『第61回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 2日目編
配信日:6月4日
第61回高松宮記念杯競輪は大会2日目を迎えてますますヒートアップ。晴天に恵まれたこともあり、トップレーサーたちは最高のコンディションの中で最大限のパフォーマンスを発揮した。注目の龍虎賞では武田豊樹が貫禄の勝利を収めた。全レース終了後、準決勝に駒を進めた27名は明日に備えて入念に自転車を整備し、大一番に備えていた。
明日(5日)のびわこ競輪場の催し物は「ドラゴンゲートプロレス」。ヒサ絵のミニライブなど、場内では様々な趣向で皆様をお迎えします。ぜひ競輪場に足をお運びください。
龍虎賞ダイジェスト
号砲で神山雄一郎、加藤慎平、渡邉晴智の三車が飛び出すが、渡邉晴がスタートを取り、渡邉一成を迎え入れる。周回は、渡邉一―渡邉晴―三宅伸、平原康多―武田豊樹―神山、村上義弘―加藤―山口幸二で落ち着いた。
赤板で村上が上昇すると、それを追った平原と下げた渡邉一で4番手は一時併走状態に。村上は打鐘を聞きながら、後方を警戒して仕掛けのタイミングを計るが、渡邉一が村上の空けた内を突き渡邉晴と2車で前に出る。さらに外からは平原が追い上げて3番手を奪い、行き場を失った村上は車を下げた。渡邉一の先行に対し、平原も最終2角から早めに巻き返す。平原がバック過ぎに渡邉を捕え、そのまま先頭で直線に。終始、平原を好マークした武田がゴール前で捕えて龍虎賞を制した。平原もギリギリ2着に粘って関東ワンツー決着。武田後位に切り替えた渡邉晴が中を割って猛然と迫ったが3着までだった。
ゴール
表彰式
<1R>
栗田雅也と三宅達也で主導権争いとなり、まくった金成和幸が前団をひと飲み。好マークの
有坂直樹
が直線鋭く追い込んだ。
「金成が強かった。動きが俊敏だったね。昨日、少し重く感じたからギアを3.79から77に変えた。重いのは重かったけど結果は出たね」
北日本コンビを追走した
十文字貴信
が2着に流れ込んだ。
「ここのところ落車が続いていたし、練習でも脚が回らない感じがしたので、今回は4回転ギアを挑戦してみました。今日は金成君が頑張ってくれてゴール前勝負できたけど、まだまだ全然使いこなせませんね」
金成和幸
は直線力尽きて4着。
「身体の反応はいいですね。けど、距離がちょっと長かった。やっぱりF1とG1は違いますね」
<2R>
岩本俊介選手
岩本俊介(写真)
が中団確保からまくって1着となったが、表情は浮かない。
「一瞬、(小橋が)遅れてきたのが見えて番手に入ろうと思ったけど、(矢口に)流されて大バックを踏んでしまった。情けないレース。内容が良くないし、こんなんじゃダメですね。あと2走で取り戻したいと思います」
松坂英司
が南関ライン3番手から2着に突っ込んだ。
「初日に落車して身体は痛いけど、気持ちでカバーしています。今日は冷静に走れたと思います」
<3R>
スタート直後に小野大介が落車するアクシデントが発生。スタートは仕切り直しとなった。再発走となったレースでは
菊地圭尚
が豪快なまくりで昨日のうっぷん晴らし。
「(再スタートで)ちょっと気持ちが切れそうになりましたけど、何とか立て直せましたね。状態は悪くないですよ。山賀君がカマすのも頭にはあったし、2車だったら行かせてまくればいいと冷静に判断できました。小野君のアシストも嬉しかったですね」
<4R>
高橋大作選手
高橋大作(写真)
が直線で突き抜けて快勝。本人も「いつ以来かはハッキリ覚えてません」と言う久しぶりの1着となった。
「藤田君が早めに行ってくれたおかげです。でも、ちょっと早すぎたね。稲垣君がまくってきたタイミングもすかさずだったから、対応する暇がなかった。それにしても1着は何より嬉しい。外を思い切り踏めたのが勝因ですね」
山内卓也
は絶好の展開を生かせず苦笑い。
