『第68回高松宮記念杯競輪(GI)』 2日目編

配信日:6月16日

 岸和田競輪場を舞台に開催されている「第68回高松宮記念杯(GI)」は、6月16日に2日目が行われた。一次予選に続いて東西に分かれて激戦が繰り広げられた二次予選では、昨年の覇者の新田祐大、5月にダービーを制してタイトルホルダーの仲間入りを果たした三谷竜生らが、1着で準決にコマを進めた。17日の3日目には準決(東、西王座戦)の2個レースが、ファイナルへのキップをかけて行われる。
 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードや3連単車券が当たるラッキーカードを先着2000人に配布、特設グルメコーナーとして「東西うまいもん対決」、予想会の東西対抗戦などを行います。さらに17日の3日目には、「東西ピン芸人まつり」に三浦マイルド、AMEMIYA(アメミヤ)、中山功太、ゴー☆ジャスが出演、日本名輪会トークショーなども予定されています。岸和田競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

東西落語家による落語バトル森乃石松
東西落語家による落語バトル森乃石松
笑福亭茶光
笑福亭茶光
笑福亭飛梅
笑福亭飛梅
笑福亭希光
笑福亭希光

<1R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 近藤隆司(写真)にフタをしていた長島大介が打鐘で主導権を握ると、近藤も素早い反応で長島ラインを追いかける。中団で松岡貴久と併走になるかに思われたが、最終ホーム手前から一気。長島を叩いて、近藤が二の足で押し切った。
 「ちょっと誘導が上がったし、ラッキーな部分があった。フタしている方が苦しいんじゃないかと。そのあとは(松岡との)外併走を頭に入れていたけど、ジャン過ぎに詰まったんで行っちゃった。自分としては軽い感じはないけど、出るのに脚を使わずに楽に出られたのが良かった」
 3番手の長島が動けず、諸橋愛は内に進路を取って内藤秀久をすくって追い込み2着。
 「アップの時から重い感じがした。(レースでも)脚にきていたし、伸びを欠いた。昨日は迷惑を掛けてしまって…。それでも今日は最低、連には絡めているんでね。俺のなかではここに合わせてきたけど、自分のタイミングで離れた昨日がショックだった」

<2R>

早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 早坂秀悟(写真)は初手で小川勇介と中団併走に。しかし、青板周回で車を引くと、先に切った小川を打鐘の3コーナーで押さえて主導権を握った。すぐさま巻き返してきた松岡健介に合わせてピッチを上げると、そのまま別線を完封。抜群の先行力を発揮して押し切った。
 「小川さんもいますけど、2分戦だと思って。もっとキツい展開を想像していました。松岡さんが前じゃなくて、真後ろにいると思って作戦も立てていました。今日は展開が向いただけ。脚力は変わらないですね。でも、悪い時は脱していると思います。初日にこれを出さないといけないですね」
 守澤太志は、松岡を最終ホームでけん制するなど番手でアシスト。早坂とは口が空いてしまうが、懸命に追いかけて2着を確保した。
 「後ろ攻めは(作戦に)なかったです。(早坂)秀悟がめちゃくちゃ強かったですね。詰まってくると思ったのに。口が空いちゃって、反応が遅れています。たぶん落車の影響かな。痛みはないです。感覚の問題なので、修正します」

<3R>

根田空史選手
根田空史選手
 前で構えた根田空史(写真)は、押さえに来た根本哲吏に突っ張りを試みるが、かなわず下げる。打鐘の2センターで成清貴之が安部貴之を大きく張って波をつくってアシスト。根田は中団に入り態勢を整えてから、最終2コーナーからのまくりで逃げる根本を沈めて白星をもぎ取った。
 「練習ができていないから厳しいですね。自転車は出ているけど、腰の方が油断すると危ない。あそこは突っ張れたら、突っ張っちゃおうと思っていたんですけど。成清さんが仕事をしてくれた。それで中団でいったん落ち着こうと。車間を詰めた勢いで(まくりに)行きたかったけど、(勝手に)詰まっちゃって…」
 打鐘で連結を外しかけた成清貴之だったが、結果的に根田をうまく援護して同県でのワンツーを決めた。
 「引いてカマシと思ってたんで、ああなってしまった。どこかこじ開けてと思ってたら、根田君も下がってきたんで。結果、良かった。なにもしないでただ付いている2着より、価値があったと思う。でも、余計なことをしすぎましたね(笑)」

