『被災地支援競輪第25回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 3日目編

配信日:10月9日
 前橋競輪場を舞台に開催されている平成28年熊本地震被災地支援「第25回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)」は、9日に3日目を迎えた。ファイナル進出をかけて争われた準決は熾烈を極めた。深谷知広、稲垣裕之、古性優作が、それぞれ決勝のキップを白星でつかみとった。シリーズもいよいよ大詰め、10日の最終日には決勝の号砲が鳴らされ、第25回のチャンプが決まる。
 本場では、未確定車券抽選会(レース確定前の車券2千円で1回参加)で200人にプレゼントが当たります。さらに解説者、山口幸二氏による予想会、「ジャガーズ」のお笑いライブ、チアダンスショーなども予定されています。前橋競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、最終日も本場へ足をお運びください。
解説者日替わり予想会
解説者日替わり予想会
舞ダンスファクトリーによるダンス八木節
舞ダンスファクトリーによるダンス八木節
麻丘めぐみ LIVE
麻丘めぐみ LIVE
矢口啓一郎 トークショー
矢口啓一郎 トークショー
<1R>
片寄雄己選手
片寄雄己選手
 赤板から踏み込んだ桐山敬太郎は、高原仁志に競り負けた筒井裕哉のあおりを受けて出直しを余儀なくされた。打鐘の4コーナーで6番手から再度仕掛けた桐山が佐川翔吾の逃げをまくって、付けた片寄雄己(写真)が追い込んだ。300勝のメモリアル達成も片寄は、先を見据える。
 「今日はキリさん(桐山)任せだった。キリさんを残せるかと思ったけど、内側に橋本(強)が見えたんで踏ませてもらった。G1初勝利もこの300勝もキリさんだったんでありがたいけど、自分のなかでは(300勝は)気にしてない。どこが悪かったかを(渡邉)晴智さんと反省してまた頑張ります」
 高原が逃げた佐川の番手に収まるが、橋本強は3番手で脚を溜めて我慢。桐山のまくりに切り替えて、インを伸びて2着。
 「もう佐川君が駆けていたんで、(筒井が競り負けても)バックを踏めなかった。そこから切り替えて、桐山さんが蛇行しているから、あのコースが空くなって思った。1着までは行けなかったですね」

<2R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 金子幸央が青板バックから先行態勢。荒井崇博(写真)との中団争いを嫌った畑段嵐士が3番手を狙うが、小林潤二にさばかれる。中団を占めた荒井は内に降りてきた畑段をどかして最終バック満を持してのまくり。金子マークから抜け出す磯田旭との伸び比べを制して白星を飾った。
 「篠原(龍馬)が先行すると思い組み立てていたけど、思った以上に金子がやる気だった。順番が来て位置も取れた感じ。畑段が外にいたけどあの位置は譲れない。位置を取って外も踏めているし、脚はいいと思う」
 惜しくも微差で荒井に屈した磯田旭は「金子君が積極的に行ってくれたし、全て前の頑張りに尽きる」と言葉少なにレースを振り返る。
 金子幸央はペースをつかむもゴール前で末を欠いた。
 「連日煮え切らないレースが続いていたので最初から先行しようと決めていた。少し踏む距離が長かったけど、出切ってから落ち着いて走れていたし、この3日間の中では一番内容のある競走ができた」

<3R>
齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 先行態勢を取った坂本貴史に赤板から藤岡隆治が襲い掛かる。合わせて踏み込んだ坂本だったが、池田寛昭が連結を外して1車になった藤岡を見て番手に収まる。最終ホームで逃げる藤岡との車間を切った坂本は、2コーナー手前から番手まくり。坂本を齋藤登志信(写真)が追い込んで、北日本で上位独占を果たした。
 「(番手に入った坂本が)かぶったら…、それだけでした。ああやって頑張ってくれたから、自分にもチャンスがあったと思うし。(ライン)3人で決まったことが大きいです」
 「3人で決まったけど、あの展開だったら1着が欲しいですね」と、坂本貴史は番手にはまった展開を振り返り、2着に慎重なコメント。
 「2周だったんであそこから(先行)だと長いなっていうのがあった。それで自分のペースで走って出切られたらって思ってたら、(藤岡)1車だったんで。初日も昨日も行くべきところでは行けているけど、自分の力不足ですね」

