『第33回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 前検日編

配信日:10月16日

 弥彦競輪場で大阪・関西万博協賛「第33回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」が、10月17日に幕を開ける。5月に行われた全プロ競技大会の成績上位選手がシードされ、初日の理事長杯なども、いつもとは違った顔ぶれになり興味深く、初日から目が離せない。S級S班9人も勢ぞろいして、見ごたえのあるバトルが4日間にわたり繰り広げられる。あいにくの天候に見舞われた10月16日の前検日は、選手それぞれが入念に調整を行った。
 GIシリーズは開催中の毎日、日替わりで先着1000人にオリジナルグッズをプレゼント(初日はスマホホルダー)。また、10月17日の初日は、県内出身のアーティスト「中澤卓也」のライブステージ、「きむちゃんねる公開生配信」なども予定されています。弥彦競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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三谷将太選手
三谷将太選手
 前回の富山FIを224着とまとめた三谷将太(写真)は、2日目にフレームを変更する試行錯誤もあった。
 「(前回は)初日だけフレームを換えてやってみたけど、(2日目からは)戻しました。(そのあとは)変わらずに練習をやってきました。(近況の好成績は)前の選手が頑張ってくれる。そこに尽きますね。(初日は)前回も3日間、一緒に走ったので(福永大智に)頑張ってもらいます」
 直近の2場所は7車立てのFIをソツなくこなしている伊藤颯馬だが、9車立ての大舞台でこそ持ち味が生きそうだ。
 「(前々回の)小松島終わりに体調を崩したけど、それが戻ってきた。練習はあんまりできていないので走りながらですね。寬仁親王牌には初めてでます。地区プロとかにも出ていなかったので」

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松本貴治選手
松本貴治選手
 松本貴治(写真)は、前回の函館FIを411着で優勝。7月の佐世保ミッドナイトGIII以来、今期2度目の優勝を遂げた。
 「(前回は)調子はずっと同じ感じでした。(2日目、最終日も)余裕をもって(林昌幸に)付いていけた。(そのあとは)練習もしっかりとできたし、体調も悪くないんで大丈夫です。(セッティングも)なにも変えてないです」
 3場所前の共同通信社杯は初日に落車に見舞われた浅井康太だが、その後の函館FIを212着、続く西武園を114着と怪我の影響を感じさせない走りを見せている。
 「(落車から)走るごとには良くなっていると思います。(初日に連係する谷口)遼平は強いので、離れないように。(松本貴治は)2場所前の函館で一緒でした。その時も強かったです」

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渡部幸訓選手
渡部幸訓選手
 昨年の弥彦での寬仁親王牌でGI初優出を果たした渡部幸訓(写真)は、前々回の当所FIを3連勝の完全V。バンクとの相性も抜群で、2年連続のファイナル進出も十分だろう。
 「(前回の熊本記念は)4日間、周りのレベルが高くて、終始、いっぱい、いっぱいだった。そのあとは地区プロもあったので、普段の競輪の練習は限られていた。それでも熊本記念で足りなかったものを補える練習をしてきた。ちょっと物足りないけど、そこは経験でカバーしたい。9月の弥彦FIを走らせてもらって優勝させてもらって、相性はいいです」
 7月のサマーナイトフェスティバルのあとに怪我を負った小林泰正は、前回の川崎FIで優勝。決勝は後方に置かれる流れも、直線で中のコースを鋭く追い込んだ。小林が復調の手ごたえを感じている。
 「(練習中の怪我で)横突起の骨折でした。だいぶ長引いたけど、前回は8、9割戻ってきたし、今回はそれよりもいいです。地元地区のレースですし、決勝までいきたいですね。それには元の走りができるようにならないと」

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坂井洋選手
坂井洋選手
 前々回の岐阜記念に続いて前回の熊本記念でも決勝にコマを進めた坂井洋(写真)は、フレームを換えて臨んだ熊本で好感触を得て、収穫のシリーズだった。
 「(前回は)岐阜よりも良かったですね。ただ、(決勝は)力不足です。(熊本は)4月まで使っていたフレームに戻して感触が良くなった。(今回もフレームは)一緒です。(そのあとは)充実した練習ができたんでいいと思います」
 5月に行われた全プロ競技大会のチームスプリント種目で井上昌己、佐藤幸治と3位に入った梅崎隆介が、うれしいGI初出場。格上相手に存在感を見せたい。
 「GIは初めてです。不器用ですし、背負うものもないので、力は出し切りたい。(初日は徳島勢が後ろに付いて)緊張しますね。練習は井上さん、荒井(崇博)さんに鍛えてもらっています」

