにも豪華景品の当たるラッキーカードの配布などが行われます。どうぞ、大津びわこ競輪場へお越しください。なお、高松宮記念杯開催中、特設携帯サイトを開設します。アドレスはhttp://g-keirin.jp。ライブ中継(docomoのみ)やダイジェスト映像を配信します。その他にも注目レースの紹介など内容盛りだくさん。こちらもアクセスしてください。
<4R>
香川雄介選手
先行した飯野祐太がスローペースに持ち込むと後続は大渋滞に。最後はインを突いた
香川雄介(写真)
が内から伸びてゴール前の大混戦を制した。
「本当はあのコースは行きたくないけれど、岩津(裕介)も一杯だったし、仕方なく内に行きました。山田(敦也)君が岩津をブロックした際にコースが空きましたね。今日は全部岩津が頑張ってくれたおかげ。本当にキツかったです」
伊藤正樹が大外に車を出すと、マークを外し香川に続いて内を突いた
山内卓也
。3着の結果にも納得の表情でレースを振り返る。
「飯野がかなり流していたから、まくりは厳しいと思い内を突いた。前に香川さんがいたから何とかコースは空くだろうと思いました。3着に入った事で明日は特選にも乗れるし、あの展開でこの着なら良しとしましょう」
<5R>
佐藤慎太郎選手
最終ホームから荒井崇博が一気にカマしてバックでハナに立つと、切り替えた
佐藤慎太郎(写真)
が2センターから豪快にまくり2日目から2連勝。笑顔でレースを振り返った。
「勝ち上がりが掛かっているわけでも無いし、とにかく思い切った競走がしたかった。風が強くきつかったけれど、次につながるレースが出来ましたね。それにしてもびわこのお客さんの声援は凄い。地元を走っている感じです。『お帰りー!良く帰って(復活して)来たな!』って声援を受けましたよ。そういうのを聞くと、またGIの舞台で活躍してやろうという気になりますよね」
金山栄治の番手からカマした荒井崇博に対し懸命のブロックを見せた
市田佳寿浩
は3着の結果にも満足はしていない。
「荒井のスピードが凄くて結局止め切れなかった。最近のあいつを見ている限り、もう少し遅いと思っていたけれど、さすがGIになるとみんな底力を発揮してくるね。ヨコの動きは僕の一番苦手な部分だし、これからは頑張って力をつけて行かないとね」
<6R>
松岡健介選手
最終ホームからカマして1周逃げ切った
松岡健介(写真)
だが、番手の村上博幸が押し上げ失格となっただけに表情は険しい。
「今日の結果は、ほとんど博幸のお陰。後ろであれだけ熱い競走してくれれば僕だって気合いが入りますからね。少し仕掛けは早かったけれど思い切った競走ができました。ラインあってこその競輪を痛感しただけに、二人でワンツーという結果にならなかったことは本当に残念ですね」
最終バックから好回転でまくった
長塚智広
は村上博幸の強烈なブロックを受けるも、何とかしのぎきり2着を死守した。
「村上君のブロックは凄かった。後輪が浮きましたからね。もし、あのブロックさえなければ1着までいけていただろうけれど、GIの大会でこのクラスのメンバー相手では、あそこでブロックが来ない事なんてありえませんから」
<7R>
海老根恵太選手
7レースからは特選競走。レースは新田祐大と柴崎淳の激しい先行バトルが繰り広げられると、海老根恵太が展開を生かしてひとまくり。すると、ゴール寸前に
村本大輔
が差し交わし、今シリーズ1勝目をゲットした。
「恵太が強いのは分かっていることだし、俺は付いていただけです。バック向かい風だったし、前ももがき合いだったけど恵太ならまくれると思った。さすが力が一枚違うよ」
海老根恵太(写真)
は2着となったが、「確かにまくりごろですけど、ホームから二人が全力でもがいてスピードが上がっていたし、その上をまくるわけだから相当きつかった。出切るまでで一杯だったし、3着以内に残れないと覚悟していました」と、結果には納得している。
<8R>
濱口高彰選手
8レースは打鐘から突っ張って先行した
永井清史
が別線の反撃をシャットアウト。結果、連係した濱口高彰に交わされたが、両者でワンツーを決められて満足げ。
「濱口さんと走ると毎回ワンツーが決まっている印象があります。それだけに駆ければ何とかしてくれるだろうと、いつも信頼して走っています。打鐘から約1周半を駆けたけど、余裕を残して踏めていたし今日のレース内容には満足しています」
濱口高彰(写真)
は「中団との間に車間が空いていたし、余裕を持って構えられた。永井のスピードももの凄かったし、付いていてこれならラインで決まると思いました。永井はいつも頑張っていますよ」と永井を称える。
三宅達也
は永井の競走に反撃する機会を逸した。
「最終1センターで前と車間を空けていたら、栗田(雅也)君に入られそうになり慌ててしまった。あそこで脚を使ったね。だけど、前がカカっていたし、追走で一杯。遅めに仕掛けようにも(永井は)スピードが落ちないんだから」
<9R>
中村浩士選手
9レースは4車にラインができる細切れ戦で、金子貴志が主導権を奪取。金子が四角を先頭で通過すると、番手を回った
岩見潤
が直線を追い込んで1着をさらった。
