『第61回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 初日編
 
配信日:6月3日
 



 いよいよ開幕した第61回高松宮記念杯競輪。昼過ぎに雷鳴が轟き、ポツポツと雨が降る時間もあったが、ほぼ晴天下での開催となり、気温と共にレースもグングンと白熱の度を増していった。最終レースの白虎賞では村上博幸が落車に見舞われるアクシデントが発生。波乱の幕開けとなった。
 明日(4日)のびわこ競輪場では荒木実さんや地元選手によるトークショーを開催します。他にも素人脚自慢大会や、早朝指定練習一般公開など色々な催し物で皆さんのお越しを歓迎します。ぜひ本場での生観戦をお楽しみください。



青龍賞・白虎賞ダイジェスト

 〈青龍賞レース経過〉
 号砲で海老根恵太が飛び出し、渡邉晴智が続く。並びは南関勢の2車が前となり、山崎芳仁―伏見俊昭―成田和也―佐藤慎太郎の福島勢が中団。平原康多―武田豊樹―神山雄一郎の関東勢が後ろ攻めとなった。
 周回が進み、赤板ホームから平原が上昇していくと、山崎もこれに合わせて動いていく。ジャン前で山崎が誘導を交わし、突っ張って先頭に立ったが、平原も負けじと山崎を叩いて前に出た。山崎が車を下げたのを確認すると平原はペースを緩めた。すると、狙い澄ましたように海老根がホームから一気にスパートし、最終主導権を奪う。海老根が逃げ、中団は平原、6番手に山崎の順番で最終バックを通過。海老根が軽快に駆ける一方で、平原は前との車間を詰める勢いでまくり追い込むが、思ったほど車が伸びず。結局、番手無風の渡邉がキッチリ追い込んで勝利した。海老根はゴール寸前で失速して7着。武田が直線で外を伸びて2着に食い込んだ。神山が真ん中のコースを踏んで3着。上位3名が龍虎賞進出を決めた。

 〈白虎賞レース経過〉
 号砲と同時に加藤慎平が飛び出して永井清史を迎え入れる。これで周回は永井―加藤―山口幸二―小嶋敬二―浅井康太―村上義弘―村上博幸―市田佳寿浩―前田拓也の並びで落ち着いた。
 赤板前から村上義が早々と上昇を開始。永井に並びかけると、2コーナー手前で車を下げた永井に代わって村上義が正攻法に。切り替えた浅井が中団に入ると、この動きに続いた小嶋はそのまま上昇して打鐘過ぎに単騎で先頭に立つ。小嶋がペースを緩めると、1センターから永井が一気に主導権を奪う。後方に置かれそうになった浅井は、すかさず空いた内をすくって小嶋の後ろに。村上義はホームから巻き返しを図るが、永井に合わされて中団狙いに切り替える。バックから浅井がまくり上げると、村上義は浅井をドカしながらまくって出る。その後ろで村上博、浅井が接触して落車し、レースは前4名での争いとなった。村上義のまくりに合わせて踏んだ加藤が番手絶好の展開を生かして快勝。中を突っ込んだ山口と岐阜ワンツーを決める。

青龍賞ゴール
青龍賞ゴール

白虎賞ゴール
表彰式
白虎賞ゴール
表彰式


<1R>
 千葉コンビがワンツーを決めた。五十嵐力のイン粘りでもつれた前団を石毛克幸がひとまくり。最後は中村浩士が余裕の差しで快勝。
 「僕らのラインにとって最高の形になりましたね。展開に恵まれて勝った感じ。感触は悪くないですよ。とにかく今日は石毛さんが頑張ってくれたおかげです」
 石毛克幸も「もちろん自分が粘ることも頭にはあったけど、五十嵐が強気な感じだったので引いて様子を見ました。宮杯は相性が悪かったんですよ。勝ち上がったのは初めてじゃないかな。ちょっと重かったけど、初日としては上々です。早起きで体が全然動かなかった」


<2R>
牧剛央選手
牧剛央選手
   牧剛央(写真)が鮮やかな中割りで1着。多くの報道陣に取り囲まれた。
 「G1の勝ち上がりで勝ったのは2回目ですね。今日は内を締めることだけを心がけていましたけど、金子君が見えたので踏ませてもらいました」
 松岡貴久は納得のレース内容に明るい表情を見せている。
 「ここしかないというタイミングで行けましたね。踏み上げていく時にバランスを崩してしまった影響で、ゴール前でもうひと粘りできなかった。久しぶりのGレースだったので、ペース配分もうまくいきませんでしたね」


