『第24回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 3日目編

配信日:7月19日
 第24回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)は昨日までの雨から一転、好天に恵まれ勝負の3日目を迎えた。準決勝では脇本雄太、渡邉一成、金子貴志がそれぞれ勝利し、決勝へ弾みをつけた。いよいよ勝負も大詰め。トップスターによる熾烈な頂上決戦から目が離せない。
 場内ではファンサービスやイベントが盛りだくさん。最終日も入場者先着プレゼントを進呈。また藤原亜衣里選手・菅田賀子選手トークショー&撮影会(4R終了後)やジェロライブステージ(7R終了後)、「スピーチーズ」ライブ(8R終了後)、佐々木昭彦氏予想会(3R終了後)などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。
ガールズ選手トークショー&撮影会
ガールズ選手トークショー&撮影会
スピーチーズ ライブステージ
スピーチーズ ライブステージ
インターネット公開中継
インターネット公開中継
本場で熱戦をお楽しみ下さい
本場で熱戦をお楽しみ下さい
<1R>
小川勇介選手
小川勇介選手
 連日ピリッとしなかった小川勇介(写真)だが、3日目にようやく白星をゲットした。3日目から補充参戦となった栗山俊介が鐘で飛び出して果敢に主導権取りへ。小川は立ち遅れ8番手となってしまうも、鈴木謙太郎をすくって池田勇人の後ろに入る。それでも前の池田の仕掛けを待たず、2コーナーから踏み込むと好回転で前団をひと飲みした。2着には逃げた栗山の番手を回った椎木尾拓哉が入線。
 「負け戦だけど、きっかけが欲しかったんで(笑)。自分の得意な追いかける展開になったのも勝因。久々の1着はうれしいですね」と勝った小川は頬が緩む。
 「しっくりこなくて開催中もずっとセッティングをいじってたらやっとアタリが出ましたね。これが初日だったら…。でもあと一日あるから頑張ります」と最終日も活躍を誓った。
 果敢に攻めた栗山俊介は「前回川崎の前に合宿に行ってその成果が出ていますね。感触は良いと思うし、あとちょっとでした」

<2R>
阿竹智史選手
阿竹智史選手
 阿竹智史(写真)が2日間大敗のうっ憤を晴らす快走で人気に応えた。レースは打鐘から高久保雄介が先行。中団を新山将史、相川永伍で取り合う。前受けから8番手まで下げた阿竹が最終2コーナーから鋭くまくり切った。
 「前を取らされる展開になると思ったし、前がもがき合ってくれれば8番手でもいいかなって思ってました。中団争いがあって、はねてくるのが怖かったですね。とりあえず1着が取れて良かった。今回は初日が大事だと思っていたけど、負けてしまったのは仕方がない。気持ちを切らさずに走れたし、ピンピンで帰りたいですね」
 番手絶好の山口富生は3着。阿竹のまくりを止められなかった。
 「高久保が頑張ってくれたんですが、阿竹が強すぎましたね。2コーナーで外に浮いてると思ったら、すぐ横まで来ていてびっくりした。スピードが違いました」

<3R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 イン斬り合戦から打鐘で長島大介がカマし気味にスパートして主導権を奪取。3番手以降を石丸寛之と石井秀治の両ラインで取り合い、北津留翼(写真)は後方で巻き返しの機をうかがう。満を持していた北津留は最終2コーナーからタイミングを取って仕掛けると、素晴らしいスピードで前団を飲み込み圧勝。石井は苦しい態勢から北津留を追いかけたが、2着が精いっぱいだった。
 自慢のスピードで魅せた北津留だが、番手を回った山口泰生が落車したこともあり笑顔はない。
 「付いてくれた人が落車では喜べません。脚の感触もそこまで良いとは…。石井さんの仕掛けで展開が向いたし、弥彦バンクの伸びるコースを踏んでいけたこともあるから」
 人気を背負った石井秀治も苦しい展開を苦い表情で振り返る。
 「外で苦しい上に神山君が小刻みにけん制をしてくるので仕掛けのタイミングが取りづらかった」
 長島に任せて、最終バックを2番手で通過した神山拓弥は、「長島君は年齢が3つ下の幼なじみ。小学校の頃からいろいろなことを一緒にやってきた仲なので、連係して逃げてくれたことがうれしかった。結果は出せなかったけど、今シリーズで一番"競輪”らしい動きができたかな」。