<4R>
筒井敦史選手
筒井敦史選手
 逃げる飯野祐太に打鐘過ぎ4コーナーから阿竹智史が襲い掛かるが小松崎大地の外で失速。阿竹マークの小倉竜二は俊敏に内に切り込むと、小松崎を張りながらバックから前へ。2センターで小松崎を張ると、その後ろから筒井敦史(写真)が抜けだした。
 「踏むつもりはなかったけど、(小倉が)戻ってきてくれないから行くしかなかった。ゴメンと思いながら踏みました。追走が難しかったですね。内突いたりゴチャゴチャしてやっと付いて行った感じ」
 バック最後方から大外を踏んだ北津留翼が2着に強襲した。
 「(2センターで前が接触して)怖くてビビりました。危ないと思ったけど、そこを乗り越えてからもう1回踏みなおした。昨日クランクを戻して今日のほうがスピード、伸びてる気がした。日本人選手が相手のときはこっちを使おうかな」
 小倉竜二に内をすくわれ、2センターでは強烈なブロックを受けた小松崎大地だったが、直線で外をもう一度伸びて3着に。
 「内から小倉さんが行ったので、戻れなくてもう踏んでいくしかなかった。入られないのが一番だったし、ラインに迷惑をかけました」

<5R>
渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 川村晃司の赤板先行を渡邉雄太(写真)が強引に叩いて打鐘過ぎで先頭に立った。叩かれた川村は3番手に入るが、追い上げてきた守澤太志に締め込まれ落車。後方からまくり上げた松岡貴久も届かず、逃げた渡邉が押し切って2日目に続き武井大介とワンツーを決めた。
 「作戦的には仕掛けが遅くなりミスした部分もあるが、すぐに川村さんを叩けたので。踏む距離は2日目より短かったけど、最後まで踏み切れたと思う」
 番手の武井大介は2日目に続いて逆転することはできず。
 「2日目に(渡邉が)2周駆けて抜けないんだから(差すのは)無理でしょう。川村さんが落車したのはわからなかったので、3番手から仕掛けられるのがイヤだったし、止めることを最優先して考えた。それにしても強かったです」
 守澤が失格となり、3着には松岡マークから伸びた井上昌己が入った。
 「貴久は頑張ってくれたよ。ハイペースの中でまくってくれたから。僕は付いていって最後に踏んだだけ」

<6R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 打鐘前2コーナーから鈴木謙太郎と伊藤裕貴で先行争いとなったが、内の鈴木が伊藤を出させず突っ張り切る。最終ホームから仕掛けた高橋陽介の出が悪く、番手の伏見俊昭はバックから自力に転じる。これで根田空史が浮いてしまうと、根田後位から山おろしを使って渡邉晴智(写真)が鋭く伸びた。
 「これだけカマシが好きな選手がそろうとみんなスタートは取りたくないだろうし、スタートけん制からキツかった。前がやり合っていて、根田君が落ち着いて仕掛けてくれた。ラインのおかげで勝てました」
 好回転のまくりを打った伏見俊昭だったが渡邉の強襲に屈した。
 「スタートけん制からキツかった。あの展開では仕方なく早めに踏ませてもらった。(1着)決まったかと思ったけど、3番(渡邉)が来ていたね」
 渡邉を追走した内藤秀久が3着に流れ込む。
 「根田君は強いのは知っているので信頼していた。早いうちから前がやり合って、自分もずっともがいている感じでキツかった。着にはからめているし状態はいいと思う」

