『第26回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 前検日編

配信日:10月5日

 前橋競輪場を舞台に「第26回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」が、10月6日に4日間シリーズの熱きバトルの火ぶたを切って落とす。今年のGIも、残すところあと2つ。年末の「KEIRINグランプリ2017(GP)」の椅子をかけた戦いも佳境を迎える。前検日の5日にはSS班の9人をはじめとした参加選手108人すべてが、前橋競輪場に集結した。指定練習ではドームの短走路の感触確かめるように、多くの選手がバンクで汗を流して翌日からの激戦に備えた。
 本場では開催中の毎日、先着300人にお菓子がプレゼントされる「地元選手お出迎え」、日本競輪選手会群馬支部のイベントとして「チャリティオークション&トークショー」、未確定車券抽選会などが行われます。また、6日の初日には、グラビアアイドルの「天木じゅん」によるトークショー、ボートレース桐生群馬支部の金児隆太選手、島倉都選手のトークショー、短期登録選手制度で来日しているテオ・ボス(オランダ)選手によるトークショーなども予定されています。前橋競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 オープニングレースの1番車に選ばれた野原雅也(写真)は「マジか!」と目を丸くする。3連勝で決勝に進出した9月岐阜記念のあとは共同通信社杯、青森記念のブロック7と連続で欠場。まずは状態が気がかりだ。
 「岐阜は調子よかったけど、終わってからギックリ腰になってしまった。練習は腰の様子を見ながらやったけど、普通ですね。1R、1番車は初めて。ビックリですね。しっかり頑張ります」
 番手を回る椎木尾拓哉は落車続きだが、8月広島で落車したあとは共同通信社杯で2勝。初日に落車した9月青森記念では決勝に進出するなど、その影響を感じさせない走りを見せている。
 「(落車は)仕方ないですね。結果は出てるけど、ごまかしてるだけ。前がすごいいいレースをしてくれて、それが大きいです。青森のあとも練習感じは悪かったけど、直前は(落車する前と)そんなに変わらない感じがしました」
 大塚健一郎は共同通信社杯の初日に失格。ここまでは中19日と十分な時間が空いた。
 「(失格して)自分で空けただけなんで(苦笑)。(共同通信社杯の初日はコースに)入っていくのはよかったけど、(伏見俊を落車させて)テクニックがない。休めってことかなと思って、終わってからはゆっくりした。7月高松で落車した影響もあって、ピリッとしてなかったので。前回は伸びてた? でも、いいときに比べれば(まだまだ)とは思う」

<2R>

石井秀治選手
石井秀治選手
 石井秀治(写真)は前回の9月豊橋から中20日。その間に変えたポイントが、ここでどう出るかに注目だ。
 「前回走る前に膝を痛めてたし、この頃、目まいもすごかった。膝の痛みをとるのに時間がかかったけど、だいぶよくなってきたし、目まいも薬を飲んだら治まってきた。今回は自転車のセッティングを変えて。ずっと大ギア(で走ってた頃)のままでいってたけど、今回はクランクを4年ぶりぐらいに短くしてみた。数値は上がってるので、あとは慣れですね。出すぎる不安ならいいけど、まずは走ってみて。その辺、楽しみな部分はあります」
 稲毛健太は前回、松戸記念で33バンクを走ったばかり。配分間隔は短いが、そのアドバンテージを生かしたい。
 「前回から間がなかったので、疲れを取るように調整はしっかりやってきました。2Rですか? 意外と時間がないので、1Rのほうがよかったですね。あまり練習をしてないので、(調子は)何とも言えないけど、前回33バンクを走ってるんで。前回も出切ったら残れてる。ラインも3人なんで、しっかり駆けられるように頑張ります」
 坂本亮馬は9月防府を一本欠場して、GI開催に備えた。
 「(オールスターで落車した)怪我の具合も微妙だったし、(新しい)自転車も届かなかったので。共同通信社杯では園田(匠)さんの自転車を使ったけど、ちょっとよろしくなかった。実走してないのでわからないところはあるけど、今回は自転車も届いたので大丈夫です。ここまでずっとウエイトをしてたんで力はバッチリ。33バンクは作戦が大きいと思うんで、その辺でカバーできたら」

