『第30回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 初日編

配信日:10月21日

 弥彦競輪場を舞台に「第30回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」が、10月21日に幕を開けた。初日のメイン、「日本競輪選手会理事長杯」では、郡司浩平が絶好の展開をモノにして白星スタートを切った。10月22日の2日目には理事長杯と特選を勝ち上がった9人による「ローズカップ」が行われる。シリーズ後半のV戦線を占う意味でも見逃せない。
 開催中、弥彦競輪場では、事前抽選による入場許可証をお持ちの方のみの入場となります。「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

日本競輪選手会理事長杯1着 郡司浩平選手
日本競輪選手会理事長杯1着 郡司浩平選手
日本競輪選手会理事長杯 ゴール
日本競輪選手会理事長杯 ゴール

<1R>

和田圭選手
和田圭選手
 赤板1コーナーで久米康平が先頭に立ち、切り替えた菅田壱道が4番手。前受けから後方まで下げた脇本勇希は、打鐘手前から一気に仕掛ける。近畿ライン3車が出切り、久米が4番手で最終周回。菅田は一本棒の7番手からまくって出る。逃げる脇本後位で車間空けていた三谷竜生が合わせて踏んで、菅田と重なり直線へ、菅田マークから外を伸びた和田圭(写真)が突き抜けた。
 「(最終3コーナーからは)いつものクセで内に入ろうかなと思ったけど、直前の地区プロ(競技大会)で外を踏んで伸びるイメージがあったので、そのイメージで外を踏んだ。持ち出した時にどうかなって思ったけど、カントがキツいのか33バンクっぽいような感じで山降ろしが利いた」
 菅田のまくりに反応が遅れた三谷竜生は、なんとか踏み勝ち最後はハンドルを投げて2着。
 「(作戦は)後ろからだった。ファンの方には申し訳ないが、僕らも勝負がかかっているので作戦通りに走りたいと。(脇本が主導権を取って)残せそうな掛かりだったので車間を切ったけど、菅田さんのスピードが良くて、あたれるところがなかった。それでちょっと遅れてしまいました。車間を詰めて(最終)3コーナーでスピードが合えばと思ったが、前に踏むしかなかったですね。脚の感じは悪くない」

<2R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 石原颯が前受けから赤板過ぎに、小森貴大を突っ張る。小森は外に浮いて、雨谷一樹が中団をキープするが、外の松岡健介にかぶって動けない。最終1センター過ぎに堀内俊介がまくりを打つと、わずかに反応が遅れた近藤隆司をさばいて木暮安由(写真)がスイッチ。直線で抜け出した。
 「(雨谷が)内に詰まった形だったんで、どうするのか、そこは不安でした。(堀内のまくりにスイッチしたのは)体が反応しました。だんだんとかみ合ってきたんで、(調子は)いいと思います。戦法が変わっていって、自分の方向性をいろいろ試したりもしていた。そのなかで自転車をいじったりもしたけど、そこは元に戻ってきた感じです」
 最終3コーナー過ぎにようやく外が開けた雨谷一樹は、木暮を追うように外を伸びた。
 「基本的には中団、中団で組み立てて、あとは自分のタイミングで仕掛けられればと思ってました。脚は常にたまってて、どこからでもいける状態だった。でも、松岡さんとずっと併走だった。仕掛けられなかったけど、結果2着で(木暮と)ワンツーだったんで良かった」

<3R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 後続をけん制する中本匠栄を、赤板過ぎに望月一成が強引に叩いて主導権を奪う。中団に中本が入り、山田久徳が7番手に。打鐘2センターから山田が反撃に出るが、ギリギリまで引き付けた渡邉雄太(写真)が2コーナー番手まくりで応戦。車体を併せての踏み合いを制した渡邉は、マーク小原太樹の追撃も振り切って勝利を収めた。
 「(山田が来ているのを)見て、できるだけ振ったけど、止まらなくて、前に踏んだ。とりあえずワンツーで良かった。(最終)2コーナーはギリギリだったけど、最後まで頑張ろうと思って頑張れた」
 渡邉を交わすことはできなかったが、しっかり内を閉めて回った小原太樹がソツなく2着に続く。
 「望月君の頑張りにつきるので、(前に続いて)しっかりとワンツーを決められればと。脚を使っていないぶん、もう1個、上のステージにいくには、あそこは(渡邉を)抜かないと。そこはセッティングとかではなく、脚ですね」

