『第11回サマーナイトフェスティバル(GII)レポート』 最終日編

配信日:8月24日
 函館競輪場を舞台に開催された「第11回サマーナイトフェスティバル(G2)」は8月23日、初めて開催された3日間の熱戦に幕を下ろした。注目のW決勝戦はガールズケイリンフェスティバル2015を小林優香が、サマーナイトフェスティバルを近藤龍徳が快勝。小林は大会連覇、近藤は昨年のヤンググランプリに次ぐ2度目のG2制覇となった。
リラッスクムードのGIRLS決勝メンバー
リラッスクムードのGIRLS決勝メンバー
ファンから花束を受ける男子決勝メンバー
ファンから花束を受ける男子決勝メンバー
スピーチーズ ライブステージ
スピーチーズ ライブステージ
神奈月のものまね爆笑ライブ
神奈月のものまね爆笑ライブ
予想会に出演する柳ゆり菜
予想会に出演する柳ゆり菜
サマーナイトフェスティバル決勝戦 レース経過
 浅井康太、近藤龍徳の中部コンビがスタートで前に出ると周回は浅井―近藤―新田祐大―山崎芳仁―芦澤大輔―小埜正義―原田研太朗―岩津裕介―柏野智典の並び。
 赤板前から上昇した原田は中団の新田にフタ。前受けから誘導員を残して下がってきた浅井が中バンクまで上がると、先頭になった原田は新田にフタをするのを諦め前に出る。一度ペースを緩めた原田は波を作って4コーナー山下ろしで一気にペースアップ。5番手に浅井、新田は8番手で最終ホームを通過する。最初にアクションを起こしたのは小埜。2コーナー過ぎからまくり上げるが柏野の外で一杯に、その外をまくろうとした浅井も膨れてきた小埜が邪魔になり伸び切れない。これで岩津に絶好の流れかと思われたが、直線で柏野と接触して失速。浅井にスピードをもらって中バンクを踏んだ近藤がその外を鋭く伸びて昨年のヤンググランプリに続く2度目のG2制覇。大外を迫った新田が2着に入り、柏野と原田の中を割った芦澤が3着に食い込んだ。


ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
胴上げ
胴上げ
ガールズケイリンフェスティバル2015決勝戦 レース経過
 スタートは梶田舞が飛び出して正攻法。以下は奥井迪、石井寛子、小林優香、小林莉子、山原さくら、加瀬加奈子の順。打鐘前の1センターから加瀬が上昇を始めると、これに気づいた奥井も踏み上げて前に出た。打鐘では奥井が先行態勢に入り、後続はイン梶田、石井、アウト加瀬、小林優で並走状態に。残り一周の4角から加瀬が仕掛けるが、奥井は踏み込んで出させない。すると2角から小林優がスパート。加瀬は封じた奥井だが、小林優のまくりはこらえきれず、2センターで小林優が先頭に立った。小林優は続いた小林莉を振り切って大会連覇を完全Vで達成。2着は小林莉、3着には小林莉を追走していた山原が入った。


ゴール
ゴール
表彰式
表彰式
優勝者
優勝者
<1R>
篠崎新純選手
篠崎新純選手
 打鐘の4コーナーからアタックした山路藍を増茂るるこ、長澤彩、篠崎新純の順で追いかける。最終2コーナーで山路をとらえた増茂の上をすかさずまくって出た長澤だったが、増茂に合わされ踏み合い。最終的には増茂をねじ伏せた長澤だったが、ゴール寸前で篠崎に交わされて2着。
 「ちょっと風があったんで、様子を見てしまいました。(まくりの)出も悪かったし、スムーズじゃなかった。あれだったら差されても仕方ないですね。(今シリーズは)先行をしてもいい時の感じと違ったし、今日(最終日)もいい時だったら抜かれることはなかったと思います。また、力を付け直してきたいです」
 周回中から長澤の後ろにいた篠崎新純(写真)が、長澤とのゴール勝負をハンドル投げで制して追い込みの1着。
 「今日はすごい落ち着いていました。この展開なら(増茂)るること長澤でやり合うと思った。この1着が次の富山につながっていくと思います。新聞でも私に二重丸をつけていただいているところもあったんで、期待してもらっているんだって。それに恩返しするには1着を取ることなんでよかったです」

