『第30回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 2日目編

配信日:10月22日

 弥彦競輪場を舞台に開催されている「第30回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、10月22日に2日目が行われた。メインの「ローズカップ」は、単騎の新田祐大が8番手まくりで快勝。グランドスラム達成に向けて勢いをつけた。また、二次予選では、地元の諸橋愛が2着で準決に進んだ。シリーズも後半に突入。10月23日の3日目には、ファイナルのキップをかけて準決で熾烈なバトルが繰り広げられる。
 開催中、弥彦競輪場では、事前抽選による入場許可証をお持ちの方のみの入場となります。「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となります。検温、手指の消毒、マスク着用などのご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

ローズカップ1着 新田祐大選手
ローズカップ1着 新田祐大選手
ローズカップ ゴール
ローズカップ ゴール

<6R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 4車ラインの山田英明が切った上を、稲垣裕之が押さえて先頭に立つ。山田が4番手に収まり、渡邉一成(写真)が8番手で車間を空けて打鐘を迎える。渡邉は3コーナー過ぎから巻き返すが、稲垣もペースを上げて逃げる。最終1センターで村上義弘に大きく振られた渡邉だったが、2コーナーからの山降ろしで前団をとらえる。永澤剛は付け切れず、渡邉が後続を振り切って1着。
 「初手のあのけん制の感じで、みんな僕のカマシを期待しているような雰囲気だった。それに僕もそれを望んでいた。(踏み出して)余力を残さないと後半タレちゃうんで、村上さんのけん制を余力を残しながらカマしにいきました。(最終)1センターは絶対に(ブロックが)来るところだし、そこを神田(紘輔)君の外で休みながらでした。そのあとは一緒に山を上って戻る勢いでっていう感じでした。毎開催そうですけど、ここで売り切れないように。うまくケアしていきたい」
 稲垣が先行策。再三にわたるけん制も渡邉は止まらず、村上義弘は最終2センターから渡邉を追いかけるように踏んで2着。
 「ヒデ(山田)がスピード良く切って、その流れを見ながら稲垣が思い切って前に出てくれた。ジャン過ぎには稲垣も腹をくくった感じだったので、あとは自分ができることをと。稲垣も年齢を重ねて厳しい戦いのなかで、思い切ってやってくれた。今日(2日目)は自分だけになってしまったけど、また一緒に勝ち上がれるように」

<7R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 赤板を前にして、中団に位置した島川将貴、後方待機の根田空史が互いに意識し合って車体を併せて上がってくる。先に前団を押さえて島川が先頭に立つが、根田も再度踏み上げて島川を襲う。打鐘前から踏み合った末、2センターで根田を振り切った島川が主導権を守って駆けていく。後方に下がった千葉勢は総崩れとなるも、中団確保の菅田壱道(写真)が最終2コーナーからスパート。小倉竜二のけん制を乗り越えた菅田は2センターでまくり切って先頭に。伏見俊昭、大森慶一も懸命に続いて北日本でワンツースリーが決まった。
 「スタートは誰も出ないと思ったので前で。想定通りの展開でしたね。島川君のやる気がすごくて展開が向いた。島川君が中団から出る場合は、(根田を)突っ張りだと決め打ちしていた。1周半の全力もがきだったので、みんな脚を使っていたけど、4番手を取った以上はしっかり3車のラインで決めたくて仕掛けた。(自分にとって)今年最後のGIでここに向けてやってきたので、準決勝に乗れて良かった。この気持ちを切らさずに2日間頑張る」
 菅田を止められなかった小倉の厳しいブロックで菅田と口が空いた伏見俊昭だったが、踏み直して直線勝負へ。内でモツれる小倉や鈴木裕らに踏み勝って2着を死守した。
 「けん制のあおりを2回もらった時に口が空いたけど、内が混戦で踏み勝って良かった。無我夢中でしたね。脚の感じは悪くないので、何とかの2着。昨日(初日)よりは、今日の方が良かった。上のレースを走るのは本当に久々なので平常心で走れれば」

<8R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 新山響平が誘導を残したまま下げて、先頭に立った原田研太朗(写真)は赤板1コーナーから押さえに来た堀内俊介を突っ張る。7番手でタイミングを取った新山は2コーナー過ぎから一気に踏み込む。新山がカマシで出切るが、鈴木庸之は付き切れない。原田が番手に飛び付いて、内を進出した松谷秀幸が阿竹智史をさばいて3番手。原田は逃げる新山との車間を最終3コーナー過ぎから詰めて、新山を交わした。
 「堀内さんのところ(を突っ張って)脚を使って苦しかったけど、ジャンのところでは新山君が来てた。出切られて構えようと思ったら、(新山が)単騎だったんで必死でした。(最終)2コーナーくらいからは車間を空けて、自分の届く位置からと。体調不良もあったけど、徐々に戻ってきている」
 鈴木が離れて地元勢との連係が崩れた新山響平は、援護を失うも2着に逃げ残り準決に進んだ。
 「ワンテンポ見ちゃいました。そんなに遅くはないけど、もうワンテンポ早く行けたところがあったので、そこは気をつけたい。後ろに(鈴木が)いない最悪の場合、原田さんもいることも考えて踏んだ。けど、直線が長かった。昨日(初日)の方が乗ってる感じが良かった。セッティングですかね、サドルまわりが気になるので、そこをいじろうかと思います」