<4R>

岡村潤選手
岡村潤選手
 永澤剛が切った上を和田真久留が打鐘で出て後続は一本棒。最終ホームを通過しても別線に動きはなく、2コーナー手前からまくった山田久徳、友定祐己も不発で、番手の岡村潤(写真)が和田を差し切って1着。
 「逃げた和田君のおかげですね。自分は昨日のこともあるし、前のレースで内藤(秀久)さんが仕事して内をすくわれていたから、内を空けないようにギリギリまで待って踏みました」
 ペースに持ち込んで小気味いいリズムで駆けた和田真久留が、2着に汗をぬぐう。
 「キツかったですね。脚が痛い。永澤さんが動いたけど、ちょっと待てば前の友定さんも切るかなって思って、ワンテンポ待ってから仕掛けました。先行って決めていた訳じゃないので、今日は出たとこ勝負でしたね。前を取ると戦法が限られてしまうので、今日みたいに今後はもっと考えながら走りたい」

<5R>

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 小埜正義が中団の新山響平にフタをすると、続いた池田勇人がその上を押さえ打鐘で先行策に出る。正攻法に構えた松浦悠士が3番手を確保し、小埜は5番手。新山は7番手で最終ホームを一本棒で通過する。番手の神山拓弥(写真)は別線の動きを確認すると、3コーナーで仕掛けてきた松浦をけん制。最後は直線で追い込んだ。
 「(作戦は池田が)先行を主体にいくと言っていました。池田さんが強すぎて、余裕はなかったですね。新山が見えて、松浦も3番手にいたので車輪をはらって。最後はなんとか池田さんを2着に残したかったんですけどね。でも、あの距離を走って(池田が)確定板に残るのはすごいです」
 松浦悠士は好位確保から仕掛けたが、前団をまくれない。さらに直線で竹内智彦に絡まれるも、凌いで2着に入った。
 「池田さんはジャンから踏んでいるからタレてくると思ったんですけどね。かぶったら意味ないので、無理やりいったけど、池田さんが掛かっていて強かったです。なんとか2着に残れましたけど、できれば(三宅)伸さんと一緒に勝ち上がりたかったです」
 池田勇人が逃げ粘って3着。ワンツーこそならずも、力強い先行策でファンを沸かせた。
 「小埜さんがフタをすると思っていて。そこで、新山が引くか引かないか。新山が引いた時にいったら、引き出すだけになってしまうので。先行しやすい展開になりました。たまには、あれくらいやりますよ(笑)。(状態は)良いとは思うけど、気持ちが付いていっていない。最近は会心のレースが少なかったので」

<6R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手
 「行くって決めてたから」とは、坂本貴史。中団で杉森輝大にフタをされていたものの、反応が遅れることなく打鐘ですかさず巻き返して、スピードの違いで杉森から主導権を奪った。番手の飯野祐太は、坂本との車間を空けて古性優作のまくりをけん制。きっちりチャンスをモノにした。
 「(坂本)貴史はトップスピードが高いし、あの展開だったら行き切ると思っていた。仕上がっていますね。追走が甘いと芦澤(大輔)さんにもってこられたり、古性君に入られてしまうんで、差し込むくらいでいた。出切ってからは余裕もあったし、(ラインで)ワンツースリーでよかった。俺はなにも、俺より貴史ですね」
 臆することなく攻めた坂本貴史(写真)が、内容の濃いレースで2着に粘り込んだ。
 「飯野さんが(自分に)駆ければ強いから大丈夫だって言ってくれた。昨日のこともあったし、最近は自信をもって走れている。杉森さんがどのくらいヤル気があるのかわからなかったけど、(杉森が)行った上をすぐに先行できたんでよかった。ひとりだとかなわないんで、ラインの力を生かせたかなと思います」

<7R>

園田匠選手
園田匠選手
 深谷知広を押さえ込んだ稲毛健太がペースを落とすと、打鐘で松川高大が勢いよく飛び出す。山田英明、園田匠(写真)が続いて、松川はグングンと加速して逃げる。深谷は7番手に置かれて、中団の稲毛の仕掛けに合わせて、山田が番手発進。園田が後続との間合いを計って、山田を交わした。
 「(松川が)ドンピシャのタイミングで行ってくれましたね。ヒデ(山田)もビジョンを見ながら後ろを確認している感じで落ち着いていましたね。展開が良かったです。セッティングを修正してアタリも出ました」
 最終2コーナーで番手まくりを放った山田英明が、園田とのワンツーで準決に進出。
 「もう(最終)ホームで気持ちがいっぱいでした。誰も来ないでくれって感じで。稲毛が追いついてきたので(車を)外にはずして。前も頑張ってくれたし、メリハリをつけようと思っていた。後ろの状況は頭に入っていたけど、自分でやるのと前を任せてのレースだと雰囲気とか感覚が違うので難しかったですね」
 稲毛後位から無駄なく動いた椎木尾拓哉が、九州コンビに切り替えて3着。
 「ちょっとシビアな感じで、切り替える形になった。でも、3着権利なので。先月よりは(状態が)良くなっていると思います」

