『第17回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:7月19日

 函館競輪場で開催された「第17回サマーナイトフェスティバル(GII)」は、7月18日に最終日が行われた。決勝は清水裕友のまくりに乗った松浦悠士が追い込んでV。優勝賞金1173万円(副賞含む)を獲得して、5月のダービーに次いで今年2度目のビッグを制覇した。また、「ガールズケイリンフェスティバル2021」の決勝は、3番手から外を追い込んだ石井寛子が、小林莉子、佐藤水菜とのゴール勝負に踏み勝ち優勝。18年の松戸以来となるフェスティバルを制した。

『ガールズ決勝レース出場選手特別紹介』
『ガールズ決勝レース出場選手特別紹介』
『決勝レース出場選手特別紹介』
『決勝レース出場選手特別紹介』

サマーナイトフェスティバル決勝戦 レース経過

 号砲で大外枠から守澤太志が出て正攻法の位置を確保。山崎賢人-守澤太志、岩本俊介-佐藤慎太郎、清水裕友-松浦悠士-阿竹智史-小倉竜二、山口拳矢で並びはすぐに落ち着いて周回を重ねる。
 青板2センターから清水が上昇を開始。清水は赤板経過と同時に誘導を切って前に出る。山口がそのまま中四国勢に続き、山崎はその後ろに下がるが、岩本はすぐさま中四国勢、山口を追って行って巻き返しの態勢を整える。1センターで仕掛けた岩本はバック手前で清水を叩いて先行勝負に出る。引いた清水がすんなり3番手を確保し、山口、山崎は後方に置かれて苦しくなる。そのまま岩本が巧妙なペースで逃げ、清水はしきりに後ろからの反撃を気にしながらレースは進み、最終ホームで山崎がまくりにいくが前までは遠い。清水が満を持してまくったのは2コーナー。佐藤のブロックは乗り越えた清水だったが、合せて踏み上げた岩本とスピードが合ってしまってそこからが伸びない。バック過ぎから清水と岩本で車体を合わせての踏み合いとなり、一方で外に浮いた中四国勢のインを突いて山口が車を上げてくる。直線に入ってようやく岩本をねじ伏せた清水だったが、そこまでで一杯。松浦が清水の状態を見極めて踏み出すと、内を突いて強襲してくる山口を制して優勝を飾った。

ガールズケイリンフェスティバル2021決勝戦 レース経過

 号砲で石井寛子が出て行く。高木真備は中団、佐藤水菜は後方で並びは落ち着きかけたが、そこから高木が車を上げると位置取りを巡る駆け引きが始まる。最終的に尾方真生が石井の前に入り、尾方、石井、鈴木奈央、高木、梅川風子、佐藤、小林莉子での周回に。
 打鐘を迎えると誘導は退避し、押し出される格好で尾方が先頭に立つ。まだペースが上がらない中、この日も佐藤の仕掛けは2センターからと早かった。合せて踏み出す高木を制して上がっていった佐藤はホームで尾方を叩いて先行勝負に出る。初手から佐藤追走の小林がピッタリ続き、石井が高木、尾方を制して俊敏に3番手に切り替えてくる。この時に梅川が落車するアクシデント。2コーナーでは内に詰まった尾方が後退する一方、引いた高木はまくって出るが、逃げる佐藤の前に3番手の外まで。そのまま直線に入り、小林がゴール前で佐藤を交わすが、外を踏んで石井が強襲。伸び勝った石井がVを奪った。

<1R>

荒牧聖未選手
荒牧聖未選手
 打鐘の2センターから5番手の増田夕華、6番手の山原さくらが襲い掛かり、最終ホームでは前受けから先行策に出た太田美穂と激しい踏み合い。増田が後退して、太田と山原で重なりサイドバイサイド。山原を追った荒牧聖未(写真)が直線で外を伸びた。
 「決勝戦に乗りたかったけど、それができなかったので最終日は絶対に1着を取りたかった。しっかりとレースに集中して臨めたし、(最終ホームで俊敏に動けた)そこの踏み出しは良かったと思います」
 増田、山原を不発にした太田美穂は、持ち前の先行パワーを発揮して2着に残った。
 「風が強かったんで、前々から初心に戻ってレースをしようと思ってました。みなさん(が仕掛けて来たの)が見えたので、(打鐘の)4コーナーから踏んであとはペースでと。自分の持ち味の踏み上げていく感じがいいところでできたかなと。直線で(荒牧に)行かれたのが、これからの課題です」

