『被災地支援競輪第67回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:6月19日
 名古屋競輪場を舞台に行われた「熊本地震被災地支援競輪第67回高松宮記念杯競輪(G1)」は19日に最終日を迎えた。伝統と格式の当大会、東から5名、西からは4名が決勝へ駒を進めた。連日の激戦を勝ち抜いた9戦士による決勝戦は、新田祐大がまくって優勝。昨年9月のオールスター以来、3度目の(4日制以上)G1Vで優勝賞金2890万円(副賞を含む)をゲットし、年末の「KEIRINグランプリ2016」の出走権を手にした。
小田幸平トークショー
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決勝戦出場メンバー特別紹介
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ミス日本グランプリ松野未佳 トークショー
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決勝戦 レース経過
 号砲が鳴ると浅井康太が最内枠から出て、浅井に吉田敏洋―金子貴志で中部勢が前団。新田祐大―山崎芳仁、平原康多―諸橋愛、単騎の郡司浩平、村上義弘で周回を重ねる。
 平原は青板のバックから早めに上昇を始めて、赤板手前で誘導を降ろして先頭に立つ。平原に諸橋が続き、浅井は関東勢を出させて3番手で郡司と併走。その後ろも吉田―金子(イン)と単騎の村上、新田で併走となる。主導権を握った平原が、後続の隊列を確認しながら緩めて打鐘を通過。別線の動きがなく、平原は先行の腹を固めて徐々にペース上げる。新田は外併走から4コーナーで踏み込んで反撃、平原の先行で最終回へ。
 逃げる平原が懸命に合わせるが、新田がグングンと加速して前団に迫る。スピードに乗った新田が、力任せに最終バックで平原をとらえる。山崎は新田に遅れて、浅井に踏み勝った郡司がまくりで新田を追いかける。立て直した浅井は、インを突いて諸橋をどかして直線へ。
 まくりで前団を飲み込んだ新田が、そのままセーフティーリードを保って押し切り優勝。1車身差の2着に郡司、3着に浅井が入る。



ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
<1R>
勝瀬卓也選手
勝瀬卓也選手
 高松宮記念杯はいよいよ最終日を迎えた。今シリーズは2次予選で勝ち上がりを逸した和田真久留だが、最終日は持ち味を発揮して白星で締めくくった。
 後ろ攻めを選択した和田は中団の飯野祐太にフタをしながら打鐘前に誘導を斬ってハナに立つと、得意のミドルペースで相手を引き付けつつ1センターからさらに踏み込んでスパート。別線の巻き返しを許さずに先輩の勝瀬卓也とワンツーを決めた。しかし、和田はゴール後に落車。勝瀬卓也(写真)は作戦会議の話も交え、レースを振り返る。
 「和田君が前受けから組み立てたいって言ってきたけど、それじゃダメだって言いました。カマシ、まくりが得意なのは分かるけど、いつまでたってもそれじゃ勝てないと。後ろから押さえて前まで出てから考えろって。あいつはダッシュが良いから(後ろからの巻き返しを)合わせようと思えばできる。今日は落ち着いていたし掛かりも良かった。自分も(サドルの)ハナを上げてタメができるようになって今日が1番感触が良かったですね。(和田が)落車したから残念だけど、(今回の押さえ先行が)いいキッカケになってくれれば」
 阿竹智史はすんなりと中団を確保したものの不発に終わる。
 「(和田に)もっと踏ませて駆けさせたかったけど失敗しました。ああなったら3コーナーからのまくり追い込みしかないと思っていたけど(車が)出ませんでした」
 飯野祐太は和田の絶妙ペースにはまり、巻き返しのタイミングを逃した。
 「普段、和田君はああいう競走をしないのに今日だけどうしたんですかね。(打鐘で)和田君が踏んだときに阿竹さんは下がってきているから自分もバックを踏まされているからいけない。そのあとも誘われてる感じで駆けられて仕掛けられなかった。自分はああいう先行(をされるの)が1番嫌なんですよ…」

