レース展望 寛仁親王牌とは ファンサービス テレビ放送予定 参考データ 優勝者の横顔

レース展望


 青森競輪場で4年ぶり3回目の寛仁親王牌が開催される。近況絶好調の伏見俊昭が今回も地元地区開催の利を生かして主役の座をキープしてきそうだが、怪物パワー復活の小嶋敬二やダービー王・武田豊樹の機動力も見逃せない。
 
縄文バンクを閃光が駆け抜ける!
絶好調の伏見俊昭が展開無用の強さを見せつける
 
 伏見俊昭の勢いが止まらない。3月に地元のいわき平記念を優勝してから怒濤の快進撃が続いており、4月・川崎記念が決勝2着、共同通信社杯春一番が決勝3着、SSシリーズ風光る09が優勝、続く全プロ記念のスーパープロピストレーサー賞も制している。3月のいわき平から5月の全プロ記念まで17走して1着が10回、2着が3回、3着が2回で、着外はわずかに1回のみ。全プロ記念のように盟友の山崎芳仁が主導権取りなら余裕の差し切りだが、SSシリーズ風光るの時のように山崎が不発の展開になっても自力に転じて頭に突き抜けてくるのだから、もう手がつけられない。現在が選手生活で最高の状態と言ってもよく、今回も展開に左右されない勝負強さを遺憾なく見せつけてくれるはずだ。

伏見俊昭
伏見俊昭 福島・75期
   
 村上義弘も好調をキープしている。日本選手権での魂の走りは記憶に新しいが、4月・川崎記念では伏見俊昭、神山雄一郎らを相手に完全優勝を達成。続く共同通信社杯春一番は準決勝で敗れたが、1着1回、2着1回の好成績で直近4カ月の勝率は伏見と同様に軽く5割を超えている。全盛期に近い機動力が蘇り、中団取りのテクニックが格段に向上しているのが好調の要因だ。今回も中団捌いての捲りの一撃で勝ち上がっていくだろうし、もちろん組み合わせと展開次第では以前のように打鐘先行で逃げ切りを狙ってくる。村上の好調さに引っ張られるように市田佳寿浩も5月・別府記念で復活優勝を遂げており、稲垣裕之も近況はやや物足りないが状態は良好で、今回は近畿勢が台風の目になりそうな予感がある。
村上義弘
村上義弘 京都・73期
 
小嶋敬二の怪物パワーが爆発する!
関東ラインが今度こその上位独占を狙う
 
 武田豊樹と平原康多の二枚看板が揃う関東勢の機動力は強力だ。SSシリーズ風光るの決勝では平原と武田の連係が外れて結果を残せなかったが、両人とも一流選手だけに同じ失敗は二度と繰り返さないはずだ。今回も初日の理事長杯から平原と武田に神山雄一郎の3人が早々と揃うので、決勝を見すえた積極的な攻めでレースの主導権を奪い、関東での上位独占を狙ってくるだろう。
 武田は日本選手権を優勝後は5月までに5場所走って1着が1回だけと物足りない成績が続いていたが、6月の宇都宮記念から夏場へ向けてぐんぐんと調子を上げてきており、今回も関東のエースにふさわしい存在感溢れた走りを見せてくるだろう。
武田豊樹
武田豊樹 茨城・88期
   
 平原は東王座戦と日本選手権を連続して途中欠場で冬場は完全にリズムが狂っていたが、4月・西武園記念で小嶋敬二や武田豊樹らを相手に捲りで圧勝して軌道修正に成功。5月・別府記念でも優勝こそならなかったが、二次予選Aと準決勝Aを連勝で勝ち上がっており、本来の強さとスピードを取り戻している。
 
平原康多
平原康多 埼玉・87期
   
 神山は、追い込み選手としての走りが板について、近況は安定した差し脚を発揮している。別線の捲りを封じる牽制も今や神山の代名詞となったと言ってもいいほどで、先行選手からの信頼も厚い。今回も連係実績は申し分のない武田と平原の両人をしっかりと援護して、ベテランの技と貫禄をたっぷりと見せつけてくれるだろう。
   
 2月・奈良記念で悲願の記念優勝を達成した三宅達也。成績の波が大きいのが難点だが、得意のカマシ、捲りのパターンに持ち込めた時の破壊力は強烈だ。共同通信社杯春一番でも準決勝で9着と大敗しているが、二次予選Aでは武田豊樹を不発に終わらせるカマシ先行で2着に粘り込んでいる。6月・宇都宮記念の初日特選でも武田を相手に捲りで圧勝しており、今回も決して軽視はできない存在となりそうだ。
三宅達也
三宅達也 岡山・79期
   
 小嶋敬二が見事に復活を遂げた。日本選手権の3走目からギアを3・85にアップして以来、全盛期を彷彿とさせる怪物パワーが蘇っている。3月・松山記念は井上昌己、石丸寛之らの捲りのスペシャリストを相手に逃げ切り優勝。SSシリーズ風光るでは伏見俊昭の強襲に遭い惜敗の準優勝、5月・小倉FIで通算500勝を優勝で飾っている。小嶋は4年前に青森で開催された本大会で堂々の逃げ切り優勝を飾っており、今回も相性抜群のバンクで怪物パワーを存分に発揮してくるだろう。
小嶋敬二
小嶋敬二 石川・74期
 
