『第17回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 3日目編
配信日:7月7日
グリーンドーム前橋で開催されている第17回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)は3日目を終了。本日は準決勝戦3個レースがメインに行われ、各戦ともに熱い攻防が繰り広げられた。V候補の一翼を担った武田豊樹、小嶋敬二らは敗れ去ったが、山崎芳仁、平原康多、岡部芳幸、そして地元エースの手島慶介らが勝ち上がり、ファイナリスト9名が出そろった。いよいよ明日、決勝戦が行われる。
最終日も場内イベントは盛りだくさん。モーニング展望会、マジシャン・横田菊枝による「おしゃべりマジック」、ハーフタイムショー「まむれ太鼓」等が行われます。ぜひとも本場へお越しください。
<4R>
武井大介
選手
4レースからは選抜戦。ここでは
武井大介(写真)
の積極的な動きが光った。前々へ攻める強気な競走とトリッキーな攻撃で、逃げた岡本大嗣の番手を確保すると、最後は直線で差し交わした。
「初日の失敗を繰り返さないようにと、前に前にの気持ちで踏んだのが良い結果につながったと思います。岡本君の後ろに入ってからは落ち着いていたし、踏めるタイミングだけを図っていました」
中村浩士
は武井の動きにしっかりと付け切って、最後まで武井との連結を外さなかった。
「今日も武井のやりたいようにやってくれとは言っていたけど、まさかこれだけ動かれるとは思ってなかった。でもしっかり付けられたし、2着なんだから良しとしないと」
逃げた
岡本大嗣
は3着入線にも「カマすタイミングは最高だったんですけど、出切ってから流してしまったのが失敗でした。小川さんがからまれてしまいましたしね」と競走内容には納得していない様子。
<5R>
友定祐己
選手
5レースは、最終2センターで空いたインコースを鋭く突いた
友定祐己(写真)
が前反祐一郎を連れて快勝し、中国両者でワンツー決着。
「今日は前で小岩(大介)君が頑張ってくれたおかげでしょう。赤板で3車併走のきついところからも無理やり行こうとしてくれたりと常に積極的だった。彼のおかげで自分たちが良い位置にいられたわけだしね」
前反祐一郎
も「友定と小岩に任せていたし、思っていたのとは違った展開になったけど、友定と決められたし良かった」と両者を称える。
流れで先行することとなった
村上博幸
は「前が低速に落としていたから、すかさずいこうと思ってとっさに前に踏みました。行く気が無かったのに流れで逃げることになったからえらいきつかった。腹をくくる準備が欲しかったですね」と競走を振り返る。
<6R>
坂上樹大
選手
6レースは、主導権をにぎった矢口啓一郎を佐藤朋也が叩きに出て両者が併走状態になると、タイミング良く仕掛けた
坂上樹大(写真)
が矢口マークの阿部康雄の猛ガードをかいくぐり1着。
「前の二人があれだけ踏み合ってくれたおかげで、展開がこっちに向きました。ただ、緩むところも休める場所もなかったから自分もずっと踏みっぱなしでかなりきつかった。阿部さんのブロックがきつくて、あれは乗り越えられないと覚悟してました」
坂上マークの
鰐渕正利
は阿部に先着されたが3着に入線する。
「坂上に付いていけて安心してます。最後、直線でのコース取りにちゅうちょしてしまった。2着が取れる展開だったし、勿体なかったですね」。
番手絶好の
阿部康雄
は、坂上のまくりに屈して惜しくも2着に。
「矢口なら佐藤君を突っ張り切るだろうと思ったし、安心して付いていました。出切ってからは、後ろがもつれていたのも分かったし、あとまくってくるのは坂上君だけと思ったから、そこだけに集中していました。最後は結構大きく持っていったけど、矢口が頑張ってくれたわけだし、やっぱりあれは止めないとね」
<7R>
志智俊夫
選手
7レースからは特選。中川誠一郎が海老根恵太を突っ張って先行。中団を確保した
志智俊夫(写真)
が2コーナーから仕掛け、前団を一気に抜き去った。
「展開が向いてくれた。中団に入れたので、あとは自分のタイミングに集中して仕掛けました。番手が小野(俊之)さんなので、そこだけ気を付けていました。勝てて良かったです」
坂上忠克
