『第64回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月16日
 岸和田競輪場で開催された第64回高松宮記念杯競輪は6月16日に最終日を迎えた。決勝戦は新田祐大が藤木裕のカマシを出させず主導権。番手の成田和也がゴール前で逆転し、自身3度目のG1を制した。

スタンドは大勢のファンで埋め尽くされた
スタンドは大勢のファンで埋め尽くされた
スピードチャレンジも大盛況
スピードチャレンジも大盛況
グラビアアイドル予想ガチバトル 左から木口亜矢、仁科仁美、中野浩一
グラビアアイドル予想ガチバトル
左から木口亜矢、仁科仁美、中野浩一
鳥羽一郎と岡修の歌謡ショー
鳥羽一郎と岡修の歌謡ショー
決勝戦 レース経過
 お互いに見合ってのけん制気味のスタートから藤木裕が出て正攻法の位置に入る。これで並びは、藤木―南修二―稲川翔の近畿勢が前受け、中団に新田祐大―成田和也―伏見俊昭の福島トリオ、単騎の荒井崇博、佐藤友和―神山雄一郎で落ち着き周回を重ねる。
 青板バックから佐藤が上昇を開始。佐藤は赤板で藤木に並びかけるが、藤木も引かずに誘導の後位が両ラインで併走となる。打鐘手前まできたところで、佐藤ラインに切り替えていた新田が踏み込んで主導権を奪う。叩かれた佐藤は車を引いて行くが、藤木がすかさず荒井を制して福島ライン4番手の位置を奪う。藤木は休まず最終ホーム入り口から一気のスパートで福島勢に襲いかかる。しかし、この動きを察知した新田も踏み込む。そして、ホーム手前では迫る藤木に成田が的確なブロック。これで勢いが鈍った藤木は出切れないまま2コーナーで後退して行く。レースは完全に新田のペースで一本棒のまま。まくりに構えた佐藤も、下がってきた藤木が邪魔でタイミングが取れない。3コーナーでようやく佐藤はまくりにかかるが、全く車が出ないまま不発に終わった。直線に入って驚異的な踏み直しを見せる新田を、成田がギリギリ交わして頂点に立った。2着新田で、3着にも伏見が入って福島トリオで上位を独占。地元の南は藤木が出切れずと見るや、4番手に切り替え、最後は中割りを狙ったが届かなかった。


ゴール
ゴール
お互いの健闘を称え合う福島勢
お互いの健闘を称え合う福島勢
表彰式
表彰式
<1R>
神山拓弥選手
神山拓弥選手
 岩本俊介の先行を神山拓弥(写真)が4番手からまくって快勝。シリーズ最終日を白星で締めくくった。
 「しっかり組み立てられたけど、脚が全然回らなかった。出切れないと思いましたが、1着で終われて良かったです。2日目に落車して、昨日は影響がないと思ったんですが、やっぱりバランスが崩れているのかもしれません。このあとは間隔が空くので、しっかり身体のケアをして次また頑張ります」

<2R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 前受けの矢口啓一郎(写真)が赤板から中村一将を突っ張って先行。しぶとく3着に逃げ粘って、群馬ラインを上位独占に導いた。
 「前受けは考えていなかったんですが、誰も出なかったので仕方なくですね。前を取ったからには引けないと思って突っ張りました。けっこういい風が吹いていたんですが、落ち着いて駆けられたと思います」

<3R>
野田源一選手
野田源一選手
 単騎の野田源一(写真)がシリーズ2勝目を挙げた。最終2センターで内を突くと、直線は逃げる田中晴基と鈴木誠の中を割って鋭く突き抜けた。
 「まくりを出せれば評価も上がるんでしょうけどね。外では届かないと思って突っ込みました。S級1班の点数のことが頭にあって仕掛けられなかった。初日、2日目は悪かったし、これで結果待ちですね」
 田中晴基の先行に乗って追い込んだ鈴木誠は2着まで。
 「(田中)晴基が強かったね。本当に頼もしい。内藤(宣彦)が付いてくれたのが大きかった。余裕はなかったね」

