『第65回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 3日目編

配信日:6月14日
 宇都宮競輪場を舞台に開催されている「第65回高松宮記念杯(G1)」は14日に3日目を迎え、白熱のG1シリーズも後半戦に突入した。ファイナル9つの椅子をかけて争われた準決の3個レースでは、さらに激しいスピードバトルが繰り広げられた。稲川翔、大塚健一郎、岩津裕介が熾烈を極めた準決でそれぞれ白星で飾り、大一番の決勝へとコマを進めた。また、準決のメーンで人気を集めた深谷知広、金子貴志の愛知SS班コンビは共倒れに終わり、波乱で3日目の幕が閉じた。いよいよシリーズも大詰め。15日の最終日にはG1のタイトルを巡って、決勝の号砲が宇都宮バンクに鳴り響く。
 本場では開催中の毎日、伊藤克信氏による予想会、日本競輪選手会・栃木支部によるイベント、大道芸人による日替わりステージなどを行います。最終日には「U字工事」によるお笑いライブ、「スピーチーズ」によるライブがあります。また、決勝出場選手特別紹介、優勝者表彰式には、中村アンさんも来場を予定しています。宇都宮競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

仮面ライダー鎧武/ガイム ショー
仮面ライダー鎧武/ガイム ショー
スピーチーズ LIVE
スピーチーズ LIVE
東西B級グルメ
東西B級グルメ
ピエロのじっきー パフォーマンス
ピエロのじっきー パフォーマンス
バンク内でレース観戦
バンク内でレース観戦
<1R>
山内卓也選手
山内卓也選手
 山賀雅仁が一旦は前を押さえたものの、三谷竜生が内を抜けて先頭に立つとそのままペース駆け。最後は山内卓也(写真)がゴール寸前で差し切った。
 「よかったですね。内から行ったときに付いて行っていいのかどうか迷ったけど。(怪我明けで)G1を走ってみて現状がどんなもんだかわかった。まだまだですね。でも、日に日に良くなってるんで、また頑張ります」
 連日先行している三谷竜生は、今日は2着に粘り込んだ。
 「あそこで引いたら厳しいんで、内をいくしかなかった。ちょっと失敗したけど、後ろを見たら(山内)卓也さんが付いてるのがわかったんで、ペースでいきました。2着に残れたのでよかった」
 一旦は山賀に離れた松坂英司だったが、上手く3番手に迎え入れると、直線で追い込んで3着に。
 「内から(三谷に)来られて締め込んだり、山賀にハスったり離れたり反省することが多かった。レース前から山賀が気合入ってたし、山賀君がすべてレースを作ってくれました」

<2R>
湊聖二選手
湊聖二選手
 スタートを制して前団を占めた四国勢は、狙い通りの前受けから後方に下げてのカマシ一気。ラインを上位独占に導き重責を果たした大西祐が、目を細めうれしそうに口を開く。
 「ラインでワンツースリー、それがなによりですよ。ジャンのところで後ろの2人が(別線を)張ってくれたしありがたかった。自分はまだ4.50のギアの当たりが、完全につかめていないですね。もうちょっと何場所か走ってくれば、もっと使えるようになると思います」
 09年ダービー以来のG1出場で、勝ち星を挙げた湊聖二(写真)。四国3車での総力の結集とあって喜びもひとしおだろ。
 「最高ですね。負け戦ですけど、G1での1着だからうれしい。(ラインの)3人で決まったことが一番ですね。チャンスもモノにできているし、感じは悪くない。(前を取る作戦だったので)スタートはとくに集中していました」

