『第66回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月21日
 岸和田競輪場を舞台に開催された「第66回高松宮記念杯(G1)」は、6月21日の最終日に決勝戦が行われた。東日本地区から4人、西日本地区から5人が勝ち上がった伝統の大会のファイナルは、手に汗握るスリリングな戦いが展開された。レースは地元の近畿勢が主導権。番手まくりを打った稲垣裕之に切り替え追った武田豊樹が、直線半ばで稲垣をとらえて優勝。昨年9月のオールスター以来、6度目となるG1制覇を遂げた。また、一発勝負で行われた「ガールズケイリンコレクション2015岸和田ステージ(F2)」は、小林優香が好位からまくって優勝。昨年、岸和田でのガールズグランプリの雪辱を果たした。

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よしもとミニ新喜劇 in きしわだ
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柳 ゆり菜 トークショー
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ファンの熱い声援が飛ぶ
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決戦を前に意気込みを語る
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ガールズコレクション レース経過
 最内1番車の梶田舞がいち早く飛び出してスタートを取った。初手は梶田、加瀬加奈子、石井寛子、小林優香、小林莉子、荒牧聖未、奥井迪の順で並ぶ。
 レースが動いたのは青板周回のバックから。まずは奥井が上昇し、荒牧がこれに続いて加瀬の横で蓋をする。打鐘前に誘導が退避して奥井が先頭に立つと、引いた梶田が番手で止まり、荒牧と併走になる。後方の仕掛けはなく、奥井は徐々にペースを上げるとホームから先行態勢に入った。奥井が懸命に逃げるなか、3番手単独に位置した小林優が2コーナーからスパート。小林優が猛然とまくり上げる一方、その後ろで4車併走となったうちの荒牧と梶田が落車。しかし、小林優はこのアクシデントをものともせず、後続をブッ千切って完勝した。逃げた奥井が2着。併走であおりを食った小林莉だったが、懸命に前に踏んで3着を確保した。






決勝戦 レース経過
 号砲が鳴るといち早く武田豊樹が飛び出して誘導の後ろを取った。初手の並びは平原康多ー武田ー佐藤慎太郎、石井秀治、岩津裕介、脇本雄太ー稲垣裕之ー村上義弘、松岡貴久の順で並ぶ。
 周回が進み、レースが動いたのは赤板前から。前の平原が車を外して突っ張る素振りを見せたが、脇本は勢い良く上昇して先頭に躍り出た。すると平原はすんなり4番手を確保する。打鐘が入り、脇本はスピードを保ちながらそのまま主導権を握っていき、最終ホームを通過。平原が1コーナーから反撃を開始すると、すぐに稲垣が番手まくりを敢行する。これを見た平原は判断良く作戦を変更し、村上を退かしにかかる。村上も抵抗して両者でもつれると、バックで武田が切り替えて稲垣を追っていく。武田は俊敏にスイッチすると、直線で稲垣を追い込んで優勝。稲垣は惜しくも2着となった。佐藤は最終ホームで岩津に内をすくわれたがこれをしのぎ、必死に武田を追って3着表彰台入り。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
萩原孝之選手
萩原孝之選手
 岡田征陽が赤板前から前に出ると、打鐘の3コーナーから松岡健介がカマす。岡田もそれに合わせて踏み合いに。中団にいた萩原孝之(写真)は松岡マークの中村一将を張ると、一気に踏み上げる。2センターで松岡に踏み勝った岡田をとらえると、そのまま押し切って、1月大宮F1以来の白星を飾った。
 「久しぶりの1着でうれしいです。飛び付きを狙っていたんですけど、岡田がそのまま先行しちゃったから。でも、先行してくれたおかげでいい位置が取れました。これが(シリーズの)早めに出せれば良かったですね」
 後方に置かれた友定祐己は、最終バックから大外を一気にまくる。しかし、スピードに乗った萩原は抜けず2着。
 「踏み出した瞬間はいけると思ったんですけどね。松阪記念の後にインフルエンザにかかったんですけど、治ってから力を出し切れていない。でも、ボチボチ1カ月たつんで、だいぶ良くなってきました。(次回へ向けて)ここから調子が上がってくると思います」

