『第8回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:8月18日
 第8回サマーナイトフェスティバル(GII)は8月18日に最終日を迎えた。ゲリラ豪雨による中断もあったが、全9レースが無事に行われた。激戦を勝ち抜いた9名による決勝戦を制したのは武田豊樹。京都勢の抵抗を力でねじ伏せ、3年ぶり2度目の“夜王”に輝いた。
決勝戦 レース経過
 号砲と同時に渡邉一成が飛び出してスタートを取る。菅田壱道が上昇して東北勢が前攻め。武田豊樹-長塚智広、深谷知広-中村浩士が続き、藤木裕-川村晃司-村上義弘は大方の予想通りに後攻めを選んだ。
 赤板前の4コーナーから藤木が上昇すると、深谷も呼応して前へ踏む。深谷の中団取りを察知した菅田も4番手は譲らずに併走。武田は中団の混戦を見て後方へ車を下げた。
 京都勢が先手を取り打鐘が鳴ると、一気にハイペースへ。武田は中団まで追い上げに動いた渡邉を追う形で踏むと、最終ホーム手前でそのままスパート。川村も2コーナーから番手まくりで応戦するが、武田のハイパワーは外から一気に前団を飲み込む。長塚はやや離れ気味となり3コーナーを追いきれずに、村上義弘に一発もらい圏外へ。最後はまくり切った武田と切り替えた村上の一騎打ちになったが、武田のスピードは衰えずに優勝。唯一、地元地区から勝ち上がった深谷だが、自力で仕掛けるタイミングを逸して、4コーナーから突っ込むも3着が一杯。
ゴール
ゴール
レース後記者に囲まれる武田選手
レース後記者に囲まれる武田選手
表彰式
表彰式
<1R>
成田和也選手
成田和也選手
 オープニングレースは成田和也(写真)が切り替え策から直線一気。落車の影響を感じさせない差し脚で貫禄を示した。
 「勝てて良かったです。落車しても走るしかないですから。内藤さんのアシストにも助けられました。あれが精いっぱい。最後の伸びはあんなものでしょう」
 稲川翔は前団のもつれを好回転でまくり切った。
 「最近は緩んだところで行くと決めている。いいタイミングで仕掛けられました。でも、思ったよりも最後はタレましたね」

<2R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 激しい雨がバンクを叩きつける中で行われたレースで、主導権を握って出たのは南関勢。逃げた柴田竜史の番手から松坂洋平が最終2コーナー手前から番手まくり。松坂を追った海老根恵太(写真)が、直線で柴崎淳の強襲を振り切って勝ち星を挙げた。
 「本当にうれしい。自分ひとりじゃ絶対に無理だった。(松坂)洋平が強かった。感じとしてあんまり良くないけど。1着が取れたんで、これでいい方向にいけば」
 松川高大とからんだ柴崎淳だったが、永井清史後位をキープし鋭く追い込み海老根に肉迫の2着。
 「あれで後は、永井さんの仕掛け待ちでした。雨がすごかったけど、そこは冷静でしたね。(永井が)浮いていたんで外は無理だと。コースは内しかないなって思って踏んだ」

<3R>
鈴木裕選手
鈴木裕選手
 豪雨の影響で20分遅れのスタート。自力型3車で並んだ千葉勢の先頭を務めた根田が果敢に主導権を握る。鈴木裕(写真)が3角からの番手まくりで快勝した。
 「天候のせいで発走が遅れたけど、その辺は全く影響がなかったです。ただ、雨で前は見にくかったですね。今日に関しては全て根田君のおかげです。できればラインで決めたかったですね」
 千葉勢を追走した荒井崇博はバック過ぎに内を踏み上げ、3番手の小埜正義を飛ばして2着に追い込んだ。
 「早めの番手まくりなら付いていたけど、なかなか出なかったから。バック線までは我慢したけどね。内に入っていくしかなかった」

