『第17回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 初日編

配信日:7月17日

 函館競輪場で「第17回サマーナイトフェスティバル(GII)」が、7月16日にナイターシリーズで始まった。初日特選を松浦悠士がまくり気味に追い込んで制した。また、「ガールズケイリンフェスティバル2021」の予選1では、高木真備、佐藤水菜が人気に応えた。しかしながら、最終レースでは児玉碧衣が7着に敗れる波乱があり、尾方真生、梅川風子は1着同着でポイントを稼いだ。17日の2日目には準決、ガールズでは予選2が行われる。
 函館競輪場にご来場の際は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。場内の滞留制限を1000人の上限としています。本場だけでなく、テレビ、インターネット中継などでも観戦をお楽しみください。

特選レース出場選手特別紹介
特選レース出場選手特別紹介

<1R>

竹内智彦選手
竹内智彦選手
 赤板2コーナーで内から盛り返した北津留翼が先頭に立つが、番手にはまっていた佐々木悠葵が打鐘の3コーナーから仕掛けて出る。佐々木が主導権を握り、後位は北津留が入る。両ラインで脚力を消耗したところを最終ホーム手前から、脚をためた菅田壱道が襲い掛かる。まくり切った菅田の番手から竹内智彦(写真)が差し脚を伸ばして、オープニングを制した。
 「(菅田は)これがキッカケになってくれれば。強いんであとは気持ちの問題。(勝ったのは)ゴール前までわからなかったですよ。(前回から)24日近く空いていたけど、普通に練習して適度に休んできました」
 前回の福井記念で落車に見舞われ途中欠場の菅田壱道だが、仕掛けどころを逃さずにロングまくりでラインを上位独占に導いた。
 「佐々木君が上がった時に北津留さんが内に行って、追い上げとかもあって分裂する形になった。それで自分に展開が向いた。一番悪い感じは脱したけど、踏み込みがもう少しなめらかになれば。(落車明けで)状態はいいとは言えないが、来た以上は気持ちで乗り切ろうと。何度も気持ちが折れたが、今日(初日)は良かった」

<2R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 太田竜馬が岩本俊介を押さえて、打鐘手前で四国3車が出切る。太田はペースを緩めることなく風を切って、後続を一本棒にして駆ける。7番手の山田久徳が最終2コーナー手前から仕掛けると、4番手の岩本も合わせて出る。が、番手で態勢を整えていた阿竹智史(写真)が、岩本のまくりをけん制して、きっちり太田を交わした。
 「(太田が)ジャンからすごいハイペースで先行してくれた。ずっとタレることなく踏み上がっていく感じだったんで、(別線は)なかなかまくれないだろうと思った。僕の後ろくらいに(岩本の)前輪があったんで難しかった。ただ、余裕はありました」
 前回、地元の小松島記念を制した太田竜馬は、その勢いのまま抜群の動きを披露。打鐘からレースを支配して、別線をシャットアウトした。
 「取れたところから、仕掛けるところで行くだけだと思ってました。タイミング的には長かったんでキツかったけど、うまいことペースに入れられた。バンクが重いし流れないからキツいけど、結果が良かったんでいいかなと」

<3R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 後ろ攻めから切った谷口遼平を飯野祐太が赤板の2コーナーで叩いて出る。6番手となった久米康平、8番手の吉田拓矢が打鐘前から反撃。久米が最終ホーム過ぎから主導権を握り、吉田が追いかける形に。飯野マークから4番手にスイッチした小松崎大地(写真)が、バック前から力強くまくり切った。
 「任せた以上は飯野に付いていって自分がどう判断して動くか。もっとサポートできれば、そのあとの仕掛けもうまくできれば違ったかもしれない。踏み出した感じは悪くないので、判断を間違えなければ戦える」
 口が空きながらも小松崎を懸命に追いかけた山崎芳仁が2着に入った。
 「(小松崎の踏み出しに)口が空いて踏めなかったですね。(前回の落車の怪我から)早めに復帰して、走りながら治していければ。ケアをしながら、修正したいし、いままでの経験を生かしていきたい」

<4R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 後方の黒沢征治が打鐘手前から巻き返すと、4番手の野原雅也(写真)も合わせて動く。黒沢が最終ホームで叩き切り、外を張りながら続いた野原が番手に入る。野原は黒沢の掛かりと余力を確かめながら、早めの追い込みで抜け出した。
 「前受けはあんまりしたくなかった。あとは中団は取らないとっていう意識がありました。ジャンを過ぎてからは自分が行くくらいの気持ちでいた。それで番手にはまったんで良かった。感じはそんなに悪くなかった」
 援護を失った黒沢征治だったが、松本貴治を叩いて先行策で2着に残った。
 「踏み合ってしまったところが、自分の悪いクセですね。踏み出しが遅れたぶん、そうなってしまった。あそこは全開だったんですけど、野原君の動きが良くて、(後ろが)武藤(龍生)さんだったらいいなと思った。ラインに迷惑を掛けてしまった。(最後は)野原君の勢いが良かったけど、粘れて良かった」