「勝ちきれなかったですね。何とか稲垣君とワンツーを決めたかったんだけど。休まず行ってくれたし、いい展開になったんですけどね」
<5R>
松岡健介選手
松岡健介(写真)
が早めのまくりで後続を千切って圧勝。初日大敗のうっ憤を晴らした。
「顔見せで後ろが競りだったし、早めに出切るのがいいかなと。中団に入れそうだったけど、番手の齋藤さんも車間を空ける感じだったし、すかさずいきました」
五十嵐力
は後方からまくり追い込んで3着。
「調子は悪くないと思うけど、流れに乗れていないですね。全くダメです」
<6R>
新田祐大選手
新田祐大(写真)
が奇襲のイン粘りで中部ラインを分断すると、バックから番手まくりで後続を引き離した。
「結果的には勝ったけど、恥ずかしいレースですね。全く力を出し切れませんでしたから。金子さんに締められて、マズイと思ったので前に踏んだんです。山口さんが追い上げて来るのは分かっていたので、見えた瞬間に行きました。斉藤さんに悪いことをしてしまいましたね。準決勝では積極的に攻めたい」
2着は
小野俊之
。もつれにもつれた展開を乗り切っての準決勝進出に笑顔が絶えない。
「荒井君とワンツーを決めることだけ考えてレースに臨んでいたので、そこは残念ですけどね。ホームで隊列が乱れた時に何が何だか分からない状態になってしまって、軽くパニックでしたよ。最近は競輪に集中できない時期もあったけど、九州の若手が活躍しているので、それに刺激をもらってまた気持ちが盛り上がってきた。今回も準決勝まで上がれているし、しっかりと走りたいですね」
<7R>
岡部芳幸選手
びわこ競輪場のバンクレコード保持者・
岡部芳幸(写真)
が記録をマークした走りを彷彿させる豪快なまくりで快勝した。
「(山田)敦也君が持ち味を生かした方が良いとアドバイスしてくれたおかげですよ。でも、自力でしっかりまくれたのは1月以来だし、気持ちは良かったですね。3コーナーで一瞬、危ない場面はあったけど、うまく凌げたんで状態は悪くない」
井上昌己
は2着ながらバツが悪そうに引き上げてきた。
「スタートは完全に失敗。前から2、3番目を取る予定だったのに。後ろになってしまってからは、松岡君に全て任せていました。プレートを抜いて体の違和感も消えているし、今日は踏めたと思います」
松岡貴久
は悔しさを隠せない。
「後ろから押さえるのは脚を使うので、併走でも早めに上昇した方が楽なのであの位置にいたんです。いい形にはなったけど、最後は力不足でした」
<8R>
兵藤一也選手
前団のもつれを坂本亮馬がひとまくり。加倉正義と師弟ワンツーかと思われたが、最終2センターから外を踏み上げた
兵藤一也(写真)
が鮮やかな中割り強襲を決めた。
「あの展開だから坂本君が絶対に来ると思っていたし、その時にどう対処するかと考えていました。最後は加倉さんがやっと抜けるぐらいだと思ったので、中にいきました」
加倉正義
は2着で準決勝に進出した。
「いい展開になりました。1列棒状だと厳しかったですね。余裕で付いていけると思っていたけど離れそうになった。それで亮馬は調子が悪いと言うんだから強くなってます。宮杯は相性が良くないので準決勝は初めてです」
3着で準決勝進出を逃した
坂本亮馬
は悔しさを隠せない。
「モコモコしていた。切れがないですね。ワンツーかと思ったけどツメが甘かったです」
<9R>
山崎芳仁選手
後方に置かれた
山崎芳仁(写真)
だが、伝家の宝刀・「まくり追い込み」で得意バンクを攻略。危なげなく準決勝に進出…と思われたが。
「調子悪いですね。後方になったのも、仕掛ける気になれなかったという感じ。ああなったら腹を決めて構えるしかないでしょう。何とか届いたけど、道中も余裕がなかったですね。抗生物質を飲んできたので、乳酸がうまく消えてくれない感じです」
2着で入線したのは
大塚健一郎
