『第69回高松宮記念杯競輪(GI)レポート』 前検日編

配信日:6月13日

 東西対抗の幕が開ける。岸和田競輪場を舞台に「第69回高松宮記念杯競輪(GI)」が、6月14日から始まる。東、西日本の地区に分かれて熾烈な闘いが繰り広げられるシリーズは、初日から見逃せない。いつものGIとは趣が異なる4日間、最後はどんなドラマが待っているのか。梅雨のなかで13日の前検日は好天に恵まれ、多くの選手がバンクで汗を流して感触を確かめた。
 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードや3連単車券が当たるラッキーカードを先着2000人に配布、「“東西対抗”岸和田ご当地グルメフェスティバル」、予想会の東西対抗戦などを行います。また、14日の初日には、関西エリアを代表するラジオDJ「谷口キヨコ」によるプレミアムトークショーなども予定されています。岸和田競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

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芦澤辰弘選手
芦澤辰弘選手
 芦澤辰弘(写真)は前回の宇都宮FIの初日特選2着も、2日目以降を欠場。5月のダービーでは準決にコマを進め、充実の近況だっただけに気になるところだ。
 「風邪を引いてしまって…。(欠場して)期待してくれる人たちには申し訳なかったです。宇都宮の前がすごく(調子が)良くて、ピークが来てしまった。それで風邪を引いて、一気に(調子が)落ちた。(今回の)前にやった練習の感じも、全然違いました。ただ、直前は休んだんで、ここ4日間くらいの体はいい。自分はここ一年で劇的に変わった。競輪を考える時間が多くなった。それで練習をしてベースを上げようとしたら、質と量に体が追いつかなかった」
 菅田壱道との連係になった高橋陽介は、久々の番手回りに気を引き締める。
 「最近は人の後ろじゃなくて、自力が多かった。だから番手は久しぶりですね。ただ、自力でも先行、まくりだけじゃなくて、位置を取ってっていうのが多いから、(番手でも)落ち着いてできると思う。去年は結構、(菅田)壱道の後ろを回ってたし、初日もできるだけサポートしたい」
 前々回の5月名古屋で記念初制覇を遂げた渡邉雄太は、至ってマイペース。
 「練習できたし、変わらずです。(GIだからといって)べつにそんなに意識はしていない。自分の仕事をしっかりやりたい」

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竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作(写真)は、前回の函館ナイター記念で久しぶりの決勝進出。着実に上昇カーブを描き、復調への道を歩んでいる。
 「(前回は)決勝にも乗れたし、そういうところで走らないとわからないことがある。一時よりはいいんで、ちょっとずつですかね。急には良くならないんで、今回も得るものがあれば。今回は(前回で換えたフレームと)一緒で、車輪だけ換えました」
 近況、勝ち星を順調に積み重ねている中川誠一郎は、高いレベルで成績が安定。坂本亮馬との九州タッグでは、前を回り自力勝負を選択した。
 「自力が出ているのはたまたまだと思うんですけど、初日も出るように。(練習は)全然変わってない。雨が多かったんで直前は少し抑え気味にはやりました」

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松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 松阪FI、大宮FIと直近の2場所で連続落車に見舞われている成清貴之は、慎重に言葉を選ぶ。
 「自転車は大丈夫だったんですけど、車輪とか諸々がダメになった。あとは左手の方(の怪我)がひどかったんで走ってみないとっていうはあります。(前回が終わってからは)治療に専念しました。(南関同士で別線は)やりづらいところはあるけど、そんなことは言ってられない」
 ダービー1343着のあとは前橋312着、平塚212着と松谷秀幸(写真)は、FIシリーズでも抜群の安定感を見せている。
 「当たりたくない人(根田空史)ですね、敵だと…。あとは(和田)真久留次第。(中4日で)ほぼなにもしてない。調整ですね。前回は結構、自分としては動けていた。ただ、GIとなるとまた別ものですから、どうですかね」