<2R>
高木真備選手
高木真備選手
 正攻法に構えた杉沢毛伊子のインを門脇真由美が突いてもつれたタイミングで、最終ホーム手前から田中まいがスパート。後位の竹井史香は反応できなかったが、最後方の高木真備(写真)は俊敏に追いかけ2コーナーからは田中と激しいつばぜり合い。最後は4コーナーからの山降ろしで決着をつけた。
 「先行はできなかったが、追いついた勢いでまくりにいけて自力で勝てたことはよかった。でも、3日間を考えると悔しい想いが強い。初のビックレースは甘くなかったです。次のガールズケイリンコレクションではもっと戦えるように練習します」
 ゴール前は失速して4着に沈んだ田中まいだが、レース内容は次回以降につながる走りだった。
 「最終4コーナーでは一杯でした。もう少し粘れないといけないですね。今までは3.64のギアで、今回から3.71ですがまだ踏み切れていない感じ。もっとパワートレーニングをしないといけない」

<3R>
成清貴之選手
成清貴之選手
 単騎で先行態勢に入った高久保雄介を打鐘過ぎから一気に鈴木庸之が叩いて主導権を奪う。ホームから早めの巻き返しを見せた山田英明と稲村成浩で鈴木後位がモツれると、その外を踏んだ南関コンビでワンツーが決まった。勝った成清貴之(写真)は5月青森以来となる1着を素直に喜んだ。
 「おかげさまですね。久しぶりの1着で気分がよかった。自転車も最終日あたりから踏み方が分かってきたんで。最終日は無駄に踏まなかったところがよかったと思う」
 佐藤龍二も連日いいところがなかっただけに、最終日にしての連がらみにホッと胸をなでおろす。
 「最終日にして持ち味が出ましたね。あそこ行けないとダメだし、初日、2日目と失敗してるんで。最終日はつねに前々を意識して走れた。最後、抜かれたのは今の脚ですね」

<4R>
佐藤悦夫選手
佐藤悦夫選手
 赤板の2コーナーで近藤隆司をじわりと押さえて出た池田勇人がペースを握る。関東ラインに山形一気が切り替えて、中団を近藤と併走。池田は後方から巻き返した小嶋敬二を不発に追いやると、中団のもつれをしり目に先行策でライン3車での上位独占を演出。長い写真判定の末に番手の牛山貴広と3番手から追い込んだ佐藤悦夫が1着を分け合う同着。牛山が汗をぬぐう。
 「やっぱり(池田は)強いですね。もう後ろから来られない感じだった。自分も周回中での感覚が良くなっているから、そのぶん余裕がある。ラインの3人で決まってよかった」
 大敗続きだった佐藤悦夫(写真)も、最終日を白星で締めてホッと一息。白い歯を見せる。
 「(池田は)連日いい競走をしているし、あとはウッシー(牛山)が振ってっていう感じでした。ウッシーは(池田を)残しにいっている感じだったですね。自分は連日踏めてなかったけど、調子は悪くないんです。こういう展開になればいいんですけど、なかなか展開が向かないんで」

<5R>
稲川翔選手
稲川翔選手
 前受けの渡邉一成にフタをしながら打鐘前2コーナーで古性優作が誘導員を下ろしたが、すかさず北津留翼がその上を叩いて主導権を奪う。すんなり3番手の古性は2コーナーからまくり上げると、渡邉の巻き返しは不発に。番手の稲川翔(写真)が直線抜け出した。
 「作戦は全て古性君任せ。全部やってくれましたね。初日と比べると道中から余裕があり、踏んだ1歩目の伸びも良かった。まだまだ大きなことを言える状態ではないけど、ひとつずつ課題をクリアしていきたい。次のビックレースである松戸オールスターでは、ドリームに選んでもらったので、恥ずかしくないような競走ができるようにしないといけないからね」
 北津留翼はライン2車で先行したが、古性のまくりに屈して9着に敗れた。
 「古性君が強かったです。初手で中団を取れて、仕掛ける順番もきたから先行したけど…。バックの追い風もわかっていたので、悪い組み立てではなかった。仕方がないですね」

