『第28回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 最終日編

配信日:10月15日

 前橋競輪場を舞台に開催された「第28回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、台風の影響による中止順延もあり、15日に最終日が行われた。地元の木暮安由をはじめ強豪がそろった決勝は、近畿コンビが主導権。逃げる三谷竜生の番手から追い込んだ村上博幸が、14年の全日本選抜以来、通算3度目(4日制以上)のGI制覇。優勝賞金2940万円(副賞含む)を獲得し、年末の「KEIRINグランプリ2019(GP)」の出場権をつかんだ。

マギー司郎マジックショー
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決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 号砲と同時に素早く出た和田健太郎がスタートを取り、目標の小松崎大地を迎え入れる。隊列は小松崎-和田、三谷竜生-村上博幸、木暮安由、清水裕友-中川誠一郎-園田匠、浅井康太の順で落ち着く。
 青板周回の1センターから上昇した清水がバック過ぎに先頭に立つと、前受けの小松崎は番手のインで粘る。後位が中川と小松崎で併走になった清水はペースを上げない。これに対し、後方となった三谷が赤板の2コーナーから一気にカマして出る。打鐘の3コーナーで清水をあっさり叩いた三谷が主導権。清水は3番手で態勢を立て直し、この後位は、併走された中川があっさり後退したため小松崎が収まる。6番手の位置を取った浅井は最終2コーナーからまくり上げるが、車は思うように出ない。三谷のかかりは良く、番手絶好となった村上が直線で鋭く差し切った。最後まで踏み切った三谷が2着に粘り、近畿ワンツー決着。絶好の3番手かと思われた清水は4コーナーから踏み込んだが、前2人を交わせず3着に敗れた。







<4R>

堀内俊介選手
堀内俊介選手
 阿竹智史を押さえた佐々木龍が、主導権を握る。伊藤裕貴が後方からすかさず巻き返すが、佐々木もペースを上げる。伊藤はいったん4番手に入るが、阿竹も内を盛り返してもつれる。今度は最終ホーム手前から、松川高大がまくりを打つ。逃げる佐々木の番手で間合いを取った堀内俊介(写真)が、松川を外に張りながら番手まくりでシリーズ2勝目を挙げた。
 「僕の技量不足ですね、(佐々木に)申し訳ない。(松川が)横に並んだ時に行かれちゃうかなと思って踏んだ。今まで番手は何回かあるけど、ああやって先行態勢に入ることがなかった。それまではまくりだったり、競られたりだった。見極めが難しい、追い込みの大変さがわかった」
 中団キープも阿竹は動けず、渡部哲男が最終3コーナーからインを進出して3着に伸びた。
 「もうああなったら外は無理。内がたまたま空いた。最終日は余裕がありましたね」

<5R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 単騎の蕗澤鴻太郎が打鐘手前でカマシ気味に出て、岡本総が真船圭一郎を制して蕗澤を追いかける。3番手に切り替えた大槻寛徳(写真)は、宮本隼輔の反撃に合わせて最終2コーナーからまくって出る。3日目に続いて最終も自力に転じた大槻が連勝を飾った。
 「昨日(3日目)とまったく一緒のレースになってしまった。1着は1着だけど…。真船君が突っ張ってくれて、あの位置を取ってくれたからですよ。今回は初日だけ感じが悪かったが、残りは良かったですね」
 池田憲昭は、宮本が不発の展開から大槻のまくりに切り替えて2着に入った。
 「(宮本は)途中まではいい感じで踏んでいったけど、乗り越えられなさそうだった。もう余裕がないんかなと思って、下がったから切り替えていった」

<8R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 赤板で新山響平が4番手に引いて、近畿ラインの主導権。稲毛健太が逃げる。最終ホーム手前から新山が踏み上げると、京都コンビがけん制して新山は不発。6番手にいた単騎の桑原大志がインをすくって村上義弘、山田久徳(写真)の横まで進出する。しかしながら、外に持ち出した山田が、3コーナー過ぎから踏んで1着。
 「昨日(3日目)もですけど、連日(稲毛が)いい先行してくれた。3番手に村上さんが付いてプレッシャーがかかると思うんですけど、実力を発揮してくれた。誰かが内に来たのはわかったけど、その時は稲毛ももちそうな感じだった。ただ、そのあとはあれ以上待てないんで(踏んだ)。ラインのおかげですね」
 近畿3番手の村上義弘にとっても、楽な展開ではなかったが2着をキープした。
 「展開とメンバー的に(山田が)踏むと思ってたんで、(内を)空けてもっていうのがあったし、むしろ入ってきた方がと。内に来ると思ってたんで、落ち着いてしのげました。良くなるようにやっていくしかない」