<4R>
坂本貴史選手
坂本貴史選手
 赤板前から筒井裕哉が動きはじめるが、坂本貴史(写真)は突っ張り出させない。再び隊列が元に戻りペースが落ち着いたところで、打鐘過ぎに最後方の谷口遼平が単騎で大ガマシ。最終ホーム過ぎに坂本を叩く。しかし坂本にとって良い目標となり、3角からまくり気味に追い込み2日目に続く連勝となった。
 「今日はとにかくバックをとろうと思ってた。(筒井との)2分戦ですから。前々に踏んで勝負にいけました。筒井さんを出させまいと思ってたんで、もう作戦通りです。状態は変わらず良いと思います」
 坂本の仕掛けに大槻寛徳がしっかりと続き、北日本ワンツー。
 「坂本が頑張ってくれました。谷口のカマシは予想外でしたね、頭の中で2分戦だと思ってたので。自分としてはフレームを換えて今日は好感触でした。しばらくぶりに兆しが見えてきました。明日もこの調子でいきたいです」
 奇襲に出た谷口遼平だが、8着に沈んだ。
 「何もしないよりはマシだったけど、粘れなかったです。けっこう良い感じだったけど残らないと。ファンの人の『谷口頑張れ、大穴やったれ』っていう声援も聞こえてたんで頑張りたかったんですけど」

<5R>
中村一将選手
中村一将選手
 今節は早々に負け戦回りとなっていた中村一将(写真)だが、着以上に気配は良く、3日目にうれしいアタマ取り。赤板で小田倉勇二が斬った上を林雄一が叩いてイン待ちして上昇してきた中村の番手を奪う。その上を伊藤裕貴が叩くも後ろの吉田茂生が離れてしまい、中村が伊藤の番手にはまる形となって最終周回へ。小田倉が後方からまくり上げると、中村がそれに合わせるように番手から抜け出した。後ろにいた林は道中での脚力ロスが響いて付け切れず小田倉に乗って小林大介が2着に突っ込んだ。
 中村は勝っても表情は変えず「たまたまですね。今日はカマす気満々だったんですけどね。林君が斬って体が反応しました。最後まくったのは小田倉君の動きじゃなくて、林君が外を踏んだのが分かったのでそこに合わせて踏み込みました。感触は悪くないと思います」
 2着に突っ込んだ小林大介は「作戦は色々立てていたけど、巧くいかないもんですね(苦笑)。でも小田倉君は頑張ってくれたし、良い伸びでした。これで(最終日)優秀戦まで上がれるし勝ち上がれなかったけどその後はまとめられてますね」。

<6R>
三谷将太選手
三谷将太選手
 稲毛健太が打鐘から先行態勢に入るが、3番手外併走を嫌った志村太賀がインを斬る。そこをタイミング良く永澤剛がカマして主導権。続いた宗景祐樹と両者で決まったかと思われたが、三谷将太(写真)が稲毛健太のスピードをもらって鮮やかな直線強襲を決めた。
 「自転車を戻して、サドルを下げたのが良かった。そこだけですね。手応えはあんまりないけど、1着はでかい」
 永澤剛がしぶとく2着に粘り、シリーズ2度目の連対を果たした。
 「志村さんが斬ってくれたし、残り1周なんで思い切りいきました。最後はいっぱい。末が足りないですね」
 番手絶好展開となった宗景祐樹は3着。
 「(永澤の)仕掛けが早くて、どこまで持つのかなって思ってました。千切れそうだったし、強かったですね」

<7R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 打鐘で中団から仕掛けた黒田淳ラインと後方から上昇した小松崎大地のラインで踏み合いになった。岩津裕介(写真)が内藤宣彦を退かして位置をキープすると、目標の黒田を迎え入れる好アシスト。小松崎大地の後ろに岡山勢が入った。最終バックで黒田が番手から仕掛けるも車は伸びず、岩津が冷静に内に入り小松崎の番手を取ると、ゴール前はきっちりと捕えた。
 S級S班の貫禄を示した岩津は「黒田が頑張ってくれた。ただ、(打鐘で)あれだけ踏むなら結果的にモガく距離が長くなっても(小松崎を)出させないほうが楽にレースを進められたと思う」。内藤とのバトルについては「僕が先に退かしてますからね。そこは勝負なので」とサラリ。一流のマーク屋同士ならば、あの程度の動きは想定内なのだろう。
 2着には逃げ粘った小松崎が入り、岩津の後位に立て直した内藤宣彦が3着。結果よりも、小松崎の番手を明け渡したことを猛省する。
 「弱いですね。結果として最低限のリカバリーはしたけど、番手を回る以上は9着になっても、小松崎の番手を守らないと。北のラインで車券を買ってくれるファンにも申しわけないから」