<3R>
池田良選手
池田良選手
 上野真吾が吉田敏洋の番手で粘ると、松岡貴久がこれを叩いて主導権。1センターで大量落車のアクシデントが発生するなか、松岡はペースで逃げると、最後は池田良(写真)が番手から追い込んで勝利した。
 「今日は松岡さんのおかげに尽きます。落車があったんで、もう後ろからまくってくることはないかと。余裕を持っていけました。怪我明けだけど、脚は悪くないと思うんで、明日(最終日)また頑張ります」
 落車を避け、松岡ラインを追った吉田敏洋が追い込んで2着に入る。
 「上野君がまさか粘るとは思わなかった。タイミング的にまだ粘る展開ではなかったんでね。俺はどうしていいのか分からなかった。もう松岡に行ってくれと。落車があって後ろを見たら1人しかいなかったんで、そこは落ち着いていけました」
 「弱ってますね」と話すのは松岡貴久。「あの展開で逃げて3着でしょう。まだまだというか全然(ダメ)ですね」。

<4R>
三宅達也選手
三宅達也選手
 中団から先に動いて打鐘で上原龍を押さえた三宅達也(写真)が、桐山敬太郎ラインを受けて4番手に入る。桐山が吉本卓仁の巻き返しを突っ張り、三宅にとっては絶好の流れ。同県の筒井敦史を引き込む、早めの追い込みで1着には納得の顔。
 「キリちゃん(桐山)が突っ張ってくれればラッキーだし。(吉本を)出させてもキリちゃんならそのあとに仕掛けてくれるだろうし。まずはキリちゃんのラインの後ろだって思っていた。あとはかぶらんようにと思ってた。恵まれました。みんな強いから、自分の調子はなんとも言えないですね」
 吉本が後退すると、目標を失った大竹慎吾が降りて筒井敦史と併走。絡まれた筒井だったが、最終4コーナーではコースを確保し2着に流れ込んだ。
 「今日は(自分たちに)展開が向きましたね。(併走でも)俺も余裕はあった。(初日に落車があったが)体は大丈夫だし。セッティングを毎日見つめ直して、今日が一番良かった。自転車との一体感がありました」

<5R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
 菅原晃と園田匠の九州コンビが好スピードでバックまくりを決め、両者でワンツーかと思われた。しかし、この後ろに切り替えた渡部哲男(写真)が鋭く迫り、最後はハンドル投げで1着を手にした。
 「今日は阿竹君のおかげ。切り替えたときに阿竹君は踏み直してましたね。昨日も余裕があったけど、苦手な展開になってしまったので。園田君も前を残す感じで踏んでたからね。今日は軽かったです」
 園田匠は「油断した」と1着を逃し悔しがる。「2人で決まったと思ったんで、あとは晃さんがどこまで粘れるかの展開だった。後ろから気配を感じなかったので。出脚でちょっと離れたけど、追い付いてからは余裕がありました」。
 3着の菅原晃は「ワンツーを決めないといけない展開だったのに。練習不足で仕上がってないですね。でも何とか上がれたし、あと1日あるんで頑張ります」と今一度、気合を入れ直した。

<6R>
小野俊之選手
小野俊之選手
 後続を一本棒にして主導権を握った竹内雄作が、グングンと加速。そのまま最終バックを迎えても誰も動けず直線で逃げ切り態勢に入ったが、コースを縫った小野俊之(写真)あっと驚く強襲劇。ハンドル投げで竹内をきっちりとらえた。
 「体の調子はいいんで、あとはセッティングさえ合えば。今日はそのセッティングが一番良かった。そこそこ出たんで、あとは微調整くらいであんまりいじならい方がいい感じがしますね」
 先行で魅せた竹内雄作は、惜しくも僅差の2着。汗をぬぐいながら息を整え振り返る。
 「(2着は)今の調子そのもの。ちょっと最後が…、そこですね。(別線のまくりが)全然来る気配もなかったし、(最終)3コーナーが来てあとは踏み切ることしか考えてなかった。トップスピードがまだちょっと…。それでバックで踏みすぎたのもあるし、そこを修正していきたい」

