『第21回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 3日目編

配信日:7月15日
 弥彦競輪場で行われてる第21回寬仁親王牌・世界選手権トーナメント(G1)の3日目は、勝負どころの準決を迎えた。若い脇本雄太、深谷知広がともに逃げ切りでファイナルへコマを進め、京都勢は村上義弘の脱落はあったものの3人が優出。熾烈なタイトル争いは、いよいよ16日の最終日に決勝、激しいスピードバトルが展開される。なお、本大会は寬仁親王殿下を追悼する大会として追悼の意を表するため、開催期間中の半旗掲揚、出場選手及び関係者による喪章の着用を行います。
 本場では先着プレゼントなどの様々なファンサービスと、公開指定練習見学(悪天候の場合は中止)や予想会などのイベントでお客様をお待ちしています。また、最終日には「成田栞」ライブステージや閉会式終了後にバンクウォーク(悪天候の場合は中止)も行われる予定です。ぜひ、弥彦競輪場に足をお運びください。
中野浩一氏と鶴見辰吾氏よるトークショー
中野浩一氏と鶴見辰吾氏よるトークショー
チームスプリント エキシビションレース
チームスプリント エキシビションレース
<1R>
佐々木則幸選手
佐々木則幸選手
 激しい雨がバンクを叩きつける中で始まった、3日目のオープニングレース。打鐘過ぎに小川祐司が主導権を握って出ると、すんなり番手を回った佐々木則幸(写真)には願ってもない展開。前回の共同通信社杯の大怪我から復帰3走目で、うれしい白星を挙げた。
「前があそこまで連れていってくれたら、1着は取らないと。ホッとしました。この雨で後ろも仕掛けづらかっただろうし。天候も味方をしてくれた。他力本願で自力ではないけど、うれしいですね。やっと特別競輪に参加しているっていう感じがする」
 初日、2日目の失敗を糧にレースを作った小川祐司が、逃げて3着。
「昨日、一昨日のことがあったんで、必死だったです。いい形になって、ラインでワンツースリーが決まったんでよかった。中途半端はしないように、出切ってからもカマされないようなペースでいきました。自分のレースができました」

<2R>
園田匠選手
園田匠選手
 今期昇級しチャレンジャーの山下一輝が、打鐘から果敢に飛ばして逃げる。3番手を手に入れた園田匠(写真)は、まくりと追い込みの両面策。富弥昭が最終バック手前から番手まくりを放つと、追い込みで突き抜けた。
「富さんの具合を見てと思ってました。富さんが行かなきゃ自分でまくっていこうと思ってたんですけど。ちょうどいいタイミングで富さんが出て行ってくれたんで、戻って追っていきました。初日、2日目で使ったサドルがイマイチだったんで、今日はサドルを元に戻した。それで1着を取れたのはよかったです」
 山下との踏み合いを避けてまくりに回った永井清史は、前団を飲み込む勢いだったが2着まで。
「(山下が)発進するのはわかっていたし、それに抵抗することは考えていたんですけど…。結果、まくりになっちゃいましたね。番手まくりもあってきつかったけど、自分の感触も悪くはないです。最後、(1着まで)どうかなって感じでした」

<3R>
 1レースの豪雨がウソのように、すっかり雨がやんだバンクコンディション。初日、2日目とシンガリに沈んでいた稲毛健太が、大瀬戸潤一郎を叩いて先行策。自分のスタイルを貫いての逃げ切り勝ちに、稲毛の顔から自然と笑みがこぼれる。
「まくりは考えてなかった。先行してダメなら、また次に頑張ろうって。あんまり勝ちを意識しすぎるとよくないから、勝ちを意識しないで行きました。最後の直線も必死だったし、まだ余裕はないですね」と、内容を重視したうえでの勝利を強調する。
 志村太賀との連結を外した稲村好将は、中団で脚を溜めると中割りで突っ込み2着。
「(志村)太賀君はあのまま行ってくれれば面白かった。一回休んでから行ったんで、スピードを殺しちゃった。あれで外に浮いちゃうかなって。それで星島(太)さんの後ろに入って。星島さんの行かないコースを行こうと」

