第61回高松宮記念杯が大津びわこ競輪場で開催される。西王座戦、日本選手権、共同通信社杯春一番とビッグレースの優勝を独占している地元・近畿勢が中心となるが、昨年の覇者・平原康多率いる関東勢や山崎芳仁率いる北日本勢の巻き返しにも注目が集まる。
昨年の高松宮記念杯(大津びわこ)決勝ゴール。
(7)平原康多が GI初優勝を決めた。2着は(1)山崎芳仁、3着は(9)浅井康太。
近畿旋風に待ったをかけるのは?
平原と武田が好連係を決めて風を呼び戻す
昨年優勝
競輪界に吹き荒れる近畿旋風に待ったをかけるのはどこか? 最有力はやはり、昨年の大会でGI初優勝を飾った平原康多と武田豊樹の二枚看板を擁する関東勢だろう。
平原は共同通信社杯春一番では決勝で落車・失格となったが、次場所の西武園記念では最終バック8番手からの渾身の捲りで地元優勝を決めている。
これで昨年4月の西武園、今年1月の大宮に続く地元記念3連覇となり、流れを良い方向に引き戻した平原のさらなる躍進が期待できる。
武田は東王座戦を平原の先行に乗って優勝しているが、日本選手権、共同通信社杯春一番と連続で決勝進出を逃している。
だが、3月・いわき平記念の2日目優秀で山崎芳仁、伏見俊昭らの北日本勢を下して逃げ切るなど調子は決して悪くなく、近況は積極的な先行策も目立っている。今回も再び平原と好連係を決めて、近畿勢に向かって吹いている風を関東勢のもとへ呼び戻してくれるだろう。
北日本勢の奮起にも期待したい。山崎芳仁は共同通信社杯春一番では再び義弘と博幸の村上兄弟に屈して二次予選敗退となっており、近況は王者の威圧感が薄れつつある感は否めない。
それでもやはり、平原や武田と同様に状態は悪くなく、日本選手権でも特選予選は捲りで圧勝、準決勝は逃げ切りと強さを見せつけている。
伏見俊昭も今年はまだ優勝こそないが、相変わらずの安定した走りを続けており、決してヒケを取ることのない福島コンビの絆の深さで、今度こそは村上兄弟に一矢を報いてくれるだろう。
地元・近畿トリオに死角はない!
中部勢が豊富な機動力を武器に巻き返しを狙う
S級S班が6人も揃う中部勢は、今のところは層の厚さを活かしきれているとはいえないが、小嶋敬二、永井清史、浅井康太らの機動力は十分に強力なだけに、加藤慎平や山口幸二らの好気合いの追い込み勢を中心にうまく連係できれば、一気の天下取りが期待できる。
加藤慎平は共同通信社杯春一番では落車のアクシデントに巻き込まれて一次予選敗退となったが、日本選手権で決勝進出、3月・名古屋記念では永井清史を目標に今年初優勝と、ようやく本来の強さを取り戻してきた。
中部勢で最も乗れている男は山口幸二だ。共同通信社杯春一番では準決勝で惜しくも4着と敗れたが、西王座戦、日本選手権と連続で決勝進出を果たしている。日本選手権の決勝では加藤マークから3着に突っ込んで表彰台に上がり、4月・西武園記念でも4日間勝ち星こそなかったが、決勝では中部ラインの3番手から2着に食い込んでおり、今回もベテラン健在の差し脚が侮れない。
南関東勢は海老根恵太の復活が待たれる。地元開催の日本選手権では特選予選こそは上がり9秒4の捲りで快勝したが、準決勝6着敗退。共同通信社杯春一番でも準決勝で4着と敗れている。展開が向いた時のスピードは相変わらずで、脚力的には何の問題もなさそうだが、好位取りにこだわりすぎて勝負どころの前に脚を使いすぎているのが一番の敗因か。GP覇者としてはこのまま沈んでいくわけにはいかないし、今回は長走路が舞台だけに好位にこだわらずとも後方でじっくり脚を溜めていけば十分に勝負になりそうで、久しぶりに海老根らしい切れ味抜群の捲りが期待できそうだ。
近畿旋風の勢いが止まらない。西王座戦では村上義弘-村上博幸の3番手から伸びた市田佳寿浩が優勝、日本選手権では兄・義弘の番手から抜け出した弟・博幸が優勝、共同通信社杯春一番では兄・義弘が逃げ切って優勝と、近畿トリオでビッグタイトルを独占している。
展開の流れのままに、自分のスピードを殺すことなく主導権を取りにいける兄・義弘の走りはパーフェクトに近い。第55回大会でやはり兄・義弘の先行に乗って優勝した松本整以来、6年ぶりの地元・近畿勢での高松宮記念杯制覇が濃厚といっていいだろう。
もちろん兄・義弘の逃げ切り優勝も狙えるが、弟・博幸が番手ならGI連覇の偉業も十分だ。弟・博幸は3月・いわき平記念では山崎芳仁、伏見俊昭らを相手に捲って優勝、ダービー王の貫禄を見せつけており、再び決勝で兄・義弘との連係があれば絶好のチャンスを逃すことはないだろう。
市田のGI初優勝も期待できる。今年は4月までに8場所走って決勝進出を逃したのは1回だけと、村上兄弟に負けずに好調を維持しており、西王座戦の時と同様に3番手からの直線強襲が侮れない。