<2R>
林巨人選手
林巨人選手
 南修二が番手絶好を生かし、白星で今シリーズを締めた。打鐘前に主導権を握った佐川翔吾が、1本棒にしてペースで逃げる。軽快に駆けていく佐川に対し、最終2コーナー5番手から新田康仁がまくっていくが3番手までが精一杯。後方の吉本卓仁もまくり不発に終わり、ゴール前で南がきっちりと抜け出した。
 「昨日の分もという気持ちはありましたね。(初日の落車の影響は)関係ないです。弱かっただけ。今日は佐川のおかげです。また練習して頑張ります」
 佐川翔吾は4車の先頭でしっかりと役割を果たし3着。ラインを上位独占に導いたが、まだまだ満足感は得られず。
 「あんまり良いレースではなかったです。ラインで決まった、4人で決まったということだけ。良いときのレースとはまだまだズレがあるので、次からやり直す気持ちで走ります」
 林巨人(写真)は懸命に追い込むも2着まで。今年2度目の地元でのビッグだったが、初日の落車もあって未勝利に終る。
 「僕は何もしてなくて付いて行っただけ。良い展開になったし、佐川君が強かった。初日の落車がひびいてるんでケアをして。地元(のビッグ)がとりあえず終わったんですけど、またここからです」

<3R>
小埜正義選手
小埜正義選手
 天田裕輝が後ろ攻めから押さえて打鐘を迎える。先頭の天田が流していると、佐藤友和がすかさずカマして主導権を狙いにいく。天田も合わせて踏み合う展開となったが、佐藤のスピードが優り最終主導権。すると、そこに千葉勢が襲い掛かる。天田のブロックのあおりを受けた山中秀将だったが、3コーナーで佐藤を捕らえると、最後は小埜正義(写真)が追い込んで勝利。2連勝で締めくくった。
 「今日はレースが早めに動くだろうから、前を取っての作戦でした。山中君も『タイミング良く行きます』と言ってくれてたし、僕はスタートだけ取って、あとは全て任せてました。恵まれましたね。でも山中君は強い。すごく頑張ってくれましたね。後輩のおかげで2連勝、嬉しい。次の青森も一緒なので楽しみです」
 千葉コンビの後方から、単騎の北野武史が追い込んで2着に入る。
 「初日は前が離れたり、2日目は前が行けなかったり、自分の状態が悪くないなかでだったので、後半2日間は『やってやるぞ』と思ってました。2着だったけどよかったです」

<4R>
東口善朋選手
東口善朋選手
 2分戦となったこのレース。青板4コーナーから後ろ攻めの根田空史が早めに仕掛ける。前受けの早坂秀悟も突っ張ろうとするが、根田はこれを強引に叩いて主導権。早坂が下がっていく一方で、単騎の芦澤大輔が強気に追い上げていくと、根田の番手を奪取した。しかし、最終ホームから一旦下げた早坂が巻き返し、バックで根田をまくり切る。そのまま早坂の1着かと思われたが、踏み出しから置き去りにされた齋藤登志信に代わり、番手にはまっていた東口善朋(写真)がゴール前で差し切った。
 「2分戦やし、モガき合いかどっちかのラインが下がるか。なので自分がいけそうなところでいこうと。最終ホームで行ったら、自分のスピードがちょうど早坂君のスピードとあったんで追っていきました。内容は悪いけど1着取れてるんで。(補充出走で)3日目からなんで自分だけ脚を使っていないってのが大きかったですね」
 南関勢とのやり合いを避けた早坂秀悟は交わされ2着も、笑みを交えながら振り返る。
 「突っ張るつもりで踏んだんですけど、突っ張り切れなかったです。行かれてしまいましたね。けど、相手は2段駆けの態勢だし、1人目を突っ張っても2人目に来られてその結果、(齋藤)登志信さんと8、9着じゃ意味ないんで。どうにか2着には入れたし、冷静に引いて形を作れました」