<4R>
吉本卓仁選手
吉本卓仁選手
 別線となった北日本勢は坂本貴史にフタをした鈴木謙太郎が、打鐘から出て先行策。前受けから8番手に置かれた吉本卓仁(写真)だったが、最終ホームから前との車間を詰める勢いでロングまくり。ゴール前できっちり前団をとらえた。
 「踏み遅れて車間が空いたけど。みんなが降りて入っていったときに、その車間が詰まっていったからそのまま行った。展開的には良いとは言えないですよね。市田(佳寿浩)さんが初めて付いたから、自分ではもっと長い距離を踏みたかった」
 二の足で粘り込んだ鈴木謙太郎が3着と健闘。
 「今日は坂本君に駆けられたら厳しくなるって思ってたんで、自分が駆けようって。感触も良かったし、いい時のペダリングが意識してできるようになってきた」

<5R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 新田祐大のカマシ先行に乗った芦澤大輔(写真)が番手絶好の展開をしっかりものにした。
 「新田君とは初連係。気迫が伝わってきたし、いいレースをしてくれました。僕は連れていってもらっただけ。ワンツーが決まって良かったです。今回は初めて4.08のギアを使ったんですが、踏んだ感じは悪くなかったです。武田(豊樹)さんはもっと大きなギアを踏んでいますからね。自分も踏めるようにしていきたい」
 新田祐大は4.33の特大ギアに初挑戦。世界で戦ってきた豪脚で同型を圧倒した。
 「オリンピック帰りで、いいレースができたと思います。4回転以上を踏むのは2回目。初めてのときは悪い感触でしたが、今回は手応えをつかめました」

<6R>
野田源一選手
野田源一選手
 岡田征陽が打鐘過ぎから逃げる意外な流れ。この3番手をうまく確保した野田源一(写真)が3角から力強くまくって激戦を制した。
 「絶好の形になりました。山賀君がすごいスピードで来てびっくりしたんですが、そこそこ余裕はあったし、何とか合わせることができました。F1では結果が出ているけど、こういうビッグレースで結果を残せて嬉しい。これからはもっと高い目標を掲げてやっていきます」

<7R>
飯嶋則之選手
飯嶋則之選手
 池田勇人の先制攻撃で関東ペース。飯嶋則之(写真)がライン3番手から鋭く突き抜けた。
 「前2人のおかげです。後ろでトラブルもあって恵まれました。余裕は全然なかったです。4.25のギアはやっぱり重いし、踏み切れていない。今日のような単純な展開ならいいけど、もつれたら厳しいですね」
 池田勇人は格上の同型を相手に見せ場を作った。
 「力は出し切れました。緩めたら稲垣さんが来ちゃうと思って、ずっと踏みっぱなしでした。きつかったです」

<8R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 金子貴志(写真)が浅井康太のまくりに乗って大外一気のゴボウ抜き。木暮安由マークから追い込んだ伏見俊昭と1着を分け合った。
 「厳しい展開になりましたけど、浅井は強いんで信頼して付いていました。スピードもらって突っ込めましたね。届いたかどうかは分からなかったんですが、気持ちのいいレースでした。最近は練習の成果が出ています」
 伏見俊昭も2日間、鋭いキメ脚を発揮した。
 「木暮は位置取りがうまいので安心して付いていました。外の浅井の勢いが良かったので踏まざるをえなかったですね。今回はいい感触でした」

<9R>
村上義弘選手
村上義弘選手
 注目の決勝戦は武田豊樹が圧巻のまくりで優勝を飾った。レースを支配したのは京都勢。ライン3番手を回った村上義弘(写真)は武田のまくりに切り替え迫ったが、優勝に手が届かなかった。
 「京都勢で最高のレースができたと思う。前の2人が頑張ってくれました。武田さんを抜きたかった」
 深谷知広は仕掛けのタイミングを逸して3着に敗れた。
 「斬って4番手で勝負と思っていたけど遅れてしまった。ちょっと弱気だったし、弱かったです。こういうレースをしていると脚が落ちてしまうので、次は力勝負します」
 渡邉一成は目標の菅田壱道と連結を外してしまい、最後まで持ち味を出せずに終わった。
 「壱道に任せて番手の仕事をしようと思っていたんですけどね。ヨコができないので、ああいうゴチャついたレースになってしまうと厳しい。まくっていっても武田さんを引き出す形になっていましたね」
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