<3R>

根田空史選手
根田空史選手
 直前の松戸記念の動きがよかった根田空史(写真)は中3日のスケジュールでも「練習してきました」と胸を張る。
 「松戸は決勝が悔しすぎて、中3日でも休んでられないなって。自分への怒りですね。でも、松戸は自分でもあそこまで走れるとは思わなかった。いいかな?とは思ってたけど、こんなにとは。ナショナルチームの人とか、外国人選手とかに練習メニューを聞いたりして、そこを自分なりに競輪寄りにアレンジした。それを前々回の函館が終わってからやったけど、感じがよかったので今回も楽しみですね」
 今期から1班に上がった取鳥雄吾は初日に大きな着が続いている。根田には松戸の準決勝でやられているだけに、ここでリベンジしたい。
 「前回から中3日で疲れを取るのに終わっちゃった。でも、その前にやることはやってたので大丈夫だと思う。最近は勝ちパターンで勝ち切れてない。それが増えてますね。やりたいこととかみ合ってないので。6月大垣記念でフレームを換えてからあまりよくないけど、気にせず走る。前橋は初めてです」

<4R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 6月高松宮記念杯の落車で鎖骨骨折した吉田敏洋(写真)だが、ここまで順調な回復を見せている。
 「ここまでは疲れを取る感じで、軽めの調整でやってきた。その前に時間があったし、十分練習はできてたんで。前回(追加で松戸記念を)走れたのはよかった。空いて入ると体調もつかみ切れないし、同じ33で多少落ち着いて走れるかな。(復調具合は)見てのとおりな感じ。上積みは欲しいけど、焦ってもしょうがない」
 惜しくも地元記念優出を逃した坂本貴史だが、前橋は相性のいいドームバンク。前回の悔しさをここでぶつける。
 「キツい番組ですね。力で勝てるように。前回の地元記念は俺と守澤(太志)さんが(決勝に)乗れなくて、(新山)響平ひとりで戦わせてしまった。それが悔しかった。気持ちを切り替えて。毎回言ってるんですけど、走るたびに感じはよくなってます。今回のほうが感じが感じがいいです。(ドームは)プラスにとらえて。力を出し切れればっていうのがありますね」

<5R>

古性優作選手
古性優作選手
 古性優作(写真)は事故点の累積により8月、9月はあっせんがなかった。2カ月ぶりの実戦はいきなりのGI戦。心配なのはレース勘か。
 「練習はずっと地元でやってました。練習はめちゃくちゃできたし、結果を出さないと意味がないんで。(走ってみて)いい感じだと嬉しいですね。時間があったので練習メニューも変えてみました。フレームも今回、新車ですし、実戦で走ってみないとわからないところはあるけど。(2カ月空くのは)初ですね。レース勘はなくなるものじゃないと思うし、しっかり頑張るだけです」
 村上博幸は共同通信社杯で落車、続く松戸のブロック7では車体故障とアクシデントが続いている。
 「前回は新車だから感触を確かめたかったんですけどね。でも、微調整しないとダメだなっていうところはあったんで。中3日だけど、1日だけのレースだったんで次の日から練習メニューを入れて計画どおりにやってきました。(共同通信社杯で落車したが)体は大丈夫だと思う。あとは走りながら、(新車の)微調整をしたい」
 8月小田原で記念初優勝を飾るなど躍進著しい山岸佳太は今回がGI初出場となる。
 「楽しみな感じですね。神山(雄一郎)さんとは小田原で一緒だったので。(GIも初だが)前橋自体が初めてなんです。独特なバンクだというので走ってみてですね。(調子は)前よりは落ち気味ですね。小田原の決勝から一度も先行できてないし、1着取れても充実感がない。まずは見せ場を作って、結果はあとから。チャレンジャーなのでしっかり自分のレースをしたい」

