『第22回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 最終日編

配信日:7月15日
 第22回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)は7月15日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。注目の決勝戦は深谷知広が打鐘過ぎ4コーナーで川村晃司を叩いて先行。飯嶋則之との競り合いをしのいで番手を死守した金子貴志がゴール寸前で深谷を捕らえ、G1初制覇を果たした。深谷が2着に粘り、師弟ワンツーが決まった。
ファンのボルテージが最高潮に
ファンのボルテージが最高潮に
エスコートキッズは弥彦小学校の生徒達
エスコートキッズは弥彦小学校の生徒達
麻丘めぐみ撮影会とライブステージ
麻丘めぐみ撮影会とライブステージ
決勝戦 レース経過
 号砲ですんなりと深谷知広が前を取ると、周回中から後ろは金子貴志、飯嶋則之で目まぐるしく入れ替わる。4番手以降は岡田征陽―浅井康太―井上昌己―川村晃司―成田和也―木暮安由で落ち着いた。
 赤板前から川村が上昇開始。深谷が誘導員を残して車を下げると、川村は誘導員との車間を空けて深谷の反撃に備える。一度は川村ライン3番手が併走になったが、木暮が下げて岡田が単独の3番手。浅井、井上は後方8、9番手で勝負どころの打鐘前を迎える。
 金子が外に追い上げると、深谷は打鐘前から一気に踏み込む。合わせて川村も踏み上げたが、ダッシュよく深谷が出切ってしまう。競りの両者は踏み出しで離れたが、金子は何とか深谷に追いつき番手を死守する。3番手に入った川村は2コーナー過ぎからまくり上げるが金子の外で一杯に。1車番手を上げた成田だが、なかなかコースが空かない。直線に入ってようやく金子が外に持ち出すと、すかさず成田が中を割って、粘る深谷まで3車が横一線でのゴールとなったが、僅差の争いを制した金子が嬉しいG1初優勝。深谷が2着に粘り、師弟でワンツーを決めた。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘で押さえてきた朝日勇を前受けの河端朋之が突っ張る。前団がもつれたところを和田真久留が抜群のタイミングでカマして最終主導権。これに乗った郡司浩平(写真)が鋭く追い込み、G1初勝利を飾った。
 「今日は僕というよりも真久留とワンツーが決まったことが何より。いい展開になったし、真久留が本当に強かった。すんなり付いていっただけですから。こういう形でしたが、G1初勝利はうれしいですね。初のG1で自分の弱いところが明確に見えたし、いい勉強になりました」
 和田真久留はシリーズ2連対。S級デビュー戦で存在感を示した。
 「今日は河端さんが前で突っ張ったので、仕掛けやすくなりました。展開が向きましたね。最後はいっぱいだったけど、2人で決まって良かった。やっぱりS級は展開が早いし、対応しきれなかったところもある。1勝はしたかったんですけどね」

<2R>
坂本貴史選手
坂本貴史選手
 打鐘で角玲央奈を叩いた坂本貴史が先行。木村貴宏が番手絶好展開をきっちりものにした。
 「坂本君が前で頑張ってくれたおかげです。打鐘からけっこういいペースで踏んでました。自分も番手でやれることはやったつもり。十文字(貴信)さんの失格が残念。あれがなければラインでワンツースリーでしたからね」
 打鐘先行の坂本貴史(写真)が2着に繰り上がった。
 「竹内(雄作)さんに先行されたら厳しいですからね。今日は自分が主導権を取って、あとは後ろにお任せしようと思ってました。ラインのおかげです。今回は初日に落車して、お客さんに迷惑をかけてしまった。身体をケアしてまた次から頑張ります」

