『第61回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 3日目編
配信日:6月5日
第61回高松宮記念杯は大会三日目を終了し決勝戦出場メンバーが出そろった。猛威を振るっていた近畿勢は準決勝で全滅。関東から5名が優参するなど、ビッグ戦線に新たな流れが巻き起る結果となった。
明日(6日)はいよいよ決勝戦。「笑い飯」によるお笑いステージなど楽しい催し物が満載です。最終レース終了後にはバンクを解放して決戦の舞台の感触を味わう「バンクオープンウォーキング」も。チャンピオンが決まる一戦をぜひ生観戦してください。
<4R>
十文字貴信選手
動きの良い金成和幸が痛快なまくりを繰り出すと、番手から
十文字貴信(写真)
が追い込んで1着。久々のG1勝利に笑顔が絶えない。
「こういうビッグレースじゃないと新しいチャレンジはなかなかできないし、今日も前の金成君に合わせて4回転を使ったんですが、車が進んでくれましたね。やっぱり1着を取れることが何よりですよ」
大敗してしまった
吉田敏洋
だが、「岩本君が打鐘過ぎにかなり流したでしょう。あそこを踏むようだったらまくりに構えたんですけどね。脚力自体は問題ないと思うんですけど、今回は踏むべきポイントがずれている気がしますね」
<5R>
松坂英司選手
石橋慎太郎が主導権。最終バックでも隊列は一列棒状のままで、最後は
松坂英司(写真)
がしっかり勝機をものにした。
「全て石橋君のおかげですよ。こうなると初日の落車がもったいないですね。あれも踏めているから突っ込んでしまったんで、もしかしたら今回は自分で思っているよりも良いのかもしれませんね」
松岡健介
はまくり迫るも2着まで。
「HSで石橋君に踏ませたかったんですけどね。最後は直線で小野君に当たってしまって勢いを殺しちゃった。その分、伸びなかったですね」
<6R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之(写真)
が意地を見せた。バックからのまくりで前団を仕留めると、後続を引き離しての快勝。
「もちろん先行するつもりはあったんですけど、あの隊列なら来ても2車だし落ち着いていけました。ブロックもきつかったけど、何とかこらえられた。G1で1着を取るのは、どんなレースでも大事ですね」
菊地圭尚
は思わずヒヤリ。吉永和生に追突しかけた。
「ぶつかりそうでしたね。思わずインに避けたけど、ほぼカントのないところを走ったので滑りっぱなしでした」
<7R>
神山拓弥選手
神山拓弥(写真)
がケレン味のない先行で後続をぶっ放した。全力を出し切った神山は、敢闘門で思わず倒れ込み、「今日は本当にきつかった。脚が痛い」と呻く。
勝った
飯嶋則之
からは笑顔がこぼれる。
「拓弥が作戦を教えてくれないので不安でしたよ(笑)。今日は先行でもまくりでもいいから、とにかく力を出し惜しみせず、思い切って行ってほしかっただけ。ラインで決まったし最高ですね」
<8R>
佐藤友和選手
北日本ラインが完璧なレース運びを見せた。駆けた
佐藤友和(写真)
は「またバックを付けられましたね。これで先行選手に戻れるかな(笑)。今日はラインが長かったし、この組み立てを考えていました」。
伏見俊昭
は二次予選敗退のショックを振り払い「初日、二日と展開がまるで駄目。さすがに今日は向いてくれるだろうと思ってました。友和は早めに行ってくれましたね。後ろに2車いてくれたのも大きかったですね。番手の仕事はしないといけないし、最大限の援護はできました」。
2着に食い込んだ
武井大介
はホッと胸をなで下ろす。
「望月さんもいるし、来られてしまうようだったら自分で踏むことも考えたけど、そんなスピードじゃなかったですね。伏見さんが車間を空けて牽制していたので、詰める勢いで直線は加速していった。2着に入るのがやっとです」
<9R>
深谷知広選手
深谷知広(写真)
が見事な逃走劇を披露。強豪相手にシリーズ2勝目を挙げた。
