『第10回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 初日編

配信日:8月8日
 松戸競輪場を舞台に真夏の夜を彩る競輪界の祭典「第10回サマーナイトフェスティバル(G2)」が、8日に熱戦の火ぶたを切って落とした。短期決戦の年に一度のナイターでのビッグレース。自動番組編成によるオール予選が行われた初日は、深谷知広が圧巻の逃げ切りで最終レースを締めた。9日の最終日に決勝の号砲が鳴らされ、節目となる第10回の“夜王”が決まる。また、新設された「ガールズケイリンフェスティバル2014(F2)」の予選では、小林優香が16連勝を達成。ガールズのトップ選手が織り成す白熱のバトルに、ファンはクギ付けとなりスタンドは大いに沸いた。
 本場では最終日も、オリジナルクオカードが抽選で当たる三角くじを先着4000人に配布します。また、「烈車戦隊トッキュウジャー」のショー、「慶(ケイ)」イリュージョン、「栗田貫一」によるモノマネライブ、「中野浩一氏と中村アンさん」によるトークショーなどが予定されています。松戸競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
中村浩士選手、篠崎新純選手の敢闘宣言
中村浩士選手、篠崎新純選手の敢闘宣言
華やかに幕を開ける
華やかに幕を開ける
滝澤正光氏&山口健治氏 トークショー
滝澤正光氏&山口健治氏 トークショー
小山健withナガシーズ ライブ演奏
小山健withナガシーズ ライブ演奏
叶音 マジックショー
叶音 マジックショー
熱気増す真夏の祭典
熱気増す真夏の祭典
<1R>
加瀬加奈子選手
加瀬加奈子選手
 今シリーズ初めて行われたガールズケイリンフェスティバル。打鐘から田中まいと奈良岡彩子の主導権争いも、ホーム前から仕掛けた加瀬加奈子(写真)がまくり切った。
 「車間を空けて詰める勢いで行こうと思ったけど、ヘタでした。33(バンク)で良かったです。決勝になったらすんなりいかない。スケジュールが詰まってて疲労が抜けないけど、日に日に(調子が)上がっていくような感じがある。(初代の)夏女になれるように頑張ります」
 積極的に仕掛けた田中まいが2着に粘った。
 「前を取りたかったんで、ああなりました。もし前を取れなくてもジャンから攻めて行こうと思ってました。落車もあったんですけど、2着を取れたんで自分の力は出し切れてると思います。加瀬さんに出られてしまったけど、ホームまで全開で踏めました」

<2R>
石井貴子選手
石井貴子選手
 増茂るるこが打鐘で前を叩くと、さらに石井貴子(写真)がカマして主導権を握る。石井貴は一本棒のペースに持ち込むと、最後は迫る石井寛子を振り切って堂々の逃げ切り勝ち。注目の両者の対決は、まずは地元の石井に軍配が上がる。
 「今日(初日)は内に詰まる展開も予想してたし、詰まってもそのうち開くだろうから、落ち着いて行こうと。2センターから思い切って仕掛けました。ギアを(初めて3.85に)上げてみたけど、普段練習しているときと変わらない感じで踏めました。(地元という)場所が味方してくれたのもありますね。とにかく決勝に乗らないと話にならないと思ってたのでよかった。決勝もしっかり頑張ります」
 石井寛子は4番手から鋭く迫ったが2着まで。
 「山原さんか、(石井)貴子さんが先行すると思ってたんですけどね。打鐘のところで失敗しました。最悪の4番手でしたね。最後は内しかないと思ったんで必死で踏みました。脚の感じはすごく良かったので、あそこまで詰め寄れました。とりあえず決勝に乗れてよかったです」。決勝でリベンジなるか。
 3番手好位を取った山原さくらが3着に入る。
 「打鐘で(増茂のカマシを)合わせようと思ったけど、良いスピードだったので行かれてしまいました。そこからもう一度行こうと思ったけど、前のレースで落車があったし弱気になってしまいました。でも3番手に入れたので、そこからでいいかなと。最後内を空けてしまったのは失敗でした」

<3R>
小林優香選手
小林優香選手
 レースメイクを身上とする奥井迪が、打鐘から主導権を握って出る。最終ホームで3番手にいた小林優香(写真)は、前団の様子をうかがいながらじわじわと車を押し上げると、逃げる奥井を力でねじ伏せるまくりで白星。デビューから負け知らずの16連勝で、ガールズの連勝記録を伸ばした。
 「(初日は)先行選手が多かったし、そこは臨機応変にいこうって思っていました。(周回中は)奥井さんの後ろだったし、動く選手の後ろから思い切って(仕掛けて)行こうと。イエロー(ライン)からの併走とか、ああいうところも想定していたし大丈夫でした。(決勝も)強くて、動く方たちばっかりだけど、そこは負けないように。自信を持って臨みたい。いろんなパターンを想定して、どんなパターンでも勝てるように」
 スタートでは2番手を確保した中川諒子。勝負どころで小林の後位に付けると、まくった小林に流れ込んでまくった荒牧聖未との2着争いを制した。
 「(周回中は)前の方を取れたんでよかったです。あとは奥井さんが先に来ると思っていたので、その動きを見てと思っていました。レース内容はあんまり良くないけど、(決勝に)上がれてたんで。前のレースで(山原)さくらが3着だったんで、自分は(選考順位で)2着じゃないと決勝に上がれないと思っていた。最後は際どかったけど(2着で)よかったです」