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清水裕友選手
清水裕友選手
 前回の函館ナイター記念では3勝をマークした清水裕友(写真)。6着に敗れた準決でも、三谷竜生、村上義弘の近畿勢の番手に飛び付いて、大きな見せ場をつくった。
 「(前回の函館は)今回に向けてああやってできたのがデカいと思います。気持ち的にも上がってきているし、ここも前回くらい走れたら。GIの気負いみたいのはない。疲れを抜くのをメインにやってきたんで、(コンディションは)問題ない」
 前回の小松島FIで今年2度目となる3連勝の完全Vを飾った川村晃司は、笑みを浮かべながらリラックスムードで自転車を組み立てる。
 「(小松島は)全プロ記念のメンバーがいなかったんでラッキーだった(笑)。それでも練習の感じも良かったし、それが成績につながって自信になりました。そのあとも練習はしっかりやって、感じも良かった。(1着で2日目は白虎賞に進出だが)それよりもラインでしっかり勝ち上がりたい」
 3場所前、名古屋記念の落車のダメージが思いのほかあった園田匠は、前回の函館ナイター記念準Vのあとはケアに努めた。
 「問題はそこだけ、納得のいくところに体を戻せるか。日に日に良くなっている。自転車も修正に出して、悪くなることはない。GIは結果がすべてなんで、勝ち上がりたい」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 前回の函館ナイター記念では疲労が残っていた郡司浩平(写真)は、今回、GI仕様に仕上げて初日を迎える。
 「ガッツリ練習したのもあって、前回は疲れが残っていたのはしょうがない。今回はいつもより練習量を少なくして、物足りないくらい。それで疲れを残さないようにした。仕上げてきたつもりです」
 前回の函館ナイターで記念初Vを飾った和田健太郎は、近況、勝ち星を量産。GIでも期待は膨らむ。
 「今回はいつも通り、変わらずですね。その前がすごく疲れていて、前回はそれが抜けてだいぶ良くなっていた。もちろん、(GIを)獲れたらうれしいですけど、自分がやることは変わらない。むしろ今までより頑張らないと」
 菊地圭尚は前回の岐阜FIを389着。一息の戦績だが、GIでガラリ一変がありそうだ。
 「前回がへっぽこ過ぎて…。目標もいなくて、先行にならない先行もした。でも、踏み出した感じとか、動こう、動こうと思っているところとかも悪くない。早坂(秀悟)とは息もピッタリだし、一緒だと気持ちよく行ってくれるんで、なんとかしたい」

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河端朋之選手
河端朋之選手
 3月の世界選手権のケイリン種目で銀メダルを獲得した河端朋之(写真)は、モスクワグランプリの競技大会でロシアから帰国して、5月以来の実戦。
 「トレーニング自体はしっかりとできているんで、あとはいかにその力を出すか。(久々の実戦で)多少の違和感はあるけど、とにかく自分のレースをしたい。あとは考えすぎずに。チャンスは来ると思うし、タイミングだけは逃さないように」
 地元バンクでの調整ができなかった太田竜馬だが、調整には問題なさそうだ。
 「(小松島の)バンクが改修中で使えなかった。それに雨も多くて、室内でやってきました。ワットバイクの数値も良かった。自分は自転車に乗れればいいんで、大丈夫だと思います。(1着を取って白虎賞に)ぜひ、乗りたいです」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 前回の大宮FIで遅まきながら今年初Vを果たした吉田拓矢(写真)は、前回から投入した新車に好感触を得ている様子だ。
 「大宮から新車なんです。それがしっくりきていて、いい感じなんです。決勝は鈴木謙太郎さんと(ワンツーを)決められてよかった。初日は(神山)拓弥さんと雄一郎さんが後ろなんで、自分は出し切る走りをしたい」
 岩本俊介は直近のFIシリーズの2場所で4勝の固め打ち。今年すでに12勝を挙げている。
 「腰痛が出たりしても、ケアしながらちゃんと休養を入れつつしっかり練習をしてきた。感じはいつも通りですね。(好成績は)一瞬のうちに出力を高められるように、山中(秀将)のを参考にしてやったら、それがハマった感じです」