<3R>
 1着でゴールした中井達郎が落車するハプニング。石橋慎太郎は心配そうな表情を見せる。
 「中井さんが転んじゃってるんで…。僕も4着じゃ勝ち上がりは無理でしょう。特に作戦を決めることなく走ったんですけど、やっぱり落車の影響はあるみたいですね。でも、思っていたよりは踏めているし、日に日に良くなっていく感じはあります」
 3着には斉藤正剛が入った。金成和幸が奇襲のカマシ。これに乗って3コーナーから静岡コンビに切り替えた。
 「スイッチした時は頭まで行けるかなと思ったんですけどね。車が進まなかったなぁ。ゴール前で止まって、木村君に割られちゃった。でも明日には良くなっていますよ。大丈夫です」


<4R>
 園田匠がG1初勝利を挙げた。前団のもつれを吉田敏洋が好回転でまくり切ったが、俊敏にこの後位に切り替えると直線で鋭く差し切った。
 「ホームで松岡(健介)君に降りられてちょっと焦りました。加倉(正義)さんが少し遅れてきた時に、吉田さんがまくってきたので、追いかけないと勝負権がないですからね。今日は冷静に流れが見えていました。G1の正規配分は今回が2回目。初勝利だから嬉しいです。最近は流れが悪くて悩んでいたけど、これで吹っ切れそうです」
 まくった吉田敏洋は2着で二次予選に進出。ビッグで久々に勝ち上がり、笑顔を見せる。
 「ビッグで久々に勝ち上がれて気分がいい。五百バンクだから緩むところはあるし、今日は前受けから開き直って思い切り仕掛けるつもりでした。前がもつれて展開も良かったです。底の状態は脱しているので、あとは上がっていくだけでしょう」


<5R>
新田康仁選手
新田康仁選手
   栗田雅也が気っ風良く逃げて、番手回りの新田康仁が楽勝…の展開と思われたが、木暮安由が7番手から大外を強襲。久しぶりに大舞台で勝ち星を挙げた。
 「考えていた展開とは違ったけど、勝てたのは素直に嬉しいですね。冷静に見てタイミング良く踏めたのが勝因でしょう。明日からは前々に位置しながら勝負していきたい」
 新田康仁(写真)はさすがに渋い表情を見せている。
 「せっかく栗田があれだけ行ってくれたんだから、勝ち切ってあげないと駄目ですよね。(菊地)圭尚が下がった時点で安心してしまったのが…。気が付いたら木暮に外を行かれてしまった。300勝のチャンスだったのに。まあ、決勝まで取っておくことにします」


<6R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
   柴崎淳が好回転でまくって快勝。続いた坂上樹大は「全力で抜きにいったけど駄目でした。余裕のある感じで下げていたし、7番手になっても安心でした」と脱帽の表情。
 一方、荒井崇博(写真)は薄氷を踏む思いでの勝ち上がりに胸をなで下ろす。
 「1コーナーまでは中川君を信頼して付いていったけど、最終バックでは苦しそうだったので、シビアに行かせてもらいました。アタマまで届きそうな感触はあったんだけどね」


<7R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
   神山拓弥が岩本俊介を内に封じ込め、タイミング良く主導権奪取。飯嶋則之(写真)が絶好の展開をきっちりモノにした。
 「今日は人気になっていたので、ちょっと緊張しました。神山のおかげです。いいレースをしてくれたし、強かった。ワンツーが決まって良かったです」
 神山拓弥は共同通信社杯のあと、鎖骨のプレートの除去手術を行ったが、復帰戦で力強い走りを披露した。
 「すごい緊張しました。岩本さんの動きを封じてから仕掛けた。それで小野(大介)さんに突っ張られたら、もがき合うしかないと思っていました。すごい重かったけど、バック追い風に乗ることができました」


<8R>
 深谷知広がG1デビュー戦を白星で飾った。文句なしの内容だったが、「小川さんに出られて軽くパニックになったけど、その後は後ろが競りだったので自分のペースで駆けさせてもらいました。すんなり先行できませんね。脚は余っていたので踏み直せたけど。この反省を生かして、明日からはもうちょっとしっかり組み立てないと」と本人からは反省の弁。
 三宅達也は「山口さんには申し訳ないけど、出られたら粘るつもりでした。でも、全くスキがなくて持って行く場面がなかった」と言葉少ない。
 「イン粘りは考えていなかった」と小川勇介はきっぱり。
 「調子が良かったので、タテ脚で勝負するつもりだったんですけど重かったですね」