「金子の1センターからの駆け出しが半端じゃなかった。四角では内、外とばたばた来たんでかなり厳しかったけど、最低でも内だけ締めておけばと思い、きつめに締めた。直線では前に踏むことで一杯でした」
2着には新田康仁ラインの三番手を固めた
中村浩士(写真)
が。四角で新田が締められると、すかさずコースを見つけて直線で外を追い込んできた。
「自分はしっかりと脚を溜めていたし、直線でのコース獲りだけには気をつけようと。前の(鈴木)誠さんが内に踏んだから自分は外に車を出しました。今日は普段使っている3・64のギアから、初めて3・79のギアにしてみたんです。そうしたら車の出や反応がものすごく良かった。収穫を得られて良かったです」
<10R>
小嶋敬二選手
諸橋愛選手
10レースからは準決勝戦3個レース。北津留翼の先行を武田豊樹が2センターでまくり切ると、武田―諸橋のまくりを追走した
小嶋敬二(写真)
がその上をまくって1着をゲット。連日、驚異的な力を見せ付けている。
「今日は無我夢中でした。前の仕掛けに乗ってうまく踏めました。昨日、内容のあるレースができたから、周りも警戒して早めに動いてくれたのかな。疲れはあるけど、身体は十分動いていますね」
2着には
武田豊樹
が入線した。
「今日は自分のタイミングでは無かったけど、小嶋さんが来るのが分かっていたし、苦しめたかったから少し早めに踏みました。踏み出しは良かったけど、今回は2日間とも自力じゃなかったから、状態が分からない部分があったし少し心配だった。だけど、仕掛けて正解でした」
3着には、武田のまくりに食い下がった
諸橋愛(写真)
が流れ込んだ。
「まくりでも先行でも、どんな展開になろうとも武田さんに付いていくだけでした。北津留を乗り越えると(佐藤)友和が後ろらへんにいるのが分かって、彼が直線でどのコースを踏んでくるのかを警戒した」
佐藤友和
はまくり追い込みで直線内コースを強襲したが惜しくも4着に沈み優参を逃した。
「今日は北津留に突っ張られるのが嫌で、自分で先に斬って前に出た。久々に自分でレースを動かせたけど、結果が伴わないのではね…。踏み出しやスピードには問題なかったし、最後は勢いを殺さずに突っ込んでいれば3着以内に入れたかもしれませんね」
<11R>
山崎芳仁選手
渡邉晴智選手
11レースは、隊列が最終ホームまで一切動かず一本棒の展開に。すると1センターから
山崎芳仁(写真)
が風を切り、そのまま押し切った。
「レースがずっと動かなかったけど、最終ホームで浅井が来ると思ったから、併せて仕掛けようと決めていました。冷静に駆けられたし、今日は3日間で一番もがく距離が短かったので脚にも余裕がありました。四角でも踏み直せましたしね」
渡邉晴智(写真)
は山崎マークからそのまま2着を確保する。
「山崎のカカリがすごかった。他のラインに全くレースをさせないんだから凄いよ。直線でも抜ける気がしなかった。決勝に乗れてひとまずはホッとした。連覇に望みをつなげられましたね」
浅井康太
は中団にこだわり、山崎―渡邉の後位で石丸寛之と併走。終始石丸を内に閉じ込め、外併走から直線を踏み込んで3着に食い込んだ。ところが、「競走内容が悪かった。結果的に自分だけの競走になってしまった…」と決勝進出にも笑顔は無い。
敗れた石丸寛之と矢口啓一郎の両機動型にとっても、浅井の競走は想定外だったようだ。
石丸寛之
が「山崎が動いたときに浅井が動けばこっちにとっても展開が向いたはずなんだけどね」と話せば
矢口啓一郎
も「ライン3車だし、浅井君が仕掛けると思ったんだけどね。あれで展開が変わった」とそれぞれ話す。
<12R>
阿部康雄選手
南修二選手
12レースは最終ホームから先行体勢に入った
平原康多
が圧巻の逃走劇を見せた。ゴール前でマークの阿部康雄に交わされたが、両者でワンツーフィニッシュ。軒並みそろう強豪を力で捻じ伏せた。
「メンバー的にも(渡邉)一成か自分が逃げる展開でしょう。だから一成の動きを警戒していました。そうしたら仕掛けてくる感じも無かったんで、自分が逃げました。今開催のなかで、やっと自分らしいレースができたと思う。明日も今日みたいなレースができるように頑張りたい」
勝った
阿部康雄(写真)
は「平原が強かった。三角でもみるみる伸びていく感じだったし、こっちも目一杯踏みました。最後、直線で内外に来られて厳しいかなと思ったけど、どうにか凌げましたね。このメンバーで1着なんだから言うことないですよ」と平原に脱帽する。
3着の
南修二(写真)
は単騎戦が奏功。平原―阿部の後位をキープすると、直線を鋭く伸びてGI初優参を決めた。
「今日は流れで位置を決めようと思っていたし、たまたまラインの選択が成功しただけです。被るのが嫌で、2センターで少し早めに車を持ち出したけど、最後届いたかは半信半疑でした」
伏見俊昭
はまさかの敗退。前を任せた渡邉一成が南修二と接触するアクシデントが響いた。
「あれで自分のスピードも落ちてしまったし、痛かったですね。だけど、展開だし仕方がない」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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