<4R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 原田研太朗が格上の同型を相手に力強い先行策を披露。ライン3番手の筒井敦史が直線一気に追い込んだ。
 「年間5勝ぐらいしかできないのに、特別で勝てて嬉しい。今日は原田君が本当に強かった。航続距離が長いですね。今回は思わぬ補充だったけど、いい経験になりました。前回の伊東は33バンクで苦しみましたが、その分、今回はいい感じで走れました」
 原田研太朗(写真)は初のG1挑戦で4日間、最終バックを取り切った。
 「ノルマは達成できました。自分のレースはできたと思います。色々と勉強になる開催でした。次は地元の小松島記念だし、決勝に乗れるように頑張ります」

<5R>
池田勇人選手
池田勇人選手
 池田勇人(写真)が打鐘過ぎの4コーナーからスパート。絶妙のペース配分でそのまま逃げ切り、番手の岡田征陽と1着を分け合った。
 「今日みたいに出させてもらえればペースで駆けられるし、結果も付いてきますね。ライン3人で決められたのは何より。同着でも1着ですから。最近は周りから警戒されることが多くなり、それを乗り越える力がまだないと今シリーズで感じました。その辺りを意識して次からも戦います」
 岡田征陽は車間を空けて池田をしっかりアシストした。
 「(池田)勇人が頑張ってくれました。余裕はあったんですが、勇人もタレなかったですね。でも、結果的に1着で締めくくれて良かったです」

<6R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 最終ホームで平原康多が水谷好宏を叩いて先行。水谷マークの稲垣裕之(写真)は最終2コーナーから自力に転じると、前団を一気に抜き去って圧勝した。
 「水谷君は迷っていた感じですね。突っ張るか引くか、どちらでも良かったと思いますが、ちょっと中途半端でした。そのあとの対処はしっかりできました。平原君をまくれているし、調子は良かったと思います。でも、一番頑張らないといけない準決で昨日、失敗していますから。しっかり反省して次に生かしたいです」
 叩かれた水谷好宏は持ち味を発揮できないまま終わった。
 「中途半端でしたね。最近の成績がいいと言っても、それはF1ですから。こういう舞台でもっと勝てるようにもっと練習して脚を付けます」

<7R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 後ろ攻めから一度動いた川村晃司(写真)は脇本雄太を受けて中団を確保。2コーナーからまくって出ると、鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「ワッキー(脇本)を後方に置かせる感じにしたかったけど、九州勢が前を取ってアレッ?と思った。まさかの1着でしたね。でも負傷明けで1着が取れたら励みになる。よかったです」
 2着には志智俊夫がきっちりと食い下がった。
 「前の選手が上手く組み立ててくれた。1着が一番だけど、最低でもしっかり付いて行ってと思ってました。今回は2次予選が力不足。準決勝に乗れないと、決勝もないから次はしっかり頑張りたい」
 逃げた脇本雄太は「踏むタイミングが少し早かった」とレースを振り返る。

<8R>
山賀雅仁選手
山賀雅仁選手
 深谷知広が圧倒的な人気を集めたが、小埜正義の先行で後方7番手に置かれてしまう。そこから強引にまくり上げたが3着まで。海老根恵太が番手まくりを打ち、3番手の山賀雅仁(写真)が抜け出した。
 「人の後ろをこんなに回ったのは鈴木裕が優勝した松戸記念以来ですね。今回はそのときよりはよかったかな。今日も小埜君のおかげで1着だし、今回はよくやったほうじゃないですかね」
 3日目は小埜の後ろで失敗している海老根恵太だが、今日は気持ちに応えた。
 「小埜は打鐘前から踏んでたし、(番手まくりは)しょうがないなと思った。自力3人で並んで全然ダメじゃみっともないし、小埜のおかげですね。これからは人の後ろを回るレースも増えてくるだろうし、自力を持ちながら自在性を持たないと。やることが一杯ありますね」

