『第21回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 2日目編

配信日:7月14日
 弥彦競輪場で行われている第21回寬仁親王牌・世界選手権トーナメント(G1)が、2日目を迎えた。初日特選、理事長杯を勝ち上がった9選手によって決勝さながらのスピードバトルが繰り広げられたメーンの「ローズカップ」は、単騎の平原康多がまくりで後続を2車身ちぎって鮮やかにゴール板を駆け抜けた。なお、本大会は寬仁親王殿下を追悼する大会として追悼の意を表するため、開催期間中の半旗掲揚、出場選手及び関係者による喪章の着用を行います。
 また、本場では先着プレゼントなどの様々なファンサービスと、公開指定練習見学(悪天候の場合は中止)や予想会などのイベントでお客様をお待ちしています。3日目には新潟支部所属選手による、オリンピックスプリントのエキシビションレースも行われる予定です。ぜひ、弥彦競輪場に足をお運びください。

〈ローズカップレース経過〉
 スタートで一度けん制が入ったが、山口幸二が出て誘導の後ろを取る。初手は浅井康太-山口、佐藤友和-成田和也-佐藤慎太郎、村上義弘、平原康多、深谷知広-金子貴志の順で並んだ。
 レースが動いたのは赤板前の4コーナーから。まずは単騎の村上が上昇すると、続いた深谷がその上を踏んで前を押さえに行く。佐藤が合わせて踏んできたが、深谷は強引に叩いて先頭に出た。ジャンが入り、深谷がペースを上げていくと、8番手になった浅井が2センターからカマして反撃に出る。浅井が徐々に番手を上げていき、深谷との力勝負になるかと思われた。しかし、浅井ラインを追った平原が2コーナーからスパートすると、両者を上回るスピードでひとまくり。最後も勢いそのままでゴール線を駆け抜けた。山口が佐藤友をブロックし、空いたコースを成田が抜けて2着。山口が3着に入る。

ローズカップゴール
ローズカップゴール
ローズカップ優勝者
ローズカップ優勝者
<1R>
小野俊之選手
小野俊之選手
 惜しくも2次予選にはもれた「特一般」から始まった2日目だが、勝負にかける選手の意気込みは勝ち上がりとそん色なく、レースも早くからヒートアップした。
 カマした大瀬戸潤一郎の踏み出しに富弥昭が離れ、番手には前々に踏んだ松岡孔明が収まった。松岡が落ち着いた仕掛けで番手まくりを放つと、最後は小野俊之(写真)が、きっちりゴール前でとらえ格上の差し脚をアピール。
「前回の小松島記念では(井上)昌己を抜けなかったけど、自分の中ではそこそこの状態にはあるんで。(展開は)ラッキーしました。(1着で)よかったです」
 九州ライン3車で上位を独占。松岡孔明は納得の顔。
「(周回の位置が)中団だったら、合わせて出ていこうと思ってたんで。ああいう形になりました。後は追い上げに来られたら、張ったり、どかしたりをしないとって。結果、誰も来なかったけど、仕掛けるのもあそこから踏んでおかないと。感じとしては初日もよかったし、前回よりいい」

<2R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
 中団のもつれをしり目に中部勢が主導権。これ以上ない展開を加藤慎平(写真)がモノにして1着。
「永井(清史)君が残れていないのが残念ですね」と、後輩を気遣いながら加藤が続ける。
「(最終)3コーナーからいつもの永井君の感じがない。いつもなら、もっと流れ行くんですけど…。自分の状態に関しては、調子はまったく問題がない。初日は展開だし、我慢も大事。あんまり一喜一憂しないように」
 加藤マークから2着に流れ込んだ、北野武史も永井を労う。
「僕にとってはいい展開だった。永井君が頑張ってくれました。最後は若干、濱田浩司君にかぶりかけて焦ったけど、それ以外は冷静でした。内も締めてられたし、悪くない感じです」

<3R>
 打鐘から稲毛健太と小川祐司で主導権争い。待ってましたの栗田雅也がまくると、南関ワンツーを決めた。
「ホームで4番(小川)が下がって来たので行った。8番(三谷政史)にもらったときにスピードが止まったけど、打鐘前からやり合ってくれたので、その分伸びた感じです」
 番手の鈴木誠は逆転ならず。
「栗田が止まったときにバックを踏んだ。でも、栗田はそのあと立て直してよく行ったね。タレてなかったし、踏み直されて差せなかった。強かったね、栗田が」