<6R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 初日の深谷知広を見るようだった。打鐘過ぎ8番手からの仕掛けは不発。番手の吉田敏洋(写真)は2コーナー手前から自力に転じると、逃げる南関ラインを飲み込んだ。
 「深谷は自信がないんだろうね。松川(高大)の横でウインカーを出してるくらいだから。出れる雰囲気じゃなかったし、後ろでそれを考えられるようじゃダメ。1着も久しぶりだし、無事終わってよかった。僕は富山記念の落車で右肩が悪い。次は月明けの小田原なんで、まずは治療に専念します」
 絶好の展開だった林雄一だが吉田に1着をさらわれた。
 「決まりそうな感じだったけど次から次と脚のある人が来たから苦しかった。深谷不発の2段ロケットですからね。(深谷の後ろが)普通の追い込み屋だったらラインで決まってましたよ。洋平が頑張ってくれました」

<7R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 叩いて出た佐川翔吾ラインを一度は追いかけた佐藤友和(写真)だったが、結局は下げて7番手からの出直し。どっしりと構えて態勢を整えると、最終2コーナー手前からまくり発進。3番手にいた吉本卓仁を乗り越えて、あとはだ性で前団を飲み込みそのまま押し切った。
 「(まくり)いけましたね。最後もそんなに脚が残っている感じはなかったんですけど。自分の感覚以上に踏めているのかもしれない。ただ、自分としてはそんなにタイムが出ている感じはなかったし、佐川君に油断があったのかもしれない。それでも前回よりも良くはなっている。まだ先があるけど」
 佐藤友をマークした佐藤慎太郎は、4分の3車身差でゴール板を通過の2着流れ込み。
 「一瞬、抜けるかと思ったんですけど…。(佐藤友は)もう一回伸びていったんで苦しかった。かなりいいタイムが出ていると思いますよ」

<8R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
 大方の予想どおり地元の菊地圭尚を連れた飯野祐太が打鐘から先行態勢に入ったが、流したスキを見逃さずに井上昌己がカマシを敢行。最終1コーナーでは前団を捕えてると、番手の松岡貴久(写真)が単騎でまくって来た柴崎俊光をけん制して抜け出した。
 「前で動いてくれた昌己さんと後ろを固めてくれた小岩君のおかげ。昌己さんとの並びはどちらが前でも良かったけど、(井上が)落車明けで脚の状態を確かめるためにも動きたいと言ってくれた。飯野君が少し中途半端な駆け方をしたのを見逃さなかったですね」
 松岡マークの小岩大介が流れ込み九州ワンツー。
 「(菊地)圭尚さんに任されている飯野君がいたので、(井上)昌己さんはまくりに構えてもいいのに、あそこで仕掛けられるのはさすが。最後は脚のある圭尚さんがコースを突っ込んでくると思ったので、そこだけ注意しました」

<9R>
小林優香選手
小林優香選手
 加瀬加奈子を出させずレースの主導権を握った奥井迪を2コーナーから小林優香(写真)がひとまくり。昨年に続き、ガールズケイリンフェスティバルを連覇した。
 「初日、2日ともあまり脚を使わず、自分らしいレースができなかったので、今日は思い切り。ある程度イメージはできていたので、そのとおりできたと思います。(仕掛けるのは)ここって決めていたので、そのとおりできましたし、展開的に岸和田のガールズコレクションと似たような感じだったので思い切り踏みました。(大会連覇は)まだあまり実感はないんですけど、これに満足せず今年はGPまで。GPも獲って全冠制覇というのを目標にしているので、まだまだ満足はできないです」
 周回中から小林優につけていた小林莉子は小林優のスピードにもきっちりと付け切ったが、逆転はならなかった。
 「感じ的にはアタマかと思ったけど、優香は下りを使わずに踏み直してたからすごいなと思った。前回は優香の後ろで3コーナーで千切れたから、少しずつレベルアップできてる。これでGPに近づきましたね」
 逃げた奥井迪はまたしても小林優のスピードに屈した。
 「全然です。自分の思いどおりのレース。あれで完敗なんで弱いだけ。GPまでに優香に、あそこに太刀打ちできるスピードと最後の踏み直しが欲しいですね。悔しいのひと言です」