<4R>
栗田雅也選手
栗田雅也選手
 打鐘で上手く3番手を確保した栗田雅也(写真)が脚を溜めてのまくりで連勝。しかし、渡邉晴智を連れ込めず、「ダメですね…」とレースを振り返る。
「竹内君はドンドン踏み上がっていって合わされたらと思って待ってたけど、バックで仕掛けてたら何てことなく晴智さんと決まってたと思う。僕も竹内君のペースで意外に脚を使ってた」
 永澤剛のまくりに乗った内藤宣彦が2着に突っ込んだ。
「(渡邉)晴智が内に行ったから僕のコースができた。吸い込まれるように入れたし、やったと思いましたよ。状態は悪くない。弥彦は直線が長いので、僕にとってはありがたいバンクです」
 4角番手の加藤慎平だったが結果は3着。
「竹内も頑張ってたし、チョイ差しでと思ったら最後すごい勢いで来られた。結果、2人に行かれてるし難しいですね。でも自分の状態は悪くないので」

<5R>
菅原晃選手
菅原晃選手
 初日1次予選では連係するも失敗に終わった菅原晃と小野俊之が、リベンジの大分ワンツー。最終ホーム手前から叩きに出た濱田浩司との激しい踏み合いを制した菅原晃(写真)が、逃げ切り勝ち。
「初日に小野さんに迷惑をかけてしまったし。先行をしたくてもなかなかできなくて。力さえ出し切れればなんとかなるんですけどねぇ。濱田さんがあそこから仕掛けて来たのは予想外でしたね」
 最終バック手前では9番手だった十文字貴信は、一度は中団まで進出すると直線でコースを探して鋭く追い込んだ。
「真ん中くらいまで行ってから、最後まで待ちました。あれで突っ込んでいって、いつも落車をしているんで。最後は思い切って踏んだ。去年、観音寺記念を獲った時のフレームに戻して感じもいい。ここに来るまでしっかりやってきたし、体調もいいんで。明日、もう一日しっかり頑張ります」

<6R>
五十嵐力選手
五十嵐力選手
 阿竹智史が先に斬ったところを根田空史が一気に先行。番手の五十嵐力(写真)が絶好の展開を生かした。
「今日は根田が掛かってましたね。ずっと掛かってく感じだったし、誰か来たらブロックと思ったけど、やっぱり誰も来なかった。最後は(根田を残せるかどうかの判断が)難しいところですよね。もうちょっと技術を磨かないと」
 3番手を回った鈴木誠も根田の走りを絶賛する。
「根田が強かったね。初日とは全然違う。やっぱり初日はギア選択のミスでしたね」
 根田空史は2日目から3.92にギアを上げたのが正解だったようだ。
「今回のバンクコンディションなら、これがちょうどいい。出し切れてますね」

<7R>
野田源一選手
野田源一選手
 木暮安由が斬った上を松岡篤哉が先行。このライン3番手に続いた単騎の野田源一(写真)が鋭く伸びた。
「あの位置が取れたし、誰かが来たら行こうと思ってた。木暮君が見えたし、立ちこぎしたら思ったよりスピードが出たので、そのまままくって行きました。3番手すんなりでサラ脚だったのが勝因ですね」
 2着には松岡篤哉が粘ったが、後ろの山口富生が失格して表情は浮かない。
「緊張はそんなになかったし、掛かりはまずまずだったと思います。でも師匠が失格だったので、ちょっと…」
 上手く中団を取った木暮安由だったが、まくり不発に。
「スピードが合っちゃいましたね。周回中は楽だったけど、踏み出しが重いです」

<8R>
 海老根恵太が先にインを斬って、主導権を握った藤木裕3車を受ける。井上昌己は読み通りの6番手から、目の覚めるようなまくりで荒井崇博とワンツーを決めた。
「海老根さんは脚を使っているから、行っても3コーナー過ぎくらいじゃないかって。だから、イチかバチかになるけど、その前に行けばって。思ってた通りの展開でしたね。(まくって)行った感じから行けると思ったけど、後ろは荒井さんですから。抜かれて2着争いでしたね」
 初日の1次予選に続いて井上を交わした荒井崇博が、シリーズ2勝目。これ以上ない相棒へ全幅の信頼を置く。
「(井上)昌己はすごい強かった。絶対にどこかで仕掛けてくれるから。昌己は自信があったんでしょう。自分も昌己の後ろだと、いやが上にも気合が入りますから。練習の時の強さは知っているんで」

