『第24回ェ仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 最終日編

配信日:7月20日
 第24回ェ仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)は7月20日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。弥彦競輪場は晴天に恵まれ、朝から大勢のファンが詰めかけた。注目の決勝戦を制したのは園田匠。直線で鮮やかに突き抜け、G1初制覇を果たした。2着に武田豊樹、3着には神山雄一郎が入った。

伊藤克信、山口幸二による早朝予想会
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弥彦小学校の生徒ともに特別選手紹介
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玉袋筋太郎、パンチ佐藤、ジェロのトークショー
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ジェロ ライブステージ
ジェロ ライブステージ
決勝戦 レース経過
 最内の武田豊樹を制して、渡邉一成、菊地圭尚が号砲で飛び出すと渡邉が正攻法を確保。新田祐大を迎え入れると、新田―渡邉―伏見俊昭―菊地―武田―神山雄一郎―脇本雄太―金子貴志―園田匠の並びで周回を重ねる。
 青板周回の2コーナーから脇本が上昇を始めると、中団の武田も合わせてアクションを起こす。武田は4コーナーで誘導員を下ろして前受けの新田を下げさせると、ホーム手前から叩いてきた脇本の番手に飛びつく。武田は1コーナーで金子を飛ばして脇本後位を確保すると、4番手に降りていた園田が1センターで金子を迎え入れる。下げて6番手の新田に動きはなく、最終ホーム手前から脇本がペースアップ。1センターから新田が反撃を開始するが、合わせて金子も中団からまくって出る。その金子に合わせて武田も番手から踏み込むと、外を回された金子、新田は不発に終わる。脇本が懸命に踏み直すと、武田もなかなか前に進まない。3番手の神山が脇本、武田の間に進路を選ぶと、これで空いた中バンクを園田が一気に突き抜けてビッグ初制覇。好位を確保した武田、神山だったが、惜しくも2、3着に終わった。


ゴール
ゴール
胴上げ
胴上げ
表彰式
表彰式
<1R>
福田知也選手
福田知也選手
 福田知也(写真)が最終日にようやく笑顔を見せた。打鐘前に高久保雄介が主導権。菅原晃は8番手に置かれ一本棒で最終ホームを通過。バック前に3番手から長島大介がまくるが、番手の木村貴宏は離れる。その上を5番手から小原太樹がまくって直線へ。最後は小原後位から福田がゴール寸前で差し切った。
 「小原が強かったです。(初手は)出なければ前取ってとは思ってたんですけど、3車だし、作戦は特に考えてなかったです。落車明けの復帰戦で1、2戦目はダメだったけど、昨日から力が入るようになって。今日も最後抜けて良い薬になりました。ラインでも決まったし、良かったです」
 惜しくもG1初勝利を逃した小原太樹だが、表情は晴れ晴れとしていた。
 「福田さんが強いのは分かってたし、ラインで決まったんで。最終日だけでも良いところを見せられて良かったです。まだまだ力が足らないんで、強化して次に向けて。G1に出ないとはじまらないんで頑張ります」

<2R>
石丸寛之選手
石丸寛之選手
 打鐘から伊藤裕貴と栗山俊介で激しい主導権争いに。人気を背負っていた筒井裕哉は目標の栗山が外に浮かされる厳しい展開を余儀なくされ、2コーナー過ぎから自ら踏み込むも、後ろにスイッチした石丸寛之(写真)が惰性をもらい4コーナーから一気。堤洋が差し迫って中四国ワンツー。
 石丸は笑顔で引き揚げてくると「栗山君は絶対いくと思ったから。あえて(関東ラインを)追わずに後ろで構えました。結局(栗山は)外に浮かされてたけど、筒井君も強いの知っているからね。焦って自分で仕掛けるよりも相手の動きを待ちました。やっぱりG1は勝ちたいですから。1着取れるように省エネ作戦でいきました」。
 今節が復帰戦となった堤洋は「初日から悪くなかったんだけどね。展開とかもあるし。でも本当に悪ければ石丸さんに離れていると思うし、差せてはないけど迫れてもいる。悪くはないでしょう」。

