『第61回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編
 
配信日:6月6日


 大津びわこ競輪場で開催された第61回高松宮記念杯は今日6日が最終日。今年の競輪界をリードしてきた村上兄弟、市田佳寿浩ら近畿勢は準決勝で脱落。注目の決勝戦は9人中、8人が東日本勢という戦前の予想とは大きく異なるメンバー構成となった。レースは新田祐大と武田豊樹の主導権争いを平原康多が豪快にまくって完勝。高松宮記念杯連覇を達成した。


決勝戦ダイジェスト
 号砲で北日本と渡邉晴智が飛び出して正攻法を確保。周回は新田祐大―渡邉一成―渡邉晴―山口幸二―武田豊樹―平原康多―神山雄一郎―兵藤一也―諸橋愛の並びですんなりと落ち着いた。
 赤板ホーム手前から山口が動くと、渡邉一のアウトに追い上げて番手勝負に出る。実質、4番手の位置になった武田は動かず、そのまま鐘が入る。前受けの新田は内、外をしきりに見ながら誘導との車間を空けると、3コーナーから踏み上げてきた武田に合わせて一気にペースを上げる。新田後位は山口が取り切って、武田はその外に。ホームで渡邉一が遅れると、平原は実質3番手に入って前との車間を切る。モガき合いの末に武田が新田の番手に入ると、隊列は一本棒に。引いた渡邉一が2コーナー手前からまくり返すと、これに合わせて平原がバックからまくる。平原は神山の猛追を振り切って高松宮記念杯を連覇。兵藤が3着に続いて人気サイドでの決着となった。

ゴール
胴上げ
表彰


<3R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
   栗田雅也(写真)は3番手の外で吉田敏洋の動きをけん制。前受けの小野大介が逃がされる形となったが、外併走から力強くまくり切った。
 「吉田君も僕もそんなにヨコをできる選手じゃないし、外併走でこらえられれば何とかなるかなと考えていました。仕掛けのタイミングは難しかったですね。有坂さんのブロックは分かっていたし、何とか乗り越えられました。今回は調整も上手くいったので、感じは良かったです。正直、この辺のレースを走ってるつもりじゃなかったけどしょうがないです。次は決勝を目指して頑張りますよ」


<4R>
高木隆弘選手
高木隆弘選手
   高木隆弘(写真)がようやく1勝。溜まりに溜まったフラストレーションを放出した。
 「後方になったら早めでも仕掛けろと言ってたんですが、あれで正解でしたね。力を出しきらなきゃだめでしょう。昨日は見過ぎて終わったからね。思っていた作戦とは違ったけど、とにかく1着を取って帰ることができるのは大きいですよ。これを次につなげたい」
 菅原晃は肩を落とす。 
 「五十嵐さんに動く雰囲気がなかったから、中団よりも前で勝負と思ったんです」


<5R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   海老根恵太(写真)が力強くまくって快勝。最終日はきっちりと人気に応えた。
 「昨日も人気でダメだったし、今日は何とかしたいと思っていました。藤田(竜矢)君が前受けするとは思わなかったし、予想外の展開になったけど、何とか勝てました。石毛(克幸)君とワンツーが決まって良かったです。今回はそんなに調子が悪くないと思っていたんですが、やっぱりびわこは相性が良くないですね。あとは力不足でしょう。また、叩き直して出直します」
 石毛克幸が2着に流れ込み、千葉ワンツー決着となった。
 「やっぱり海老根は強いです。今回は初日に自力を出して、あとは番手戦。番手のレースはやっぱり難しいですね。勉強することが多かったです」
 山内卓也は3番手からまくって見せ場を作った。
 「今日はまくると決めていました。思い通りの展開になったし、力は出し切れました。3日分ぐらいの体力を使いましたね」


<6R>
小野俊之選手
小野俊之選手
   準決勝に進出し“復活宣言”していた小野俊之(写真)が九州連係を生かして快勝。
 「今日は松岡(貴久)君の頑張りのおかげ。それに尽きます。九州の若手たちが頑張って、僕の尻を叩いてくれる。ようやく気持ちに火が点いたので、これからも頑張りたい。(大塚)健一郎や菅原をはじめ、同県の仲間たちに支えられてここまで戻ってこられた。これからは周りの人のために頑張りたい」
 松岡貴久の積極プレーも光った。ギアを3.85に戻したのも奏功したようだ。
 「今回は、体調が良かったんですけど、初日、2日目とラインが短くて駆ける仕掛けができなかった。昨日もまくりに行って車が出なかったので、今日は先行するつもりでした。後ろを固めてくれた人たちのおかげですね。小野さんにも仕事をしてもらったし。意外に粘れました」