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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 肺炎により函館の欠場を余儀なくされた菅田壱道(写真)は、前回の岐阜記念6191着から3週間空いて今シリーズを迎える。
 「8月のオールスターくらいから咳が止まらなかった。それで苦しくて(函館は)大事をとって(欠場した)。岐阜の時も苦しい展開ではないのに、呼吸が苦しかったりもした。そしたら肺炎でした。(岐阜は)肺炎以外では体のバランスとかも良かった。(そのあとは)まずは治すことに専念した。地区プロもあったので、カーボン(の自転車)で練習していた。徐々に体調が良くなって、仕上がっていると思います」
 取鳥雄吾は、前回の富山FIが642着。優出を逃し未勝利に終わっただけに、状態面が気がかりも心配はなさそうだ。
 「前回は(練習の)追い込み期間でもあって、踏めていなかったです。めちゃくちゃ悪かった。今回は問題がないですし、仕上がっているはず。練習しつつ、休みつつでした。あとは(レースで)出切る時に抵抗されるか、どうかですね」

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山田英明選手
山田英明選手
 山田英明(写真)は、前々回の共同通信社杯で2勝を含む3連対。前回の富山FIでも勝ち星を挙げた。
 「(前回は)腰痛を引きずっていました。国民スポーツ大会とかもあって、あんまりバンクが使えなかった。それでケアを重点的にやってきた。あとは走ってみないと、こればっかりは。(初日に連係する)後藤(大輝)君はどんどん成長しているし、強くて気持ちのいいレースをしてくれる」
 古性優作とトレーニングともにしてきた後藤大輝は、“出稽古”で刺激を受けて大舞台に臨む。
 「ここに来る前に2日間くらい、古性さんに声をかけてもらって練習をさせてもらった。九州は僕一人でしたけど、何人か集まって、いい経験になりました。勉強になって、かなり収穫がありました。すぐにできるようなものではないので頑張っていきたい」

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窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 前回の共同通信社杯から1カ月近く空いた窓場千加頼(写真)だが、それまでの連戦での疲労の蓄積があったようで、GIに備えた様子。仕上がり面での心配はないだろう。
 「(前回までは)連戦、連戦で自分のパフォーマンスが上がってこなかった。そういうのもあって、コンディションを整えるために(欠場した)。共同通信社杯は苦しいなかで、自分の力を出し切ることがまだまだです。(今回は)満足のいく調整ができた。自転車のパーツに関しても、自分が納得のいくようにもってこられた」
 前回の和歌山FIを511着で優勝。展開が向いたとはいえ、最後方からまくった和田健太郎が前団をごっそりのみ込んだ。
 「(前回の優勝は)ほかのラインがモガき合った結果でしたけど、(まくりに)行けたことは良かった。久しぶりに出ましたね。初日に何もできなかったので、その分もと思っていました。ここまでは上積みもないし、同じくらいです」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 成績をまとめた8月のオールスターでは未勝利も、その後は順調に勝ち星を重ねている吉田拓矢(写真)は、前回の和歌山FIでは初日予選、準決を連勝。大舞台に照準を定めて、こうコメントする。
 「(前回は)動いてはいたけど、どうしても末の粘りが気になった。そこからは中5日あって、セッティングとかを煮詰めていい5日間になった。大きいところで結果が出てないし、ここらで大きいところを獲りたい。(フレームは)以前、使っていたものに戻した。セッティングも昔の感じに戻して、タメができるようにした」
 18年のデビューから6年で初GIまでたどり着いた中釜章成が、強力なメンバー相手にどこまでアピールできるか。
 「古性さんはGI前だからというわけではなく、毎日(バンク練習に)いますからね。レース中の考え方だったり走り方、フォームの話をしてもらって、それが良くなった。(GI初出場だが)自分のレベルだと、FIでも(相手が)強いのでGIだと全員が強い。チャレンジャーとして頑張るだけです」

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松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 松谷秀幸(写真)は、直近のFIの2場所で4勝の固め打ち。前回の平塚FIでは、道場晃規を目標に地元Vを飾った。
 「(前回の決勝は)道場君が頑張ってくれたおかげです。レースは見えているかなって思います。(前回は)ここ最近のなかでは、(感じは)いい方かなって思います。そのあとも体調を崩すことなく、(佐々木)龍と一緒に練習してきた。(調子も)大丈夫だと思います」
 前回の地元FI、小松島の優勝で弾みをつけた犬伏湧也は、そこから2週間空いて連続での寬仁親王牌優出を目論む。
 「(地元の優勝で)勢い良くいけるかなと。(昨年の寬仁親王牌で優出したが、今年のGIでは)力不足だと思う。まず、準決勝に上がるのもそうだけど、1つでも上のところでしっかりと。レースでは相手もいることだし、自分の思い通りにならない。自力で力を出し切りたい」