<3R>
北津留翼選手
北津留翼選手
 後攻めの吉田茂生が赤板前から上昇。前受けの石井秀治が突っ張り気味に踏むが、それを押さえて吉田が主導権を握る。打鐘過ぎに内をすくった渡部哲男が6番手を確保。後方8番手に置かれた北津留翼(写真)だったが、最終2コーナーから圧巻のスピードで前団をひと飲み。連勝でシリーズをしめくくった。
 「8番手になってヒヤッとしました。前にスピードをもらって何とかですね。展開に恵まれました。松岡(貴久)さんと決まって良かったです。最近は練習に強弱をつけてないし、今回も調子は普通でしたね。いい形で終われました」
 松岡貴久が続いて90期同期コンビでワンツー決着となった。
 「打鐘で(内を)空けてすくわれてしまった。でも、ごちゃついていたし、(北津留)翼なら行けると思ってました。ワンツーが決まって良かった」

<4R>
東口善朋選手
東口善朋選手
 主導権を奪った谷口遼平が果敢に逃げる中、最終2コーナーから単騎の小川勇介が、さらにバックから阿竹智史がまくってくる。番手の東口善朋(写真)は小川を巧みにブロックして止める。しかし阿竹のまくりは勢いがよく、東口は意を決して番手まくりを敢行。そのまま後続の追撃を振り切った東口が最終日を白星で締めた。
 「谷口君が頑張ってくれました。本当は残したかったんですけど、後ろに(渡辺)十夢もついてもらってたんでいかせてもらいました。今後は勉強することがいっぱいです。毎回勉強、1走1走やっていくだけです」
 検車場でレースを見ていた浅井康太をはじめ中部の先輩が、強かったと賞賛した谷口遼平だったがシンガリ負けに終わった。
 「余裕がなさ過ぎました。もう少し上手く走れれば残れたかもしれないですけど、そんなことは言ってられませんでした。シリーズ通して今日はまともに動けたんですけど、脚がないことを身に染みて分かった4日間でした」

<5R>
稲毛健太選手
稲毛健太選手
 飯嶋則之の当日欠場により8車立てのレースに。圧倒的な突進力を誇る稲毛健太の先行1車のメンバー構成で、号砲と共に番手を回る柏野智典が飛び出して稲毛ラインが前受けとなり、中団には荒井崇博が率いる九州勢。単騎となった小田倉勇二、池田良がその後ろとなって隊列は落ち着く。稲毛が赤板前から後ろを見ながら誘導と車間を空けると別線は動けず打鐘を迎えてそのまま主導権をガッチリ。鐘過ぎに池田が追い上げを試みて佐々木則幸をさばいて4番手を確保するも、そのまま流れ込むだけ。動向が注目された荒井は3コーナー過ぎから踏み込むも前団を飲み込むまではいかず4着まで。稲毛の番手を回った柏野がキッチリと交わしワンツー決着。3番手の三宅達也まで続いて別線をシャットアウトした。
 勝った柏野は「荒井さんは一発狙いかなって感じがしてシンプルなレースになると思ってました。だから下手に後ろ攻めじゃなくて前受けから突っ張るか引いてのカマシかどちらかの作戦を立てた。無風でいい位置を回れましたからね。もちろん余裕はありました」。
 ラインで上位独占した稲毛健太(写真)は「誰かが(赤板)ホーム前にくれば引いて、そこを過ぎたら突っ張る気持でいた。昨日が油断して単騎の選手に惑わされたからそこだけ気をつけて冷静に駆けられました」。
 荒井崇博の作戦はヨコではなくタテ勝負だった。「今日はもう一発狙い。前を取らせてくれると思ったけどね。あの位置じゃ動き辛いし脚をためようと思いました。でもいいところまではいったと思うけど…」。

