『第19回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:7月18日

 函館競輪場で開催された「第19回サマーナイトフェスティバル(GII)」は、7月17日に最終日が行われた。決勝は先行策に出た脇本雄太の番手から、松浦悠士が差し切りV。サマーナイトフェスティバル3連覇で通算8度目のビッグ制覇、今年は3月のウィナーズカップに次いで2回目のビッグVで優勝賞金1460万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンフェスティバル2023」の決勝は、久米詩が追い込んで優勝。賞金320万円(副賞含む)を手にして後半戦に弾みをつけた。


ガールズ決勝出場選手特別紹介
ガールズ決勝出場選手特別紹介
S級決勝出場選手特別紹介
S級決勝出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲で神山拓弥が出て、佐々木悠葵-平原康多-神山の関東勢が前受けでレースを始める。新田祐大、松井宏佑、山口拳矢の順で単騎勢が中団を占め、脇本雄太-松浦悠士-山田英明のラインは後方から。
 隊列に変化なく赤板を過ぎ、2コーナーから脇本が動き出す。察知した佐々木はすぐに誘導を切って応戦態勢に入る。打鐘では佐々木が先手を握り、中団が新田と脇本で併走。最終ホーム入り口で脇本は再加速して関東勢を襲う。必死に抵抗する佐々木を叩いて、最終ホーム過ぎに脇本が出切る。松浦がぴったりと続き、3番手には機敏に山田を捌いた松井。関東勢は中団に下がる。一方、後方に置かれた新田は2コーナーからまくりを打ち、山田、山口も続く。だが、新田のまくりは中団までで、レースは完全に前3人の争いとなった。逃げ粘る脇本をゴール寸前で捕らえた松浦がサマーナイトフェスティバル3連覇を達成し、2着に脇本、3着にも松井が入った。







ガールズケイリンフェスティバル2023決勝戦 レース経過

 スタート直後に野口諭実可が落車して再発走に。野口の身体、車体及び接触した児玉碧衣の車体に異常がないことが確認されて改めて号砲が鳴らされた。吉川美穂が勢い良く飛び出して前受け。以下は山原さくら、石井寛子、児玉、小林莉子、野口の態勢になるも、久米の位置が定まらない。山原の後ろに入ろうとして果たせず、最後方まで下がってから再度上昇して今度は山原の前に入る。1車引いた山原は赤板ですぐに動いて久米の前に入るが、石井も追ってきて山原の後位は併走に。打鐘前までくると、吉川、山原は後続を警戒して車間を切りだし、石井はさらに車を上げて吉川の後ろに入る。また、後方では野口が動いて児玉の後位で小林と併走。誘導員が退避して押し出される格好で前に出た吉川が流していく中、児玉が2センターで一気にカマす。合わせて踏み上げる吉川を叩いて児玉が先行勝負に出る。懸命に続こうとする野口を制して久米が児玉の後位に追い上げ、2車に行かれた吉川が3番手、4番手に石井。立ち遅れた山原は2コーナーからまくるも中団までで不発に終わる。そのままの態勢で直線に帰ってくるが、ゴール前まで来て児玉は力尽きて失速。久米が鋭く抜け出して優勝し、2、3着にも吉川、石井が流れ込んで波乱の決着となった。







<1R>

柳原真緒選手
柳原真緒選手
 3、4番手が併走のまま赤板を迎えて、誘導が退避した打鐘過ぎに吉村早耶香が先頭でペースを握る。最終ホーム手前で柳原真緒(写真)が、単独の3番手を確保する。吉村もペースを上げて逃げるが、2番手の野本怜菜、4番手の日野未来が2コーナーからまくる。野本に続いた柳原は、外の日野とかぶるも狭いコースをまくり追い込んだ。
 「(周回中から日野にフタをされていたが)誘導が上がれば後退していくと思ったので、あそこは引かなかった。吉村さんが駆けた感じから簡単にはまくれないなって思った。それでワンテンポ、ツーテンポまってからと。野本さんもまくりに行きそうだったのでそれを待ってからでした」
 4番手からまくった日野未来は、柳原に合わせられ最終2センターで外に浮いたが立て直して2着。
 「外枠なので前を取れなければ、いい位置は取れないと思った。キツかったですけど、外併走を選択しました。あそこで(打鐘で柳原にすくわれてしまったが)バックを踏むとダメだってトライアルだったりで経験していたので、あの位置が取れたと思います。後悔しないようにしっかりと踏みたかった。(柳原に合わされて苦しくなったが)いっぱい練習してきたので、最後まで踏めたと思います」