<8R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)が実力を遺憾なく発揮して白星。レースは渡邉雄太が、先に切った吉田拓矢を赤板の1センターで押さえて主導権。前受けから引いた新田は、すぐさま南関勢を追うと、口が空いた5番手に斬り込んで中団を確保する。最終1センターから仕掛けて前団をひと飲みした。
 「スタートがけん制になったので、前になったらその位置から考えようと。展開も早く動き始めたし、ああいう(中団狙いの)やり方もあるかなと。(自分の)ライン3人が並んでいること確認できれば、あとは力を出し切るタイミングをいつもより早めれば3人で決まると思いました。菊地(圭尚)さんまで引き込めれば、両手を上げて喜べるんですけど。この悔しさは準決で晴らしたいです」
 成田和也が、新田にしっかり続いて2着。レース後はホッと胸をなで下ろす。
 「やっと付いていけました。ギリギリで危なかったですけど、なんとか。新田はトップ選手ですし、連係してちゃんと走れるのかが課題なので。まだ二次予選ですけど、走る前にやっとここに来たなと思いました。結構脚にきているので、しっかりクールダウンして準決を走りたい」
 新田に5番手を奪われた吉田拓矢は、車を引いて最終ホームを8番手で通過。3コーナーからまくり追い込んで3着も、その表情に笑顔なし。
 「打鐘で踏み負けてしまって。弱気になって(車を引いた)。あそこは粘らないとダメですね。自分の悪いところが出てしまいました。その後も余裕がなくて、自分だけになってしまって。木暮(安由)さんには申し訳ないです。情けないですね…。安心して、任せてもらえる先行選手になりたいです」

<9R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 併せ込んだ竹内雄作が赤板手前でサッと7番手まで下げるが、中井俊亮は1センターから踏み込んで迷いなくレースを支配する。打鐘で中井がペースを上げて、竹内と原田研太朗で中団は併走。稲垣裕之(写真)は外の竹内のスピードを計りながら、張り気味に番手まくりを断行。村上博幸を連れ込んだ稲垣が、中井の意気に結果で応えた。
 「竹内君は強いっていう印象もあるし、踏み出しも良く見えた。威圧感みたいなものがあったんで、(番手まくりで)勝ちに徹する走りをしました。もうちょっと自分に技術があれば違う走りができるんですけど、そこはしっかり勉強したい。怪我の影響はない。レース勘の不安もこの2走で払しょくできた。日に日に感触も良くなってます」
 気心知れた稲垣に絶大の信頼を寄せる村上博幸が、ソツなく続いて京都ワンツー。
 「僕は付いてるだけなんで、あとは稲垣さんに任せて、稲垣さんがどう判断するかでした。自分の反省もあるし、ラインの反省もある。自分の反省は追走の仕方とか、踏み込んだ時にゴール前で軸がブレたとかそういうことですね。ただ、脚の方はいい感じです。あとは香川(雄介)さんと池田(良)君に入られないように、そこが心配だった」
 竹内が番手まくりの稲垣に合わされると、金子貴志は冷静に村上の後ろにスイッチして3着に流れ込んだ。
 「流れで(竹内)雄作がタイミングを見ながら、行けるところっていう感じでした。1コーナーで遅れそうなところも凌いでくれたし、スピードも良かった。4コーナーまで我慢していけば、あとは下りと思っていたんですけど。自分は内か外かどっちかっていう感じでいた。(調子は)いいと思います」

<10R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 前受けから突っ張りの腹を固めていた菅田壱道は、青板の2コーナーから早めに上昇を始めた吉澤純平を出させる気配はない。今度は番手の渡邉一成と併走になった吉澤が、打鐘の3コーナーでさばかれ最終ホーム過ぎに落車。北日本と茨城ラインのつぶし合いを、石井秀治が最終ホーム手前から一気に巻き返す。和田健太郎(写真)は直線で武田豊樹を外に張りながら追い込み1着。
 「(初手で)中団を取ったら、ああいうふうになるだろうって。踏みっぱなしのところを(石井が)行ってくれた。連日ラインのおかげですね」
 吉澤の落車を避けた武田豊樹が執念の追い込みで2着に入った。
 「吉澤君が引いてくれば、すんなり中団だったんですけどね。それがスタイルなんですね。落車を避けるのが少しキツかったですね。吉澤君の落車も残念だけど、最後に牛山(貴広)君まで届かなかったのも残念ですね」
 横一線のゴール勝負で3着に沈んだ石井秀治だったが、最終ホーム手前から抜群の仕掛けは目を引いた。
 「今日はいろいろなプランを考えていました。ラインのプライドとプライドがぶつかるレースでしたね。(前団の)態勢が整う前に行けたのが良かったと思います」