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新山響平選手
新山響平選手
 前回の地元、青森記念の決勝は、高橋晋也に託しての番手回り。結束した北日本ラインからV有力と思われた新山響平(写真)だったが、眞杉匠の激しい抵抗にあって4着。
 「(青森の)決勝は(高橋)晋也君が頑張ってくれたけど、期待に応えられなくて申し訳なかった。眞杉(匠)君はヨコも強いんで、粘ってくるかなと思った。けど、対応しきれなかった。(青森は)初日は良かったけど、2、3日目は良くしようとしていじった。けど、良くならなくて重かった。それで今回は青森記念の初日に戻しました」
 全プロ競技大会の1キロTTで3位の村田祐樹は、2度目のGIが特選スタート。前回の地元、富山FIを制して、リズムは悪くない。
 「(富山は)いつも通り練習して、後半に向けて調子が若干、上がっていった。3日間を通してやりたいことはできたかなと。(GIに)出られるチャンスがあれば、しっかりとそれをつかんで経験したい。そうすれば先につながるかなと」
 3勝を挙げた前回の熊本記念だが、郡司浩平は勝負の準決を4着。鈴木陸来に前を任せていただけに、準決は致し方ないところもあった。
 「(前回は)決勝に乗れなかったけど、自分の感覚は良かったかなと。そのあとは変わりなく、自転車だったり、シューズの微調整をした。(前回は)最終日にいい感覚で終われたので、それが(今回に)生きると思います」

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北井佑季選手
北井佑季選手
 北井佑季(写真)は、前回の西武園FIを3日間、突っ張り先行からの321着。6月の高松宮記念杯での初戴冠以来の優勝を遂げた。
 「(前回は)3日間を通して同じような走りになってしまった。けど、脚の感触とか、ペース配分を確かめられた。脚の感覚も日に日に良くなっていった。(西武園の前は日にちが)空いていたので、レースでの競走脚も日に日に良くなった。(そのあと)体調はいつも通り、練習もいつも通りやってきた。(寬仁親王牌は)初めてです。ここは400バンクのなかでも、多少、直線が長いかなって思います」
 前回の共同通信社杯をオール2着で準Vの古性優作は、青森記念を欠場して1カ月近く空いてのローテーション。
 「(共同通信社杯は)疲れが残っているなかで、思った成績が出せなかった。疲労がたまるなかで、宇都宮(共同通信社杯)の前から腰痛が出ていた(ので青森記念を欠場した)。そのあとはしっかり練習をしてきて、思ったよりもオーバーワークになった。けど、ケアもしっかりとできて、ギリギリ間に合ったかなと。あとは走ってみないと。直前はほとんどカーボン(の自転車)でやっていました」
 近況、勝ち星から遠ざかっている太田竜馬だが、前回の青森記念では上々の感触で踏めていたようだ。
 「成績がめちゃくちゃいいわけじゃないけど、最近のなかでは手ごたえがった。体調自体は変わらないけど、流れが良くなった。地区プロもあった。でも、練習もできている。良くなっている感じもある。(初日は)1人なんで、一発狙うしかないですね」

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深谷知広選手
深谷知広選手
 9年ぶりの記念開催となった熊本を制したのは深谷知広(写真)。復興支援プロジェクトも行っていた深谷は、熊本開催を“堪能”して、結果も残した。
 「(前回は)4日間、感触自体は良くもなく、悪くもなく普通だった。ただ、直前に熊本の走路で練習をさせてもらって、(開催中は)お客さんの声援もすごかった。充実した開催でした。(決勝は)展開が向いたのもあるけど、自分がしっかりと加速することができた。そのあともそんなに大きく変わらずだと思います。ここから(シリーズのなかで)しっかりと仕上げていきたい」
 松浦悠士は、前回の熊本記念を準Vも、前々回の岐阜記念で久々の優勝。落車の怪我が尾を引いていたが、ようやくらしさが戻ってきた。
 「(前回の熊本は前々回の)岐阜よりも、だいぶストレスを感じることなく走れたかなと。着がいいのはもちろんラインのおかげも大きいけど、一時期よりはかなりいい。(熊本の決勝は深谷知広に)気づくのが遅かった。来てないのに(番手から)出るわけにもいかない。(熊本のあとから)さらに上向いてきました。いい感じで練習もできた。(初日は清水)裕友の番手で」
 中国3車ラインの先頭を務める清水裕友は、共同通信社杯の落車の怪我で今シリーズが復帰場所。
 「(共同通信社杯の落車の怪我は横突起骨折の)そっちよりも打撲の方がひどくて、(回復に)そっちの方に時間が掛かった。(欠場した)熊本も行く予定だったけど、そこには間に合わなかった。(練習は)約1カ月ですかね。((練習では)脚力とかの数値が落ちている感じはない。あとは走ってみてだけど、そんなに不安はないかなと」