<9R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 松岡貴久ラインを出させた牛山貴広は4番手を菅田壱道に割り込まれて、苦しまぎれに伏見俊昭と併走。伏見を弾いて菅田に続くが、菅田は大塚健一郎のブロックで不発。
「中団と思ってたんですけど、入られちゃったんで。もうしょうがなかった。それで(菅田に)付いていったんですけど」
 前の牛山があおりを受けると飯嶋則之は、最終2センターから俊敏に動いて直線で大塚をとらえた。
「前がどうなっているかわからなかったけど。なんとかですね」と、淡々と振り返る。
 逃げた松岡の番手で2着の大塚健一郎(写真)だが、手応えはつかんでいる様子。静かに口を開く。
「(松岡が)頑張ってくれたけど、もったいない。それでも自分の中では脚の感じは間違いなくいい」

<10R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 脇本雄太が平原康多を制して主導権。叩かれた平原が打鐘の3コーナーで番手の村上義弘を猛ブロック。審議の結果、平原は押し上げで失格となったが、平原マークから矢口啓一郎(写真)が3着で優出を決めた。今期は2班でF1や記念でも厳しい戦いが予想されるだけに、矢口にとっては追い風のG1だろう。
「そんなに余裕はなかった、F1とは違いますからね。平原君がもっていった勢いがよかったんで、下で待っていれば(平原が)番手まで行けるかなって。難しいレースでした。それでもG1の決勝に乗ることを目標にやってきたし、自分も乗れるんだなっている感じです。最近は成績も調子も上がってたんで、G1でも戦えるかなって思ってました」
 三度の逃走劇で高松宮記念杯に続くファイナルをもぎ取った脇本雄太
「自分の結果だけだったら、いいレースができたけど。村上さんと一緒に決勝に乗れなかったのが…」と、手放しでは喜べない様子。
 好位キープから佐藤友和が、脇本を追い詰めるも2着まで。
「(最近は)なんか自分の目標通り来れてますね。(平原が飛び付かなければ)自分があれをやろうって思ってた。その位置が一番(決勝に)近いんで」

<11R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 「やっぱりセオリー通り、まずは深谷(知広)君を8番手に置くことを第一に考えて」と、口を開く稲垣裕之(写真)。先行態勢に入って最終ホームでは目イチで深谷を合わせるが、出られると後続の援護もあって番手に収まった。
「深谷君が来たのもわかったけど、もうスピード負けでした。出られたら3番手ではラインに勝負権がないので…。決勝に乗っているので調子が悪くはないけど、もっと脚があれば東口(善朋)君も連れて行けたんですけど」
 市田佳寿浩は最終1コーナーで深谷の後ろの山口幸二をどかして直線で鋭く追い込む。写真判定の結果は、深谷と同着の1着。
「ホームで深谷君とスピードが合う形になったし、(山口)幸二さんと絡んだ。そこがポイントでした」
 中部ひとりでの決勝となった深谷知広は言葉少な。
「(山口)幸二さんと2人で決めたかったんですけど。自分もまだ疲れが抜けない感じです」

<12R>
川村晃司選手
川村晃司選手
 最終ホームから武田豊樹が主導権を握るが、これを京都コンビが鮮やかにまくってワンツー。村上博幸は一昨年の競輪祭以来となるG1優出を1着で決めた。
「川村さんが強かったし、自分もしっかり細かい動きができた。集中して付いて行けたと思います。とりあえず、また明日頑張ります」
 2着の川村晃司(写真)は嬉しいG1初優出を自力でつかみ取った。
「2車なんで、斬って斬ってのところをカマせたらと思ってました。イチかバチかで仕掛けたけど、何とか出切れたし無我夢中でした。G1の決勝はやっと乗れたなって感じです」
 決勝戦最後の切符は長塚智広がゲット。
「力不足でまくられた」とレースを振り返るが、明日は深谷知広の番手を回れるメンバーに。「ともひろラインで頑張ります」と勝負の決勝戦に視線を移した。
 京都コンビのまくりに切り替えた小川勇介だったが、決勝進出はならず。
「長塚さんは3番手確保の感じでしたね。村上さんの後輪が抜けた瞬間に来られた」
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