<10R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 先行態勢に入っていた渡邉雄太(写真)だったが、和歌山コンビを受けて3番手をキープ。石塚輪太郎が打鐘から駆ける。5番手で車間を空けた単騎の山田英明がまくりを打つと、渡邉も最終2コーナーから仕掛ける。渡邉が前団をとらえて、まくり合戦を制した。
 「先行するつもりだったんですけど、石塚さんが2車で飛んできたんで出させてと思った。そのあとは早めに行って、郡司(浩平)さんとって思って踏んだ。(シリーズを通して)久しぶりにいい動きができた」
 郡司浩平は外の山田をさばききれず、立て直しての3着。
 「(渡邉)雄太が仕掛けたし、自分は余計なことをっていうよりは付いていってと思ってた。そしたらヒデさん(山田)に締められて、アンコになっちゃって様子を見てしまった。(4日間)トータルで守りに入っている感じですね」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 後ろ攻めの古性優作に、和田真久留の順で動いたところを松浦悠士(写真)が赤板過ぎに叩いて主導権。後方から巻き返した柴崎淳は4番手に追い上げて呼吸を整えると、後方に回された古性は最終ホーム手前からまくり発進。バックでは成田和也の横まで来るが、けん制されていっぱいに。松浦が成田の追撃も振り切って人気に応えた。
 「冷静な部分もあるけど、柴崎が見えて踏み込んだ。3(コーナー)からタレたけど、33っていうのもあって押し切れた。(グランプリ賞金争いが続くが)自分のできることを最大限やり続ける。しっかりと動いて自分のレースを。(最終日は)先行できたし自信はある」
 成田和也は、地区違いの松浦と好連係を決めた。
 「(松浦に付けることに)迷いはないですよ。もちろん初連係。素晴らしいですよね。トップの自力自在選手。(赤板から先行したが)ちゃんとやれよって、俺が言われているみたいでしたね。古性が来たのでしっかりけん制はした」

<12R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 後ろ攻めから動いた清水裕友が青板のバック過ぎに先頭に立つと、前受けの小松崎大地は番手のインで粘る。前団がもつれたところを三谷竜生がカマして主導権。3番手に入った清水裕友は仕掛けられず、番手絶好となった村上博幸(写真)が粘る三谷を鋭く差し切った。
 「(三谷)竜生が怯まずに主導権を取ってくれて、そこで自分が冷静に走れました。バンクの特性をつかんで(最終)3コーナーの自転車の倒し方とか若い子にはないキャリアで走れた。自分のやってきたことを完璧に出せたと思います。この歳でGIを取れるとは思っていなかったので、ホンマにまさかでした。グランプリを目標にやってきて出場できるのはうれしいです」
 2着の三谷竜生は、先行勝負で力をフルに出し切った。
 「小松崎さんがあの位置で粘ったので、行けるタイミングで行っただけ。あのタイミングは行けるタイミングなので。最後はキツかったけど、2着に粘れているし、内容的には悪くなかった。(千葉記念からは)そのままの状態で来れた。今年初めてのGI決勝とかそういうことは考えていない。これをつなげてまたグランプリに出れるように次のレースをしっかりと走って結果を残していくだけ」
 清水裕友は3着の結果にも反省の言葉を口にする。
 「(後ろが粘られたのは)しょうがなかった。(最終)2コーナーで一瞬詰まったけど、見てしまった。バックでも見た。三谷さんもジャンカマシで掛かっていたので、行ってもたぶん無理でした。(だけど)行かないで後悔したのはあります。今日(最終日)に限っては欲が出てしまった。情けない。言葉がないですね。悔しい。絶好と思ってしまった。(最後は)伸びがなかった。ダービーの2着は力を出し切った。あとから悔しくないのはそっちですね」
 木暮安由は、地元の大舞台で見せ場を作れなかった。
 「(動くとしたら)ジャンのところでしたね。いっても清水の後ろまでですかね。いろいろ考えていましたけど。毎年、地元でやっているので誰かは決勝に乗らないとけない。自分が群馬を背負っていると思っているので、見てもらって後輩たちにも頑張ってもらいたい」

次回のグレードレースは10月19日~22日まで京王閣競輪場で開設70周年記念「ゴールドカップレース」が開催されます。 S級S班から平原康多、清水裕友、村上博幸の3名、郡司浩平、吉田拓矢、山崎芳仁ら自力型の強豪が参戦。 最終日第6レースに実施される「S級ブロックセブン」にも注目です。 10月7日時点の出場予定選手データを分析した「ゴールドカップレース」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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