がしぶとく食い下がり、中部ワンツー決着。
「前が踏み合いになってくれましたからね。でも、志智さんは本当に強かった。離れてしまうぐらいのスピードだったし、付いていくだけで一杯。自分のデキもそんなに良くないのかな」
海老根を突っ張って先行した
中川誠一郎
は「ペースで踏もうと思ったけど、突っ張った時点で脚が一杯になってしまった。バックぐらいからタレてしまいましたね」とレースを振り返る。
<8R>
太田真一
選手
8レースは浅井康太の先行に乗った
太田真一(写真)
がバック手前から番手まくり。そのまま力強く押し切ったが、レース後は反省しきり。
「(佐藤)悦夫が止まったのは分かったんですが、荒井(崇博)が見えて身体が反応してしまった。浅井はまだ踏み直す力が残っていたのに、悪いことをしてしまった。出て行っちゃダメですよね。最低の内容です」
中団からまくった
佐藤悦夫
は内田慶の失格により、3着に繰り上がった。
「番手まくりを予想していなかった。荒井(崇博)さんばかり気にして、全然自分のタイミングで踏めなかった」
先行で見せ場を作った
浅井康太
は「2日間、脚を使ってなかったし、今日は先行しようと思っていました。後ろは地区も違うし、今日は仕方ないですね。魅せるレースはできたので、次につながる内容だったと思います」と前を向いた。
<9R>
齋藤登志信
選手
9レースは村上義弘が先行。中団をキープした
齋藤登志信(写真)
が最終2センターからまくり追い込み、激戦を制した。
「有坂(直樹)さんに任されたし、動いて納得する競走をしようと考えていました。中団は頭に入れていたけど、1回は突っ張るつもりだった。村上さんも脚を使ったから何とか届いたんでしょう。感じは悪くないけど、負け戦は負け戦ですからね。明日も納得するレースをしたい」
香川雄介
は最終バック最後方の展開から内を突いて3着に突っ込んだ。
「昨日に続いて九番手だったけど、良く伸びたね。あの展開で3着なら上出来でしょう」
まくり不発の
三宅達也
は「全て中途半端だった。調子はいいのに、流れに上手く乗れない。前回の富山とは違い、このバンクはやっぱり特殊ですね」と首を傾げる。
<10R>
成田和也
選手
渡部哲男
選手
10レースからは、いよいよ準決勝戦が始まった。このレースは山崎芳仁、武田豊樹に渡部哲男が激突。レースは後ろ攻めの山崎が青板3コーナーから上昇して中団の武田にフタをする。そのまま赤板から山崎が先行すると、中団は内に渡部、外に武田で併走に。それが最終バックまで続くと、逃げた福島コンビでワンツー決着。勝ったのは
成田和也(写真)
。ゴール前で逃げる山崎を捕らえると、2年連続の親王牌優出を決めた。
「恵まれましたね。今日は山崎に全部任せてたし、彼が強かった。僕は番手の仕事をするだけだったし、金子さんが三番手で内を閉めてくれてたおかげ。山崎は落ち着いて走ってたし、それを僕も後ろで見ててリラックスできた。今回は体調が良かったし、良い状態で臨めた。とにかく山崎と決勝に上がれて良かった」
2着の
山崎芳仁
は「逃げられればね」とサラリ。苦手とする短走路で連日の先行策を見せた。
「武田さんが後ろ攻めじゃなければいいなと思ってたからラッキーでしたね。(先行すれば)成田さんがブロックしてくれるし、金子さんの存在もありがたかった。今日は落ち着いてじっくり駆けました。去年決勝に乗れなかったのが、今年は決勝ということで、不得意のバンクにしては良いですね。踏み返しが効いたし、昨日より全然良いです」
3着争いは大混戦となった。福島三番手を固めた金子貴志、神山雄一郎をドカした渡部哲男が迫ると、さらにその中を幸田光博も突っ込む。横一線のゴール勝負は抜群のタイミングでハンドルを投げた
渡部哲男(写真)
に軍配が上がった。上機嫌の渡部は「(内から幸田に来られ)最後はコケるかと思ったけどね。危なかった。普段はちょっとしか出んのに、珍しくハンドル投げ勝った。小倉(竜二)さんにも教えてあげるわ」と口も滑らか。相性の良い大会で3年連続の決勝進出を果たした。
幸田光博
は1/8輪及ばず4着。「もっと早めに単独になってたら面白かったかな」と悔しさをにじませる。
もっと悔しいのは絶好の三番手回りだった
金子貴志
だ。