<5R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 2次予選で敗退し、今シリーズはここまで未勝利だった近藤隆司(写真)が当日に3.92から85へギア変更しこれが奏功。ようやく最終日に意地を見せた。地元コンビを背に後ろ攻めから川村晃司が櫻井正孝を出させずに打鐘で主導権取りへ。近藤は中団の内で櫻井と併走となるが、3コーナーで巧く張って中団をキープ。最終2コーナー手前から踏み込むと一気に前団を飲み込んで白星をゲットした。
 「昨日まで引っかかる感じで脚が回っていない気がしたので下げてみました。周回中から軽くて行ける気はしてました。踏み遅れずに巧く中団を取れたし、余裕を持ってまくれました」 
 川村晃司は中団併走を誘って駆けたが、近藤にまくられて肩を落とす。
 「巻き返してくるのが早くてペースに入れなかった。最近は調子の波が激しくて年々それが大きくなってきていますね。開催中に40歳を迎えたけど、まだまだ頑張っている人はいるし、自分も調整方法を見直さないと」
 近藤、田中晴基で千葉ワンツーとなり、川村の番手から山内卓也が追い込んで3着に入るも「前が巧く駆けてくれて決まったと思ったんですけどね。スピードが違いました」とラインで決められず悔やむ。
  外併走で不発に終わった櫻井正孝。持ち味を発揮できず、消化不良のままシリーズを終える。
 「今日は行こう(先行)と思ってたけど結構踏まれててあれじゃいけない。自分でもどうしたらいいかわからないし、何をやってもダメな感じ。完全にスランプ。自力で戦っていく自信がなくなりました」

<6R>
古性優作選手
古性優作選手
 山賀雅仁が後ろ攻めから押さえると、古性優作(写真)がイン粘りの策に出た。山賀が逃げるなか、番手の勝負は最終周回の1コーナーで古性が競り勝ち、すぐに2コーナーから番手まくり。そのまま後続を振り切って勝利した。
 「粘る作戦はなかったんですけどね。赤板で誘導を切らずに引いてしまったんで『ヤバい』と思って。そこからペースを落とされてしまいました。木暮(安由)さんにカマされたらヤバいと思ったけど、前が踏んでくれました。最悪の展開になったけど、何とかリカバリーできたのはよかった。ただ組み立てをしっかりやらないとダメですね」
 中村浩士は西岡正一との競り合いを制し、古性に続いて2着に入る。
 「予想外の展開でしたね。木暮君にカマされるかと思いました。僕は西岡さんを1回キメに行ったけど踏み遅れてしまい、もう1回持っていって何とか。ラインでは決まらなかったけど2着なのはよかった」
 山賀雅仁も予想外の展開に泣き、口を衝いて出るのは反省の弁ばかり。
 「古性君は引くかと思ったんですけどね。しっかり斬ってしまえばよかったですね。せっかく付いてくれてたのに。ホント申し訳なかったです」

<7R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 準決勝で敗退となった竹内雄作(写真)が意地をみせシリーズ2勝目を飾った。青板1センターから早めに動いた藤木裕が赤板前に先頭に立つと、後ろがけん制し合うと見るや、打鐘前から意を決して先行態勢。対して5番手から小松崎大地が仕掛け、吉澤純平もこれを追う形で動く。だが、前受けから8番手まで引き切っていた竹内がホーム前からのスパートで、小松崎のさらに上を豪快にまくっていく。竹内はバックで前団をまとめて飲み込み、そのまま先頭でゴール線を駆け抜けた。
 「スタートでけん制が入ると思ってたので前受けして、そこからどうしようかと。でも展開が思ったより早く動いてくれましたね。ちょっと考えすぎましたけど、もっとサッと引いていれば展開も変わったかもしれないですね。まくりのときももう少し回転がかかるように。自分の得意な戦法ばかりで戦えるわけではないので。でも行きたいところではいけました」
 柴崎淳が竹内にきっちりと続き中部ワンツーを決めた。
 「作戦はもう完全に任せてました。好きに行けるところから。(竹内)雄作は先行してるときのモガキと、まくりのモガキは違いましたね。まあ雄作が強かったのに尽きます」
 吉澤純平は仕掛けどころでかぶってしまい3着に。レース後は反省を口にする。
 「作戦は特にはなかったです。相手が強いんで考えてもと思って。でもちょっとかぶってしまいました。もっとうまくタイミングが取れればよかったんですけど。難しかったですね」

