『第63回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月17日
 函館競輪場にて行われている第63回高松宮記念杯競輪は本日17日(日)に4日間の全日程を終了した。サバイバルレースを勝ち抜いた9戦士による決勝は、武田豊樹が技ありの追い込みを見せて優勝。3年ぶりのG1優勝を果たしました。
決勝戦 レース経過
 号砲が鳴り単騎の柏野智典が出ると、他の8選手がけん制をして車間が大きく空く。結局、脇本雄太、村上義弘らが追いかけるが、初周を過ぎて武田豊樹が押し上げて前で構える。武田―神山雄一郎が前受けとなり柏野が3番手。以下は、深谷知広―山口幸二、脇本―村上、井上昌己―合志正臣で隊列が整い周回を重ねる。
 青板の4コーナー手前で8番手から井上が上昇を始める。前受けの武田は誘導を残したまま、すんなり3番手に下げ神山、柏野と続く。深谷―山口、脇本―村上の隊列は変わらず一本棒。脇本は1センターから一気に仕掛けて出る。3番手の武田も脇本に合わせて出て誘導を交わす。打鐘手前で脇本が主導権を奪取。武田は脇本ラインを出して3番手に飛び付くが、巻き返した深谷も武田の外にへばりつく。脇本が落ち着いてペースを握り、最終回へ。
 逃げる脇本に村上の追走。3番手以降が武田―神山(イン)と深谷―山口で併走。柏野が続き、井上が8番手。外併走で苦しみながらも深谷は2コーナーから強引にまくりを打つ。村上は深谷をけん制しながら最終バックを通過。村上が深谷を張り気味に外を踏むと、武田が2センターで村上の内をすくう。神山は山口と絡みながらも追走。逃げる脇本が先頭のままで直線へ。
 4コーナーで村上を弾いた武田が、直線を力強く伸びる。逃げる脇本をきっちり交わした武田が、09年以来となる3度目のG1制覇を遂げる。強靭な粘り腰で脇本がしぶとく2着に粘る。合志が後方からコースを縫って強襲するが、神山が合志を制し3着に流れ込む。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
 稲毛健太が最終ホームからカマして主導権を握ると、柴崎俊光が番手の仕事をキッチリとこなして1着を手にした。
「稲毛君は強かったですね。ダッシュがもの凄いんで、そこだけ気を付けてました。行ってからのスピードも良かったんで決まったと思った。ただ、残せなかったのは残念でしたね。今回は落車して悪いままでここに入ったけど、悪いなりに身体は動いてた。2勝できたのは良かったですね」

<2R>
藤木裕選手
藤木裕選手
 藤木裕(写真)が快速まくりを決め、最終日を勝利で締めくくった。
「連日動きは悪くなかったと思うけど、なかなか結果が出なかったんで、今日は1着を取るレースで勝ちを意識して走りました。今回は勝ち上がりでもう少しやれるかと思ったけど、しっかり反省して次頑張ります」

<3R>
後閑信一選手
後閑信一選手
 3レースは牛山貴広の早めの先行から、最後は後閑信一(写真)が抜け出し勝利した。
「牛山君が早めに行ってくれたし、今日は牛山君の頑張りに尽きるね。僕は初日先行して神山(雄一郎)さんが勝ち上がってくれたし、それだけでも。あとは自分の力不足に終わりました」

<4R>
筒井敦史選手
筒井敦史選手
 筒井敦史(写真)がG1初勝利を挙げた。レースは川村晃司が押えて先行し、3番手を回った筒井が直線伸びて1着を手にした。
「G1初勝利できて嬉しいですね。今日は前が頑張ってくれて、僕はサラ脚で回らせてもらったんで。市田さんはあんなに仕事してたのに、僕はサラ脚で踏んでやっと抜いた感じでした」
 川村晃司は3着で確定板入りしたものの「もっと粘らないとダメですね」と漏らす。「メンバー的にも先行一車なんで。ただ、木暮(安由)君が早めにきたんで、あれを合わせるのに脚を使ってゴール前は一杯でした」

<5R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 菊地圭尚が岩本俊介を突っ張っると、永井清史が早めに巻き返して前団をひとまくり。最後も力強く踏み切って1着でゴールした。
「練習では調子は良かったし、脚自体は問題なかったんで。2日目が終わってから車輪を調整したら感じが凄く良くなりましたね」
 永井のラインに俊敏にスイッチし、菊地圭尚(写真)が2着に入る。
「岩本君が遅めに来たんで、出させたら7番手になってしまうんで。そこでは脚を使わなかったけど、永井君が良いスピードできたんで追い付くのに脚を使った。1着かと思ったんですけどね。緊張もあって2着になったのかな。でも、最終日は自力で力を出し切れたんで最低限良しとしたいです」

<6R>
 南修二選手
南修二選手
 6レースは藤原憲征が逃げる意外な展開に。鈴木裕の番手は渡邉晴智と村上博幸で競り合いとなり、まくり不発となったが、その後ろから南修二(写真)が内のコースを鋭く抜け出し1着をさらった。
「スローペースになってから6番(藤原)に行かれて、後方になったんでキツかったけど、4コーナーはあそこしかなかったし、空いてるのが見えたんで思い切って突っ込みました。勢いを殺さずに踏めたんで伸びましたね」
 藤原に乗り、中村淳が追い込んで2着となる。
「小川君が斬ったところをすかさず行ってくれたし藤原君のおかげ。車間を斬って残せるようにはしたんだけど。やることやって連にからめたんでよかったよ」