<4R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 赤板2コーナーで先頭に立って主導権を握った中西大は、そのまま緩めることなく駆ける。が、小林泰正もすかさず反撃に出て踏み合い。後方で脚をためた山田庸平は、最終1コーナーから踏み上げる。小林を阻んだ村上義弘だが、スピードの違う山田には対応できない。前団をとらえた山田をゴール寸前で荒井崇博(写真)が交わして佐賀ワンツー。
 「もう(山田)庸平サマサマ、それ以外ない(笑)。(2日目以降も)自分は、あとは前次第なんでね」
 上昇した赤板過ぎに坂本貴史に突っ張られた山田庸平は、後方から立て直しを余儀なくされる。結果的に中西と小林の主導権争いになり、そこを鮮やかにまくった。
 「中西君が(主導権を取って)いくのがわかってたんで、最低でもその後ろでと。そうすれば4(着)までには、しのげるかなと思って進めたけど。(坂本)貴史君が前を取ったんで、突っ張られて後方になるかなっていうのもありました。小林君(ライン)に付いていけなかったので、その辺の修正点はある。でも、踏み合ってくれた。最初の踏み出しは良くなかったけど、(最終)2コーナー入るあたりから進み始めた」

<5R>

園田匠選手
園田匠選手
 菊池岳仁、川口聖二で打鐘前からつばぜり合いとなり、最終的に菊池が先手を奪うが、後続の隊列はややモツれる。最終ホーム手前で中部勢が中団に下がって、柿澤大貴-神山雄一郎が菊池にしっかり付け直すも、2センターから仕掛けた中川が早くも並び掛けてくる。すんなり西の3人が出切って、中団に関東勢、中部勢が後方と隊形が変わって一本棒。スピードに乗った中川の前に別線は反撃できず、ゴール前で園田匠(写真)が差して1着。
 「いつも通りに(中川に)お任せでした。いいタイミングでいってくれました。今日も(中川)誠一郎さんが先行だったし、弥彦は流れがいいですね。ここのバンクはアタリがいい。1着はなによりも気持ちがいいですね。セッティングは少し考えていじろうかなと」
 早めの巻き返しでホームからレースを支配した中川誠一郎が、2着で九州ワンツーが決まった。
 「組み立ての考えはなく、笠松(信幸)が(竹内)雄作を入れようとしていたので、それよりも前のあのタイミングでいかないと。長いと思ったが、(勝ち上がりの)4着までなら大丈夫と思っていった。(前回の)地元記念で(調子を)上げたぶんがあるので、状態は悪くない。バンクは重くないような気がする。走れるなという感じです」

<6R>

谷口遼平選手
谷口遼平選手
 押さえて出た取鳥雄吾がペースを落とすと、打鐘で7番手の小松崎大地が仕掛ける。ギリギリまで引きつけた取鳥が、ダッシュを利かせて合わせて主導権をキープする。最終ホーム過ぎに永澤剛、大森慶一が内に降りて、谷口遼平(写真)はまくりを打つ。小松崎は柏野智典に弾かれて、その間のコースを谷口が加速する。逃げる取鳥を2センターでとらえた谷口が、4度目のGI出場でビッグ初勝利を飾った。
 「小松崎さんがすごい勢いで行ったんで出切っちゃうのかなと。そしたら(取鳥)雄吾も合わせてたんで強かった。僕は展開が向きました。落ち着いて走れたし、余裕がありました。1、2カ月前から弟子をもつようになって練習量が増えた。それで後方になっても、余裕をもって前が見られる。GI初1着でうれしいです」
 長尾拳太は、浮いた小松崎が内に戻ってコースが狭くなったものの、同期の谷口のしっかりと付け切った。
 「小松崎さんが巻き返してくれたぶん、僕たちにも展開が向きました。(谷口)遼平君が小松崎さんの内を(まくって)抜け出していったんで、自分はそこを見てしまった。でも、(最終)バック線くらいでは、2人で決まるかなと思った」