<8R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 優参を逃してしまった地元の深谷知広(写真)が意地の逃げ切り勝ち。包囲網を敷く別線を力ずくで封じて魅せた。
 後ろ攻めの松岡貴久が青板周回から上昇すると深谷は一旦、車を8番手まで下げる。今度は赤板で河村雅章が上昇して誘導を残しつつ、後方の深谷に睨みをきかせる。しかし、深谷は臆することなく、赤板2コーナーの山おろしを使って一気にスパート。深谷が軽快に逃げるなか、3番手に入った河村は態勢を立て直し最終バックからまくり上げるも、坂口晃輔に一発でブロックされて外を後退。すると、内藤秀久は坂口晃輔の後ろにスイッチし、まくり上げてきた菅田壱道を止めて2着に追い込んだ。坂口は援護に脚を使わされ、内藤とタイヤ差の3着に。
 全力を出し切った深谷は検車場へと引き揚げてくるなり倒れ込み、肩で大きく息をしながらレースを振り返る。
 「(打鐘で)河村さんが踏むかなと思ったんですけどね。上にのぼられても嫌だったけど、上手く仕掛けられました。たぶん坂口さんの前でしっかり先行できたのは初めてじゃないかな。良かったです。バックでキツかったけど、最後まで踏み切れました。今回は直前に思うように練習ができなくて不安もあったけど、走るからにはと思って頑張りました。でもやっぱり勝ち上がりの段階では(練習不足が)でましたね。この走りが勝ち上がりでできれば最高でしたけど、いい形で締めくくれてよかったです」
 坂口晃輔は内藤に食われ、悔しさを噛み締める。
 「深谷君と連係して初めてあんなに良い展開だったのに…。バックで後ろを確認したときに(深谷に)さらに踏まれて口が空いてしまった。でも自分の横まできたら絶対止めようと。それはできたけど最後はもう一杯でした。初めて先行する深谷君に付けたけど、竹内(雄作)君とはまた違った掛かりというか、踏み方で強かった」
 2着の内藤秀久も今シリーズでさらなる手応えをつかんだ様子。
 「作戦は河村君に任せていたので。(最終バックで河村が)外に浮いてしまったけど、後ろに先輩もいたので。前回からフレームを新しくして感触もすごく良いですね。最後(直線)のところは難しかったけど、そこはもっと勉強して」

<9R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 赤板前からハイペースとなり、河端朋之が三谷竜生を強引に叩いて先頭に出ると、一旦は離れた岩津裕介(写真)だったが、追い上げて中国の3車でドッキングする。打鐘が入り、河端はそのまま高速で逃げ、1本棒で最終ホームを通過。すると、三谷が2コーナーからスパートしたが、伸びはなく1車進んだだけ。河端がタレてくると、最後は岩津が早めに追い込んで勝利した。
 「河端君は連日良いレースをしてたから、強いと評価してくれてただろうし、初日と同じ作戦(三谷が中団からまくり追い込み)でくるとは思えないから、2周前からやり合うことになると思ってました。近畿は稲川君と村上(博幸)さんが付いてるしね。打鐘で(三谷が)来るだろうから警戒して、河端君は来たら合わせる絶妙のペースで踏んでたね。ああなったら河端君は厳しいだろうから、松浦君と決まるように行ったけど。松浦君は内すくわれたみたいだね。とりあえず1着が取れてよかったです」
 2センターで松浦悠士の内をすくい、稲川翔が2着に入る。
 「今日は三谷君が力勝負してねじ伏せるレースをしてくれればと。もともと自分だけ届くような選手ではないし、今日も出し惜しみはしてないんで頑張ってくれました。向こうは同県の先輩と、後輩が付いてるから、思い切っていくだろうけど、三谷君もキツいところで前に踏んでくれましたね」
 松浦悠士は終始仕事をして前を援護したが、最後に内をすくわれ5着に終わる。
 「仕事はできたけど、自分が残れないんでは意味がないですね。2着に入らないといけない展開でした」

<10R>
井上昌己選手
井上昌己選手
 赤板で先頭に立った原田研太朗に対し、別線はなかなかアクションを起こさない。打鐘前から吉田拓矢がジワジワと仕掛けて上がってくるが、原田もここからは引けず4コーナーからスパート。吉田も負けじと叩きに行き、両者のモガき合いとなる。激しい争いは原田が意地で出させずも、別線のまくり頃に。2コーナー手前で8番手からまくった山田英明が前団をまとめて飲み込むと、最後は番手から井上昌己(写真)が抜け出した。
 「(山田が)強かったですね。感謝です。4コーナー回ったときには抜けるか抜けないかは正直微妙だった。だから抜けてよかったです。前回の宇都宮記念くらいから状態は上がっています。腰の感じも引き続き良くて今回も大丈夫でした」
 「最高ですね」と検車場に引き揚げてきた山田英明は素直にワンツーを喜んだ。
 「(井上)昌己さんも自分のレースをしてくれって言ってくれたし、こういうところでワンツーを決められたのは嬉しいです。最終日までしっかりと走れたし、次に繋がるレースができました」
 原田研太朗は先行するも、叩きにきた吉田拓矢とモガき合い。結果は8着に沈む。
 「誰もなかなかこんかったし、もう行くしかないと思って。でも結果的にまくり頃の展開になってしまいましたね。初日と同じで雨は降ってましたけど、感覚的には今日が1番良かったんですけどね」

