『第23回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 3日目編

配信日:7月20日
 第23回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)は後半戦となる3日目に突入。準決勝3個レースをメーンに熱戦が繰り広げられた。深谷知広、浅井康太のSS班2名をはじめ、池田勇人、中川誠一郎らベストナインが出そろった。明日の決勝戦でいよいよ頂点が決まる。
 最終日も場内では早朝予想会に始まり、超耕21ガッターのキャラクターショー、スピーチーズライブ、小嶋敬二選手をゲストに迎えての中野浩一氏、佐々木昭彦氏によるトークショーなどイベントは盛りだくさん。ぜひ、弥彦競輪場でお楽しみください。
メーンレースを大予想 早朝予想会
メーンレースを大予想 早朝予想会
ガールズケイリン選手と撮影会
ガールズケイリン選手と撮影会
スピーチーズ ライブステージ
スピーチーズ ライブステージ
激しいレースに歓声が飛ぶ
激しいレースに歓声が飛ぶ
<1R>
和田真久留選手
和田真久留選手
 打鐘前に筒井裕哉が斬った上を飯野祐太が叩いて先行。後方8番手に置かれた和田真久留(写真)だが、最終1コーナーで車を外に持ち出すと圧巻のスピードで前団をひと飲み。上がり11秒1の好タイムでまくって快勝した。
 「8、9番手になってしまって内容は良くなかったですね。河端(朋之)さんが仕掛けてくれたので助かりました。見て見てのレースになってしまったけど、仕掛けるタイミングはあそこしかなかった。今回は日程的に厳しかったし、疲れがなかなか取れない感じです」
 栗原厚司が2着に流れ込み、南関ワンツー決着となった。
 「後方になって、いつ仕掛けるのかと思ってました。でも、すごいスピードでしたね。それでもしっかり付け切れたので。抜きにいったけどダメでした。和田君が強かったです」

<2R>
武井大介選手
武井大介選手
 古性優作が逃げて伊藤保文は番手絶好の展開。直線抜け出しを図ったが、5番手まくり不発の松坂洋平ライン3番手からコースを突いた武井大介(写真)がゴール寸前で伊藤をとらえた。
 「昨日はあれで内に行けなかったので、今日も同じ展開なら3番手だしなるべく内々にと思ってました。(萩原)操さんとコースが重なって、あそこで一度踏みやめたけど、そこからいい感じで突っ込めていけたんでよかったです」
 人気の菅田壱道だったが、8番手不発。5着で何とか帰郷だけは免れた。
 「すぐに一本棒になったのが誤算でしたね。あれで松坂さん任せになってしまった。ギリギリだったんですね。最後まで踏んでよかった」

<3R>
阿竹智史選手
阿竹智史選手
 坂本貴史が打鐘で岡崎智哉を叩いて先行。3番以下は激しくもつれる。前々に踏んで中団の位置に入った阿竹智史(写真)が直線で中を割って突き抜けた。
 「今年に入って調子は一番悪いんじゃないかという状態。今日はすんなりした展開にはならないと思っていました。8番手じゃ厳しいし、前に踏んでどこかに降りようと。ゴチャゴチャしたけど、前にいた坂口は外を踏むだろうし、最後は中を踏みました。思い切ってまくりを出せればいいけど、そんな状態じゃない。後ろには迷惑をかけてしまった」
 勝負どころで3番手を確保した坂口晃輔が外を追い込んで2着に入った。
 「落車もあって何が何だか分からなかったですね。自分の位置は何とか確保できたんですが、近畿を分断するような形になってしまい、申しわけなかったです。難しいですね。まくる気持ちはあったけど、なかなかフリーな状態にならなかった。明日につながる走りはできたと思います」

<4R>
大西祐選手
大西祐選手
 先行態勢に入った郡司浩平を藤田竜矢が叩いて主導権を奪う。早めの巻き返しを見せた小川勇介だったが不発。その上を大西祐(写真)が豪快にまくり切った。
 「橋本さんは高校時代からの憧れの先輩。カリスマみたいな存在でしたからね。ワンツーが決まって嬉しい。松山記念で迷惑かけてるし、僕が1着でもワンツーも初めてです」
 続いた橋本強が2着に食い込んだ。
 「今日はスタート取れたのが全て。ギアを下げといてよかったですね。勇介が行ったところをすかさず行ったし、大西が強かったです」
 小川勇介も気持ちの入ったレースを見せた。
 「今日はどんな形でもホームから動こうと思ってた。体は動いてるんで、あとは脚ですね」

<5R>
萩原孝之選手
萩原孝之選手
 山田久徳が打鐘前からスパート。戸田康平を突っ張って先行する。最終2コーナーで山田の後位がもつれて4人が落車。これを避けた萩原孝之(写真)が3コーナーからまくって連勝を飾った。
 「連勝ですけど松谷(秀幸)君が落車でケガをしたから素直に喜べないですね。どうやって落車を避けたのか自分でもよく覚えていないです。余裕はありました」
 大薗宏は芦澤大輔との連結を外してしまったが、落車を避けて2着に。
 「芦澤が頑張ってくれたのに、星島(太)さんにからまれて付いていけなかった。芦澤が転んでしまったし、自分だけ避けて2着は本当に申しわけない気持ち。結果は良かったけど本当に不甲斐ないです」