荒井崇博が2度目の地元記念制覇を達成して復活
ようやく上昇ムードになってきた九州勢
S級S班が不在の九州勢は長らく停滞気味だったが、昨年後半から急成長している坂本亮馬や荒井崇博の復活でようやく上昇ムードになってきた。
坂本は昨年は記念優勝が2回、11月・競輪祭ではGI初優出を達成したが、今年も日本選手権で決勝進出を果たしている。共同通信社杯春一番の決勝は残念ながら落車に見舞われてしまったが、準決勝は海老根恵太、浅井康太らを相手に逃げ切りの1着で突破している。5月・平塚記念でも捲りで制して快進撃の続く坂本が、格上相手に金星を積み重ねながら勝ち上がっていくだろう。
坂本を目標に4月・武雄記念で2度目の地元優勝を達成したのが荒井崇博だ。膝の故障のせいで2年近く低迷していたが、膝の手術をしてから順調に回復、今年はFI優勝も2回ある。武雄記念の準決勝Aでは永井清史―浅井康太の強力ラインを破って1着と、地元戦で気合いの入った走りを見せており、今後はビッグレースでも活躍してくれることだろう。
中・四国勢は石丸寛之が落車の影響で長期欠場中なので機動力の面では苦戦を免れないが、岩津裕介が3月・いわき平記念決勝で捲って2着4月・西武園記念では決勝3着と軽快な動きを見せていて、今回も期待が大きい。
日本選手権でも勝ち上がりには失敗したが、一次予選では三宅達也の捲りを差して1着、5日目特選では渡部哲男の先行を目標に小嶋敬二の捲りを封じて1着と2勝している。今回もたとえ目標のないレースであっても、捲り兼備の俊敏な捌きでの連絡みが期待できる。
5月20日現在の出場予定選手によるレース展望です。
選手の欠場等により出場選手が変更となる場合がありますので、ご了承ください。
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村本大輔が初めての決勝戦でGI初優勝を達成!
第56回大会のチャンピオン・村本大輔は10回目のGI挑戦で初の決勝進出、加えて静岡県から初めて誕生したタイトルホルダーとなり、初めてづくしの優勝となった。レースは伏見俊昭―佐藤慎太郎の福島コンビが前受け、小嶋敬二―山田裕仁―濱口高彰の中部勢が中団、6番手以下に武田豊樹―村本大輔―小野俊之―内林久徳の並びで周回。赤板から武田が上昇を開始すると、合わせて小嶋も動き、バック手前では誘導を外して先頭に立つ。伏見は4番手まで下げ、武田は再び6番手となるが、打鐘とともに前団を叩いて主導権を奪う。小嶋は5番手まで引き、1センターから捲っていく。すると、武田も2角から一気にスパートする。小嶋は3角で村本の横まで迫るが、村本の牽制にあって失速。ゴール前では逃げ粘る武田を村本が差して初優勝、2着は武田、3着には内林が入った。
高松宮記念杯の思い出
第56回 平成17年6月5日決勝
優勝 村本大輔
長走路だが、先行でも十分に戦える
7、8番手からの捲りがよく決まっている
1周が500mの長走路だが、直線の長さもカント標準サイズで、400バンクをふくらませたような感じがあり、先行でも十分に戦える。
昨年の準決勝3個レースでも、10Rは捲りと捲りの決着だったが、11Rは山崎芳仁が逃げ切り、12Rは平原康多が逃げ粘って2着に入っている。
ちなみに昨年の大会の決まり手を見てみると、全47レースのうち1着は逃げが4回、捲りが12回、差しが31回、2着は逃げが8回、捲りが9回、差しが18回となっている。
02年のバンク改修で従来よりも直線が20㎝短くなり、カントも1度きつくなったので、先行が残りやすくなっただけでなく、捲りも外に浮きにくくなったので、昨年の大会でも7、8番手からの捲りがよく決まっていた。
また「びわこ道」と呼ばれていたよく伸びるコース(中バンクから内へ切り込むコース)もバンク改修とともになくっなったが、直線では前団の選手が横に広がるケースが多く、必ずといっていいほど中のコースが空くので、従来の「びわこ道」より外側、イエローラインを少し越えたあたりのコースを狙っていくと、後方からでも頭に突き抜けることができる。
バンク内では風が回る
周長は500m、最大カントは26度16分40秒、見なし直線距離は63.3m。季節によって東側の琵琶湖からの風と、北西側の比叡山から吹き下ろす風とに違いがあるが、特観席などの周囲の建物の関係でバンク内では風が回る。高松宮記念杯の頃はバック追い風になって、先行有利の日が多い。競りはバックで内から風を受けて重いので、必ずしもイン有利とはいえない。
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