<2R>
黒田淳選手
黒田淳選手
 別線を選択した古性優作と稲毛健太が最終ホームからモガき合う展開に。この流れを冷静に見極めていた黒田淳(写真)が、2コーナーから得意のをまくりを放って前団をひと飲み。追走した柏野智典と岡山ワンツーが決まった。
 「(別線が)踏み合う展開には持っていこうと考えていた。うまくいきましたし、ワンツーだったのがなにより。オールスターには出られるかわからないけど、とりあえず、次走にはつながるレースができたと思います」
 今大会での活躍期待されていた地元の古性優作だが、今シリーズ未勝利に終わってしまった。
 「結果が出ませんでしたね。G1は出るだけじゃダメだと思うし、次の機会の時は、もっと勝ち上がって上位の人と戦えるように」

<3R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 飯野祐太が相川永伍を叩き切ったポイントを逃すことなく、「詰まったんで、あそこしかなかった」と、小川勇介が最終1コーナー目がけてまくって出る。が、守澤太志のブロックで小川のスピードが鈍り、前に踏んだ守澤と踏み合い。小川に付けた井上昌己(写真)が、直線で外を踏み込んで突き抜けた。
 「1コーナーの上りだったし、(小川は)意外に進みが悪かった。それでも(小川)勇介が頑張ってくれました。俺のところには磯田(旭)君が来そうだったし、そこら辺はなんとか凌げた。練習での感じはいいんですけど、まだまだですね」
 小川を止め切れなかった守澤太志は、苦肉の番手発進で小川に踏み勝ち2着。
 「もう今日は本当に飯野さんのおかげですね。(小川を)しっかりと止めたかったけど、技術不足です。付いていて余裕があるけど、自分の感じとして良くないです。自力が出ない感じです」

<4R>
野田源一選手
野田源一選手
 藤木裕が早めに動いて前に出ると、前受けから下げた櫻井正孝が一気に踏み上げ強引に主導権を奪取。打鐘過ぎに明田春喜を張った南修二が落車。4番手を確保した藤木は最終2コーナーからまくって前団をひと飲み。しかし、終始近畿勢を追走していた単騎の野田源一(写真)が2センターから車を外に持ち出すと、直線を鋭く伸びて勝利した。
 「藤木が中団を取ったから、藤木が仕掛けてからと思ってました。バックでも余裕があったし、落ち着いていけましたね。ここまでに日数があったんで疲れはなかったけど、初日、2日目としっくりこなかった。でも、3日目と今日は軽かったですね。スピード的には戻ってきたと思うし、課題を少しずつ修正していきたいです」
 風を切った櫻井正孝は、まくって来た藤木を自らブロックするが止められず7着。しかし、G1初出場ながら2日目に1着を挙げるなど、多くの経験を得たシリーズとなった。
 「今日は重かったし、きつかったですね。後手を踏まないようにって思ってたから、先手を取れたのはよかったけど…。力負けですね。でも、無事に4日間走れてよかったです。スピードとダッシュも足りないのがわかりましたし、他地区の先輩からもアドバイスをもらえたんで、次につなげられるようにしたいです」

<5R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 後ろ攻めの小松崎大地が三谷竜生にフタをして赤板過ぎから先行態勢に入る。しかし、その上を果敢に山田英明が叩きにいき、最終ホームで山田のラインが出切った。三谷がロングまくりで前団に迫ると、山田の番手から荒井崇博(写真)が抜け出して白星締めとなった。
 「今日は(山田)ヒデが頑張ってくれた。勝負するなら小松崎とだって言っておいたので、思い切って行ってくれたね。彼にとっても収穫のあるレースになったんじゃないかな」
 積極的に攻めた山田英明は、直線でいっぱいになり7着
 「力は出し切れた。(気持ちの)スイッチが入ったし、早いかなとも思ったけどあそこで行きました。これが今後につながるといいです」

<6R>
菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 前受けから7番手まで下げた早坂秀悟にとっては、打鐘で先に天田裕輝が切って出てくれたことが渡りに船。その上を十八番のカマシで出て、スピードに乗って軽快に飛ばす。抜かりなく追走した菊地圭尚(写真)が、願ってもない絶好の流れをモノにした。
 「作戦通りではあったんですけど、出てからもっと自分に余裕があれば(早坂)秀悟をもっとアシストできたかなって思います。(シリーズを通して)勉強になったし、もっと秀悟と呼吸を合わせられるようにしたい。秀悟はいつも気持ち良く行ってくれるんでね」
 北日本ラインの3番手を固めた内藤宣彦は、踏み出しで前の2人に遅れたもののあきらめずに踏んで最終2コーナーでやっと追いついた。最後は天田に先着を許したが、3着は意地でキープした。
 「ぶっ離れました。すんなり付いていければ2着はありましたね。今日は踏み出しのタイミングが合わなかった。あれが限界ですよ」