<2R>

鈴木美教選手
鈴木美教選手
 4番手の太田りゆが、前団との車間を大きく空けて、5番手の児玉碧衣をけん制する。前受けの奥井迪がそのままペースを上げて先行、最終回へ。1センターから太田、さらに3番手の久米詩が仕掛けて、2番手で絶好の鈴木美教(写真)もまくりを打つ。逃げる奥井をとらえた鈴木が、直線でインから迫る児玉を半車輪、退けた。
 「決勝には乗れなくて不甲斐なかったんですけど、負け戦こそ大事だって学校の教官にも教えてもらっていたので、そこで勝てたのは良かった。めちゃめちゃ風が強かったんでダッシュで口が空いてとかを考えたら、前の方にと思ってました。後ろがどういう状況かわからなくて、あとは自分が行くタイミングに集中していました」
 太田に仕掛けどころをつぶされた児玉碧衣は、最終2コーナーから内を進出。ファンの期待に応えるべく、リスキーなコースを踏んだが2着まで。
 「奥井さんと私の先行争いだと思ってたんですけど、(太田)りゆさんが前で空けてたんで、りゆさんはダッシュもあるし行けなかったです。冷静には走れました。あのコースは1着取るか取れないか(の勝負)だった。今日(最終日)もギリギリで余裕をもって走りたかったです。普通開催も含めて決勝に上がれなかったのは初めてなんで、これが最初で最後にしたい」

<9R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板過ぎに切った野原雅也を深谷知広(写真)がすかさず叩いて出る。後続を1本棒にして軽快に逃げる深谷に対し、野原が3番手からまくるが、和田健太郎にけん制されて後退。強じんな粘り脚を発揮した深谷がそのまま押し切った。
 「自分の距離ではあった。(踏み上げていくのは)カマシより楽に出れるし、いい先行ができたと思う。(競輪用の)自転車に触れている時間ごとに良くなっていく。今後のスケジュールは決まっていないので帰ってから確認ですね。五輪メンバーと帯同になると思います。(オールスターのドリームレースは)グランプリと2つの大きいレース。スケジュールと状況を確認してですが、最高の自分を持っていかないといけない。やれることをやって、初日にピークをもっていけるように。重要なレースで選んでもらった理由を受け止めて走りたい」
 好アシストから迫った和田健太郎が2着。南関ワンツーが決まった。
 「100パーセント深谷のおかげ。踏み上げていく感じで気をつかいながら行ってくれた。強さが違います。(右肩鎖関節脱臼のあとだが)2日間迷惑をかけて申しわけなかった。次のオールスターまで空くので、いい方向性を探ってケガが良くなっていくようにつめていきたい」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 後ろ攻めから上昇した町田太我を前受けの黒沢征治が赤板から突っ張ってハイピッチで飛ばしていく。6番手をキープしていた浅井康太が最終2コーナーからまくり上げると、吉田拓矢(写真)がバック前から番手まくりを敢行。後続の追撃を振り切り、連勝を飾った。
 「ある程度(黒沢が)踏んで、町田君を出させるような作戦だった。でも、あんだけ行ってくれたんで、1着を取らないとっていうのがありました。(黒沢は)先輩なのにありがたいですね。あとは浅井さんが来てたんでキツかったけど、なんとかコーナーでという感じでした」
 関東ライン3番手の諸橋愛が吉田を懸命に追いかけて2着に流れ込んだ。
 「ヨシタク(吉田)が出ていくのか、仕事をするのかはもう任せていました。ただ、その前に(黒沢が)あそこまで踏むと思わなくて、口が空いてしまった。フルでというより7割くらいで追いかけていった。(次の)オールスターまで日にちが空くんで、もうちょっと底上げをしていきたい」