<9R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 4分戦で、前受けから突っ張り気味に踏み上げた清水裕友(写真)を、渡邉雄太、三谷竜生、長島大介の順で叩いていって、長島が打鐘過ぎから先行態勢に入る。7番手に下がった清水は最終ホームで巻き返しに行きかけて止めてしまい、バックを踏めなかった小川真太郎が突っかけて外に浮く絶体絶命の態勢に。それでも3コーナーから踏み出していくと、直線では大外を強襲し、アタマまで届いた。
 「(スタートが)前は7番手になるっていうのがあったけど、けん制を付けてまでっていうのがあるので出たとこ勝負でした。長島さんが相当やる気だったし、緩んでいないところでいったので、7番手になってしまいましたけど。GIで7番手からロングまくりは無理でしたね。緩まなかったです。初日に負けたあとの二次予選は鬼門だと思っていたのでこれで流れが変われば」
 後続の反撃をギリギリまで引き付けた諸橋愛は、長島の余力を見極めて直線入り口からタテに踏んでいく。清水にはいかれたが、内をすくってきた大槻寛徳らには踏み負けることなく、しっかり2着を確保して準決進出を決めた。
 「昨日(初日)も緊張したが、(レース後に)覚悟が足りないと思い返していた。昨日は気持ちが浮いていましたね。今日は死ぬ気で挑もうと思っていた。長島が頑張ってくれたが、清水が強かった。打鐘前の2コーナーからフルスロットルでいってバックでタレ始めていたので、そこからスピードを上げるのは大変だった。あんなにいくとは思っていなかったですね。明日が勝負。決勝に乗るためにきているので」

<10R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 打鐘で岩本俊介を叩いた山口拳矢は、そのままペースを落とすことなく風を切る。松浦悠士は、車間が空いた8番手に置かれて最終周回。6番手の雨谷一樹が最終2コーナーからまくる。逃げる山口後位の東口善朋(写真)は、雨谷をけん制しながら追い込んだ。
 「(山口は)まさか先行するとは思ってなかった。でも、切ってからのピッチが速かったんで、もう先行するんだなと。ジャンの3コーナーくらいはあんなに行くと思わなくて、口が空いてしまった。そのあとは岩本君、松浦君に対応しようと思ってたんですけど、もうちょっとうまくできたんじゃないかと」
 雨谷のまくりに乗って外を追い込んだ木暮安由が2着。
 「松浦君とからんでたのもあって、(打鐘は雨谷の)ダッシュにちょっと離れました。ただ、リカバリーができて車も伸びているんで、2着に入れました。最近は軽いんで、今回はおもしろいかなと思います。かみ合ってきました」

<11R>

山田庸平選手
山田庸平選手
 全開で踏み上げる谷口遼平を、深谷知広がねじ伏せて打鐘の2センターで主導権を奪う。しかしながら、中川誠一郎の反応も良く、最終1コーナーから反撃。深谷をスピードに違いでとらえて、山田庸平(写真)が続く。九州両者のゴール勝負は、番手の山田が中川を交わした。
 「(中川の)踏み出しが良かったんで、(出切れるところまで)行ってくれるんじゃないかと。あとは自分が付いていくだけでした。(出切ってからは)しっかりと前だけ見てました。今日(2日目)の方が気温も上がっていたので、バンクも体も軽く感じました」
 深谷が別線の抵抗で消耗したにしても、あっさりとのみ込んだ中川誠一郎の仕上がりが悪いはずはない。
 「谷口君が(深谷に抵抗して)頑張ってくれたおかげで、なんとかいけました。(佐藤)慎太郎さんは越えられるけど、深谷君が踏み直したら(出切れるか)どうかなっていう感じだった。なんとか2着に耐えました。悪くはないけど、ちょっと末が甘い感じがあります」

<12R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 前受けから郡司浩平を突っ張るように踏んだ吉田拓矢が、中近勢を出させて4番手をキープする。郡司は6番手で立て直し、単騎の新田祐大(写真)、太田竜馬が8、9番手でレースは流れる。野原雅也は打鐘の2センターからペースアップ。吉田が最終2コーナー手前からまくると古性優作も合わせて出る。後方に置かれていた新田は3コーナーからのまくり追い込みで豪快に前団をのみ込んだ。
 「しっかりと踏み込むことができた。外々を踏んでゴール前なんとか届いた。展開もあったけど、自分の力を感じることができた。これで準決に自信をもって臨むことができる」
 太田竜馬は終始、新田後位。ターゲットを絞り込んでワンチャンスにかけての2着。
 「新田さんの後ろにいるのが一番いいかなと。(新田の)踏み出しがすごくて、一瞬、口が空いた。レースのスピードが(最終)ホームで上がってキツくて、そこでも脚を使った。脚は回ってるんで悪くはない」
 吉田のまくりが古性に合わされて最終3コーナーに突入する。外併走から吉田の余力を計った平原康多が追い込むも、新田、太田に行かれて3着まで。
 「(吉田は)難しかったと思う。(古性が)番手から出るところでちょうど合ってしまった。(吉田)拓矢が止まったんで、あとはどこから仕掛けるかだった。自分は前が抜けているんで悪くないんじゃないかと」