<2R>

坂口楓華選手
坂口楓華選手
 3番手にいた尾方真生は、外に林真奈美がいて包まれた状態で打鐘を通過する。スローペースのなかで、6番手の坂口楓華(写真)は最終ホーム手前からスパート。外併走から林も踏むが、坂口が叩き切って先行策に出る。飛び付いた林と鈴木奈央で2番手が併走になり、4番手の村田奈穂が2コーナー過ぎからまくって出る。村田のまくりは2番手までで、その後ろの尾方も前が遠い。リズム良く駆けた坂口が押し切った。
 「(最終日は)思い切った自分らしい走りをしようと。カッコいいと思ってもらえるようなレースを心がけているんで。(尾方が)内に詰まってたんで行くしかなかったし、行くべきところでいけた。決勝に上がれなくて、すごく悔しかったけど、(気持ちを)切り替えて走れた。(シリーズを通しては)なかなか思うようにはいかないけど、ちょっとずつ(力は)上がってきていると思います」
 周回中は3番手の尾方の外にいた林真奈美は、逃げた坂口の番手にタイミング良く飛び付く。鈴木との併走をしのいで流れ込んだ。
 「今日(最終日)は外併走でも良かった。初日、2日目とSを取って勝負圏内にいられなかった。最悪、(3日間連続で7着でも)プラスになる走りをしようと。調子自体はそんなにいいわけではない。調子がいい時の結果で今回は出られているんだと思います。力の差があるのはわかってた。それでも(出るのは)意味があるんだと感じて走ってました」

<4R>

橋本壮史選手
橋本壮史選手
 三谷竜生が切った上を3車の中四国ラインが出て主導権。すかさず仕掛けた橋本壮史(写真)だったが、島川将貴もペースを上げて駆ける。橋本は打鐘過ぎに落ち着いて、空いた4番手に入り小休止。8番手に置かれた坂本貴史が打鐘4コーナーから仕掛けて、橋本は最終1センターで合わせるようにまくる。片岡迪之も番手から出るが、橋本がスピードの違いでとらえて1着。ビッグ初出場の今シリーズで、初勝利を挙げた。
 「正直、(島川を)叩きたかったですね。自分が先行するつもりだったけど、島川さんがヤル気だった。三谷さんのところが空いていたので入りました。(4番手に入ってからは)思ったよりも脚がたまってた。自分の感覚でこの辺りだったら、(別線にかぶらずに)先まくりできるかなと。(ビッグ初出場の今シリーズは)まだまだですね、自分の力を思い知らされました。今日(最終日)1着を取れたのは自信になるし、落ち着いて対処できたんでいいのかなと」
 別線に主導権を譲ることなく島川が逃げる。片岡迪之は橋本に合わせて番手発進も2着。
 「シマちゃん(島川)がフカしてたんで、タレてきたらどこかのラインが飛んでくるだろうと。そこに合わせて出ないと、(池田)良さんもいたんで。(橋本の)勢いがいいように見えたし、振りながらでたんですけど、力負けでした」

<10R>

古性優作選手
古性優作選手
 眞杉匠の上昇を、前受けの松本貴治が赤板過ぎに突っ張る。一度は8番手に下げた眞杉が、2コーナーから再度踏み込む。眞杉が打鐘4コーナーで主導権を奪い、古性優作(写真)は最終ホームで5番手。2コーナーからのまくりで前団を仕留めた古性が1着。
 「(組み立ては)とくに考えてなかった。正直、かなりしんどかった。今日(最終日)も1着が取れるイメージがわかなかった。踏み出した時もめちゃめちゃ重たかったです。前橋はバンクが軽かったし、組み立てでなんとかできたけど。このクラスだとGIIですけど難しかった」
 危なげなく古性に続いて直線で差を詰めた南修二は、半車輪、及ばず。
 「(古性は)さすがというか強かった。あとは自分がミスをしないように心がけていた。(準決での脇本雄太との連係も)脚力通りですね、しっかりトレーニングをしていかないと」