「昨日はダメだったけど、気持ちを切り替えて走れたし、しっかり主導権も取れて良かったです。感じは悪くないですね。だいぶ自信も付いてきました。明日もいつもと同じレースで頑張ります」
大外を力強くまくり上げた
坂本亮馬
が2着に入った。
「調子が良ければ行けてたかな。でも、(深谷は)強いですね。相当、引き付けて駆けていた。ペース配分が上手い。今日はやった方でしょう」
木暮安由
は俊敏な立ち回りで深谷の番手を奪ったが、車は出なかった。
「いい位置が取れたんですけどね。(深谷は)バックはペースで踏んでいました。3コーナーぐらいで緩んだから仕掛けたんですけど、合わされました。強いですね」
<10R>
神山雄一郎選手
準決勝初戦は関東勢が上位を独占。
平原康多
が早めに巻き返し先行勝負に出た。
「これがラインの信頼関係ですよ。僕はとにかく力を出し切るだけ。そうすれば神山さんや諸橋さんが仕事をしてくれますから。初日にキツいレースをした分、今日は精神的に楽でした。駆けちゃった方が気持ちは楽なんですよね。状態は良いと思います」
追い込んだ
神山雄一郎(写真)
は「(平原)康多が頑張ってくれたね。勝てる仕掛けをしてくれれば自分にもチャンスがあるから、好きに走れとだけ言っていたんです。とにかく自分は仕事をするだけですから。昨日はスピードに対応できなかった感じはあるけど、今日は自分の仕事ができたと思います」
山崎芳仁
は思わず首をひねる。
「タイミングは悪くなかったんですけどね。小野さんが僕のラインで競ったのが誤算でした。気になっちゃって打鐘過ぎから小野さんを見ていたから、少しだけ前の動きに対応するのが遅れてしまった。今日は負けてしまったけど、レースとしては面白かった」
<11R>
新田祐大選手
村上博幸がまたも落車。最終HSまえに姿を消してしまった。結果は
新田祐大(写真)
が大金星。並み居る強豪を尻目に快速まくりで1着をゲットした。
「永井さんを追いかける勢いで行けましたね。でも自分でレースを作っている訳じゃないし、ラインで決められなかったのが残念。行けるタイミングで行こうとしか考えていなかったんですが、自力で(決勝に)乗った感じはあまりしません」
武田豊樹
は後手を踏む展開となったが、しっかり立て直して危なげなく決勝進出を決めた。
「新田があそこで行くと思わなかったね。加藤君がブロックするだろうから、それを見てから仕掛けるつもりだったけど、下がって来ちゃったので慌てて追いかけました」
永井清史
は「カカリは悪くなかったと思いますけど、展開なんで仕方ないですね。踏んだ感じは良かったので残念です」。
<12R>
渡邉一成選手
最終レースを勝ったのは
渡邉一成(写真)
。新田祐大に続き、G1準決勝で福島ヤングチームがトップレーサーを撃破した。
「今日はカマすタイミングがあれば迷わず行くつもりだったけど、村上さんのペースが絶妙で仕掛けられませんでした。まくりのスピードは悪くなかったですね。特に絶好調という感じはないけど、自然と乗れているなという感覚はあります。明日は新田とうまく連係を決めて優勝したいですね」
近畿勢後位から伸びた
山口幸二
が2着で優参。
「自分だけ乗ってしまったので複雑ですね。内から当たられて市田に差し込んでしまったので、前に踏むしかなかった。西からは僕だけが決勝に乗ったんですね…」
渡邉晴智
は久しぶりにビッグで存在感を発揮している。
「思えば初日の1着から流れが僕に来てましたね。一成君のスピードは凄かった。色んな人の支えでまたこの舞台に帰ってくることができました」
悔しさを隠せない
市田佳寿浩
は「力を尽くした結果だから仕方がない。でも悔しい…。でも次から立て直します」と唇を噛む。
村上義弘
はさすがにレース直後は険しい表情だったが、クールダウンを終えると、「今日は番組を見た時点で、この走りしかイメージできなかった。風向きも思ったより変わってしまったね。バンクが重かった」と振り返った。
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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