<7R>
原田研太朗選手
原田研太朗選手
 原田研太朗(写真)にフタをしていた菅田壱道が赤板で切ると、その上を松岡健介がが押さえて主導権。一本棒の8番手に置かれた原田は、反撃のタイミングをうかがって2コーナーから踏み込む。最終ホームで松岡を強引にねじ伏せた原田が、香川雄介を連れ込んでそのまま押し切った。
 「香川さんも付いてくれてるんで、もうあそこしかなかった。そしたら中団が空いてたんで行きやすくなりました。昨日、モガき合ってるのもあったし。今日は先行一車みたいな感じだったから、気持ちの面では楽だったです。初日と一緒でラインで決まったんでよかった」
 「バックくらいからは記憶がなかったです」と、必死に原田に食らいついて流れ込んだ香川雄介は、息を整えてから口を開く。
 「出切った時は、もう誰も来れないと思った。自分はすごくキツかった。原田が強かったです」
 松岡マークの北野武史が、最終2コーナーで四国コンビにスイッチして3着。
 「(松岡が)もうちょっと気持ちいい感じで、(3番手に)入る形になればよかった。踏み合う形になったし、申し訳ないけど切り替えた。(調子は)悪くないです」

<8R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 赤板ホームからハナに立った加賀山淳に三谷竜生が襲い掛かるが、岡村潤がこれを大きくブロック。それでも三谷が力で飲み込むと、市田佳寿浩を飛ばして岡村が三谷を追いかける。直線ではこの2人の1着争いから、バックからまくり上げた山崎芳仁(写真)が大外を突き抜けた。
 「市田さんがどかされて、あれでタイミングがずれた。そこからケツを上げて行ったけど、タイミングが悪かったですね。思ったより伸びてくれたけど、最後はみんなが脚を使ってタレてたんじゃないですか。僕も後半型なんで伸びた感じです」
 2着に敗れた三谷竜生だが、別線との力勝負を制した脚は圧巻だった。
 「持って来られるのはしょうがないですね。しんどくて、バックじゃ無理やと思いました。加賀山さんがかかってましたね」
 岡村潤は加賀山淳の番手で大仕事を見せた。
 「(三谷は打鐘過ぎ4コーナーで)止まったと見たらまだいる。直線ではスピードが違ったし、加賀山もキツそうだったので出ました。最後は差せると思ったけど、僕も一杯でした。でも目一杯(仕事は)やれたし、加賀山と勝瀬さんのおかげです」

<9R>
山田英明選手
山田英明選手
 赤板で早坂秀悟を後方に置くと、松浦悠士は腹を固めて赤板から逃げる。早坂の巻き返しに岩津裕介は、最終ホーム手前から自力で出る。両ラインが消耗したところを山田英明(写真)が、満を持してまくりを放って大塚健一郎と九州ワンツー。
 「僕の油断があって中国勢との車間が空いてしまい、早坂君を仕掛けやすくしてしまった。そこをしっかりとすれば、もっと楽にまくる流れにできたはず。初日、2日目と感覚がピリッとしなかったので、セッティングをいじったら良くなったと思う」
 オールスターでの落車から復帰した大塚健一郎は、シリーズ3走目での連対を果たしてホッとする。
 「今日は付いて行けたことで納得。岩津君は一流の選手だから、そのあたりにけん制を受けずに乗り越えられたのは収穫ですね。33バンクはあおりを受けやすいから、今日が大丈夫ならば400、500でも問題ないはず」

<10R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 一瞬、別線の動きを待った単騎の新山響平だったが、覚悟の大カマシ。赤板では2番手の稲毛健太を大きく引き離して逃げる。5番手で様子をうかがっていた深谷知広(写真)は、最終ホーム手前から発進。新山を射程圏に収めると好スピードで迫り、最終3コーナーでとらえてあとは独壇場。2着に平原康多を6車身ちぎった。
 「(新山が)ひとりで行くのが見えた。流すのかと思ったけど、あんまり流さなかったからハイペースになりましたね。稲毛もキツそうだったし、落ち着いて自分のタイミングで行った。ある程度、周りの状況は見えていた。ずっと前橋は成績が悪かったんで、こういう舞台で(決勝に)乗れたのはうれしい」
 単騎の平原康多は4番手で脚を溜めると、深谷には対応できず苦肉の策で吉田敏洋をさばいて2着に追い込む。
 「自分が行こうとしたところで、深谷が来てかぶちゃった。最悪、踏み込んだところが吉田さんだった。(深谷に)切り替えていければ最高だったけど。引っかかって1車遅れてしまった」
 村上博幸の失格で園田匠が繰り上がり決勝に進出。
 「(中川)誠一郎さんにいいスピードをもらえたおかげ。前に(村上)博幸さんと平原がいたからどうしようもなかった。だからこそ(繰り上がりで)勝ち上がれたことは大きい」