<6R>
諸橋愛選手
諸橋愛選手
 6番手から先に斬った矢口啓一郎を打鐘から北津留翼が叩く。そこをさらに中村一将が叩いて主導権を奪うと、中団がモツれて近畿勢のペースに。番手の東口善朋が交わしてワンツーかに、5番手から外を伸びた諸橋愛(写真)が1着をさらった。
 「ハマちゃん(濱田浩司)をキメてる間に矢口を入れられなくなってしまった。俺も内を狙ってたんだけど、前がみんな内を狙ってるから外を吸い込まれるように伸びましたね。矢口も頑張ってくれたし、歓声の力もあった。地元なんで1着のみ考えてるから、とりあえずよかったです」
 2着の東口善朋は悔しそうにレースを振り返る。
 「翼も内を締めてるから持って行ったら内に来るなと意識はしてた。(外は)まさかやったですね。バックで誰も来てなかったんで決まったと思ったけど、難しいですね」
 中村一将は早めの仕掛けで見せ場を作った。
 「空いてるところを探しながら行ったら、どこも空いてなくて前まで。東口もだいぶ残してくれたけど、距離が長かった」

<7R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 永井清史が打鐘前から一気のカマシ。そのまま1列棒状の展開に持ち込んでハイペースで飛ばしていく。番手の吉田敏洋(写真)はまくってきた吉本卓仁をブロックして止めると早めに追い込んだ。
 「永井が思い切って仕掛けてくれた。打鐘の4コーナーではけっこう脚にきていましたね。(吉本)卓仁が綺麗に4番手に入っているだろうから、どこから来るか。それしか見てなかった。かぶったらダメですからね。永井のおかげです」
 中近ライン3番手を回った西岡正一が2着に流れ込んだ。
 「理想の展開になりました。前2人のおかげです。しっかり2着に入れて良かった。感じもいいですね」

<8R>
南修二選手
南修二選手
 初手中団の松岡健介が後ろ攻めの黒田淳の上昇を阻むと、前受けの木暮安由がそのまま駆ける形に。木暮がかかり切る前に松岡がその上を仕掛けると、ゴール前はライン3車で横一戦のゴール。番手の南修二(写真)が今年G1初勝利を挙げた。
 「最後はバランスを崩したけど、よかったです。やっぱり松岡さんは強いですね。今年4勝目? また、頑張ります」
 逃げた松岡健介が2着に粘った。
 「(黒田が)後ろになったら斬るか、僕にフタするかな? と思ってた。突っ張るそぶりを見せたら来なかったのでラッキーって感じでした。木暮が駆けたんで、かかり切ると飛びつきやすくなるからその前に行った。勝てんなあ」
 3番手から外を伸びた渡部哲男だったが前をとらえられず。
 「突き抜けたかと思ったけどね。踏み出しがキツかったし、金子(真也)さんの動きも気になった。でも(昨日同じ展開で失敗してるし)今日は付いて行かんといかんと思った。3番手とか追走する技術を少しずつ向上させていきますよ」

<9R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 打鐘前に飛び出した根田空史が同型の出方をうかがいながらペースを上げていく。これで根田と即席ラインを組んだ岩津裕介(写真)に絶好の流れ。番手から鋭く追い込み、シリーズ初勝利を挙げた。
 「しっかりした3分戦で根田君が主導権を取るのは厳しいと思っていたけど、苦しい中でよく行ってくれました。自分達に展開が向きましたね。3番手に柏野(智典)さんも付いているし、あんまり引きつけても柏野さんが厳しくなりますから。ワンツースリーまで決まれば一番良かったんですけどね。今回は体調的に問題なかったけど、レースはいつも勝てるわけじゃない。目の前の一戦一戦をしっかり頑張ります」
 中団をキープした松川高大はまくり追い込みで3着に入るのが精いっぱいだった。
 「根田君がかかっていたし、強かったですね。全然動けなかった。岩津さん、柏野さんにけん制されたし、後ろからは来れないと思ったので、待って直線勝負しました」