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小川真太郎選手
小川真太郎選手
 小川真太郎(写真)は、前々回の広島112着、前回の佐世保を3連勝の完全V。直近のFIシリーズ2場所は、準パーフェクトの成績を残している。
 「FI戦だけはいつもいいんですよね…。記念とか大きいところ(ビッグ)でしっかり成績を残せるように。競走得点もヘタ打つとすぐに下がってくるんで、気合を入れ直してやります。後ろの香川(雄介)さんは強いんで、抜かれる可能性が高いけど。(1着で2日目は白虎賞に進出は)デカいんで、1着を目指していきます」
 北津留翼は前回の高松FIを122着。準決、決勝はともにボス(オランダ)に後塵を拝する結果となった。
 「1回くらいは(ボスを)抜きたかったんですけど…、やっぱり強かった。それでも(成績がいいのは)、かみ合ってきたからだと思う。とくになにかを変えたわけではない。(通算)299勝ですか? 知らなかった(笑)。それなら今開催中に(通算300勝を)決めたい。全力を出して、結果がついてくればいいですね」

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山中秀将選手
山中秀将選手
 ダービーを優出など、G戦線でも活躍が目立つ山中秀将(写真)。湧き上がる感情をコントロールし、再びGIのファイナルを目指す。
 「FIや記念を走るよりかは、気持ちが高ぶりますけど。入れ込みすぎるとうまくいかないので、ちょっと落ち着いて走れたらと思っています。そこを意識してですね。ここまでは、(中13日空いたが)そんなにガッツリやっていないです。旅行とかにも行ってリラックスしてきました。状態は悪くないですけど、初日を走ってみないとですね」
 新山響平は前回の函館ナイター記念で決勝に進出。まだ安定感こそないが、試行錯誤の成果が成績に表れてきている。
 「(前回の函館は)疲れましたね。でも、カーボン(フレーム)に乗った時のイメージで走ったら感じがいい。楽に力が伝わります。ちょっとずつ乗り方がわかってきました。(3.92のギアは)まだ重いけど、踏みごたえはあります。ウエートをやっているし、どうにか踏めるようになっていけば。初日は逃げろって番組ですね。目いっぱい駆けます」

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古性優作選手
古性優作選手
 地元の古性優作(写真)は、今年の全日本選抜で2度目のGI優出を経験。さらに、続く静岡記念は平原康多らを破って優勝とハイレベルな走りを見せている。直前にも感触をつかみ、大一番に乗り込んできた。
 「前検日の朝に軽くBMXに乗ったらいい感じで。あとは指定練習でつかんだモノをつなげられたら面白い。(BMXの選手だったので)原点に帰ってですね。地元で開催される大切なGIですし、自分たちが守っていかなあかん。一走、一走に全力を尽くして、悔いを残さないようにしたいです」
 対するは柴崎淳。前回の函館ナイター記念は持ち味のキレを見せられず6771着。今回も状態が気になるところ。
 「函館は疲れもあって、あかんかったです。ここまでは、休養と練習をバランス良くやってきました。(練習の)感覚はあんまりでしたね。一時期の良かった感覚ではなかったです」
 石塚輪太郎は当大会が2度目のGI。今回は猛者たちとの対戦に気負いはない。
 「全プロもGIみたいでしたし、慣れてきました。しっかりいいレースをしたいですね。(前回の函館の途中欠場は)蓄のう症みたいになって、レースにならなかったです。でも、函館から戻ってきて、だいぶマシになってきました。練習もできているので、問題ないです」

