『第4回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

 
配信日:7月20日



 真夏の祭典、サマーナイトフェスティバルは本日が最終日。1着権利の予選を突破した9名による決勝戦をメインに9レースが行われた。注目のファイナルは稲垣裕之が先行し、その三番手から新田康仁が追い込んで優勝。4代目の夜王に輝いた。



決勝戦 レース経過

 スタートで渡部哲男と兵藤一也が飛び出すが、正攻法は渡部が取り切る。周回は前から渡部―石丸寛之―山崎芳仁―兵藤―井上昌己―稲垣裕之―加藤慎平―新田康仁―内田慶の並び。
  赤板前の4コーナーから上昇を始めた稲垣はホームから中団の山崎にフタをすると、打鐘過ぎに先行態勢に入る。中団には前受けの渡部が入るが、稲垣の踏み出しでやや口が空く。そこを見逃さなかったのが山崎。打鐘4コーナーから早めの巻き返しを見せていたが、ホームで中団に降りると車間を切って再度仕掛けるタイミングを待つ。遅れを取った渡部は井上をドカしにかかるが、2コーナーで内が空くと見るやスルスルと上昇。バックで山崎の前まで出る。先手ライン三番手をすんなり回った新田は2センターからまくり追い込み。合わせて踏み込む加藤を捕らえると、嬉しいビッグレース初優勝を飾る。加藤は惜しくも2着、内を上昇し最後は新田目がけて外を踏んだ渡部が3着に。人気の山崎は外を巻き返すも届かず4着に敗れた。

胴上げ 表彰式
胴上げ
表彰式
ゴール
ゴール


<1R>
石毛克幸選手
石毛克幸選手
   1レースは菅原晃が小林大介を叩いて主導権を握り、番手の荒井崇博に有利となったが、萩原孝之のまくりに乗った石毛克幸(写真)が外を鋭く伸びて1着をさらった。
  「萩原君は踏み出しが良かったから行ったと思ったけどね。荒井君が車間を開けてから思い切りブロックしてきたから、萩原君が止まってしまったんでそこからは自分で踏みました。中村(浩士)君は内を行くだろうから自分は外へ。今日はあまり自分では踏んでいないけど、調子が良くなければあの外は行けなかったと思う」


<2R>
鈴木誠選手
鈴木誠選手
   2レースは石橋慎太郎が金山栄治を突っ張り切って主導権をにぎると、最後は直線で石橋マークの鈴木誠(写真)が抜け出した。
  「今日は石橋は絶対に引かないと思ったし、金山君を突っ張ったのも想定どおり。もちろん突っ張り切れると思っていたし、出切ってからも全くタレていなかったから(石橋は)強かったよ。石橋のような超ダッシュ型にしっかり付いていけているし、最近は身体の調子がすごく上向きだっただけに、こうして結果に現れたのは自信になります」


<3R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
   3レースは海老根恵太(写真)が七番手から前団をひとまくり。石毛克幸、鈴木誠に続いて千葉勢が立て続けに1着。
  「初手で三番目のラインに付いて、誰かが押さえて緩んだら行こうと思っていた。9番(松崎貴久)が内から先行して予想した展開と違ったけど、落ち着いていけました。千葉は初めの人がコケると皆ダメなことが多いんです。昨日1レースの自分がそうだったし。今日は1レースで石毛さんが勝ったからイケるかなと。勝てて良かった」


<4R>
中村一将選手
中村一将選手
   4レースは、逃げた菊地圭尚ラインを追った中村一将が、豪快にまくりを決めると、直線で中村マークの大塚健一郎が追い込んで1着。
 大塚健一郎は「中村君に作戦は任せていただけに、付いていくだけでした。中団併走で苦しかったけど、ずっと踏みっぱなしだった中村君はもっときつかったでしょう」と中村の頑張りをねぎらう。
  中村一将(写真)は中団外併走の苦しい展開を耐えしのぎ、2着入線を果たす。
  「一旦、中団に入ったけど山口(貴弘)君がすぐに追い上げて併走になってしまったから、仕掛けるしかなかった。自分のタイミングとずれていてきつかったけど、前のスピードをもらっていただけに思ったほど車が出ました。今日みたいな苦しい展開で連にからめたのは大きい」


<5R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   5レースはホームからカマした佐藤友和に乗り、神山雄一郎(写真)が番手から抜け出して1着となる。
  「今日は作戦は佐藤(友和)君任せだった。スタートの位置が予定と違ったから自分はちょっと焦ったけど、佐藤君は冷静だったし、落ち着いて仕掛けてくれた。踏み出しがしっかりしていたけど、一番良いときを知っているだけに、その頃と比べればまだまだみたい。でも、後ろに付くならこれくらいがちょうど良いね(笑)」