<11R>

石井寛子選手
石井寛子選手
 打鐘の3コーナー、6番手の位置から佐藤水菜が一気にスパート。最終ホームで尾方真生を叩いて主導権を取る。初手から後ろにいた小林莉子が続いて2番手をキープ。この3番手に俊敏にスイッチした石井寛子(写真)が直線鋭く追い込んで優勝を飾った。
 「長かったかな。頑張って地道に練習してきて良かったなと思いました。去年はボロボロでしたけど、その1年間があって今年があるので、去年は大事な1年でした。(レースは)落車があったので残念ですし、自分もコケそうになった。そこからあんまり周りは見えてなかった。最後の(ゴール前の)差すところは何回も何回も聞いたり、実戦をしてきたので、それをすべて出せたと思います。今年の目標はフェスティバルを優勝することだったので目標を達成できた。グランプリも8割くらいほぼ決まったと思うので、12月に向けていろんな人にアドバイスをもらいたいです」
 周回中から佐藤後位にいた小林莉子は、打鐘の3コーナー過ぎから佐藤が仕掛けて絶好の展開が訪れた。ゴール寸前に逃げ粘る佐藤を交わしたものの、石井の重圧に屈して2着。
 「(この2着が)惜しいというのか…。(石井)寛子さんが後ろに来ているのが見えて、慌てて踏んじゃった。絶好のチャンスが毎年巡ってくるわけじゃない。この失敗が(今年の)後半に響いてくると思う。(先行主体の)違う型の選手に負けるのとは違いますからね」
 思い切った仕掛けを披露した佐藤水菜は、軽快に風を切ってさすがのスピードを見せたが僅差の3着。
 「思ったよりも向かい風がキツかった。もう一段階、踏めた感覚がある。脚は余っていたけど、(ゴール前の)向かい風に戻された。トルクが弱いところが出てしまいました」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 後ろ攻めから切った清水裕友を岩本俊介が打鐘前に叩いて逃げる。後方8番手となった山崎賢人が最終ホームから反撃に出るが、車は思うように進まない。3番手を確保していた清水が2コーナーからまくり上げると、続いた松浦悠士(写真)が直線で鋭く伸び切り、通算5度目のビッグ制覇を果たした。
 「(清水は)後ろに付いていると行くなっていう感じで見てたんですけど、けっこう(佐藤)慎太郎さんのブロックを避け過ぎたのか、影響を受けて止まったなっていう感じはあったんですが、その後もう1回加速したんで、行き切るなって感じはしました。その辺の判断は難しかったですね。裕友がもうちょっと止まりそうな感じで、僕は阿竹(智史)さんと小倉(竜二)さんがいたんで、しっかり外を踏まないとと思って踏んだんですけど、ゴール前、(山口)拳矢だったんで、あれ拳矢かと思って。ダービー(決勝)の時の(佐藤)慎太郎さんほどではなかったので、しっかり前に最後まで踏めば押し切れるなって」
 単騎の山口拳矢は最終バックから内を進出。最後は松浦の内から鋭く迫って2着に入った。
 「車番が悪いので(初手は)中四国の後ろから。(清水が)絶対行くと思った。それで自分がどこで行くか。コースがなくなって、イチかバチか、内に行った。空いたのが見えたのでこじ空けるくらいで。すごい悔しかったですね。この後は久留米FIがあってオールスター。(この悔しさを)とりあえず久留米にぶつけます。(オールスターは)長いですよね。6日制は今まで経験したことないので」

次回のグレードレースは、富山競輪GIII「瑞峰立山賞争奪戦」が7月23日~26日の日程で行われます。
S級S班からは平原康多のみですが、浅井康太をはじめ岩本俊介、高橋晋也、黒沢征治などのメンバーにも注目です。間近に迫ったオールスター競輪を占う意味でも重要な4日間となりそうです。
7月11日時点の出場予定選手データを分析した、富山競輪GIII「瑞峰立山賞争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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