<7R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 三宅達也がホームから渾身のカマシで山口貴弘を叩いて主導権を握ると、最後は番手の大塚健一郎(写真)がキッチリ追い込んで1着を手にした。
「今日は三宅君が思い切って行ってくれたおかげ。僕は付いて行っただけなんで。次また頑張るしかない」。最終日に勝ち星を挙げたが、落車もあり不本意な成績に終わり言葉少な。
 三宅達也は山口の抵抗もあったものの、粘りを発揮して2着に。
「今日は小埜(正義)との2分線だし、とりあえず小埜君の後ろで粘って山口(貴弘)君の様子を見ようと。そうしたら山口君が叩いたんで、ベタ流しされるとマズいんですかさずホームから行きました。西川(親幸)さんは連れ込めなかったけど、ワン・ツーが決まって良かった」

<8R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 SS班の佐藤友和(写真)が意地を見せた。前受けから車を下げてどっぷり7番手に構えると、五十嵐力の仕掛けを待ってからスパート。直線だけで前団をごぼう抜きした。
「中団が取れれば理想だったけど、五十嵐さんと取り合ってまではしたくはないので。今日は道中楽だったし、五十嵐さんの仕掛けを見てから行きました。届く自信はありましたよ。勝ち上がりでこれができなかったのは残念だけど、最終日に1着が取れて良かった」
 松川高大のペース駆けに乗り、香川雄介が2着となる。
「(中団の)4番(五十嵐)が止まったんで決まったと思ったけど、直線だけで来られては無理。僕は2場所連続して落車してるし、無事完走できただけでもよかったですよ」
 五十嵐力はペース駆けに酔わされ不発に終わる。
「松川が上手くペースで駆けてましたね。掛かってるんだか、掛かってないんだか微妙なところで、実際に出ていっても車が全くで出なかった。佐藤君にも動きを見られてしまったし上手くやられました」

<9R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 9レースは小嶋敬二(写真)が吉田敏洋に乗り、番手まくりを放って1着をゲットした。
「バックで車間を空けたときに凄い風を受けながら詰めていったんでキツかった。決して楽ではなかったよ。でも、今日は吉田君が行ってくれたおかげです」
 岡田征陽が内のコースを鋭く伸びて2着に入る。
「中団を取るまでは良かったけど、そこからはキツくて必死だった。中部勢に上手くやられましたね」
 山口富生は必死の追走も、岡田に喰われ3着に。
「小嶋がどのタイミングで行くか集中してたけど、脚が一杯だった。それにしてもキツかったね」

<10R>
 長塚智広が平原康多のまくりに乗り、直線で抜け出して1着。最後はSS班の意地を見せキッチリ締めた。
「平原君が強かった。後ろに4番(岩津裕介)がいたんで気になったけど、今日は人の後ろを回って恵まれました」
 岩津裕介が関東ラインに俊敏に切り替え2着に入る。
「強いメンバーでしかも細切れで難しかったね。でも、前もいい感じで踏んでいて、(平原と)スピードが合ったんで上手く切り替えられた」
 まくった平原康多は3着に。
「出切ってからバックの向かい風が凄かったけど、あとは長塚さんが何とかしてくれると思ったんで必死だった。3着にはなったけど、仕掛けるべき所でしっかり踏めてるんで」

<11R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 決勝は武田豊樹の優勝で幕を閉じた。ここでは惜しくも優勝を逃した選手のコメントを。
 脇本雄太(写真)はあと一歩及ばず、惜しくも2着に。しかし、一番の見せ場を作って納得の様子。
「今日は深谷に先行だけはさせないと意識しすぎたかな。3番手にいたのが分かったんでヤバいと思ったんで、ペース配分を考える余裕はなかった。いつも通りに行けたと思うけど緊張したかな。でも、精一杯やれたし、やりたいレースができたと思う。今回は自分に何が足りないか分かったんで、それを課題にして次また頑張ります」
 神山雄一郎(写真)は武田とワン・ツーならずも、3着で表彰台入りを喜ぶ。
「今日は自分が勝つのは厳しいと思ってたんで、武田に勝ってもらうつもりであとは自分がどこまで付いて行けるかだった。最後は脚が一杯だった。久しぶりに表彰台に乗れて嬉しいね」
 合志正臣は目標の井上昌己が不発も、内のコースを鋭く伸びて4着。あわや表彰台の勢い。
「早めに態勢が整ってたら昌己も仕掛けられたと思うけど、6番(柏野)が遅れてたんで。3着と4着の差は大きいけど、自分もこのクラスで戦える手応えをつかんだ。今後、また調子を上げて、オールスターあたりでピークに持っていければ」
 深谷知広、山口幸二の中部コンビはガックリと肩を落とした。山口幸二は、「今日はワンチャンスに賭ける作戦だった。脇本が強かったということ」と口数少な。
 深谷知広も「脇本さんを警戒してたとかではなくて、今日は自分のミス。判断が遅かった」と悔しさをかみ殺す。
 村上義弘も「皆強かったし、脇本も強かった。敗戦の将、多くは語らずです」と一言。
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