<10R>
天田裕輝選手
天田裕輝選手
 赤板の2コーナー手前でハナに立った竹内雄作を目がけて、筒井裕哉が襲い掛かる。打鐘前から始まった両者での壮絶な主導権争いは、最終ホーム過ぎに出切った筒井に軍配。が、脚を溜めていた天田裕輝(写真)も早めの発進でロングまくり。筒井後位から稲垣裕之が合わせて出るも、天田がスピードの違いでねじ伏せて1着。
 「タイミングが遅れることがあるので、早め、早めを意識していたのがよかった。自分が(仕掛けて)行った時にはまだ稲垣さんに見つかってなかったんですけど、そこからああなってしまったんでもう力勝負でした。一瞬(稲垣より)肩が出たんでよかった」
 天田に出られた稲垣裕之は、天田に続いた神山雄一郎を最終2センターで弾いて意地の2着。
 「今、絶好調の竹内君をああいう形で叩き切ったんで、そういうところはアイツ(筒井)に自信をもっと持って欲しい。自分は前回の病気のこともあって天田君への対応はあれが今の力ですね。ただ、復調を感じる開催ではあったんで、また走りながら戻していきたい」

<11R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 和田真久留に合わせて出られ主導権を奪えなかった脇本雄太(写真)は鈴木裕にも強烈な一発をもらう。それでも村上義弘のアシストで6番手に入り直すと岩本俊介とのまくり合戦を制して村上とワンツーを決めた。
 「後ろは村上さんでオーラが凄い。(相手が積極的に仕掛けるかなどの)雰囲気は出るものでわかりますよ。それを隠すことが巧い選手もいる。今は先行だけすればよいのではなく、結果も求められ立場なので。どんなに先行したくても、(周囲に警戒されて)難しいときがあるし、その中で先行型として理想を追求することの難しさは競輪に携わっている者にしかわからないでしょうね」
 結果的にまくりで3着となった岩本俊介だが、イメージしていた戦い方ではなかったようだ。
 「今日は先行したかった。鈴木君が準決で頑張ったのを見たからね。周りは強い人ばかりだし、簡単には駆けさせてくれない。難しいですね」
 先手を取った和田真久留だがシンガリ負け。脇本の強さを改めて痛感したようだ。
 「ホントに強いですね。3車ラインになったので、積極的に仕掛ける意識はしていた。展開は岩本さんが駆けるつもりだと思っていたけど、もうワンテンポ遅くレースを動かしていれば違うレースになったと思う」

<12R>
新田祐大選手
新田祐大選手
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 決勝戦を制したのは近藤龍徳。まくった浅井康太のスピードをもらうと、空いた中のコースを一気に駆け抜けた。
 8番手から大外を猛然と迫った新田祐大(写真)だが2着まで。
 「作戦どおりにいったけど、緊張感のある戦いのなかで負けてしまった。(中団を取った浅井と)そこのかけ引きもありましたけど、最後、自分の力が及ばなかっただけ。次の勝負をしっかりできるようにですね」
 まくった中部コンビの後ろからすかさず内に切り込んだ芦澤大輔が3着に食い込んだ。
 「小埜さんと(位置が)バッティングするより自分のところからで一発にかけてました。道中、何をやっても中途半端にならないように。あそこから上を行くのは無理な感じだったんで、自分が最短を行く形になりました。落ち着いてはいました。中割る技術が全然未熟なんでまだまだです」
 原田研太朗の先行で絶好の展開になったかに見えた岩津裕介(写真)はVTRを見返すと「決まってましたね」とポツリ。落車した柏野智典との接触が痛かった。
 「後ろから来る感じもないし、アタマだと思ったら(接触で)止まった。最後は運がなかったですね。(原田が)形を作ってくれたのにモノにできなかった俺の力不足です」
 逃げた原田研太朗は「後ろに仕事をしてもらって、どんだけ僕が残るか。4コーナー一杯で(内に)避けてしまって(後ろ)2人の優勝がなくなってしまった。反省点ですね」とレースを振り返った。
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