<8R>
桐山敬太郎選手
桐山敬太郎選手
 赤板前から隊列が入れ替わり、最終的に打鐘で根田空史が柴崎淳を叩いて主導権。柴崎は3番手に収まり、天田裕輝は柏野智典に張られ後方に置かれる。根田は軽快に逃げ、番手の桐山敬太郎(写真)は車間を切って別線の動きを警戒。最終2センターでようやく柴崎が仕掛けるが2着まで。直線に入りきっちりと抜け出した桐山が1着。
 「ちょっとギリギリでちょい差しは根田のときは怖い。思い切って車間を切った。あいつが調子良いときは深谷(知広)にも対抗できると思ってるから。あれが彼のスタイルだし、昨日のワッキー(脇本雄太)にも刺激を受けたんじゃないかな。自分としてはとりあえず1着なんでうれしいです」
 先行した根田空史は直線で失速し3着に。
 「すげぇタレましたね、きつい。ワンツー決めたかったけど、最後自分がタレちゃった。先行できたけど、弱すぎた。自分の力不足、今の僕の力じゃあれが精いっぱい」
 柴崎淳は「正直今日はちょっと感覚が違った。2日間番手、番手ときての自力だったんで重かった。ダメな位置だったら早めに仕掛けようと思ったけど、位置取りとしては完璧だったんで落ち着いて仕掛ければと思ったんですけど」と、2着にも反省の弁が口をついた。

<9R>
佐藤朋也選手
佐藤朋也選手
 佐藤朋也(写真)が混戦をまくって今シリーズ2勝目をゲットした。赤板で上昇した竹内雄作に合わせて中団の松岡貴久が突っ張る勢いで一気に踏み込むと、竹内の番手を回っていた村上博幸は口が空いてしまい荒井崇博に張られて、松岡が竹内の番手にはまる。村上ら近畿コンビは中団に降りる形となってそれ以降、動きのないまま最終バックへ。後方で香川雄介にすくわれた筒井敦史が慌てて外を踏むと、あれよあれよと車は進み前団に襲いかかる。後方で脚をためていた佐藤も3コーナーから車を外に持ち出しまくってアタマ。2着には立て直した村上が突っ込んだ。
 2勝目を挙げた佐藤だが手放しでは喜ばない。
 「前ももつれる展開になったし、竹内君も後ろに松岡君が入っていたから流せなくてペースを乱していましたから。自分は脚もないし、点数もないから警戒されず、たまたままくれただけ。ビッグで2勝はうれしいけど、急に脚が上がったわけじゃないですからね。まだまだ脚力不足ですよ」と終始謙遜。
 松岡貴久は竹内の番手を奪うもまさかのハコ9。
 「突っ張るつもりで踏んでおけばと思ってました。でも打鐘前に脚を使い過ぎましたね…。あの位置で9着とか格好悪い。でも竹内君がまくられたんじゃ仕方ないかな…」
 久々のまくりを披露した筒井敦史は「九州の2人とハグレてしまったし、追い上げる余裕もなくて必死でしたよ。香川さんにすくわれたから踏んでおかないとヤバイと思ってたら、あれ? あれ? って車が進んだ(笑)」
 援軍を失って苦戦を強いられた竹内雄作は「最後はもの凄くタレてましたね…。出切るのにそうとう脚を使っていたのもあるけど弱い」