<7R>

長島大介選手
長島大介選手
 赤板で前団を切った原田研太朗をさらに押さえて山本伸一が先手を握るも、7番手に引いた坂井洋が打鐘3コーナーから反撃を始める。これを見た山本もペースを上げて応戦するが、最終ホームでは坂井が出切る。山本も引かず、坂井の番手、3番手あたりがモツれた2コーナーで原田がまくり発進。しかし、番手を守った長島大介(写真)が、迫る原田をけん制して止めると、ゴール前で抜け出した。
 「きれいに出切っていれば違ったけど、山本さんもヤル気だった。坂井君に離れないようにして、出切ってからは余裕もあって1着を取れると思った。あとはラインでどうやって決められるか。(9月にあっせんが止まり)その時に練習がいっぱいできた。前回も感覚は悪くなかったし、今回は前回以上にいい」
 最終2センターで内に降り、長島を追う形になった高原仁志が2着に入る。
 「(原田)研太朗にいい展開にだったけど、もうひと登りでしたね。(最終4コーナーから)内の動きは見ていないが、誰が来るかは、わかっていました。2着までこられているので、いい方ですね」

<8R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 神田龍を叩いた根田空史が打鐘の3コーナーで主導権。新田康仁まで南関3車で出切り、神田が4番手。8番手の松岡貴久は最終ホームで近畿勢の内をすくって村田雅一(写真)を弾く。畑段嵐士との連係が壊れた村田は8番手。神田のまくりを松谷秀幸がブロックして、根田が先頭で直線へ。南関3車での勝負に思われたが、内を進出した村田が根田と松谷の間を伸びて1着。
 「(松岡にすくわれて、さばかれた)そこは反省すべき点ですね。しっかりと飛ばされずに、しのいでの結果だったら良かった。(最後のコースは)たまたま空いただけですけど、脚に余裕があったんでイケて良かった。(2日目以降は)しっかりと隙を見せない走りをしたい」
 南関3番手の新田康仁は、直線で外に進路を取り2着。反省まじりにこう口を開く。
 「まくりに来たのが神田君だったんで、締めることに徹してた。レースは見えていました。(最終)4コーナーから外を踏んじゃったので、村田君のコースをつくっちゃった。3番手の仕事としては反省点があります」

<9R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 赤板を前に野口裕史、島川将貴が並ぶようにして上昇するが、野口が2コーナーで先手を奪取。島川は冷静に中団に入り、前受けから引いた山口拳矢(写真)は7番手に。ケレン味なく飛ばしていく野口の前は後続は完全に一本棒の状態となって打鐘、最終ホームを通過。2コーナーで島川が先まくりに行くも、車の出は良くない。モツれる前団をめがけて山口が踏み出したのは3コーナーから。前で落車のアクシデントもあったが、一気の加速で4コーナーでは踏み合う野口、島川の外を乗り越えると、あとは独走状態で、ゴール前では後ろを振り返る余裕すら見せる圧勝だった。
 「(初手は)中団が欲しかったけど、雰囲気を見て、けん制が入るならと前を取った。2人とも先行意欲が強い。(野口と島川の)モガき合いが一番だったけど、一列棒状でしたね。でも、踏み込んだ感じは良かった。打鐘からスピードが速くて、脚を削られたけど、(島川のまくりの)上を行ける感じがあった。(落車後だが)悪くないですね。緊張で堅いくらいで大丈夫」
 島川後位から抜け出して山口を追った小川真太郎が2着。
 「(野口と)モガき合うと、(山口)拳矢に行かれるので、(野口を)出させてもいいと。(最終)ホームで行きたそうにしていたが、落ち着いて仕掛けてくれましたね。(自分は)内、外を見ていたが、拳矢が強かった。前場所、前々場所よりいいですね。ここに向けて、前の自転車に戻して上積みがあった。走りやすかったですね」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 周回中は8番手のポジションになった渡邉一成は、太田竜馬にフタをしてから再度踏み込んで主導権を握る。渡邉ラインに続いた吉田拓矢(写真)は空いた3番手に入り、鈴木庸之が浅井康太をキメて続く。絶好位を手に入れた吉田は、車間を詰める勢いで最終2コーナー過ぎからまくって後続をちぎった。
 「(渡邉)一成さんが押さえていたので、その上を行こうかちょっと悩んだですけど。一成さんも思いのほか踏んでいったでマズいかなと思った。とっさの判断で浅井さんのところ入れたんで良かったと思います。あそこの位置が取れたのが勝因だと思います。今日は(バンクコンディションとしては)重いと思うんですけど、踏んだ感じ的に軽かったんで状態はいいのかなと思います。(初日の感触は)申し分ないかなと」
 鈴木は吉田のまくりに付け切れない。8番手からまくり追い込みの太田竜馬が2着に届いた。
 「(渡邉に)フタをされて意識をされてしまったんで、先行する形にはならなかった。伸びて良かったですね。もうああなってしまったら無理やり行ってもスピードが合うんで。行けるところはしっかり行って、落ち着くところは落ち着いてと。吉田さんは遠かったですね。でも、久しぶりに気持ち良くまくっていけたんで、感じはいいです」