<7R>
小松崎大地選手
小松崎大地選手
 何度も展開が入れ替わるなか、柴崎淳がホームからカマして最終的に主導権を握る。柴崎が懸命に逃げるなか、小松崎大地(写真)が6番手から鋭くまくり、北日本ワンツーを決めた。小松崎はシリーズ2勝目。
 「柴崎君と併走になってもあそこで引く気はなかったけど、行ってくれたんでよかった。どんな形であれ、とにかく内藤さんとワンツーが決まってよかったですね。踏んだ感じは良かったです」
 松谷秀幸は中団3番手を取ったものの、仕掛けられず5着に終わる。
 「前を斬るときに脚を使ってしまいました。一杯でした。あそこで行くにはもうワンランク脚をつけないとダメですね。日に日に感じが悪くなっていく感じ。きつい。でもあと1日あるんでなんとか頑張ります」
 共倒れに終わった勝瀬卓也は、致し方なしといった様子。
 「小松崎君のスピードが良かったですね。松谷君はもう少し余裕があったら3コーナーから行けたんだろうけど、脚を使ってたみたい。僕はセッティングを変えて感じが良かったので」

<8R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 北日本コンビを受けて芦澤大輔(写真)が思惑通りに好位の3番手を確保。主導権を握った高橋陽介が最終ホームを過ぎて徐々にピッチを上げると、芦澤は車間を詰める勢いでバックまくり。苦しみながらもゴール板を先頭で駆け抜けて責任を全うした。
 「山田(英明)君も新田(康仁)さんも位置取りのうまい選手だし、今日は脚を使ってでもと思っていました。あれで(高橋)陽介さんを先行態勢に入れた方が(自分たちには)いいかなって。ただ、重い感じがしたし、1着取って言うのもなんですけど。脚的に…」
 ゴール勝負に持ち込んだ宗景祐樹が、芦澤を追い詰めるが2着まで。
 「山田君とかもいるし、すんなりはいかないかと思ったけど。意外にすんなり(中団)でしたね。芦澤君が強気にあそこの位置を取ってくれた。最後は芦澤君もタレていたけど、僕の状態もあんまりいいわけじゃないので」

<9R>
柴崎俊光選手
柴崎俊光選手
 大槻寛徳が2連勝。レースは藤田竜矢がホームで叩いて主導権。車間を空けて中団3番手に飯野祐太、5番手には柴崎俊光、7番手に石井秀治の隊列でレースが流れると、最後は各車が仕掛けてゴール前は横一線。直線中を大槻が鋭く伸びて1着を手にした。検車場に引き返してくるなり大槻は「もうお腹いっぱいです(笑)」と喜ぶ。「調子自体は良くないけど、昨日、同期にいろいろと話を聞いて自分なりにセッティングをいじったら劇的に良くなった。ずっと楽だったし、最後伸びました」。
 柴崎俊光(写真)が大槻を追って2着に入る。
 「最終ホームで石井さんがいたんで、脚があるから思い切り押し込みました。僕もスタイル的に位置取りで負ける訳にはいかないので。そこからは飯野君は車間を空けてたし、3コーナー勝負だろうから、それを見てから踏みました。今日は一番余裕があったし、落ち着いていけました」
 その石井秀治はスピード良くまくったものの3着まで。
 「ホームで柴崎君は叩いて出るかと思ったけど、自分を封じ込めてきたんであれが誤算でしたね。そこからは厳しい所なのに中村(浩士)さんが入れてくれたんで助かった。ラインを連れていけなかったのは反省ですね」  