<7R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 中川誠一郎が赤板過ぎに前に出ると、海老根恵太が叩きに出る。だが、中川は海老根を突っ張り前に出させない。最終1コーナーから吉田敏洋がまくって出るも、4番手を確保していた海老根に合わされ不発に。しかし、海老根も伸びを欠き、最後は大塚健一郎(写真)が好展開をモノにした。
 「(ラインは)3人いたんで、うまく連係はできたと思います。(シリーズ中の調子は)初日の(中川)誠一郎のまくりに付いていけたんで悪くなかったと思うけど、浮き沈みはありましたね」
 別線をシャットアウトした中川誠一郎は粘って2着。3着にも園田匠が流れ込み九州勢で上位を独占。中川は検車場に引き揚げてくると、いつものスマイルでレースを振り返った。
 「最初から先行しようと思ってました。後ろは大塚さんなんで、海老根さんを突っ張って後はどこまで持つか勝負しようと。3コーナーくらいまでは良く走れていたんですけど、その後は粘れなかったですね。(準決は)無理やりにでも行けば良かったです。気持ちで負けてましたね。この後は国内のレース(競技)が一本だけなんで、寛仁親王牌に向けて調整します」

<8R>
柴崎淳選手
柴崎淳選手
 小埜正義がホームでカマすと、内々へ切り込んでいた稲川翔が小埜の番手に飛び付き、林雄一と競り合いに。この両者の後ろから単騎の柴崎淳(写真)が2コーナーからまくりを打ち、これを追い掛ける形で阿竹智史もまくり上げる。小埜後位で競り合っていた2人はいっぱいとなり、逃げ粘る小埜を柴崎がまくり切って、阿竹の追撃も振り切った。
 「稲川さんがなんかしらレースを動かすと思ったので、初手は(近畿の)後ろにいました。前がゴチャついたけど、それを見ても仕方ないし、逃げてる小埜さんを目掛けていけたのが良かったですね。今回は初日に失敗してしまったので、残りの3日間は全部確定板に乗ろうと頑張った。脚も悪くなかったし、次走のG1につながるシリーズにはなったと思います」

<9R>
奥井迪選手
奥井迪選手
 青板の3コーナーから早めに動いた奥井迪が、打鐘で先頭に出てそのまま先行策。逃げる奥井の後ろが梶田舞(イン)と荒牧聖未の併走。その後ろに位置した小林優香が、仕掛けどころを見極めて最終2コーナーから発進。まくりで優勝を飾り、昨年末に当所で行われたガールズグランプリV逸の悔しさを晴らした。
 「このバンクっていうのは(昨年の)グランプリで負けたイメージが最後だった。でも、自分を信じていこうとは決めていた。脚見せの時から声援がすごくて、こんなに応援してもらってるんだなっていうので、それを力に変えようと思った。(自分が)後方になったら、みなさん力のある選手ですし、まくり切れなかったグランプリの失敗になると。あのまま奥井さんのラインに付いていったのがよかった。荒牧さんが外併走で、梶田さんが出るに出られないスピードだったので、まくりに行くならここと思っているところで行けたのが勝因だと思います」
 最終バックでは4車が重なってアクシデントが発生。梶田と荒牧が落車に見舞われて、逃げた奥井迪(写真)が2着に残った。
 「絶対に出切るって考えていたし、誰よりも先に動こうと思っていた。(小林優とは)全然スピードが違ったし、最後(小林優を)合わせられないと勝負にならない。力の差を感じました。2着はあってないようなものだし、また(小林)優香と再戦できるように」
 周回中から小林優の後ろをキープしていた小林莉子は、最終バックでのアクシデントを避けながらの3着。
 「まさかと思うくらい自分の(理想の)展開になった。初手も考えていた通りに運んだし、これは(優勝が)あるかなって。そこからは自分自身も(小林)優香の後ろが取れたし、引くに引けなかった。ガールズケイリンは落車が一番ダメなことだと思っているので、少しでもその原因になったことは反省しなきゃいけないです」