<6R>

新山響平選手
新山響平選手
 昨年大会はGI初出場で準決勝まで勝ち上がった新山響平(写真)。今年はここまでビッグレースで結果を残せていないが、前回の青森記念で優出と上向く気配はある。
 「できれば先行で。力を出し切れるように。(前回、青森記念は)脚の調子は悪くなかった。(決勝は)展開がうまく作れなかった。(終わってからは)風邪がひどくなって、2日間ぐらい寝込んだ。それが終わって体が軽くなって、すごくよくなった。リセットできたと思います。(前橋)先行有利のスピードバンクかなと思うので、先行したほうが。積極的にいきたい」
 前回の共同通信社杯は初日9着で勝ち上がりを逃した井上昌己だが、その後は312着。そこから中15日と配分間隔もバッチリだ。
 「前回は初日が残念すぎたっすね。調子は普通。可もなく不可もなくって感じです。今回は33なんで多少微調整するかもしれないけど、自転車のセッティングはある程度出たので、前回もいじってない。ちょっとモガきが足りないかなと思うけど、練習は普通にやってきた。体も問題ないです」

<7R>

園田匠選手
園田匠選手
 共同通信社杯の3日目に落車、欠場した園田匠(写真)だが、前回の青森記念では連日鋭いタテ脚を見せて決勝に進出。状態に不安はなさそうだ。
 「落車してるんで、ここまでは怪我のケアを。擦過傷も大きかったし、すねの内出血がまだひいてない。でも自転車に乗れば関係ないですね。共同通信社杯の落車でフレームが潰れて、青森から違うのを使ってるけど、こっちのほうがいいですね。セッティングも武雄(共同通信社杯)は中途半端に試して裏目に出たけど、思い切っていじった青森は感じがよかった。前回で方向性が見えたし、怪我の功名ですね」
 吉田拓矢の松戸記念も力強かった。松戸から使う新車の感触もつかみ、満を持してGI戦を迎える。
 「前回から中3日しかなかったのゆっくり休んで調整してきました。自転車を換えて、それが流れていますね」
 補欠から繰り上がった志村龍己は笑顔で検車場に現れた。
 「いいところに入りましたね。吉田(拓矢)君の3番手です。しっかりと付いて行くことに集中して。何回目かな? GIは…実は初めてです(笑)。準備はしてないけど、(心の)準備はしてました」

<8R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 前回の共同通信社杯で2勝をマークした太田竜馬(写真)は、8月のオールスター2374着に次いで2度目のGIの舞台。準決にコマを進めたオールスター以上の活躍が期待される。
 「(前回は)踏み込んだら良かった。(状態としては)あんまり変わらずだけど、(一次予選は小倉竜二が後ろで)安心して走れる。練習も自分のペースでできたし、練習の感じも最近のなかではいい。あとは(仕掛ける)タイミングですね。(オールスターより)上に行けたらいい」
 向日町で久しぶりの記念制覇のあとも、小倉竜二は千葉、弥彦とFIで順調に成績を残している。
 「(7月の地元)小松島記念に向けて練習をしていた。小松島では落車をしてしまったけど、それは軽傷だった。そこに向けてやっていたのが、(いい成績を)維持できているんだと思う。それに運もありますからね。(太田は)2日前くらいに練習を見たけど強かったですよ」

<9R>

天田裕輝選手
天田裕輝選手
 前回の岐阜記念から3週間以上空いたゆとりのローテで、天田裕輝(写真)が地元の大一番を迎える。
 「(諸橋は)すごいですね、だから自分も頑張りたい。練習の感じはかなり良かったんで、あとはレースで出すだけです。正直、(最近にないくらい)いいと思います。だから、そのへんをしっかりやりたい」
 9月地元の弥彦FIの優勝を皮切りに、共同通信社杯、松戸記念と諸橋愛は3場所連続優勝。さらに直近の松戸記念では4連勝の完全Vと勢いは加速している。
 「前の日までは緊張もしたけど、ここに来たらいつも通りですよ。一戦、一戦やった結果がグランプリ(出場に)つながればいい。急にポンポンいきだして、うまく歯車がかみ合ってきた。(天田は)地元なんで、いろんなことを考慮しながらやりたい」
 中井俊亮は前回の富山FIが一息の戦績。初めての前橋バンクの感触を指定練習で確かめて本番に臨む。
 「(前回は)成績が悪かったんで、そのあとは多めに練習をやった。走っている感じはいいけど、(成績が)伴ってなかった。だから、考えながらやりたい。(前橋は)初めてなんで、まずは乗ってみてから。先行向きですよね? 強気に攻めていきたい」