<11R>
脇本雄太選手
脇本雄太選手
 周回中、7番手にポジションを取った新田祐大より先に、3番手の脇本雄太が動いて赤板手前で主導権を握る。4番手を固めた三谷将太まで出切って、中途半端に踏み込んだ新田は打鐘で8番手に引いて万事休す。脇本が小気味いいペースで駆けて、別線には出番がない。脇本との車間を空けて盤石の稲垣裕之が、番手で抜かりなく勝ち切った。
 「本当に脇本君がしっかり先行してくれたし、三谷君は4番手を固めてくれた。近畿のラインの結束力を見せられた。(脇本は)中団からちゅうちょしないで、後ろに気を遣って行ってくれた。もう一回、最終ホームで新田君が加速した時に、脇本君も同じように加速した。自分は付いてただけで、ラインのおかげです。勝ち上がり段階から、今日も近畿が頑張ってくれた」
 新田のまくりを不発にした脇本雄太(写真)が、2着に逃げ粘りラインでの上位独占をメイクした。
 「自分として近畿4人で並んでいたんで、ラインで決めたいっていう思いがありました。出切ってから落ち着いてできたかなと思います。近畿で上位独占できたんで最高の結果です。準決は僕のなかで(踏む距離が)長かったので、調子自体はわからないけど。(前回の)向日町記念とかわらないのかなって思ってます。オリンピックから帰ってきて、僕のなかで一番集中したいのがこの前橋だったんで。それに向けてしっかり調整できているのかなと。(決勝は)僕は自分なりのレースをして、結果ラインで決まったらなと思います」
 3番手の村上義弘が、新田のまくりをけん制。コースを確保すると、直線で外に持ち出し追い込む。
 「前の脇本、稲垣と後ろの(三谷)将太がいて、そのなかでいいレースができたかなと思います。将太がこの33バンクで4番手なんで、僕は3番手から外を踏むって決めてました。調子通りっていう感じです。追走していくぶんには問題ないけど、最後の伸びが…」

<12R>
古性優作選手
古性優作選手
 赤板ホームで吉田拓矢が強引に竹内雄作を叩くと、打鐘で3番手に郡司浩平が追い上げる。最終ホームから竹内が巻き返すが郡司の外で一杯に。そこを1センターから古性優作(写真)がまくり上げると、鮮やかに前団を飲み込んでG1初優出を決めた。
 「展開が向きました。みんな脚を使ってたんで。(車も)よく進んだと思います。先行も緩んでたら考えてたし、前に踏もうというのが今日の結果につながった。(南と決勝に乗れて)嬉しいです。お寺(黄檗山)に行ってたからか芯がなかったけど、初日で刺激が入った。セッティングもちょっとイジってよかったし、自転車がすごい進んでくれる」
 大阪コンビのまくりに切り替えた浅井康太が南修二を交わして2着に食い込んだ。
 「雄作が前に踏んでくれたんで、その結果自分が上がれた。金子(貴志)さんと決めたかったけどね。雄作との連係はモチベーションが上がる。(決勝で連係する)深谷(知広)もそうだけど。決勝はどっちかが決められればいいかな」
 古性マークの南修二は3着で決勝戦最後の切符を手に入れた。
 「2着に入れたらよかったけど、決勝には乗れたんで。(古性が)強かったです。(決勝は近畿勢で)分かれて。(古性と一緒にG1の決勝は)嬉しいですね」
 茨城コンビに切り替えた郡司浩平だったが、そこから仕掛ける余力は残っていなかった。
 「もう自分で出ていく脚はなかった。一杯でした。武田さんが前に踏むのも(頭に)あったんで、前に出られなかった」
 4番手まくり不発の竹内雄作は「力不足です」。
 そして武田豊樹は「厳しい…」と、それぞれ言葉少なにレースを振り返った。
↑ページTOPへ