<9R>
新田祐大選手
新田祐大選手
   ナショナルチームで活躍する2人がワンツーを決めた。番手回りから1着の渡邉一成は「新田とは特に何も決めていなかったんですけど、踏み出しにだけ気を付けてほしかった。だらだら踏み上げていくと競りが長引いてしまうし、結果的に迷惑をかけてしまうことになりますから。新田の方が大ギアなので途中で置いていかれそうになったけど、何とか付いて行けて良かった。今日はいつもと違う緊張感があったので疲れました」
 新田祐大(写真)も笑顔でレースを振り返っている。
 「自分のレースはできましたね。ホームで友和さんが内にいたのが見えたので、3、4番手に入っているだろうという恐怖で、出切ってからも流せなかった。明日は自分の力でしっかり組み立てていきたい」


<10R>
三宅伸選手
三宅伸選手
   三宅伸(写真)が三番手から強襲。集まったカメラを前に「この絵は使ってもらえそうだね」と上機嫌。龍虎賞進出を決める勝利を振り返った。
 「僕が前回りでも良かったんだけど(笑)、石丸君も落車続きだから動いて調子を戻したいだろうし、しっかりラインを固めることにしました。今回はクランクを5mm短くしたセッティングにしているんですが、バタバタする感じがなくて綺麗に回せた。もとのセッティングじゃ抜けなかったでしょうね。踏み出しは重いのであまり好きではないんだけど、色々と考えて対応していかないとね。この1着は大きいな」
 岩津裕介は噛みしめるように「今の状態では仕方ない。それでも最悪の時期は脱したし、これからは良くなる一方だと思う。練習不足の影響が出ているだけで、勝負にはなりますよ」と語った。
 坂本亮馬は思わず地面に座り込む。
 「こんなに自転車が進まないのは久しぶり。明日からは総力戦です」


<11R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   渡邉晴智が渾身の追い込みで白星スタート。今年G1初勝利に笑顔を見せる。
 「展開に恵まれましたね。(海老根)恵太が良いレースをしてくれました」とクールダウンに向かう。
 平原康多は「意地を張っちゃいましたね。山崎さんも僕も先行したいレースだったでしょう。負けられないので強引にでも踏むしかなかった。海老根さんに出られてから必死で追いかけて、最後は無理矢理に仕掛けたけど、やっぱり駄目ですね。何とか関東ラインで勝ち上がれただけでも。今日は頑張りました」
 一方、山崎芳仁は「先行するつもりだったんですけど、平原に踏まれちゃいましたね。いつ来られてもいいようにペースを上げていたんですけど…」。
 絶妙な仕掛けを見せた海老根恵太(写真)だが「あそこから仕掛けて残れないんじゃ弱いとしか言えないですよ。もうちょっと距離を踏むレースをしてれば残れたんでしょうけど。タイミングを逃さず踏めたのだけが収穫ですね。渡邉さんが勝ってくれて良かった」


<12R>
永井清史選手
永井清史選手
   人気の近畿コンビが後方に置かれてしまい、レースの主導権は岐阜勢のものに。最後はゴール前で加藤慎平が抜け出し、山口幸二と連を独占した。
 「永井は前に踏む展開しか考えていなかっただろうし、結果的に中団がもつれてくれて最高の形になりました。幸二さんとワンツーを決められたし、状態は全く問題ないですね」
 村上義弘は険しい表情でローラーに向かう。
 「小嶋さんの動きに翻弄されてしまいました。結構な勢いで踏んでいたので、それを見ちゃいましたね。それで自分のタイミングが狂ってしまい永井君に合わせられた。僕がするべきレースじゃなかったですね」
 最終2センターで落車した村上博幸は幸い軽傷だったようだ。
 「打撲があるので明日になってみないと状態は分かりませんけどね。必死に付いていこうと踏んだんですが、浅井君が上がってきてコースがなくなってしまった」
 レース後、自転車を組み替えた永井清史(写真)
 「感触が今ひとつなので元に戻すつもりです。今日は最高の形で先行できたのに残れていないのは、ちょっと駄目ですね。踏み出しはうまく合わせられたんですけどね」

   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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