<4R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 永澤剛が赤板から前に出て、そのまま主導権を握る積極策。最終ホームで岩津裕介が仕掛けてまくり切るも、岩津の番手に切り替えた神山雄一郎(写真)が直線で差し切り、決勝一番乗りを決めた。
 「落ち着いて対応できた。外を新田(康仁)に行かれたらダメだけど、来ないからチャンスかなと。1コーナーからが長かったね。最近決勝に乗れてなくて、こういうG2で(決勝に)いけてよかった。怪我をしてみて自分を見つめて、最後の頑張り。(決勝は)しっかりラインを組んで戦えれば。みんなの足手まといになりたくなくて、練習してきた結果が出てよかった。(決勝も)頑張ります」
 岩津裕介は惜しくも2着に無念の表情。
 「(新田に)合わせてそのままいった感じです。あそこで出ないと行かれる可能性があったから。力不足です…。(神山が)来てるのはわかっていた。抜かれたくなくて踏んだけど、脚が残ってなかった。普段から1着を狙ってレースはしている。行ける時に行かないと」と悔やむ。

<5R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
 石丸寛之(写真)が会心のまくりで勝利した。レースは桐山敬太郎が後ろ攻めから押さえると、さらに新田祐大が叩いて主導権。新田が流したところを、石丸が猛スピードで駆け抜けた。
 「新田君が流してたので思い切っていきました。まくれるとは思わなかったですけどね。(新田に)合わされそうになったけど、力がグッと入りました。前のレースで神山(雄一郎)さんが801勝したのを見て、僕もまだまだ頑張らないといけないと思った。(小倉竜二と)ワンツーができたし、勝ててうれしいです」
 新田祐大は3着となり優出ならず。懸命に合わせて踏んだもののタイミングが遅く、石丸に先着を許す結果に。
 「番手に桐山さんが入ったのがわかったし、普通にいつものペースで行ったら桐山さんに絶好の展開になってしまうのでギリギリまで引きつけてと思ったけど。追い上げ援護もくると思ってたので。自分らしいレースはできなかったけど、展開は間違ってなかったので、悪くないと思います」

<6R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 成田和也を連れて渡邉一成が果敢に風を切り、福島コンビがレースを支配。川村晃司(写真)は抜かりなく好ポジションをキープ。タイミングを図り最終ホーム手前で3番手からロングまくりを放つと、成田のブロックをかいくぐって白星。復帰のレースで区切りの300勝を飾った。
 「勝ち上がりの段階で、300勝を達成できたのはよかった。走る前は不安だけだったけど、いざ走ってみたら無我夢中でしたね。早く走りたかったっていうのはあった。でも、あっ旋の関係でサマーナイトからだったし、1着で最高です。後ろが競りで申し訳なかったけど、自分の勝てる位置から仕掛けようと思っていた。成田君のブロックもきついのがわかっていたし、なんとか行ければと。1走してこれでなんとかやっていけるのかなっていう感じです。あと何戦かすれば慣れてくると思いますよ」
 渡邉一成の逃げを利した成田和也は、川村を止められずも木暮安由をどかして2着に追い込んだ。
 「(最終)ホームで1回止められるかなっていうのもあった。でも、真後ろに(川村が)いたから…。初手の並びも自分たちにとっては、いい並びになってなかったのもある。自分としては今日(初日)のレースに関しては反応も悪くないし、仕事はできたのかなって思います」

<7R>
平原康多選手
平原康多選手
 自力型が5車と難解なレースで、力の違いを見せ付けた平原康多(写真)が復帰戦を1着で飾った。松岡健介が主導権を握るが、西川親幸が松岡を見失い連結を外す。最終ホーム手前で踏み上げた平原が番手を奪い、最後は直線で抜け出した。
 「後ろを見る気持ちの余裕はなかった。まだ精神的な余裕はないですね。お客さんの声援が大きくて、レースでファンの人の声をここまで感じたことはなかったです。喜んでくれて、ありがたい気持ちでいっぱいです。まだ始まったばっかり。グランプリまで時間があるので、冷静に明日(決勝)も頑張ります」
 主導権を握った松岡健介だったが、直線で沈み5着。
 「(作戦通り)後ろ攻めで前に動いて、平原をああいう形にできたけど、あれで来られたらしょうがない」