<6R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 近藤隆司(写真)がうれしいG1初勝利を飾った。打鐘から一気のカマシで別線を圧倒。レース内容も完璧だった。
 「出切るまでは不安だったんですけど、出切ってからはペースで踏めました。二次予選はちょっと力んでしまったんですが、今日は最後までしっかり踏めました。今回は初めてのG1でいろいろ勉強になりました。トップスピードが足りないと感じたので、強化したいですね」
 4番手を確保した黒田淳は最終3コーナーからまくるも車はなかなか進まなかった。
 「(近藤が)カマシを狙っているのが分かったので、突っ張り気味に踏んで、スピードのあったところで勝負しようと。結局、出られて4番手でしたね。あとは後ろを確認しながら仕掛けたけど、届かなかったです」

<7R>
早坂秀悟選手
早坂秀悟選手
 細切れ戦の激しい攻防戦は早坂秀悟(写真)が圧巻のまくりで制した。主導権バトルも予想されたが、根田空史が打鐘前に竹内雄作を叩く。竹内は5番手、早坂秀悟は7番手の一本棒で最終ホームを通過。根田が全開で逃げる中、竹内が2コーナーからまくり前団を捕らえるが、バックから豪快にまくった早坂がゴール前で竹内を飲み込み、シリーズ2勝目を飾った。
 「今日のメンバーだったら強いんで、ただ先行するだけじゃダメだと思ってた。二次予選と準決勝の経験を生かせた競走ができました。初日の失敗もあったんですけど、4日間修正しながら走れました。今日は先行にこだわらずいこうと思ってました」
 2着に続いた永澤剛は早坂の強さを称えた。
 「(早坂)秀悟がすげぇ強かった。やばかったですね。あんな自力どうやったら出るんですかね。とりあえず2着でよかった。離れるかと思った」

<8R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
 準決勝で敗退した深谷知広が巻き返しを誓った一戦で、受けて立つ深谷は堂々の前受けからの組み立てに。赤板から坂本貴史が上昇するも、その上を三谷竜生が叩く。打鐘過ぎにさらにその上を雨谷一樹が踏み込んで一気のスパート。坂本が2コーナーから巻き返すと、それに合わせて筒井敦史がまくり上げる。深谷はチャンスを伺いながら3コーナー過ぎから踏み上げるも外に浮いた坂本と接触しまさかの落車。深谷の番手を回っていた志智俊夫(写真)は2センターから内に入っていたため落車には巻き込まれず、うまく惰性をもらい踏み込んで直線一気。2着には不発の坂本から筒井に切り替えた内藤宣彦が強襲した。
 深谷の落車もあり志智は勝っても表情は暗い。「深谷君も外じゃなく内にいくと思ったけど…。あそこは追えないから2センターで内に入っただけで…」。
 雨谷に乗って3着に突っ込んだ小林大介は「雨谷君が頑張ってくれました。自分は坂本君の動きをながらと思ったけど、筒井さんもきたので…。3日間確定板には乗れたけど、2、3着と1着の差はだいぶ大きいですね」。

<9R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 最終2センターでもつれて5人が落車するアクシデント。大波乱のレースを制したのは大塚健一郎(写真)だった。落車を避けて鋭く追い込み、シリーズ2勝目を挙げた。
 「落車もあったんで喜べないですね。自分はもう9番手になってしまったんで突っ込むことしか考えていなかった」
 古性優作が打鐘から先行。3番手を確保した柴崎淳が最終2コーナーからまくって2着に入った。
 「咄嗟の判断で、いい位置は取れたんですけどね。自分が勢いよくまくれれば落車もなかったと思う。今回は感触がいまいちでした。前回から20日間ぐらい空いて、セッティングをいじったらおかしくなってしまった。初日が終わってから戻したんですけど、そういう乗り方に慣れてしまって良くならなかった。ケアをしっかりやって、次の地元記念も頑張ります」