<4R>
根田空史選手
根田空史選手
 主導権を握って出た大西祐を、ロングまくりで豪快に沈めた根田空史(写真)。二の足で菅原晃を振り切り、初日とは動きが一変。3.92へのギアチェンジが功を奏した。
「昨日もこのギアだったら…。前回で4回転を使ったんで、(3.77に)戻したら初日は軽すぎた。でも、そういうこともG1で走っていかないとわからないんで。脚自体はいいんで、初日がもったいなかったですね」
 有坂直樹が離れ、根田後位には四国ライン。4番手でじっと脚を温存していた橋本強が3着に突っ込んだ。
「網谷(竜次)君も踏んでいったし、それに付いていこうとしたけど。網谷君と大西君が絡んでたし、大西君が張っていたんで内しかないって。道中も余裕はあるし、戦えるデキにはあるんじゃないですか」

<5R>
 先行態勢に入った山下一輝をすかさず叩いた阿竹智史。これでライン決着かに見えたが、1センターから仕掛けた永澤剛が室井竜二のブロックも凌いでまくり切った。
「バックで行けないかなとビビッて、中団に入るか迷ってしまった。ブロックも怖かったけど、乗り切れたんで何とかなると思いました。まくれてよかったです」
 あおりを食った稲村好将が2センターで外に膨らむと、空いたコースを突っ込んだ十文字貴信が2着に食い込んだ。
「前があおりを食ったんで、僕は真っ直ぐコースを突っ込んだだけ。今日はレースでも余裕があったし、良かったと思います」
 勝ちパターンかと思われた阿竹智史だが、まくられ3着。
「出切るまで踏んでないし、勝ちパターンだと思ってた。まくりが来たからアレッと思ったけど、向こうは下りだった分負けてしまった」

<6R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手
 2着までの2人のみが、準決へ進むことができる狭き門の2次予選B。坂本亮馬との同期、同県でラインを組んだ小川勇介が、最終ホーム過ぎにシビアな判断を迫られた。
「(坂本)亮馬の気持ちも伝わってきたし、頑張ってくれた。あの判断は難しかった」
 浮いた坂本を捨てた小川は、中団で脚を溜めて直線で矢のような伸びを見せ突き抜けた。
「ギアを掛けていたんで、一回ゆるめたら踏み上げるのがきつくなってしまう。だから、あそこは迷いました。よく伸びてくれましたね。昨日も手応えはあったし、園田(匠)さんと合宿に行った成果出ている」
 まくった矢口啓一郎は、山口富生に強烈なブロックをもらいながらも2着に踏ん張った。
「打鐘のところで五十嵐(力)さんも踏んでたし、そこで自分もかなり脚を使ったんですけど。そのわりにはなんとかなりました。あの(ブロックの)一発は効きました。それでも昨日納得のいかない部分があって、それを修正できた。(準決進出で)いいキッカケができたし、体は自然に動いている。ここは地元みたいな感覚で走れるから好きなんですよ」
 地元の諸橋愛(写真)は、矢口に乗って直線で外に持ち出すも伸びが一息。
「竹内(雄作)君がカマしたところで矢口君に離れて、やっと追いついている感じ。それで脚を使っているから、もう最後はいっぱいだった」

<7R>
柏野智典選手
柏野智典選手
 最終ホーム手前から牛山貴広が、神山雄一郎を引き連れて先行策。3番手の小橋正義と安東宏高がもつれて、あおりを受けた松岡健介が車体故障を起こし棄権。目標を失った柏野智典(写真)だったが、最終バックからガムシャラに踏み上げ神山に続き2着に入った。
「(松岡健の)車体故障があってからは、意外と冷静に走れました。あの位置でじっとしていてもダメだって思ったんで、行ける所まで行ってみようって。あのまま(まくりで)前を飲み込めるような脚があれば、もっと楽しいんですけど」
 2着までの権利を意識しながら、歴戦の神山雄一郎は最終4コーナーの立ち上がりから早めに踏み込む。
「小橋さんも付いていたし、このメンバーなら牛山君は先行かなと。頑張ってくれましたね。今日に関しては多少、タテに踏ましてもらった。あれで(踏み出しを)待っちゃうと、外を海老根(恵太)君だとかに行かれてしまう可能性もあるんで。あの形になったら1着を取らないと」

<8R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 藤木裕が2車の短いラインにも臆することなく、打鐘から敢然と主導権。
 「なんの迷いもなく、いつもの競走をしてくれた。頼もしい後輩です」と、番手を回った稲垣裕之(写真)が、最大限の賛辞を送る。直線では京都コンビの間を割って入った山田敦也が落車するアクシデントもあったが、稲垣が番手を生かして1着で準決行きを決めた。
「なんとかワンツーを決めたかったですね…。昨日は失敗して不甲斐ないレースをしてしまったけど、脚の状態は問題なかったんで」
 野田源一のまくりに乗った室井健一は、内への進路を取りかけながらも中のコースを選んで2着。落車を避けた。
「内の方はなんか危ない気がした。それであのコースに。体が勝手に反応しました。結果的にはラッキーでした」