<11R>

久米詩選手
久米詩選手
 スタート直後に野口諭実可が落車して再発走。5番手の児玉碧衣の後ろは、打鐘手前で併走になり、前の隊列は吉川美穂、石井寛子、山原さくら、久米詩(写真)の順番。2センターから児玉が踏み込んで、それに呼応して一気にペースが上がる。久米は最終ホーム手前で外に持ち出しダッシュを利かせて、カマした児玉の後ろに入る。児玉碧衣の先行で、6番手からまくった山原は前が遠い。2番手で脚をためた久米が、直線で抜け出して優勝。
 「以前だったら負けても次に頑張ればって思っていたんですけど、いまはやってやるっていう気持ちで挑めたのが勝ちにつながったのかなと。(再発走になったが)選手生活をしていれば、こういうことはあるだろうなって思っていた。再発走は初めてだったんですけど、しっかりと対応して、もう1回集中し切れたのかなって思います。たぶん前なら(最終ホームで)山原さんに付いていって3番手だったと思うんですけど、自分で児玉さんに切り替えて番手に入れた。レースの組み立ての部分でも、成長できたのかなって思います」
 カマした児玉、さらに久米に行かれた吉川美穂だったが、前から3番手の好位置に入る。悔しさをにじませながら、流れ込んだ2着を振り返る。
 「前受けになったら、後ろから来るのに合わせて思い切り行くだけでした。挑戦者の身なんで、あわよくば“全ツッパ”ていうのもあったんですけど、(児玉)碧衣ちゃんが強かったです。(3番手に入ったあとは、最終)バックで少し余裕も出て、もしかしたらって思いました。けど、脚もタイミングも悪かった。(久米)詩ちゃんよりも早く踏まないとアカンかった。伸びる感じもあったんで、ちょっと悔しいですね」
 打鐘過ぎに吉川の後ろに追い上げた石井寛子は、最終バックで4番手。直線勝負にかけたが3着まで。
 「初めのスタートで野口さんが児玉さんの後ろを主張していて、2回目も主張していた。自分はそこじゃないなって。山原さんが長めに行く想定もしていてのあの位置だったんですけど…。どうしようって冷静じゃなかったんですね。(再発走もあり)迷いがありましたね。集中し切れなかった」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 周回中、7番手の脇本雄太は、一撃にかけて赤板1センター過ぎからスパート。それを察知した前団の関東勢も、フルアクセルでペースを上げる。空いた中団で休むことなく脇本が迫り、スピードの違いで最終1コーナー過ぎに逃げる佐々木悠葵をとらえる。松浦悠士(写真)まで出切るが、遅れ気味だった山田英明がさばかれて3番手には単騎の松井宏佑。切り替えた平原康多が4番手で、2コーナーからまくった新田祐大は中団まで。逃げた脇本の番手から、松浦がゴール前できっちりと差し切って優勝。サマーナイトフェスティバル3連覇を遂げた。
 「まずは3連覇できたということよりも、しっかりワンツーできたのでホッとしています。(脇本との)緊張と楽しみが半分、半分だった。(3連覇を達成すること自体は)自分の力だったらどうだろうっていうのはありますね。(脇本は)一番強い選手ですし、信頼していました。付けてみて強さを感じましたね。(脇本に付けるという決断は)普段から話もしますし、人間性だったり、競輪だけじゃない部分もあった。(脇本は)すごかったですね、本当に強いの一言でした。掛かりがすごかったので、誰も来られないだろうとは思いました。けど、(最終)バックで後ろを確認はした。自分が抜けるか抜けないかは、全然わからなかったですね。(脇本の)余力がどれだけあるかわからなかったですし、(自分は脚を)どんどん削られていっていた。(地区の違う脇本に)付くからには結果を求められると思いますし、下手なレースはできないなと」
 機動力の違いで関東勢をのみ込んだ脇本雄太は、出切ってからもそのスピードは衰えない。単騎を含めた別線には、反撃の隙を微塵も与えなかった。
 「(仕掛けた時は佐々木と)ちょっとテンポが合っちゃったんですけど、そこは力ずくで行かないとっていう気持ちはあった。新田さんのところが空いているのが見えた。入れたらラッキーかなって思ったんですけど、それじゃ意味がないというか、決まらないと思った。(今回は松浦と初連係となったが)誰が付いても、自分のスタイルは変えないつもり。これだけ一緒に戦っていれば力量は知っていたので、あのペースで行ったら抜かれるかなって思った。それでもチャンスはあると」
 打鐘2センターで外の山田をさばいた松井宏佑は、前の2人を追いかけて3番手。最終4コーナーから追い込んだが届かなかった。
 「(松浦の後ろに)スイッチする時にかなり脚を使った。(最終4コーナーで)踏み込んだ時には脚が残っていなかったですね。早めに仕掛けても合わされるかなと。最後の最後と思ったけどダメでした。力不足です」

次回のグレードレースは、福井競輪場開設73周年記念「不死鳥杯」GIIIが7月22日~25日の日程で開催されます。
今シリーズは脇本雄太、古性優作、佐藤慎太郎のSS班3名をはじめとして、清水裕友、松井宏佑、吉田拓矢ら全国各地から強豪が集結します。
主役を務めるのはもちろん地元の脇本雄太。ワールドクラスのスピードにものを言わせて大会6V目を達成するか。脇本選手の一挙手一投足に注目が集まります。

7月10日時点の出場予定選手データを分析した、福井競輪「不死鳥杯」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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