。関東勢後位から伸びた。
「分かっていたけど、山崎君は強いですね(笑)。相手があってのことなのでコース取りは決めていなかったけど、踏むところがあってよかった。コツコツ勝ち上がっていきたいですね」
<10R>
村上博幸選手
昨日の落車から見事に立ち直った
村上博幸(写真)
がさすがの差し脚で復活勝利。笑顔がよみがえった。
「思ったよりも軽傷で済んだけど、やっぱりちょっとした違和感は残っていますね。落車していいことはないですから。今日は永井君が強かった。ジカで連係したのは2回目なんですけど、今回は本当に強烈なカカリでしたね。あれなら誰もまくれないでしょう。なんにしても2人で決められて良かった」
永井清史
も「駆けていて気持ちよかったですね。練習のような展開だったし、スピードも出ていたと思う」と納得の表情。
スルスルっと上位に食い込んできた
小倉竜二
は「永井君がかかってましたね。うまく切り替えていったけど、ちょっとハンドルを投げるのが早かったかな」。
<11R>
小嶋敬二選手
深谷知広が予想通り主導権を握ったが、早めに巻き返してきた佐藤友和が番手に追い上げる形になり、展開がもつれる。
小嶋敬二(写真)
は最終バックで深谷の内を突いて番手まくり。同じく前走する選手のインを突いて小嶋を追った園田匠が1着入線も失格となり、小嶋が1着に繰り上がった。
「深谷のかかりは良かったけど、ちょっとふらついていたので内に差してしまった。勢いを殺せなかったし、そのまま出ていく形になってしまった」
力強く外をまくり上げた
市田佳寿浩
が2着に入った。
「今日はとにかく前々に踏んでいくつもりでした。ごちゃついたところにいないでラッキーでした。身体の反応はいいし、踏み込んだ感触も良かった。でも、みんなスピードが出ているから、あそこまでが精一杯でした。ここまできたし、あとは気持ちですね」
北日本ライン3番手の
佐藤慎太郎
が巧みなコース取りで3着に食い込んだ。
「今日は自分のコースを確保するのが精一杯でした。判断はいいけど、何か身体の動きとかみ合っていない。反応が良くないですね」
中村浩士
は繰り上がりの4着で準決勝に進出した。
「小嶋さんに初めて付くから緊張しました。小嶋さんが内から踏んでいくのは予想外でした。ツキがあります。いい状態でここに来れたと思うし、明日も頑張ります」
<12R>
平原康多選手
「龍虎賞」を制したのは
武田豊樹
。平原康多のまくりをゴール前できっちり捕らえた。
「今日は自力を使ってなくても、ずっと併走できつい展開でした。みんな強いですね。最後は平原君としっかりワンツーを決めないといけないと思ってました。2日間、自力を使ってないけど、去年もその流れで決勝に乗れたし、問題ないでしょう。明日が大事ですからね。しっかり準備してきたし、明日の僕のレースが来るのを待つだけです」
平原康多(写真)
も満足そうにレースを振り返る。
「気持ちを入れて走れてますね。渡邉(一成)君とはもがき合いになることが多いんですよ。けっこう流していたし、あれ以上、流されたら厳しいので仕掛けました。スピードが合ってきついと思ったけど、思った以上に車が出てくれました。やっぱりギアが合っていますね。あれだけ脚を使って2着なら十分です」
先行した
渡邉一成
は9着と大敗した。
「僕としてはおいしい展開だったんですけどね。合わせ切れなかったです。平原さんのダッシュはやっぱりすごいですね」
村上義弘
はまくり不発。2日間、レース内容を反省する。
「昨日、今日と勝負どころの判断が悪いです。今になって考えれば(渡邉)一成君が内を突いてくることも警戒しておくべきでしたね」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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