<11R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 新山響平が地元の諸橋愛を連れて先行策。3番手に飛び付いた野原雅也(写真)は、阿竹智史との併走になるも外にけん制して単独で好位を確保する。しかしながら、新山の掛かりも良く、野原はなかなか仕掛けられない。最終2センターで外に持ち出した野原が、直線半ばで前の2人をとらえて1着。
 「(周回中は)一番後ろはあんまり取りたくなかったんですけど、流れ的に後ろになった。とりあえず動いてって感じになりました。なんとかいい位置が取れたかなって。目の前に諸橋さんがいたんでドキドキしたし、新山君の掛かりもすごかった。それでなかなかタイミングが取れなくて仕掛けが遅くなったけど、1着が取れたんで良かった。1着を取れると思わなかったです。なんか結構伸びたなっていう感じです。あんまりいい感じはなかったけど、1着が取れているんでいいんだと思います」
 稲川翔が内に進路を取り、坂口晃輔は野原に吸い込まれるように2着に入った。
 「(野原が)いつ仕掛けるかなっていうのがあった。そしたら最後まできてたんで、もう稲川さんが踏んだ逆を行こうかなと。ギリギリまで待った感じです。内が詰まって、外が野原君が伸びていったんで良かったです。すごく恵まれました。初日は感じが良かったし、残りも楽しみです」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板過ぎに新田祐大を押さえて出た深谷知広が先頭に立つ。南関ラインが出切り、単騎の古性優作が4番手に続く。5番手まで下げた新田と清水裕友が併走になり打鐘を迎える。平原康多は最後方。逃げる深谷の掛かりが良く、古性のまくりは郡司浩平(写真)を脅かすためには至らず。郡司が冷静に追い込んだ。
 「あの位置(周回中は後方)からでも深谷さんが攻めた結果が僕の1着かなと。深谷さんが積極的にいってくれたんで、(自分は番手で)あまり考えることはなかった。(初日は)寒くなって動きが重くなるかなと思ったけど、道中もいい意味でリラックスして走れた」
 まくった古性優作は、結果的にいったん和田健太郎のところに降りるような対処から外を踏んだ。
 「初手(の並び)が想定外でした。(南関勢を追走して)自分の後ろはどういう状況かはわからなかった。あとは自分の力を思い切り出し切ろうと。ちょっとコケそうになって危なかった。GIで戦うには物足りないけど、気持ちだけはしっかりと入れていきます」
 郡司とのワンツーならずも、和田健太郎も内をしぶとく踏んで3着に入った。
 「前の2人(深谷、郡司)の力ですね。(自分のデキは)いいとも言えないし、普通ですかね。(ここまでは練習も)それなりにできた」