<9R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 準決勝4着で決勝進出を逃した武田豊樹(写真)が、9Rを制し最終日にようやく初勝利。最終ホームで7番手に置かれたが、すかさずリスタート。合わせて出た金子貴志後位をさばいて金子を追うと、直線でキッチリ抜け出した。「もう必死でした、厳しいね。なかなか簡単にはいかない。本当は金子君の上を行きたかったんだけどね」。
 全日本選抜、ダービーに続く決勝進出とはならなかった今シリーズ。それでも意地の白星締めに「(後半に)やっとエンジンがかかってきたかなというのはある。でもまだまだ。次、頑張ります」。次走以降は、関東地区の前橋記念、そして弥彦でG1親王牌が控える。関東のエースとして、巻き返しは急務だ。
 金子貴志は、山崎芳仁のカマシを受けて中団確保。そこから早めのまくりで2着をキープした。
 「山崎君のカマシは誤算。でも自分のタイミングで早めに巻き返せた。後ろが武田さんになっていたのはわからなかったです。今回は久々に良いキッカケになりそうなG1でした。この流れで親王牌も頑張りたい」

<10R>
根田空史選手
根田空史選手
 根田空史がハイパワーで別線を圧倒。番手絶好の勝瀬卓也が鋭く追い込み、シリーズ3連勝を飾った。
 「今回は連日、展開に恵まれました。前のおかげです。今日も根田君が本当に強かった。村上(義弘)さんに3コーナーで前に出られてしまったけど、根田君が踏み直してくれたから何とかなりました。特別で3連勝なんて記念になります。今が選手のピークかもしれませんね(笑)」
 根田空史(写真)は準決同様、4.33のギアで最後まで力強く踏み切った。
 「村上さんと力勝負ができて、いい経験になりました。4.33のギアも実戦で使えることが分かったし、収穫の多い開催でした。このギアは駆けているときは楽なんですが、終わってから身体はきついですね。これからは勝負ギアで使います」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
南修二選手
南修二選手
 決勝戦は成田和也が制した。成田の優勝は新田祐大(写真)の走りがあってこそ。2着に粘った新田はこれで共同通信社杯3日目から15走連続で連対。快進撃はまだまだ続きそうだ。
 「初手の並びである程度こうなるんじゃないかと思ってた展開になりました。自分でレースを動かしていけたし、いいレースはできたと思います。感じよく駆けられました。1着なら最高だったけど、2着に残れて自信になるし、ステップアップはできたと思います」
 伏見俊昭が3着に続き福島勢で表彰台を独占した。
 「今日はいい展開になったし、3人で決まってよかった。新田君は強くて落ち着いてましたね。藤木を合わすときも上手くやってた。僕も久々の表彰台に乗れてよかったです」
 藤木の仕掛けは不発に終わったが、南修二(写真)は4番手でチャンスを待った。伏見が外に持ち出し、成田、新田の中を狙ったが、伸び切れず4着に。
 「抜けなかった…。いいコースを全員が作ってくれたけど申し訳ない。いい緊張感で走れたと思うけど、力が足りなかった。また頑張ります」
 連日の走りで自信を取り戻していた佐藤友和だったが、その自信が裏目に出た。
 「中団を取り切っていたらよかった。脚の感触としてはいい勝負ができたんじゃないかなと思う。自信が道中の位置取りにマイナス面を与えてしまった」
 新田の前に完敗に終わった藤木裕は「今日は悔しいですね」
近畿3番手を回った稲川翔は清々しい表情で初めてのビッグ決勝を振り返った。
 「今日は冷静に走ろうと思ってた。南さんがおるだけで安心したし、藤木も無理やりにでも行ってくれた。これを次につなげたいし、今回で(タイトルを)獲りたいって実感がよりわいてきました」
↑ページTOPへ