全プロで活躍した若手機動力型の走りに注目!
北津留翼が競輪祭に続いての決勝進出を目指す
 
 寛仁親王牌は毎年5月に開催される全日本プロ選手権自転車競技大会の成績が選考基準のひとつになっているので、他のGIよりも若手機動力型の出場が多いのが特徴だ。一昨年の大会では永井清史と成田和也がGI初優出、昨年は新田祐大がGI初優出と若手の活躍が見どころのひとつになっている。
 今年も全プロのスプリントで優勝した北津留翼と1000mタイムトライアルで優勝した新田祐大が初日の日本競輪選手会理事長杯に選抜されており、山崎芳仁や武田豊樹らのトップスターに真っ向からの勝負を挑んで見せ場を作ってくれるだろう。
 北津留は今年1月の地元・競輪祭で決勝進出を決めたが、2月・豊橋記念で落車してからリズムが狂ってしまい、グレードレースでの活躍が見られなくなってしまった。しかし、5月・別府記念では準決勝Aで石丸寛之や新田康仁らのS級S班を相手に見事に逃げ切り、決勝も3着と健闘して復活の足がかりを掴んでいる。今回も初日から本来の積極的な走りをアピールできれば2日目からの勝ち上がりに期待がもてる。
北津留翼
北津留翼 福岡・90期
   
 新田祐大は昨年の大会で山崎芳仁を連れて先行して、山崎の優勝に大きく貢献している。その後はビッグレースでの決勝進出はないが、近況の調子は悪くなく、4月・和歌山FIで今年初優勝を達成している。ただ、近況は先行回数が減って捲り主体になっているのが気になるところで、ビッグレースでも本来の持ち味を発揮できずに二次予選敗退が続いている。全プロの1000mタイムトライアルで優勝と強靭な地脚を持っているだけに、今大会こそは北日本勢を連れての積極的な走りでの勝ち上がりを期待したいところだ。
新田祐大
新田祐大 福島・90期
   
 その他では全プロのチームスプリントで優勝した浅井康太、柴崎淳、柴崎俊光の三重トリオの走りにも注目したい。浅井は共同通信社杯春一番でビッグ初優出を決め、永井清史の優勝に貢献した。柴崎淳も5月・一宮記念で決勝4着と近況好調で、三重トリオが今回も中部ラインを大いに盛り上げてくれるだろう。

日本競輪選手会理事長杯
出場予定選手

武田 豊樹 (35歳・茨城・88期・SS)

北津留 翼 (24歳・福岡・90期・S1)

新田 祐大 (23歳・福島・90期・S1)

伏見 俊昭 (33歳・福島・75期・SS)

井上 昌己 (29歳・長崎・86期・SS)

山崎 芳仁 (30歳・福島・88期・SS)

渡邉 晴智 (35歳・静岡・73期・SS)

神山雄一郎 (41歳・栃木・61期・SS)

平原 康多 (27歳・埼玉・87期・SS)

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寛仁親王牌の想い出
小嶋敬二が突っ張り先行で2度目のGI制覇を達成

 並びは小嶋敬二-山口富生、齋藤登志信-佐藤慎太郎、後閑信一-神山雄一郎-諸橋愛、金子貴志-合志正臣の4分戦で周回。中部の小嶋と金子は別線勝負を選択、1月の競輪祭で神山の先行に乗ってGI初優勝を飾った後閑の戦い方にも注目が集まった。最初に動いたのは金子で、赤板ホームから上昇を始めると、関東ラインが続いていく。ところが、金子ラインの3番手を狙っていた小嶋が誘導を交わして突っ張る構えを見せると、金子はあっさり引いて、再び初手の並びと同じになってしまう。覚悟を決めた小嶋は打鐘の4コーナーからスパート、後閑も最終ホームからカマシ気味に仕掛けていくが、齋藤の牽制もあって後退。8番手になった金子が2コーナーから、それに合わせて齋藤も2センターから仕掛けるが、小嶋が1周22秒7の好ラップで快調に飛ばしていき、そのまま上がりタイム11秒4で逃げ切り優勝、2着は山口、3着は齋藤だった。


第14回/平成17年7月24日決勝
第14回/平成17年7月24日決勝


直線が長く、追い込みが圧倒的に有利
番手が悪くても、捲り追い込みでの逆転が可能だ
 縄文バンクの愛称で知られている青森はクセのない走りやすいバンクだが、直線が長くてカントもややきついので、捲りや追い込みの戦法が有利である。
 05年に開催された寛仁親王牌でも、決勝戦こそは小嶋敬二が驚異的なパワーで逃げ切っているが、全体的には差しの決まり手が圧倒的に多くなっている。
 全47レースのうち1着は逃げが5回、捲りが9回、差しが33回、2着は逃げが10回、捲りが8回、差しが15回、マークが14回だった 。
 先行で逃げ切りはなかなか難しいが、抑え先行でうまくペースに乗せて、あとは3角まで捲られないようにピッチ配分をすれば、割に番手の選手が伸びない感じなので、早駆けしても3着には粘れる。
 捲りは3角からの発進ではカーブで加速がつきにくいので、2角前から仕掛けて3角までに捲り切るのがいい。
 追い込みの仕掛けは2センターから外を回って早めに踏むのが効果的だ。3、4番手ぐらいなら、インや中割りにいくよりも、捲り追い込みの感じで仕掛けるのがいい。力のある選手なら、5、6番手からの捲り追い込みでも直線で突き抜けることができる。

昨年の寛仁親王牌決勝ゴール。(3)山崎芳仁が寛仁親王牌初V。
昨年の寛仁親王牌決勝ゴール。
(3)山崎芳仁が寛仁親王牌初V。

競りはインより外が有利

周長は400m、最大カントは32度15分07秒、見なし直線距離は58.9m。昭和58年に青森市内から現在の場所に移転、競輪場は山の中に位置しているが、夏場は風の影響はあまりない。陸奥湾からの風が強い時はインが重くなるので、競り合いは外が有利。直線は外寄りが伸びやすく、直線の長さを生かした3、4番手からの追い込み選手の突っ込みで好配当が出やすい。

青森バンク
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