『第18回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:7月19日

 玉野競輪場で開催された「第18回サマーナイトフェスティバル(GII)」は、7月18日に最終日が行われた。決勝はビッグ初出場で優出した犬伏湧也が主導権。番手の松浦悠士が、チャンスをモノにして連覇のV。優勝賞金1340万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンフェスティバル2022」の決勝は、佐藤水菜が圧巻の逃げ切りで完全優勝。賞金301万円(副賞含む)を手に入れた。

決勝戦 レース経過

 号砲で新田祐大、佐藤慎太郎がスッと前に出て、新田-佐藤の福島勢が前を固める。これに山田英明-荒井崇博の佐賀勢、更に犬伏湧也-松浦悠士の中四国勢が続き、単騎の森田優弥はこの後ろ。岩本俊介-和田健太郎の千葉勢が後ろ攻めとなった。
 青板周回の3コーナーから千葉勢がゆっくりと上昇開始。岩本が先頭に並びかけると佐賀コンビがこれを追う。赤板過ぎに岩本が新田を押さえて前に出たところで、新田は5番手まで車を下げた。2コーナーで犬伏-松浦がスパート。これに合わせて山田-荒井で岩本-和田の内を突いて前に出る。2センターで犬伏-松浦が出切り、佐賀コンビが続く。森田は中四国勢を追えずも懸命に追い上げるが最終ホームで力尽きる。一方、8番手に置かれた新田は3コーナーから踏み上げ、最終ホームでは5番手の岩本の外で併走に。最終2コーナーを立ち直ったところから山田が踏み込むが、松浦に見られて元の位置に戻ってしまい、荒井は山田の内に潜り込む。快調なペースで飛ばす犬伏に対し、外々を回された新田は前団に迫れない。3コーナーで岩本が新田を合わせるようにまくると、佐藤が岩本にスイッチ。岩本は好スピードで中四国勢に襲い掛かり、犬伏を交わした松浦とゴール前は両者で並んだが、松浦が岩本の強襲を4分の1輪凌いでサマーナイトフェスティバル連覇を達成した。岩本が2着で、3着には佐藤が続いた。

ガールズケイリンフェスティバル2022決勝戦 レース経過

 スタートは内枠の尾方真生、山原さくらが飛び出し、山原が誘導員の後ろを占めた。山原、尾方、児玉碧衣、佐藤水菜、太田りゆ、吉川美穂、鈴木美教となったが、最後方の鈴木が踏み上げて尾方の外に並び掛ける。山原の後ろはしばらく併走が続いたが、2周目に尾方が下げた。
 赤板ではまだ動きはなく、山原、鈴木、尾方、児玉、2車身ほど車間をあけて佐藤、太田、吉川の一本棒。打鐘で誘導員が退避すると、山原、鈴木、尾方、児玉がそれぞれ車間を空けはじめる。最終ホーム手前の4コーナーで佐藤がスパート。気づいた山原、尾方、児玉も踏み込むが、スピードで優る佐藤が1センターで先頭に躍り出た。太田は佐藤に続けず、2番手は内に山原、中に尾方、外に児玉の3車で併走に。まず尾方が遅れ、児玉も3コーナーで力尽き、佐藤、山原、鈴木で最後の直線へ。3コーナーでは佐藤と1車身ほど空いていた車間を詰めて佐藤を抜きに行った山原だが、佐藤が踏み直して堂々と押し切り、ガールズケイリンフェスティバル初Vを達成。昨年3着の雪辱を果たした。ゴール前で佐藤と山原の間に突っ込んだ鈴木が2着に入り、山原は3着。

<1R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 周回中から早めに隊列に動きがあったものの、前受けの林真奈美がこの日もそのまま逃がされる形で最終ホームを迎える。3番手の奥井迪が仕掛けて、梅川風子(写真)も5番手から2コーナー手前で踏み上げる。梅川がスピードの違いでまくり切って、大久保花梨が続く。3番手以下は離れて、大久保も追走まで。梅川が力を見せて勝ち切った。
 「昨日(2日目)は後方すぎて、自分で自分を苦しめてしまった。(今日は)少しでも前の方でレースの状況を見ようと思っていました。昨日は自分を追い込んでしまって、プレッシャーを掛けすぎてしまった。落ち込んでしまったんですけど、そういうところを次に生かしていければ」
 梅川の加速にわずかに車間が空いた大久保花梨だったが、吸い込まれるように流れ込んだ。
 「(初手の位置取りで)結構、入れ替わり立ち替わりが激しかったんですけど、強い梅川さんが来たので入れました。離れかけましたね。踏み出しが強烈だった。(最終)2コーナーの下りでなんとか付いていけた感じです」