<7R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   金子貴志が打鐘過ぎの3コーナーから一気にカマして主導権奪取。番手絶好の態勢から小嶋敬二(写真)が鋭く抜け出し、SS班の貫禄を示した。
 「今日は金子君が先行してくれたからね。ダッシュがいいから離れないように集中していました。最後はちょっと余裕があったし、しっかり1着を取らせてもらいました。今回は落車した後であまり練習もできていなかったんですが、後輩の頑張りのおかげで2勝できました」
 伏兵の木村貴宏が木暮安由マークから2着に突っ込んだ。
 「踏むコースがなかったので空くのを待ってから踏みました。坂上さんを抜けたからいいでしょう。前回の一宮でセッティングが出て、今回は感じよく走れました」


<8R>

山崎芳仁選手山崎芳仁選手
   前検日から体調不良を訴えていた山崎芳仁(写真)だが、最終日は貫禄の1着。内に潜り込んで位置を確保すると、最後はまくり追い込みで突き抜けた。
 「危ない展開だったけど、あれしかなかったと思います。あのままじゃ稲垣さんも駆けないだろうし、調子も悪いんで7番手に構えては…。何とか届いたけど、きつかったですよ」
 山崎を援護した金成和幸は苦笑い。
 「内に行く作戦はなかったですね。ビックリしましたよ。何とか外から追い上げたけど、脚を使いすぎましたね。人気に応えたかったけど…。でも今回はデキが良かったと思います。余裕がありすぎて失敗した感じもあるけど、次も頑張れそう」


<9R>
伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
   深谷知広が神山拓弥を強引に叩いて先行。後方からまくり追い込んだ伏見俊昭(写真)が粘る深谷をゴール前で捕らえ、連勝でシリーズを締めくくった。
 「何とか届きましたね。深谷君、神山君の2人は気合がすごかった。バック線手前ぐらいから詰める勢いで踏んだけど、車の出はあまり良くなかったです。でも、コーナーで伸びていく感じはしました。深谷君は強いですね。若い選手を相手に走るのは大変ですよ。今回はデキは問題なかったんですが、初日ですね。初日を突破できれば決勝にいけたような気がします」
 深谷知広は先行して2着。G1初出場で3連対とファンにアピールした。
 「神山さんとの踏み合いは覚悟していましたが、思っていたよりは楽に出させてもらいました。今回は4日間、バックを取れたし、状態も良かったと思います。記念やF1とはメンバーも違ったけど、リラックスして走れました」


<10R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
   佐藤友和(写真)が強烈なまくり追い込みで前団を一気に飲み込んだ。
 「(坂本)亮馬の前に入れたし、考えていた通りのレース。最後にやっと勝てましたね。スッキリしました。4日間、作戦は全部、合っていたと思うけど、2日目だけがイレギュラーというかダメでしたね。また次のG1に合わせて練習して、獲りにいきます」
 4番手からまくった村上義弘は2着。
 「いい位置は取れましたけどね。前をすかさず追っていけば良かった…」


<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手

新田祐大選手
新田祐大選手
   関東の結束力で平原康多が大会連覇を飾った。2着に続いた神山雄一郎(写真)は納得の表情を浮かべる。
 「今日は前の2人に全て任せていました。今回はデキが良かったです。だから最後も平原にあそこまで迫れたんだと思います」
 3着にも兵藤一也が流れ込み、関東勢で上位を独占した。
 「平原はあの位置にすんなり入れたし、あの倍数を踏み切っているから、あそこまででしょう。次はもっといい勝負ができるように、またしっかり練習します」
 武田豊樹は新田祐大と壮絶な主導権争いを演じた。
 「あんなに突っ張るとは思っていなかったですね。でも、ラインの先頭を走っている以上、いかないとダメですからね。もうちょっと車間を空けてからいきたかったけど、バックを踏むと後ろもきついですから。でも、僕が脚を使わせたわけだし、平原君もああなったら優勝できますよね」
 武田を突っ張り切った新田祐大(写真)は「今日は先行で力は出し切れたので、良かったです。もっと脚力が上がれば、G1でもいい勝負ができると思います」と手応えをつかんだ。
 山口幸二は宣言通り先行した新田のハコで勝負した。
 「今日は前を取ったラインの番手に外から競りにいこうと思っていました。正々堂々と力勝負をした結果だから仕方ないですね」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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