<3R>
松岡貴久選手
松岡貴久選手
 松岡貴久(写真)が好気合を見せて快勝した。レースは外の原田研太朗を強引に退かしてジャンで先頭に立つと、巻き返してきた原田に飛び付き番手を奪取。最後は早めに抜け出し、2連勝でシリーズを終えた。
 「突っ張るつもりで僕も踏んでたけど、(原田が)ホームからどんどん伸びてきて出られてたんで、『くそ!』って思って飛び付きました。あそこで引いたら荒井(崇博)さんに迷惑かかるし。まあレースを作れる脚が戻ってきたかな」
 橋本強は飛び付かれたものの、意地を見せて2着に食い下がった。
 「あのタイミングだと飛び付いてきますよね。僕も負けられないし、ずっと荒井さんと併走になってたけど何とかいけました」

<4R>
柏野智典選手
柏野智典選手
 齋藤登志信が鋭脚を発揮。目標の高橋陽介のまくりは不発に終わったが、惰性をもらって一気に突き抜けた。
 「コースがタマタマ空いただけですね。今回は2日目がもったいなかった。もう少し自分で何かできたんじゃないかと思っている。やっぱり準決まではいかないと。でも最終日に1着が取れたので次につながると思います。反省を生かしてまた頑張ります」
 三宅達也のカマシに乗った柏野智典(写真)が2着に追い込んだ。
 「三宅さんはいつも緩んだところでいくので、あのタイミングで仕掛けると思ってました。今回は自分のデキが悪かったんですが、こうやって先輩の頑張りに助けられて、自分ももっと頑張らないとっていう気持ちになりました」
 三宅達也は直線で末を欠いて3着に敗れた。
 「前が緩んだので思い切って仕掛けました。バック向かい風で止まりましたね。きつかった。ギアが重く感じました」

<5R>
渡部哲男選手
渡部哲男選手
 阿竹智史が打鐘からハイペースで逃げる。渡部哲男(写真)は最終2コーナーから番手発進。後続の追撃を振り切り、白星でシリーズを締めくくった。
 「阿竹君のおかげです。チームスプリントみたいだった。まだタレてなかったけど、鈴木(謙太郎)が来てからでは厳しいので、早めに出させてもらいました。しんどかったです」
 地元の諸橋愛は先手ライン追走から最終2センターで内をすくって2着に突っ込んだ。
 「渡部君は番手で仕事をすると思っていたけど、前に踏んだので意外でした。最後はシビアにいきました。やっと終わりましたね。4日間、気持ちが張りっぱなし。3日間ぐらいは休みます」

<6R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
 濱田浩司が中川誠一郎を強引に叩いて先行。佐藤友和(写真)がロングまくりでこれをねじ伏せ、ファンの支持にきっちり応えた。
 「先行も考えていたんですけどね。前がけっこう踏んでいて余裕はなかったけど、力勝負で何とか無事に勝てて良かったです。今日は負けられなかったですから」
 小野大介が完璧マークで2着に流れ込んだ。
 「昨日からギアを4.25に上げていて正解でした。上げてなければ離れてましたね。何とか付いていけました。やっぱりSSのスピードは半端じゃない」

<7R>
根田空史選手
根田空史選手
 根田空史(写真)が鐘と同時にスパート。パワー全開の1周半先行で別線をシャットアウト。シリーズ2勝目を挙げた。
 「力は出し切りました。バック向かい風だったので本当にきつかった。今回は前検日の前の日に体調を崩して調子があまり良くなかったんですが、日に日に回復してきました」
 3番手からまくった菅原晃は星島太のブロックでスピードが止まった。
 「いい位置が取れたんですけどね。でも、そこから仕掛けようという気持ちが出たのはいい傾向でしょう。星島さんのブロックが効きました」