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新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)は、疲労が残る状態で前回のダービーを優出。今回は当大会の3連覇がかかるが、「意識はしていない」と、一走入魂を強調した。
 「ひとつ、ひとつのレースをしていくことが重要。あとは決勝で力を出すだけですね。ダービーは数値を取ったら普段の4倍疲れていて。それが開催中にわかっていれば、(調整)内容も変えたんですけどね。失敗でした。(競輪の自転車で指定練習を走った感触は)いつも通り、問題なくフィットしています。自転車よりも、問題はレース展開ですね」
 平原康多は5月京王閣記念を完全V。さらに、続く全プロ記念も21着と再び軌道に乗ってきた。しかし、本人はおごることなく気を引き締める。
 「自分の力で勝ったわけではない。巡り合わせで、自分が優勝に近い位置を回っただけとしか思っていないです。でも、(関東の結束力を)重要視して並んで。それが結果に出たことは良かったです。競輪をやらないと近畿に勝てないので。日々、競輪のレベルは上がっているし、それにどういう風にして勝つか、強くなるかっていうことを意識しています」
 全プロ記念の初日では、浅井康太らの追撃を振り切り逃げ切った吉澤純平。一層、増した積極性と比例し、成績も上昇している。
 「(一次予選で敗退したダービーは)気持ち的に…。勝ち負けを考えずに走れなかったのが、悪い方に出てしまいました。出し切れずに負けたし、改めて気が引き締まりました。それもあったので、京王閣、全プロはしっかり力を出してと思って。今回もやることは一緒。力を出して一個、一個勝ち上がりたい」
 武田豊樹は、約1ケ月ぶりの実戦となった6月函館ナイター記念が一息の成績。今回はグランプリを制した思い出の地で、結果を追求する。
 「函館は結果が出なかったけど、(状態が)ひどいとは思わなかったです。でも、結果が出ていないので出したいですね。体力的な準備はしてきました」

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深谷知広選手
深谷知広選手
 前回のダービーは1走目の特選で落車失格で終わった深谷知広(写真)。今回こそは、一層パワーアップした脚力で別線を脅かす。
 「(ダービーの落車は)大きな怪我はなかったので、すぐ3日後くらいから練習は再開しました。伊豆でもモスクワ(グランプリ2018)でも自己ベストが出ているし、調子は悪くない。パワーもスピードもアップしていますね。あとは、競輪の走り方をちゃんとできれば戦える状態にあると思います。(今回から投入する新車を指定練習で)初めて乗ったんですけど、今のところは悪くないです」
 三谷竜生はダービーを優勝し、史上7人目となる大会連覇を達成。その後は全プロ競輪、函館ナイター記念と決勝を逃しているが、状態に問題ない様子だ。
 「調子もずっといいですし、その調子のまま練習もずっとしているので、大丈夫だと思います。(ここまでは)いつも通り過ごして、いつも通りしっかり練習できたと思います。(状態は)問題ないと思います。(高松宮記念杯に向けて特別にやってきたことは)とくにないですね。近畿地区であるっていうこともあるんですけど、この高松宮記念杯は僕も小さいころからずっと見てきたので、その思い入れはありますし、しっかり結果を残せるように頑張りたいです」
 ダービーでは、世界で戦う実力をまざまざと見せつけた脇本雄太。今回も圧巻の走りで周囲を驚かせるか。
 「(ダービーでの好走は)たまたまですよ。(ダービー後は)モスクワのレースに1回集中して練習して。そのあとは時差調整も含めながら普段通りの練習をしました。(競技と自転車が違うが)慣れてるんで大丈夫です。(状態は)走ってみないとわからないですね。去年(の高松宮記念杯)は出られなかったので、今年は地元地区のGIでしっかり結果を出せるように頑張りたいと思います」
 村上義弘は全日本選抜、ダービーをそれぞれ準V。「僕は2着しか取れないということです」と、話すも、ハイレベルでの安定感はさすがの一言。
 「(6月函館ナイター記念のあとは)疲れもだいぶ溜まってたんですけど、普通の練習を。(感覚は)そんなに変わらないです。トレーニングはとくに変えてないんですけど、気持ちの面で。今回は地元地区のGIだし、応援してくれる人もたくさんいるので頑張りたい」