<11R>
郡司浩平選手
郡司浩平選手
浅井康太選手
浅井康太選手
 高松宮記念杯決勝の号砲が鳴り響くと1番に飛び出したのは地元コンビに任された浅井康太。中部勢の後ろには新田祐大と山崎芳仁が陣取り、平原康多が率いる関東コンビ、単騎の郡司浩平、村上義弘と並んで隊列は落ち着く。
 赤板前に誘導を斬って平原が先頭に立つと、その3番手で浅井と郡司が併走する形に。新田は後方で前団の様子をうかがい、誰も仕掛ける素振りはなく、平原はグッとペースを落として打鐘を迎える。平原はそのまま打鐘過ぎ2センターから踏み込んで先行態勢に入ったが、新田の巻き返しも早く、最終ホームから猛スパート。諸橋愛のけん制をスルリと交わして前団を飲み込んだ新田祐大はそのままゴール線へ1番乗り。昨年のオールスター以来、3度目(4日制以上)のG1制覇を果たした。
 「今回は決勝に乗ることが目標だったけど、優勝できて嬉しい。予想外の展開で難しいレースになってしまったけど、あそこしかないと思って仕掛けました。(まくり切った後も)名古屋が得意な村上さんもいるんで、後ろに山崎さんがいると思って最後まで踏み込みました。たくさんの人達に支えられてここまでこれたのでありがとう、と伝えたいです」
 2着には郡司浩平(写真)が入り大健闘。まくった新田に切り替え気味に踏んで表彰台入り。
 「今日は単騎だったので警戒されないと思ってました。あの展開であの(関東の3番手)位置は譲れないので引けませんでした。でも道中も終始、余裕がありました。最後は態勢を整えていったんですけど、前とちょっと離れてしまいましたね。(惜しくも準優勝という結果となったが)逆に取れなくて良かったんじゃないですかね。目標ができましたし。脚力的には戦えることがわかったので、あとは戦い方ですね。今度はこういう舞台で単騎じゃなくてラインの競走をしたい」
 内々に包まれる形で苦戦を強いられた浅井康太(写真)だが、最終3コーナーで諸橋をすくって3着に突っ込んだ。ただ、外を踏むレースができず、トーンは低い。
 「吉田(敏洋)さんにも鐘先行は期待してないって言われてたし、これが自分のスタイルなので。でもホームカマシか最低、昨日のレースみたいな走りができればと思っていたんですけどね。仕掛け切れずに終わって悔いが残りますね。調子自体は今日が一番、良かったので。単騎の人が動かなかったのが誤算ですけど、でもまあ展開を作れなかった自分が悪いし後ろの先輩に迷惑をかけてしまった」
 悲願のタイトルへ地元ファンの期待を背負い戦った吉田敏洋だが、最終的に自分で外を踏み込むも8着に終わった。
 「全て(浅井に)任せた結果なので。今日のレース、優勝はできなかったけど、(タイトルが)手の届くところまできていることがわかったし、タイトルへの意識はさらに強くなった。(浅井は内に包まれて結果的に苦戦を強いられたが)浅井君も3着に入っているわけですし、自分からとやかく言う必要はない。2016年、後半戦へ向けて俄然、やる気がでてきました」。悔しさを力に変え、悲願の初タイトル奪取の日まで己を磨き上げる。 
 平原康多はまくられ7着。今年初のG1決勝で意気込んだが結果は出ず。
 「力不足ですね。自分は自分の先行をしてまくられているので。でも、出し切って終わったので嫌な感じはしない。(別線の動きが少なく予想外の展開となったが)まあでもいつも自分は鐘で出て誰もこなければ駆けるつもりでいるので。今回は単純に力負けです」
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