<2R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 打鐘3コーナーで切って出た石井寛子を、内野艶和が押さえて先頭に立つ。内野がペースに持ち込んで駆ける。5番手の柳原真緒(写真)は、最終1センターから仕掛ける。2番手からまくった石井との踏み合いを制して、柳原が3コーナーで出切る。続いた荒牧聖未の追い込みを退けた柳原が1着。
 「あんまり考えずに行けると思ったところから行こうっていう感じでした。思い切っていけたけど、車間を切ってなかったりしたんでスピードの乗りはイマイチでした。ただ、ゴールまで踏み切れた感じがあります。(今シリーズは)初日が自分の動きができなくて人気に応えられなかった。自分が出し切れるタイミングっていうのがわかってきたんで、そのタイミングだけ逃さないようにしないと。ミスを少なくしていかないといけないなって思いました」
 打鐘の2センターでは柳原後位を巡って小林莉子と激しいポジション争いを繰り広げたが荒牧聖未が、柳原のまくりに続いて2着に入った。
 「出たところ勝負ではあったけど、柳原さんの後ろに入れたので続いていこうと。(小林と併走になったけど)離れてはいけない場所なのでしっかり追走と思ってました。しのげたけど、最後に交わすのが課題です。サマーナイトフェスティバルのために自転車(のセッティング)を直して、それが良かった」

<6R>

阿部将大選手
阿部将大選手
 赤板過ぎに先頭に立った上田尭弥は、新山響平が7番手に引き切ったのを確認するように2コーナー過ぎからペースを上げる。九州勢に単騎の山田久徳、4番手が小川真太郎で隊列は一本棒。主導権を握った上田が緩めず駆けるが、打鐘4コーナーから新山が巻き返す。最終2コーナー手前で阿部将大(写真)が新山を外に張ると、4番手の小川がインを進出する。内を締めて、別線の反撃を阻んだ阿部が、番手まくりを打って1着。ビッグ初出場の今シリーズで白星を挙げた。
 「(ビッグ初勝利は)うれしいですね。本当に上田君のおかげです。(2車のラインで)後ろがいないので、内からも外からも来ると思っていた。そこを対処できたし、考えた通りの動きができた。でも、前で走る力がまだまだだし、タテ脚を鍛えていかないと」
 目標の新山は、阿部のブロックでスピードが鈍る。小松崎大地は、最終3コーナーから自ら踏み込んで阿部を追い詰めた。
 「このメンバーでなかなか組み立てが難しかった。すごいスピード域のところをスピードをもらうかたちで(新山が)行ってくれた。自分は口が空きました。(新山)響平を判断してから降りたけど、出が悪かった」

<9R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 清水裕友が押さえて出て先頭に立つと、後方でタイミングをうかがっていた吉田拓矢が赤板2コーナーで仕掛ける。吉田が主導権を握り、清水は番手に飛び付いて宿口陽一と併走。隊列が短くなり、打鐘4コーナーで渡邉雄太(写真)が、そこを逃さず踏み込む。最終1センター過ぎに吉田をとらえた渡邉がロングまくりで1着。通算200勝のメモリアルを飾った。
 「先行は清水君がすると思ったので、前を取って吉田君だけ突っ張れればって思っていたんですけど、清水君が来た。8割くらい吉田君が来ると思っていたので、突っ張るかどうしようかちょっと迷ってしまいました。吉田君が出て流したのか詰まったので、ここだって思って仕掛けました。後ろがどうなっているかはわからなかったんですけど、最後に鈴木(裕)さんだって確認できてよかった。でも、ゴール前はいっぱいでしたね」
 渡邉の仕掛けに3番手の内藤秀久は付け切れず、渡邉、鈴木裕の2車で出切る。3番手で立て直した吉田拓矢が、最終4コーナーから追い込んで2着。
 「赤板で踏み合っているところもワンテンポ見てしまって…。その辺の対応とかも良くなかったですね。渡邉さんが掛かっていて、もう少し早くいければ良かったんですけど見てしまったので反省ですね。次は弥彦記念もありますし、そのあとも関東の開催(西武園オールスター)があるので頑張りたい」