<10R>

河端朋之選手
河端朋之選手
 河端朋之(写真)は前回の平FIを324着。決勝はV逸の4着も、大雨のなかで反応の良さが光った。
 「(雨で)前が見えなかったし、本当になにも見えなかった。(出切って)たぶんひとりだろうなと思ったけど、それでも焦って踏みすぎました。押し切れれば良かったけど、ワッキー(脇本雄太)が強すぎた。そのあとは(ナショナルチームの練習の)疲れがないわけじゃない。ただ、自分は休んで、レースに入ることがほとんどない。来てからどんどん回復していくんで、プラスに考えています」
 稲川翔は前回の青森記念から中8日も、充実の時を過ごした。
 「日韓競輪があったりして、最近は走りっぱなしだった。だから、今回は2、3日しっかり休んだ。そしたら練習がしたくなる感じだったし、バンクとロードでやってきました。うまいこと休養と練習を使い分けてやってきた」
 前回の地元、共同通信社杯で落車に見舞われた山田英明は、新車で今シリーズを迎える。
 「新しい自転車できました。いつも通りの練習はしてきた。あとは現状でできることはやってきました。(初日は)僕が前で頑張るって、(中川に)お願いしました。なんでもやっていきたい」

<11R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)は79着で途中欠場を余儀なくされた8月のオールスター以来、およそ1カ月半ぶりの実戦。
 「なかなかこんなに空くこともない。(ウエートで痛めたヒザの)怪我もあったんで、治しつつ基礎から土台をつくり直してきた。練習も100パーセントで思い切りできているし、そこ(体に)関しては問題ない。あとはレース勘だって言われるんで、一瞬の判断ミスにならないようにしたい。体的には反応できると思うんで、あとは気持ちが反応できれば」
 3車でまとまった関東勢は、地元の木暮安由がラインの先頭を務める。
 「山田(義彦)君に小田倉(勇二)さんまで付いてくれるっていうんで。それに自分は自力でやりたかったんでいいですよ。いまの状況でどこまでやれるかっていうのがある。(地元のGIで)特別な気持ちはあるけど、気負わずリラックスしてやりたい」
 原田研太朗は、オールスターで優出も上位陣との力の差を痛感しながら口を開く。
 「全然、まだまだですね。壁があるというか…。上の人たちは安定している。その人たちと比べるとまだまだ。とりあえず今回は新車なんで、それがどう出るか。練習の感じは悪くないけど、レースだと違うんで」

<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 伊豆のベロドロームで合宿を敢行して、前橋対策にも怠りない平原康多(写真)は、ここ2場所がともに準V。全日本選抜以来、優勝がない。
 「練習がすごく厳しくて、いい刺激になりました。前橋もカントがすごいけど、そんなもんじゃない。(合宿は)岩津(裕介)さんに誘ってもらってやったんですけど、競技の練習やっていたんでいいタイミングだったです。(合宿の)最終日くらいにようやくバンクを走れるくらいになりました。まだまだ全然、課題だらけです」
 武田豊樹は8月のオールスターで骨盤骨折の大怪我を負って、ここが復帰戦となる。
 「練習は2週間くらいやった。(出走するからには)頑張るだけです。(怪我をしてからは)リハビリって言っても、ついつい練習になってしまう。それでも焦りはなかった。選手なった以上はアクシデントはおきますから。肉体疲労とかで骨折しているわけじゃないんで、アクシデントと向き合っていかないと。ここからははい上がって頑張ります」
 地元の向日町記念、続く共同通信社杯とタイトな日程で復帰2場所を終えた村上義弘の状態はどうか。
 「無理をしすぎたんで、いろいろなところにひずみが…。目いっぱいやってきたけど、練習の調子はあんまり良くないかもしれない」
 深谷知広は、前回の青森記念で豪快なまくりを披露して優勝を遂げた。
 「競輪人生のなかで一番練習している瞬間だと思う。ただ、それがすぐに出るものではない。(ナショナルチームの練習は)いい練習ができている。周りがみんな強いので、ついていくのにいっぱい、いっぱいです」