<10R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 金子貴志(写真)を連れて竹内雄作が赤板の2コーナーから山降ろし気味に踏んで、打鐘で主導権を握って出る。菅原晃ラインと和田真久留ラインが、中団で併走となり渡邉一成は後方。渡邉が最終ホーム手前からアタックするが、逃げる竹内の掛かりが良く坂口晃輔のヨコまでいっぱい。番手の金子貴志が後続との間合いを図りながら、楽に竹内を交わして1着。
 「竹内君が強すぎる。あの走りを初日にやっていれば。今日は僕は付いていっただけで、なにもしていないです。今シリーズは、高地トレーニングとか、愛知支部での合宿とかをしてきたんで、やれることはやれました。悔いはないですし、今回のことをこの後の寛仁親王牌につなげたいですね」
 竹内雄作が粘って2着。2日目からは抜群の機動力を発揮し、7112着の3連対でシリーズを終えた。
 「後ろが金子さんですしね。自力の選手だったんで、自分は行くだけ行こうと思っていました。それで残れたのは、自信になりました。今日みたいなレースが、これからにつながっていくと思います」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 後ろ攻めから押さえて駆けた高橋陽介が打鐘手前から全開で先制。牛山貴広がうまく3番手をキープすると、今度はホームで原田研太朗が5番手から反撃する。原田の仕掛けに渡部哲男は口が空き、高橋に付けていた山崎芳仁が原田へスイッチ。山崎はそのまま惰性をつけてまくり上げ、原田をとらえたが、7番手からまくりを放った深谷知広(写真)が、前団をまとめて粉砕し、浅井康太との中部SS班コンビがワンツー。深谷はレース後に息を切らしながら「キツかった…」とひと言。そしてこう続ける。
 「今日は前がやりあってくれたおかげ。展開だけです。ただ1着が取れたというのは大きいですね。(シリーズを通して)しっかり戦えたことも良かったと思います」
 原田研太朗は積極的なレースを披露したが、別線のまくりに飲み込まれた。
 「後ろが(渡部)哲男さんだったし、早めに行こうとは決めていた。ホームで緩んだので行ったんですけど、相手が強すぎましたね」
 切り替えて自らまくった山崎芳仁は、中部勢にはまくられたものの3着に入線し、意地を示した。
 「(高橋)陽介があれだけいってくれたのでね。自分も出て行ったけど、相手のスピードが違った。ただ、お互いやるべきことはできたし満足はしていますよ」

<12R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
平原康多選手
平原康多選手
 地元の近畿ライン3車VS佐藤慎太郎が後ろを固めた関東ゴールデンコンビの図式でレースは進んだ。赤板を通過して脇本雄太が勢い良く出ると、稲垣裕之(写真)、村上義弘が続き、前受けの平原康多は4番手。単騎の3人が7、8、9番手で動かない。ようやく岩津裕介が、最終ホーム手前で佐藤慎太郎をすくって進出。4番手の平原は強引に1コーナーから仕掛けて出るも、前団とのスピードが合って追い上げに作戦をチェンジ。稲垣は2コーナーから渾身の番手まくりでタイトルを獲りにいくが、後位に追い上げた武田豊樹がそれを許さず。8度目のG1決勝は準Vに終わった。
 「本当に期待に応えられず、申し訳ないです。脇本も頑張ってくれたし、村上さんも(前を)任せてくれた。本当に結果を残したかったんですけど…。(優勝できなかったのは)やっぱりなにかが足りないっていうことですし、そこを今後見つけていきたい」
 岩津にすくわれて一度は武田との連結を外した佐藤慎太郎だったが、再度付け直して3着。
 「(岩津と絡んだ)あれがなければ、2着まではいけたと思う。油断以外の何物でもないし、内を締めていればなんてことはなかった。それでも武田さんとは脚力に開きがあるのを感じましたね。レースが終わって脚が痛いとか言っているようじゃダメですね。レースが終わってヘラヘラできるくらい脚をつけてこないと」
 関東コンビのあうんの呼吸で優勝をさらわれた近畿勢。平原に踏み勝ち稲垣を追った村上義弘だったが、武田に割り込まれて4着が精いっぱい。
 「平原に追い上げられる形になって、そこを…。平原はこらえきれたけど、武田さんの反応に対処できなかった。すべては自分のせい。平原君、武田さんがすべて僕よりも上回っていたということです」
 結果的に近畿を分断する形になった平原康多(写真)が、帰り支度を始めながらこう振り返る。
 「正直、(仕掛ける)タイミングはなかったです。けど、僕が動かなかったら、誰も動かないだろうし。G1にふさわしくないレースになってしまう。それで勝負しに行ったけど、稲垣さんとタイミングが合ってしまった。それで村上さんのところになってしまいました。村上さんは強いので一発で仕留められなかった。やっぱり村上さんなんで」
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