<5R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 赤板過ぎに切った山口拳矢(写真)を取鳥雄吾が打鐘前に押さえて逃げる。前受けから下げた渡邉一成は7番手で最終ホームを通過。すんなり4番手をキープした山口が2コーナーから豪快にまくって人気に応えた。
 「(渡邉)一成さんが突っ張る想定もあったので、赤板のところはいつもよりしっかりと切りに行った。いつも初日が1着の時は調子がいいので、明日(2日目)も悪くないと。9車立てに少しずつ慣れて手応えを感じ始めている」
 東口善朋が好マークから迫って2着。中近ワンツー決着となった。
 「すんなり中団すぎましたね。自分はバタバタしたけど、山口君は落ち着いていた。(打鐘の)4コーナーからホームで緩んだ時に一成がカマしてきたら怖いとは思っていましたね。(初連係でも)強いのを見ているし、想定した形で踏み込めた」

<6R>

小倉竜二選手
小倉竜二選手
 上昇する松川高大を雨谷一樹が突っ張る。前団の様子をうかがっていた町田太我は、打鐘目がけて山降ろしで踏み込む。最終ホーム手前で町田が出切り、小倉竜二(写真)が続くも、遅れ気味の渡部哲男が雨谷にさばかれる。冷静に仕掛けを待った浅井康太がまくるが、番手の小倉が浅井を阻み勝ち切った。
 「(町田は)行きやすい感じでいけたかなと思ったんですけど、いつものようなキツい踏み直しがなかった。タイミング的に僕は通過できても、(渡部)哲男が合うなと。自分は付いているぶんには楽だった。あとは浅井君を止めたら(町田と)ワンツーかと思ったんですけど、(町田が)意外と残らなかった」
 最終2コーナーからまくった浅井康太は、小倉のブロックにあうも、直線で立て直して2着に伸びた。
 「町田君の先行で、あとは雨谷君、松川君が位置を取ってくるかと思ったんで、その動きを見てからでもいいかなと。(3番手がもつれて)結果を見てから踏めば、間に合うっていうのはありました。(前回の)名古屋より良くなっている。オグさん(小倉)に止められてから、最後しっかりと踏み切れた」

<7R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 9人全員が自力型という注目の一戦。3番手から切った高橋晋也を単騎の野口裕史が打鐘の3コーナーで叩いて先行策を取る。これを受けて番手に収まった高橋が最終2コーナーからまくるが、その外を坂井洋が好スピードで迫る。さらに後方でためていた皿屋豊(写真)が、バンクレコードタイ記録となる上がり10秒8でまくり追い込んで突き抜けた。
 「完全に展開任せになったが、うまくはまって良かった。(最終)ホームでは絶体絶命と思ったが、脚には余裕があった。3コーナーから4コーナーで併走になっていたので、踏めば伸びると思った。初日の1着は多いんですけど、後半疲れてダメになることが多いので頑張りたい」
 上田尭弥は勝負どころで立ち遅れて9番手。皿屋を追いかける形で2着に入った。
 「野口さんの後ろにいて、行くか、行かないかわからなくて、皿屋さんにスイッチした。そっちがベストかなと。残り1周で9番手だったので、あとはためてためて、どこまで行けるか。なかなかこういうメンバーで戦えないので、自力を出していかないと。作戦で人の後ろっていうそこのメンタルが課題」

<8R>

佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 関東勢が出てペースを握るが、打鐘の3コーナー過ぎから7番手の山崎賢人が仕掛ける。山崎が叩き切って、佐藤慎太郎(写真)、大森慶一まで出切る。渡邉雄太のまくりは佐藤の横まで至らず、粘り込む山崎を佐藤が差し切った。
 「(山崎に)全部任せてたけど、地元(地区)2人いるってことで考えた仕掛けをしてくれた。いつもより早い仕掛けだったと思うし、ありがたい。(山崎を)抜けているんで、いいんじゃないかなと。すごく楽っていうわけじゃないけど、付いていていっぱいっていうわけじゃない」
 北日本の2人とラインを組んだ山崎賢人は、仕掛けどころを逃さずに踏んで2着。
 「(別線が押さえに来るのが)ちょっと遅かったので、(突っ張るか)迷ったけど、引いて行けるところからと。自分の感じとしては全然軽かった。(佐藤に)抜かれているけど、悪くはなかった」