<8R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 浅井康太(写真)が横を駆使して決勝進出を決めた。レースは赤板で小松崎大地が押さえてくると、浅井はイン粘りを敢行。伏見俊昭を強引に退かすと、原田研太朗の巻き返しに合わせて番手まくりを放って勝利した。
 「誰もスタートで出なかったので、仕方なしに僕が前に。あのタイミングだったら引いて8番手になってしまうんで、粘るしかないですよね。早めに来たら引こうと思ってたけど。先行屋の2人(小松崎、原田)でやり合う展開になるかと思ってたけど」
 連係した大塚健一郎は、必死に追い込むもマークが精いっぱい。
 「浅井君が前々に行ってくれて、僕は何もしてないので。(粘ったのは)タイミングでしょう。1着権利だし、ああいう展開になったので仕方ない」

<9R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
 天田裕輝(写真)と2車の関東タッグの池田勇人が、ロングラインを背負った根田空史を制して主導権を奪取。番手の天田が根田の巻き返しをブロックして止めるが、中村浩士にインをすくわれる苦しい流れ。追い上げ返すと、最後は脚力でカバー。外を追い込み1着をもぎ取った。
 「池田君が前々に踏んでくれて、あんだけ頑張ってくれれば。(中村にインを来られたが)あそこはもう押さえ込むだけだった。自分はいい状態をキープしているし、今日(初日)は展開が大きかったと思います。決勝に乗れたのはラッキーですよ」
 目標の金子貴志が3番手をキープ。絶好のまくりごろかに思われたが、最終ホームで中村に下りられて万事休す。一度は金子を迎え入れた東口善朋だったが、最終バックから自らまくり上げ2着。天田をとらえるまでにはいかなかった。
 「(金子が)3番手を取ったから、僕も安心していた。あとはまくりに構えるだけだと思った。(金子が)中村さんに放り込まれたのが見えたんで、迎え入れる形を取ったんですけど…。あれで(1着まで)届かないのは現状の脚。届いて欲しかったですね」

<10R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
 高橋陽介がペース駆けで主導権を握る展開も、武田豊樹(写真)が中団からまくって茨城ワンツーを決めた。
 「(稲垣裕之は)お手本の様な競走をする選手。今日(初日)は勝つことができました。(レース前は)自分と向き合って、自分の対戦相手を見て、落ち着いて走りたいなと思っていました。ファンの前から遠ざかっていたが、(1着取れて)うれしい気持ちでいっぱい。いろいろ葛藤してのレースでした。緊張もあって、自転車も新しくて、新しいことばっかりの中、助けてくれたみんなのおかけで勝つことができました。(決勝は)ラインでまとまっていく気持ちがある。(関東勢の)いいところを引き立てる様なレースがしたいです」
 芦澤大輔は武田を追走して2着。反省を口にする。
 「緊張しました。武田さん一人でレースを作って1着になった。自分は追走が甘くて飯嶋(則之)さんにも迷惑をかけてしまった。もうちょっと、武田さん、飯嶋さんとゴール前勝負がしたかったです。(レース)内容は満足いっていないです」

<11R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 佐藤友和(写真)が後ろ攻めから押さえると、さらに村上義弘が叩いて先頭へ。後方からの反撃はなく、村上は早めから先行態勢に入ると、難なく3番手を手にした佐藤が力でねじ伏せた。
 「展開に恵まれましたね。(誰かに)出られたらおしまいなんで、とにかく前に踏んでと思ったらあの位置になった。感じはどうですかね。(久しぶりのレースで)楽しかったので、違和感みたいなものは感じなかったけど、ちょっとわからないですね」
 その後方から山田英明が、猛然と迫ってきたが2着まで。
 「一瞬、(1着が)見えたんですけどね。強い佐藤君に3番手を取られてしまったのはいけないですね。ラスト2周前に自分の立ち位置を考えてたけど失敗した。小嶋さんが動いたその外を行こうと思ってたけど、そうならなかったですね。村上さんの先行がうまかったし、仕掛けにくいレースをされてしまいました」

<12R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板の1センターで松川高大を、単騎の牛山貴広が勢い良く押さえ出てペースが上がる。隊列がほぐれた2コーナーでのポイントを逃さずに踏んだ深谷知広(写真)は、最終ホーム手前で主導権を奪取。まくりで迫る石井秀治を二の足で凌ぎ、番手の稲川翔の追い込みも退ける完ぺきな逃走劇でファンを魅了した。
 「どこで(仕掛けて)行くかを考えていた。ワンチャンスしかないと思っていたし、そこを逃さずに行けた。ここしかないと思ったところでした。(連戦の)疲れはあるけど、いい緊張感で走れていると思います。(浅井康太と決勝に)一緒に乗れているし、いい結果を残せるように」
 深谷ラインのワンツー。見せ場を作るも3着がいっぱいだった石井秀治は、赤板の1センターをポイントに上げてこう振り返る。
 「自分が遅れて深谷君に入られてしまった。あれがなければ深谷君は8番手になって、深谷君が引いている最中に自分がカマす予定だった。デカいミスですね。相手が怪物なのに、脚を使ってない状態で行かれたら…」
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