「見た目より余裕のある位置じゃなかったですよ。山崎はどんどんかかっていくし、内を締めていて重かった。遅れていきそうになりました。今日はラインのつもりで北日本勢に付いてました。変に動いても後ろを引き出してしまうだけですしね。追い込みなら4コーナーからのコース取りも違ったんでしょうけど仕方ない。良い勉強になりました」
<11R>
平原康多
選手
飯嶋則之
選手
11レースは稲垣裕之に突っ張られるも上手く三番手に入った
平原康多(写真)
がまくりで快勝。会心の笑顔でレースを振り返る。
「今日は展開に恵まれました。稲垣さんが突っ張るとは思わなかったけど、飯嶋さんや手島さんが三番手に入れてくれた。後ろのおかげですね。2日間流れに乗れてない不甲斐なさがあったし、今日はラインが3人だったから早めに行ってよかった。1着で気持ち良く勝ち上がれて最高ですね。親王牌は初なのに走れてる。ライン3人で決まれば明日も有利になるし、明日もしっかり走りたい」
2着には
飯嶋則之(写真)
が流れ込んだ。今日は自らのスタイルを貫き番手を主張したレース。まずは連結を外さなかったことにホッと胸をなでる。
「あんなに稲垣さんが行くとは思わなかった。三番手に平原君が入ったけど、俺にはヤバイかなって展開でしたね。主張して離れたらみっともないんで。ちょっと離れたんだけど、とりあえずラインで決まって良かったです」
地元勢最後の砦だった
手島慶介
は3着に食い下がって決勝進出。「康多は強いですね。彼が前々に踏んでくれた結果、良い位置が取れたんですよ。全部任せていたので、僕から話すことは何もないですね。今日は決勝に乗ることが全てでしたから。調子は悪くないと思いますけど、好調だからといって決勝に乗れるとは限らないし、せっかく乗れた今回を大事に戦いたいですね」
<12R>
新田祐大
選手
小橋正義
選手
最終12レースは新田祐大がマイペースで先行。一列棒状の単調な流れとなり、番手絶好の
岡部芳幸
が昨日に続いて連勝を飾った。
「全て新田(祐)がやってくれました。昨日のこともあるので、今日は新田をしっかり援護してお返ししたいと思っていた。だから気合はすごく入ってました。小嶋(敬二)は初日からこのバンクを走りにくそうにしていたし、新田(祐)相手にもがき合いはしたくなかったんでしょう。小橋(正義)さんが自分の後ろに入ってくれたのも大きかった。2人で決勝に乗れて良かった」
2着に粘った
新田祐大(写真)
は満面の笑みを浮かべる。
「GIはいつも初日に失敗して勝ち上がったことがなかったのに、今回初めて準決勝に乗れて、いい結果を残せたから本当に嬉しいです。今日はギリギリまで引きつけてから先行しました。落ち着いて駆けられたし、ワンツーが決まって最高ですね」
新田康仁からこの三番手を奪った
小橋正義(写真)
が接戦の3着争いを制した。
「毎日ちょっと頭の痛いメンバーだったけど、今日は自然とあそこかなって感じで体が動いた。昨日よりも学習したかな。新田(康)に内を行かれてまずいかなと思ったけど、あのコースは詰まると思ったし、外を踏んだ。連日、自転車が出てたので外を踏んで正解でしたね。でも、あんなにギリギリ(タイヤ差)だとは思わなかった。もう1回特別を獲ろうって気持ちでやってきたし、支えてくれる人がいたおかげで辛抱してやってこれた。明日もそんな期待に応えられるようなレースをしたい」
4着の
新田康仁
は「レースが単調すぎて出番がなかったね。(岡部と新田祐の)中を割ったらちょうど締まって突っ込めなかった。悔しいなあ。岡部さん、番手まくりに行ってくれと思ったけど、行かないよね…」と僅差で決勝進出を逃す結果にガックリ。
六番手からまくった
石丸寛之
は不発。
「小嶋さんをすくって前(六番手)に行ったけど、逆にそこから動けなくなった。後ろは(三宅)伸さんだし、どっかに突っ込んでくれればと思ったけど」
人気の
小嶋敬二
は八番手に置かれて大敗した。
「今日はきつかった。1回誘導を斬っておけば良かった」
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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
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