<10R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 脇本雄太が押さえて近畿勢がレースを支配するが、後閑信一が飛び付き東口善朋から3番手を奪取。最終ホーム手前から東口が追い上げ返すと、それに乗った田中晴基がカマシ一気。田中には出られたものの、番手の稲川翔が林雄一を猛ブロックでどかして脇本を番手に迎え入れる。田中を追った脇本を、直線で稲川が交わして1着。
 「(田中)晴基のスピードに対応できなくて焦りました。ワッキー(脇本)が前に踏んでくれているし、なんとか(近畿ラインに)チャンスをと思っていた。ワッキーをカマしてくるスピードだったら、どこかに絶対に隙があると思って、そこを狙っていた。(林をさばいたが)本当は晴基をなんとかするのが、ワッキーにとっては一番だった。去年で(G1は)狙わなきゃ獲れないっていうのもわかったし。去年よりもG1を獲る気持ちは強いです。(決勝も)また近畿のラインで走れることが楽しみ」
 一度は後閑に奪われた3番手を取り戻した東口善朋が、3着でうれしいG1初ファイナル。
 「ある程度は自分のところに(誰かが)来ることも想定はしていた。昨日(2日目)も後閑さんもそうだったし、自分は構えていた。そこからは気持ちで追い上げた。直線も長かった。早くゴール線が来てっていう感じだった。(ゴール後に)オーロラビジョンを見て、(3着争いに)負けていると思ったしよかったです」
 「3日連チャンはきついですね」とは、2着の脇本雄太(写真)。3走すべて先行策と持ち前の機動力を見せ付けている今シリーズ。気心知れた稲川、東口とそろっての決勝進出に笑みを浮かべる。
 「後閑さんが3番手に飛び付いたのもわかりました。東口さんが追い上げて来たのを確認してから、自分は踏んでいきました。(宇都宮と同じ)高知の500バンクで稲川さんと連係していたのも大きかった。脚はいっぱいですけど、よかったです」

<11R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 松岡健介と巻き返した池田勇人でやり合う展開に。池田が叩けず力尽きると、浅井康太がスパートして一気にまくり切った。最後は大塚健一郎(写真)がきっちりと追い込んで1着。
 「浅井君が強かった。怪我明けで僕は脚が微塵もないんでね。今日は気合でした。まあ、でもここに来る前は後輩に練習をつけてもらってたので。とにかく明日も頑張るだけです」
 浅井康太は冷静な判断で2着に入る。
 「今日は重たかったですね。池田さんの内か外かを迷ったけど、慌てず見てからいきました。その辺は落ち着いていけましたね」
 浅井、大塚の即席ラインを追った柏野智典が3着に入る。
 「初手で浅井君が前だったんで、カマシ、まくりかと。それならそこに切り替えず付いて行こうと思いました。初手の時点で大丈夫だと思いましたね。まくったときに神山(雄一郎)さんが出てきたんで、無理に押し込むと危ないから、そこは上手く立ち回りました。前回決勝に乗ったとき(12年の高松宮記念杯)は何もわからず終わってしまったんで、明日はしっかり走りたい」 

<12R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 菅田壱道が強引に根田空史を叩いて気合の先行策。番手の菊地圭尚(写真)は、岩津裕介、深谷知広と次々と迫り来るまくりに番手発進で応戦。岩津にはインをすくわれ追い込まれたが2着でファイナル進出をもぎ取った。菅田の頑張りを称えて、決勝を見据える。
 「作戦自体はあんな感じでした。(菅田)壱道は出てからも掛かっていたし、自分は安心できました。自分が思っている以上に深谷のスピードがいいだろうから、早めに踏ませてもらいました。(岩津にすくわれるのは)想定内でした。それでもまず深谷を止めないことにはって思ったんで。壱道がよく頑張ってくれました。大塚さんとは2日目に失敗しているし、決勝は自分がレースを作るくらいの気持ちでいく」
 深谷に合わせてまくった岩津裕介だったが、柔軟な立ち回りで菊地後位に追い上げるとインを突いて追い込んだ。
 「自分のレースはできたのかなっていう思いはあるけど。なんとかラインで決めたかったっていう気持ちがある。全体の流れは見えていたし、判断もあれでいいのかと。自分の状態は問題ないけど、相手もいい状態で走っていると思う。それでも(決勝も)いいレースができそうですね」
 愛知のSS班コンビに付けた吉村和之は最終ホームではシンガリの9番手。深谷、金子貴志が共倒れに終わる中、最終3コーナーから内よりのコースを探して3着で好配当を演出した。
 「(最終)2コーナーのところまでは全然落ち着けなかった。離れてしまったし、必死で踏み続けて追いつこうと思った。(深谷が)2発目のブロックをもらった時にスピードが鈍って、みんなは外に張り気味に行くから。コースは自ずと(内に)見ていた。強い自力選手のおかげだし、めぐり合わせだと思う。うれしいです」
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