<6R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
   6レースを勝ったのは小嶋敬二(写真)。桐山敬太郎と飯野祐太の若手機動型の両者がモガキ合いとなると、すかさずその上をひとまくり。直線でマークの紫原政文に詰め寄られたが、何とか振り切った。
  「結果的にはもがき合いになって展開が向いたけど、8番(桐山)が行ったときに出切れるのか分からなかったし、昨日みたいに後方に置かれるといけないからホームで踏んでおいたのがよかったね。それと小橋(正義)さんが切り替えずに三番手に付いてくれていたのが良かった。一車といえども大きいですからね。ホームが向かい風でそこから流れるところがなかったし、3コーナーでもう向かい風になったからもの凄く苦しかった。勝ち上がれなかったのなら気持ちを切り替えて、負け戦といえどもしっかりと勝つことが大事。だから良かったですよ」
  小嶋マークの紫原政文は必死に詰め寄ったが、小嶋を交わせなかった。
  「踏み出しにはしっかり付いていけたけど、あれを抜くのは無理ですよ。何年か前に彼と連係して、離れた事があったから今日はムキになって抜きに行ったつもりだったんだけどね。それにしてもキツかった。こんなにきついのは吉岡(稔真)に付いて以来ですよ」


<7R>
小野俊之選手
小野俊之選手
山内卓也選手
山内卓也選手
   7レースは先行した金子貴志の三番手から小野俊之(写真)が抜け出して1着。
  「今日は恵まれました。(山内)卓也が仕事をするの分かっていたし、自分はしっかりと内を締めて三番手の仕事をして、ギリギリまで待ってから踏みました。本当は卓也の外を踏みたかったけど、横に並んでいてコースがなかったから、悪いけど中を割らせてもらいました。車のセッティングも決まってきたし、あとは自分の調子を上げていくだけ」
  金子マークの山内卓也(写真)は2着となったが、「金子さんがあれだけうまい駆け方をしてくれたわけだし、何としても連にからんで欲しかったですね。番手として仕事はできたつもり。最後は三番手(小野)に交わされる分には仕方ないでしょう」とサバサバ。


<8R>
遠澤健二選手
遠澤健二選手
   8レースは平原康多が積極策で別線を完封。遠澤健二、松坂英司らを連れ込んで、ラインで連独占を決めた。平原は本日唯一の逃げ切り勝ちに、表情も明るい。
  「昨日は、まくりだったし今日は積極的に主導権を取るつもりでした。思い描いた作戦通りでしたね。ホームは向かい風できつかったけど、齋藤(登志信)さんに飛び付かれないようにうまく踏めたし、出切ってからは車が流れた。ひとつ勝ててホッとしています」
  平原マークの遠澤健二(写真)は、吉田敏洋のまくりを止める好プレーで存在感を示した。
  「平原が一気のカマシではなかったし、しっかり付いていけました。2センターで吉田を止めたとき、吉田と少し接触してしまいヒヤっとしました。最後は平原を抜けなかったけど、しっかりまくりを殺せたし、ラインで決まったので自分の役目は果たせたかな」


<9R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   9レースの決勝は、前述の通り新田康仁が稲垣裕之の三番手から追い込んで優勝した。
  「あまりにもすんなり勝ってしまって何か悪いなと。でも、選手になって15,6年? 長かったし嬉しいですね」
  加藤慎平(写真)は絶好のハコ回りとなったが、新田との伸び比べに敗れて2着。
  「このレースで先行するって事は稲垣さんが自分に『慎平、1着を獲れ』と言ってくれているようなもの。絶好のチャンスだったのにそれを生かせなかった訳だし、本当に稲垣さんに申し訳なかったです」と肩を落とす。
  山崎芳仁(写真)はホームで巧く中団を取ったものの、渡部哲男に内をすくわれ仕掛けを逸した。
  「ホームで哲男の前が開いていたので、スーッと中団に入ってしまい様子を見てしまった。そうしたら哲男に(内から)フワッと来られてしまった。予定していない動きをしてしまっただけに残念です」
  その渡部哲男は「ホームで踏み遅れてしまい、山崎さんに入られたのが誤算だった。バックで前との車間が詰まったし、あの展開では内を行くしかなかった。ホームでしっかりと中団を取っていれば後ろの石丸さんにもチャンスがあった訳だし、申し訳ないことをしてしまった」と悔やむ。
   
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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