<10R>
岩津裕介選手
岩津裕介選手
 前受けの原田研太朗が高橋陽介の上昇を許さずに赤板で突っ張る。打鐘で緩んだところを松岡健介が一気のカマシ。4番手で立て直した原田のまくりを村上義弘がブロックすると、内に斬り込んでいた岩津裕介(写真)が村上を飛ばして追い込んだ。
 「3日目と今日は前が頑張ってくれたおかげで勝つことができました。今回は自分が思っている以上に体が動かなかったですね。連勝できたのはタマタマでしょう」
 単騎の野田源一は最終バック9番手から3着に突っ込んだ。
 「あそこまで行ければ上出来です。木暮(安由)君が仕掛けたので付いていきました。最後は外にいくよりも内の方が近道ですからね。コースが空いてても閉まってても突っ込むつもりでした」

<11R>
武田豊樹選手
武田豊樹選手
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 第24回ェ仁親王牌決勝の号砲が弥彦バンクに鳴り響いた。北日本の先頭を走る新田祐大は前受けを選択。関東コンビが中団を確保し、脇本雄太ラインが後ろ攻めとなり隊列は落ち着いた。赤板前から脇本が上昇すると武田豊樹がそれに合わせるようにインを斬り、脇本ラインに飛び付いて番手の金子貴志をさばく。さばかれた金子は神山雄一郎の後ろに入る形となって打鐘を迎えたが、後方に置かれた新田に動きはなく脇本は残り1周を切ってグングンとペースを上げる。最終2コーナーから新田がまくり上げると、中団で立て直した金子も踏み込む。しかし、絶好の番手を奪取した武田がそれに合わせて車を外に持ち出して最終4コーナーへ。中割りを狙った神山とゴール前勝負かに、金子に惰性をもらった園田匠が鮮やかに突き抜けてうれしい初タイトルをゲットした。
 「狙い通り(笑)」。検車場に引き揚げてきた園田は開口一番に言葉を発し、そして師匠の吉岡稔真氏とともに喜びを分かち合った。 「33歳、最後の挑戦だと思っていたので。師匠や妻(良恵)、両親や支えてくれた人に感謝したい。(金子がさばかれて苦しい展開となったが)いつも9番手にいるので。あの位置なら問題なかった。どんな展開でも内を突っ込もうと決めていたので。最後は捕らえた感じもありました。デビューする前からタイトルを獲ると決めていたし、タイトルを獲る約束で弟子にしてもらった。(タイトルホルダーとして今後どのように戦っていくかの質問には)変わらず泥臭くいきたい。今までにいないようなタイトルホルダーを目指します」
 惜しくも準Vとなった武田豊樹(写真)は「このメンバーなら先行日本一は脇本君だし、まくり日本一は新田君でしたから。そのなかで総合力でどう戦っていくか。しっかり作戦を立てたんですけど、力不足でした」。
 武田マークの神山雄一郎(写真)は3着まで。特別優勝の最年長記録更新は持ち越しとなった。
 「あの形で武田を抜くのは大変ですね。武田が(番手から)出ちゃったら出ちゃったで抜けないだろうし。このメンバーでこの攻防戦になって脚は残っていなかった。武田と2、3着なんで頑張ったとは思います」
 力を出し切れずに終わってしまった新田祐大は「いけるところはどこでもあったのに…。情けない。次は頑張ります」と静かに検車場を後にした。
 新田と共倒れに終わった渡邉一成は冷静にレースを振り返った。
 「新田君の後輪だけ見てました。打鐘、ホームでそんなにスピードは上がってなかったので、新田君のダッシュ力なら出れたはずだし、北の4人で決まったと思うんですけどね。番手が僕だから安心して駆けられなかったというのもあるだろうし、そういう意味ではアシストできなかった。万全の状態で入れることは少ないし、チャンスだったんですけど、これが今の実力ですね」
 仕上がり一番といわれていた脇本雄太だったが、武田の分断策に遭い苦しい展開をよぎなくされた。「まだまだですね。組み立てが甘い…」。
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