<10R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 前を取らされた竹内雄作だったが、後ろ攻めの小松崎大地が上昇すると赤板前から突っ張り先行。3番手に入りなおした小松崎が1コーナーからまくり上げると金子貴志が合わせるように番手まくり。その内をすくって菊地圭尚、宗景祐樹が前に出るが、8番手から井上昌己が好回転のまくりで前団を仕留める。最後は番手の大塚健一郎(写真)が抜け出した。
 「(あの展開は)想定内ですね。緩んだら行くと言ってくれてたんで昌己に任せてました。スピードがよかったんで、あおりをもらわんようにだけ外付けして、来られてもいなせるようにしてた。その辺も視野が広がってましたね。初日は集中できてなかったけど、そこを修正できたのがよかった。だいぶ冷静になってきました。調子も日に日によくなってると思います」
 まくった井上昌己は2着で2年連続の寬仁親王牌優出を決めた。
 「キツかった…。あんなに早く始まるとは思わなかったですね。でも、展開が向きました。ホーム8、9番手でヤバイと思ったけど、ホームで行かなくて正解でした。交わされなかったら最高だったけどね。(ギアは)今日はそのままいった。それよりセッティングを出そうと思って合志(正臣)さんに考えてもらって、いい感じが出た。流れる感じがありますね」
 バックから前々に攻めた菊地圭尚が3着で決勝進出。
 「大地のおかげ。前が踏み合いになって、まくり頃になったんで(井上が)来るのは分かってた。金子さんもキツそうだったんで、アテにせずに(内から)行かせてもらいました。毎日、後輩に助けられて頑張れてます。今回は調子どうこうよりも宮杯が悔しくて、それで気持ちを強く持って走れてます」
 金子貴志は内をすくわれ万事休す。
 「仕方ないですね。(竹内は)かかってたけど、(2車と3車で)ラインの違いが出たと思います。なかなかG1の決勝に乗れない。厳しいですね」
 あと一人が遠かった宗景祐樹は「とくにミスはしてないし、脚ですね」。サバサバした表情でレースを振り返った。

<11R>
池田勇人選手
池田勇人選手
 赤板過ぎに脇本雄太が高橋陽介を叩いて先行態勢に持ち込む。脇本ライン3番手の山口富生は落車。すんなり3番手を確保した池田勇人(写真)が最終2センターから外を踏み込んで激戦を制した。
 「最低でも中団は取ろうと思ってました。脚を使わないであの位置を取れたのが大きかったですね。駆けているのがワッキー(脇本)だし、後ろから簡単には来れないし、落ち着いていこうと。その方がラインのみんなに勝負圏があるかなって。3コーナー過ぎから踏みました。決勝に乗れてうれしい反面、落車があったんで、何にも言えないですね」
 番手絶好展開となった稲川翔は2着。ラインの前後の選手が落車したため表情は冴えない。
 「(山口)富生さんが落車してライン2人になってから自分なりに冷静に走ろうと思っていました。自分の技量不足というか判断の悪さが出てしまった。脇本君も落車してしまったし、素直に喜べない。まだ今回は1着がないので、最終日に1着を取りたい」
 後方からまくり追い込んだ単騎の野田源一が3着。12年ぶりのG1優出を果たした。
 「また後手を踏んでしまったけど、あの位置で勝負するしかなかった。池田さんが3番手を確保して仕掛けるのを待っていたんですが、もう待てないと思って仕掛けました。落車もあったし、自分の力で決勝に乗れたとは思っていない。内容は良くないけど結果は出てますね。ツキがありました。決勝も単騎で頑張ります」
 高橋陽介は後方に置かれて見せ場がなかった。
 「脇本君を相手に後ろから押さえて先行したかったけど、うまくやられてしまった。結果的に池田さんのところで粘れば良かったけど、引いてしまった。ギアもかかっているので、あんまり粘るようなレースはしたくなかった」

<12R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 後ろ攻めの中川誠一郎が上昇すると、深谷知広はあっさりと車を下げ、空いた中団に三谷竜生が入る。深谷を見ながら三谷が3コーナーから踏み上げるが、中川は三谷を出させない。これでまくり頃になった深谷は小野俊之、飯嶋則之がからんだ内をすくって2コーナーまくり。粘る中川を飲み込んだ。
 「思った展開と違ったけど、展開が向きました。周りも見えていましたね。疲れは若干あるけど、あと1走なので。(決勝も)タイミングを逃さず、仕掛けられるところでしっかり仕掛けたい」
 2着には逃げた中川誠一郎(写真)が粘って、G1初優出を決めた。
 「打鐘過ぎ2センターで三谷が来なかったので。後ろに合志(正臣)さん、小野さんも付いてたから誰かが乗るようなレースをしないとと腹をくくった。先行の形になれば、(後ろの)どっちかが乗ってくれるだろうと思ってました。最後は深谷が目標になったんで、もう1回、3着までと思って気持ちが入った。やっと決勝に乗れましたね。疲れは徐々に抜けてきてるし、だいぶアップが楽にできてるんで。決勝は一番いい状態で臨めると思う」
 やや口が空きながらも深谷を追った浅井康太だったが、直線で合志と接触して3着。それでも決勝戦最後の切符を手に入れた。
 「キツかった…。最初は付いていけたけど、そこからもう1段階上がって離れた。それでも2着はキープできると思ったけど、合志さんとからんで失速した。ギアが足らんかったですね。上げるかどうか考えてます」
 4着の神山拓弥は「作戦は特に。三谷君に任せてました。(中川が)突っ張るとは思わなかったけど、他地区なのに三谷君は思い切って行ってくれました」と三谷の頑張りを称える。
 突っ張られた三谷竜生は「早く行くと深谷を引き出すし、タイミングが難しかった」と悔しがった。
↑ページTOPへ