<8R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
 永井清史の先行を牛山貴広が3番手からひとまくり。これに乗った矢口啓一郎(写真)が鋭く差し切り、関東ワンツーを決めた。
 「牛山君は動ける脚があるのに今シリーズはあまり動けてなかったですからね。今日は前で頑張ってほしかったし、いいレースをしてくれました。ワンツーが決まって良かった。今回は気持ちと脚がかみ合って、いい結果を残せたと思います。さらにステップアップしていきたいですね」
 牛山貴広は3日間のうっ憤を晴らす自力勝負で持ち味を出し切った。
 「昨日の失敗があるので、今日はしっかり動こうと思ってました。いい位置が取れたし、まくった感触も良かったです。矢口さんとワンツーを決められたのが何よりもうれしい。次にすぐ豊橋記念があるし、つながるような走りはできたと思います」
 永井清史の先行を利した筒井敦史が3着に入った。
 「永井君が頑張ってくれたおかげ。真後ろから来られて対処できなかったです。でも、精いっぱいやりました。初日はもったいなかったけど、負け戦で確定板に入れましたからね。今度は勝ち上がりで見せ場を作りたい」

<9R>
小倉竜二選手
小倉竜二選手
 赤板過ぎの2コーナーで脇本雄太、村上義弘が落車。さらに1着入線の稲川翔が失格する波乱のレースとなった。落車を避けて最後に中を割った小倉竜二(写真)が1着に繰り上がった。
 「前で落車がありましたからね。最後は危ないから迷ったんですが、1着を狙って中を割りにいきました。今回は繰り上がりで勝ち上がったし、ツキだけですね」
 逃げた稲毛健太が3着に繰り上がり、確定板入りを果たした。
 「脇本(雄太)さん相手でも先行するつもりだったんですが、早めからもがき合いだけは避けようと思ってました。落車したのが分かって、とりあえず前に出ようと。今日はバック向かい風で重かったです。稲川さんが失格してしまったのが残念。後ろで仕事をしてもらったおかげです」

<10R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 松岡健介の先行に乗った稲垣裕之(写真)が最終2コーナーから番手まくり。新田祐大との壮絶な踏み合いを制してシリーズ2勝目を挙げた。
 「松岡君がいい感じで踏み上げていきましたから。番手から出て最後はいっぱいでした。今回は4日間、納得のレースができたけど、勝ち上がらないと意味がないですからね。このあとはしっかり腰の治療をして次に備えます」
 新田祐大は最終1コーナーから抜群のスピードでまくり上げたが、稲垣を捕らえることはできなかった。
 「仕掛けたタイミングは良かったんですけどね。別線の動きとかもありますから。今回は全然ダメでした。ここに合わせて調子を上げてきたつもりだったけど、レース内容も良くなかったし、かみ合っていなかった。この悔しさを次につなげます」
 単騎の園田匠がしぶとく3着に突っ込んだ。
 「脚はずっと溜まっていたんですけどね。内が空けば突き抜けていたかもしれません。今回は初日からすこぶる調子が良かったので、あとは展開ですね。このままの調子でいければもっと戦えると思います」

<11R>
深谷知広選手
深谷知広選手
成田和也選手
成田和也選手
 愛知師弟コンビの連係が最高の舞台で実を結んだ。金子貴志が渾身の追い込みでG1初優勝。深谷知広(写真)は尊敬する師匠の前で持てる力を全て出し切った。
 「ワンツーが決まって最高にうれしい。自分と金子さんが飯嶋(則之)さんよりも優っていると思いながら走りました。今回は宮杯が終わって、きついトレーニングをした成果が出ましたね。初日の2着で流れをつかめたのが大きいですね」
 3番手確保からまくった川村晃司は不発。その後ろから直線で中を割った成田和也(写真)だが、愛知両者に届かなかった。
 「川村さんが頑張ってくれたおかげです。いい位置を取って仕掛けてくれたし、チャンスだったんですけどね。コースを迷った分、届かなかった。チャンスをものにできなくて悔しい」
 川村晃司は深谷との力勝負に完敗した。
 「深谷君の巻き返しが思ったよりも早かったです。かかってました。いけるところまでと思って仕掛けたけどいっぱいでした」
 単騎の浅井康太は見せ場を作れなかった。
 「今日は展開待ちだったから仕方がない。もがき合ってくれっていう考えしかなかった。また次に頑張ります」
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