<11R>

佐藤水菜選手
佐藤水菜選手
 オールガールズ戦では決着が付かなかったガールズ頂上決戦。終わってみれば世界の舞台でメダルを獲得している佐藤水菜(写真)の強さが際立った。“色んな戦法を使える選手になりたい”とレース前のインタビューで話していたが、言葉通り、情況に応じて仕掛けのポイントを考えて押し切ってみせた。レースは、山原さくら、鈴木美教、尾方真生、児玉碧衣、佐藤、太田りゆ、吉川美穂での周回で、佐藤は5番手の位置。徐々に前との車間を切っていった佐藤は、詰めて最終ホーム入り口からスパート。合わせて踏み出す尾方、児玉に、山原も一気にペースを上げて応戦するが、佐藤は1センターで前団を叩き切ると、最後も力強く踏み直して追いすがる山原、鈴木を振り切った。
 「率直に1周逃げて、逃げ切れたことは嬉しいです。前に尾方さんと児玉さんって強い自力選手がいたので。尾方さんよりも先に出ようと思っていました。尾方さんが仕掛けにくいタイミングでいくことだけ決めていました。私は自分のタイミングでいけるアドバンテージがあったので前だけ見て走りました。後ろに強い選手に入られてもゴール前で抜かれないように走りました。得意の戦法の一つができたのかなって。雨のときはバンクが軽いと思っているのでマイペースで行きました。日に日に緊張感も高まってきて眠れなかったんですけど、高いレベルで走れることは貴重なので気持ちで乗り切りました。優勝だけみて無駄なことは省いて」
 鈴木美教は道中で山原の後位を主張して、尾方を下げさせる。佐藤にはまくられたものの、児玉、尾方を合わせ切った山原に続き、ゴール前では山原を内から交わして2着に入った。
 「道中はすごく余裕があったし、周りが見えていた。(児玉と)あそこでかぶらなかったら、自分も外を踏みたかった。それで内を踏むかたちになったけど、かなり伸びていた。ここに来るまでにスピード練習をしっかりして、ナショナルチームとかの人たちのレースでスピードが上がっても周りを見られた。そこが収穫です」
 今シリーズは山原さくらも存在感を存分に発揮。前受けからそのまま自力勝負に出ると、まくる児玉を合わせて切り、突き放しにかかる佐藤との差も最終2センターで詰め切った時はあわやと思わせた。
 「(このメンバーで)脚が一番ないので、自分で行くしかないと。昨日(2日目)もそれで確定板にのれた。それしか方法がなかった。(最終)バックでは一瞬、夢をみたんですけど。(佐藤が)本当に強かった」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 打鐘前2コーナーからカマした犬伏湧也が主導権を握り、松浦悠士(写真)との中四国コンビで出切る。最終2コーナー、3コーナー4コーナーと何度も後方の動きを確認した松浦はギリギリまで引き付けて直線入り口から踏み出す。最後は中団まくりの岩本俊介がスピード良く迫って並び掛けてくるが、ハンドルを投げ勝った松浦が勝利。
 「犬伏君がレースを作ってくれたおかげですね。(道中は)後ろから2番目が一番いいかなって思っていたんですけど、犬伏君がすぐに叩きに行きそうになって。でもその後冷静に行ってくれたので。今日(決勝)は昨日と違っていいペースで行ってくれたので。ホームでぐっと掛かり切った感じだったんですけど、3コーナーくらいから失速している感じで。連係もこれで3回目になりますし、脚力や踏み方だったりが分かっていたのが大きかった。新田さんが後ろにいるのがわかったので内を空けても慎太郎さんが入ってくる恐怖心もなかったですし、ギリギリまで待って踏みました。(大会史上初となる連覇となったが)裕友と合わせれば3連覇なので相性良い大会なのかなって思いますし、スポンサードされているチャリロト場で勝てたのは良かった。たくさん応援してもらってその期待にも応えられたのかなって思います。オールスターのファン投票も2位に選んでもらったのでそれに応えられる走りができるように頑張ります」
 赤板で前団を切った岩本俊介は中四国勢が上がってくるのと同時に、佐賀コンビに内をすくわれて5番手に。その後もまくった新田祐大が外に被る場面もあったが、冷静に脚を溜めると、3コーナーまくりで松浦に肉薄した。
 「しゃくられてしまったのは失敗ですけど、あそこ(新田との併走の所は)は引けないと思ったので。あそこで下げたら力を出せるチャンスがなくなってしまうので。行けるかいけないかは別として。昨日に比べたら吹っ切れて踏めていたし、今日(決勝)に関してはあれがベストだったと思います。最後は甘かったですね。寄せられてしまったので。さすが勝負師ですね。でも今回は思ったよりも成果がありましたね。今までだったら付きバテしているか外に外して終わっていたと思うので」
 外に浮いた森田優弥の動きでタイミングが取りにくくなかったのか、新田はまくり不発。佐藤慎太郎は、和田健太郎が踏み遅れたスキを見逃さず岩本にスイッチするが、3着までがいっぱいだった。
 「悔しいですね。自分としては森田君の動きも雨も気にならなかったですけど。最後に突っ込むコースを間違えたのかなって。岩本君の内をスパっていければ良かったんですけど。それともセンターでもうワンテンポ待って降りれば良かったのかな。でも強い新田が戻ってきたのは嬉しいですね。またみんなで高め合っていければ。新田がいるといないとでは全然違うので。新田がいるから今の俺があると思っているので。やっぱり新田の存在はデカいですから」

次回のグレードレースは、佐世保競輪場開設72周年記念「九十九島賞争奪戦」GIIIが7月23日~26日に開催されます。本開催は、郡司浩平、守澤太志のSS班2名をはじめとして新田祐大、和田健太郎ら強豪が参戦します。九州勢はこの大会3Vの実績を誇る地元の井上昌己を中心に中川誠一郎、小川勇介、伊藤颯馬らが参戦!
7月13日時点の出場予定選手データを分析した、佐世保競輪GIII「九十九島賞争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
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