<9R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 後ろ攻めの井上昌己が動くと、川村晃司がすんなりと車を下げる。そこを木暮安由が叩いて再びペースを緩めると、引いた川村が一気のカマシ。ラインでワンツースリーを決めた。
 勝ったのは近畿3番手を回った東口善朋
「川村さんも掛かってたし、(南)修二も車間を切っていい仕事をしてた。近畿3人で決まって本当によかったです。上のクラスで走ってると自然とモチベーションが上がるし、流れがかみ合ってきたのかな」
 2着の南修二は「最後は東口さんにやられましたね。強かったです」と言葉少なにレースを振り返る。
 逃げた川村晃司(写真)は3着に粘った。
「前受けになったけど、早めに引けば巻き返せると思ってた。いい展開になったので、思ったより楽に駆けられましたね。ラインで決まったのが一番良かった。調子は問題ないですね」

<10R>
村上博幸選手
村上博幸選手
 松岡篤哉が脇本雄太の反撃を必死に合わせて、徹底抗戦を試みるが軍配は脇本に。最終ホーム過ぎに壮絶な先行争いにケリを付けると、強靭なスタミナで3着に粘り込んだ。
「直前に大垣で松岡さんとは一緒に練習をした仲なんで、松岡さんの強さも知っていますからね。もうあれで我慢して、持久力勝負に持ち込むしかなかった。我慢比べなら負けない自信はあるんで。一瞬まくりに構えようかとも思ったけど、それじゃぁ、僕のプライドが。先行屋としてのプライドがありますから。結果以上に内容がよかった」
 村上博幸(写真)は車間を空けて、まくりで迫る三宅達也をけん制する。
「もう脇本君を信頼してたし、本当に強いですね。普通の競輪はジャンから始まるけど、脇本君はどこから始まるかっていうのがあるんで。しんどいです。前回の落車の影響がない訳じゃないけど、昨日は1着も取れているし大丈夫だと思います」
 最終バックからまくりを打った三宅達也が、初日に続き白星を挙げ連勝で準決へ。
「脇本君はあれで3着に残っているんだから強い。自分はいい位置が取れたし、今日は辛抱強く踏めました。脇本君は次元が違うし、僕は今日みたいになんとか隙を突いていかないと」

<11R>
坂本貴史選手
坂本貴史選手
 最終ホームでは7番手に置かれた武田豊樹が、まくり追い込みでねじ伏せたが組み立て面での甘さを反省する。
「レースがうまくできていない。ちょっとVTRをしっかり見てみないとわからないですけど」と、準決へ向けての修正ポイントを上げて厳しい表情で引き揚げる。
 打鐘からの押さえ先行で粘り込んだ坂本貴史(写真)は、価値ある3着。
「4回転のギアを使っているので、焦らないで踏めているのがいいのかもしれないですね。気楽っていうか。前だったら無理をして踏んでしまったかもしれない」
 荒井崇博に切り替えられた北津留翼は、大外を強襲して2着に届いた。
「引くのも遅かった。自分の作戦のイメージと違っちゃってました。脚はいつも通りの感じです」

<12R>
浅井康太選手
浅井康太選手
 打鐘の手前から深谷知広が師匠の金子貴志を連れて逃げる。これで別線はクギ付けかと思われたが、8番手から巻き返した浅井康太にまくられシンガリ惨敗。
「体の状態は大丈夫ですけど、今日はいっぱいでした」
 別線勝負の深谷を飲み込んだ浅井康太(写真)は、積極性とスピードが光った。
「僕は魅せるレースができた。あれで8番手そのままだったら意味がないし、久しぶりにあんだけモガキました」
 浅井、山口幸二のラインに乗った単騎の平原康多が、最終バック手前から豪快なまくりで後続をちぎってゴール。「ローズカップ」を制した。
「インタビューでも言ってた通り、行くポイントで仕掛けて行こうって。体は最終ホーム前から動いてました。今日は考えてた部分と違う流れだったけど、その中でしっかり対処ができた」
 佐藤友和に乗った成田和也が平原を猛追。
「前回は踏んでも伸びなかったけど、今回は展開もあると思うけど出ている。今日はスピードを(佐藤友に)もらったのもあるけど」
↑ページTOPへ