<11R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 三谷竜生(写真)が先に前に出た井上昌己を打鐘前で押さえる。すると、前受けから引いた河端朋之は、3コーナーから巻き返して主導権を握った。岡山コンビを受けた三谷は絶好の3番手を確保。車間を詰める勢いで2コーナーから踏み上げると、抵抗する河端を力でねじ伏せて白星を奪取。
 「あの位置だし、2車っていうのもあって(河端を出させた)。でも、思ったより車間が空いて。追いついた勢いで仕掛けました。もうちょっと楽にいけると思ったんですけどね。状態は悪くはないし、もうちょっといい感じになると思います」
 三谷に続いた稲川翔が2センターから外に持ち出し、村上義弘は直線で三谷と稲川の間を突いて2着に入った。
 「(近畿ラインで上位を独占できなくて)そのへんは僕の道中の動きとかも含めて、どうすれば決まったかなと。もう少し反省をしたいです。(落車明けだが)一戦、一戦頑張るだけです」
 井上昌己は最終バックを7番手で通過する大ピンチ。それでも、2センターから大外を踏むと、直線で強襲して3着に食い込んだ。
 「仕掛けるポイントがなかったですね。最後は吸い込まれるように伸びた感じです。結果自分だけだし、押さえにいくのが早すぎたとか、いろいろ反省はあります。でも、確定板に乗っているので、とりあえず動きは悪くない」
 岩津裕介を連れて逃げた河端朋之だったが、直線で失速して7着。
 「三谷が駆ける前に叩こうと思っていました。思った以上に簡単に叩かせてくれましたね。3車いたらとも思うけど、それなら三谷が出させてくれないこともあるので。1周なら押し切りたかったです。いい場所で出られて、展開も思った通りで。それで負けているので、三谷が強かったってことです」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 前団に構えた関東勢。赤板で7番手まで下げた横山尚則は、千葉コンビをすくってインを進出。さらに踏み込んで2コーナーから仕掛けるが、先行態勢を取っていた小松崎大地に突っ張られる。懸命に叩きに行く横山だったが、3番手の外でいっぱい。一度は横山を追いかけた平原康多は、冷静に5番手に収まって立て直す。最終2コーナー手前から3番手の郡司浩平がまくり上げると、間髪を入れずにその上を踏んで郡司をとらえた。
 「キツかったです。(横山は)頑張る気持ちが伝わってきたけど、自ら苦しい展開にしている感じだった。気持ちが裏目に出ちゃってた。自分はもう神山(雄一郎)さんに入れてもらってたんで、郡司君が行ったとほぼ同時に自分も行った。外を行けるだけ行かないとって。あそこで行かないと、後ろ(神山)に(権利が)ないんで。松谷(秀幸)君に当たっちゃったけど、そんなにスピードも死んでなかった。ただ、脚はいっぱいだったんで、よく(郡司を)抜けた感じがする。昨日も今日も番手と言っても、自力の競走ですからね。そのなかでしっかり脚を出せているから不安はないです」
 北日本勢が主導権を握って、郡司浩平(写真)は抜かりなく3番手の好ポジションをキープ。最終2コーナー手前からまくって、平原にはのみ込まれたものの松谷とそろって準決に勝ち上がった。
 「(関東ラインが前で)初手の並びが予想外でした。先に切るか、(小松崎)大地さんを行かせて、自分がその上を切るかでした。そしたら横山君が引いてくれた。すんなり3番手だったんで考える余裕はあった。(横山が仕掛けて)横を見たら平原さんがいなかった。だから、平原さんが(仕掛けて)来るだろうし、かぶる前に先にと思っていた。(調子は)もう一歩ですかね。自分のなかでは、これを機にもうちょっとなにか変わってくれればと思っている」
 郡司のまくりに最終バックから置かれていった松谷秀幸は、3着キープが精いっぱい。
 「最近ずっと前でやっていたんで、後ろで付いている感覚が難しい。和田(圭)君のあおりで口が空いちゃった。あれをもっと付いていけるように修正したい。(調子は)状態は悪くないけど、(周りが)強すぎて今日は感じが悪かった」