<9R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 赤板の1コーナーで切った清水裕友を松井宏佑が叩いて出る。すかさず反撃に出た深谷知広は松井を叩けず後退。神奈川コンビの後位をキープしていた単騎の古性優作が、最終2コーナーから好回転でまくる。内を突いた清水はコースに詰まり、外に持ち出した松浦悠士(写真)が直線で鋭く抜け出した。
 「ウォーミングアップの時は暑くてしんどかったけど、レースではいい感じでした。(最終バック手前は清水)裕友が内にささったのが見えたんで、なんとか裕友が抜けきってくれと思ってた。自分はそれで一気に行かずに、じわじわいきました。脚が余ってたんで、その辺は余裕がありました」
 2着の古性優作は、単騎まくりで見せ場を演出した。
 「単騎ですけど、自分はどこからでも行く気だった。しっかり自力を出し切ってと。(後位に清水がいるのは)わかってたけど、抜かれたら仕方ないので思い切って行きました。郡司(浩平)君を完全に乗り切ったかなと思ったけど、頭が肩に入った。スピード差があったので、(郡司は)これで間に合うのかって思った。自分は(前回の)福井よりも全然いいです」

<10R>

高木真備選手
高木真備選手
 打鐘の2センターで6番手の高木真備(写真)が仕掛けると、太田りゆがダッシュを利かせて先行策に出る。スムーズに2番手に入った高木が、最終2コーナーからのまくりで太田をねじ伏せて19連勝。
 「初手はあまり考えずに、行けるタイミングがあったら仕掛けようと。後ろになっても落ち着いていけたと思います。そこからはイケると思って仕掛けたけど、太田さんが結構踏んだんで、番手に入る形になりました。まくりに行くタイミングが無理やりになっちゃったんで、あんまりいいタイミングではなかった。それでも押し切れたんで(良かった)」
 周回中は太田後位にいた小林莉子は、勝負どころで置かれるも高木を追いかけて2着。
 「力で言えば高木さんですし、太田さんの一発も怖かったんで、その2人の(どちらかの)後ろにいられたらと思ってた。(太田後位が)ドンピシャで取れたんで良かった。踏み出しのところは内側に2車いて、外に高木さんがいたんで怯んだところがある。明日(2日目)からこういうミスが命取りになるので反省したいです」

<11R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 打鐘手前から仕掛けた奥井迪を佐藤水菜(写真)が追いかける。徐々にペースを上げて逃げる奥井の後ろに、佐藤が続いて絶好の展開。しかしながら、佐藤は最終1センターで石井寛子にすくわれる。ピンチかに思われた佐藤だったが、外併走からのまくりで勝ち切った。
 「奥井選手が仕掛けていったので、後ろを確認しながら前に踏んで、(最終)バックから仕掛けられて良かった。石井選手が内から仕掛けたので、そこからでしたね。内からいかれた時は焦ったけど、踏み勝てたし感覚は良かった」
 最終ホームで3番手を荒牧聖未と併走していた石井寛子は、佐藤の内から奇襲のまくりで2着。
 「(前を取っても)先行選手がたくさんいたので、逃がされることはないと。飛び付きが甘くて緊張でしたね。包まれるのはコースがなくなるなるので、サトミナ選手(佐藤)より前にいたいと思った。3回踏んだので、脚がなくなっていた」

<12R>

尾方真生選手
尾方真生選手
 6番手でタイミングを取った児玉碧衣は、打鐘の3コーナーから仕掛けて主導権を握る。2番手にいた尾方真生(写真)は俊敏な反応で児玉後位にポジションを取り、追い上げるように梅川風子が3番手に入る。逃げる児玉を最終2コーナーからのまくりで仕留めた尾方が、追い込む梅川と1着同着。
 「(打鐘の)4コーナーくらいから仕掛けようと思ってました。(児玉に)うまく飛び付けて、(最終)バックから踏み込めたかなと思います。選手紹介からバンクも軽かった。走る前は緊張しましたけど、しっかり(1着で)走り終えたんで良かったです」
 3番手から追い込んだ梅川風子は、尾方を完全にとらえるまでにはいかず、こう振り返る。
 「自分も先行含みで戦略をかけていたけど、(児玉)碧衣ちゃんが(仕掛けるのが)思ったより早かった。(児玉に)追い出しをかけられているのかと思ったら、併走のところを来たんで碧衣ちゃんの本気具合が(伝わった)。一瞬、熱くなって先行争いに加わってしまったけど、そのあとは尾方さんがどこから踏むかでした。バンクが軽いせいか、脚が良くないせいか、最後は思ったより伸びなかった」