<10R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 チャレンジャーの雨谷一樹が打鐘前から主導権を握る。すかさず巻き返そうとした脇本雄太(写真)は6番手で一旦、態勢を立て直し、最終ホーム手前から一気にスパート。最終2コーナーから木暮安由が番手まくりを敢行したが、これを力で乗り越えた脇本が決勝一番乗りを果たした。
 「展開がどうなるか分からないし、とにかく全力を出し尽くすことだけを考えてました。2段駆けは見えていたんですけど、諦めずに踏んで1着が取れたんで良かったです。明日も一生懸命頑張ります」
 木暮の番手まくりを追った神山雄一郎が直線で鋭く伸びて2着。ベテランの意地を見せた。
 「もう前の2人が頑張ってくれたおかげですね。とにかくきつかった。今回は悪かったんで、いろいろセッティングをいじって今日は周回中から感じが良かった」
 中団を確保した人気の新田祐大は内に包まれる厳しい流れとなったが、外の村上義弘をどかしながら踏み上げて3着に入った。
 「ミスりましたね。いろいろと考えてしまい、結果、混戦になってしまった。(佐藤)慎太郎さんのコースがなくなってしまったし、僕だけ3着ですからね。流れ込みみたいな感じで、自分の持ち味を出せなかった」
 番手まくりの木暮安由は直線で力尽きた。
 「雨谷君が前で頑張ってくれました。早めに番手から出たけど、脇本君が強かったです」

<11R>
渡邉一成選手
渡邉一成選手
 赤板前に上昇した古性優作が2コーナーで深谷知広を押さえて先制も、すかさず7番手から早坂秀悟が反撃を開始。最終ホーム前にはライン3車で出切る。深谷は早坂の仕掛けに反応できず、浅井康太は最終ホームから踏み上げる。しかし、浅井も古性のブロックで失速。車間を空けていた渡邉一成(写真)は2センターから早めに踏み込み、余裕を持って抜け出した。
 「もう本当に早坂君の気持ちがあったからです。すごい力強い先行でしたし、僕にもっと技術があればワンツースリーで決まってたと思います。まだまだ力不足ですね。4日間番手はびっくりですね。状態は悪くないです」
 北日本3番手の伏見俊昭は渡邉に続き2着で、13年の高松宮記念杯以来のG1決勝の舞台へ。
 「必死でした。最後は内、外来られると思ったんで。今日は3番手だし、かぶる前にいってほしい気持ちがあった。その中で打鐘からいってくれた(早坂)秀悟は強いし、頑張ってくれた。天性のダッシュがありますね。自分としてはF1でも決勝乗れてなかったんで、このクラスで決勝に乗れるのはうれしいです。初日から流れも良い感じで、脚の状態も悪くないです」
 直線鋭く伸びた園田匠が3着で決勝への権利をつかんだ。
 「33歳でピークがくるって言ってて、(34歳になる前)最後にG1を獲るチャンスが来ました。1着はないですけど、突っ込めるところを突っ込めてるので。今日は原田君が頑張ってくれました。最後は空いてなくても突っ込むつもりでした。ここまでは準決で落車とかあったんですけど、なければやれるとは思ってました」
 8着に敗れた早坂秀悟は「距離が少し長かった。100メートル短かったら勝ってた」と無念さをにじませた。

<12R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 後攻めの高橋陽介が打鐘で飛び出し、一気にペースを上げていく。この3番手を巡って武田豊樹、三谷竜生で激しくもつれているところを後方から中川誠一郎が襲いかかる。菊地圭尚が番手まくりで応戦するが、単騎の金子貴志(写真)が大外を豪快にまくって圧勝した。
 「厳しいレースでしたね。(中川)誠一郎がホームで行ったのが見えて、付いていって、行けるところまでと思って踏みました。最初の加速は悪かったんですが、バックから良くなりました。思ったより進んでくれたと思います。練習の成果が出ました」
 番手まくりの菊地圭尚は2着。強い気持ちで決勝の切符をつかみ取った。
 「(高橋)陽介君が頑張ってくれました。今回は連日、後輩の頑張りのおかげですね。踏み出しは重い感じでしたけど、気持ちで踏めたと思います」
 三谷に3番手を奪われた武田豊樹だが、その後ろで態勢を立て直して3着に食い込んだ。
 「3番手でミスしました。踏み遅れて、そこに三谷君が入ろうとした。三谷君も本当は叩きたかったんじゃないですかね。内で競って体力を使ったけど最後まで諦めずに走りました」
 中川誠一郎はまくり不発に終わった。
 「菊地さん、古性君との伸び比べになると思ったけど、さらに外を金子さんに来られて厳しかったですね。落車を避けられたのは良かったです」
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