『第26回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 2日目編

配信日:10月7日

 前橋競輪場を舞台に開催されている「第26回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、10月7日に2日目が行われた。メインの「ローズカップ」では、主導権を握った深谷知広の番手から金子貴志がまくりを打って制した。また、二次予選ではS級S班の稲垣裕之、平原康多らが勝ち星を挙げて、準決にコマを進めた。シリーズもいよいよ3日目、8日にはファイナルのキップをかけて準決で熾烈なバトルが展開される。
 本場では開催中の毎日、先着300人にお菓子がプレゼントされる「地元選手お出迎え」、日本競輪選手会群馬支部のイベントとして「チャリティオークション&トークショー」、未確定車券抽選会などが行われます。また、8日の3日目には、「アンガールズ」のお笑いライブ、バンク内では伊勢崎オートレースの選手による「バイクパフォーマンス」なども予定されています。前橋競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

名輪会 トークショー
名輪会 トークショー
大相撲親方トークショー鳴戸親方(元琴欧洲)写真右、西岩親方(元若の里)
大相撲親方トークショー
鳴戸親方(元琴欧洲)写真右、西岩親方(元若の里)
ローズカップ出場選手紹介
ローズカップ出場選手紹介
グラビアアイドル潮田ひかるトークショー
グラビアアイドル 潮田ひかる トークショー
ローズカップ ゴール
ローズカップ ゴール
ローズカップ 表彰式
ローズカップ 表彰式

<1R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 戸田康平が主導権を握って、前受けを強いられた吉田拓矢(写真)は赤板で一本棒の7番手に置かれる。中団を手に入れた根本哲吏ラインが大きく内を空けると、吉田が踏んで4番手で勝負。最終ホーム過ぎに根本を張りながらまくって出た吉田は、番手まくりの池田憲昭をのみ込んで1着。
 「外を行ければ良かったんですけど…。あんだけ内を空けられたら、ナメられてる。(内を)来ないだろうなって思われている。ただ、入った以上は勝負だし、負けられない。(まくりは)行けると思ったけど、後ろに迷惑を掛けてしまった」
 吉田には屈したものの、戸田を利して番手まくり断行の池田憲昭は2着に踏ん張った。
 「(戸田の)性格上、(突っ張って)駆けると思ったんで、自分も構えてました。そうじゃないと遅れてたと思う。(戸田は)結構、踏み上がっていたし、もう半周くらい短かったら面白かった」

<2R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 山岸佳太が赤板で先行態勢を取るが、外から堀内俊介、内を中井俊亮に行かれて山岸は後退。主導権は堀内が握って、山賀雅仁が続く。海老根恵太を張って3番手を奪った中井のまくりも一息。東口善朋(写真)は中井の内を進出して山賀、逃げた堀内まですくって抜け出した。
 「山賀君のところを割れたらと思ったんですけど。堀内君も内を空けて外したし、シュン(中井)も外にいたんで。1着を取るなら、あのコースしかなかった。変に堀内君と山賀君のところを割ると、シュンを転ばしてしまうリスクもあった」
 近畿3番手の畑段嵐士は、最終4コーナーで外に進路を取って2着に伸びた。
 「シュンがとにかく前々に行ってくれて、いい競走をしてくれた。みんなが脚を使っていて僕は後ろで楽をさせてもらった。それでですね、全然伸びている感じはない。シュンが頑張ってくれたからです」

<3R>

和田圭選手
和田圭選手
 青板ホームから前に出た取鳥雄吾を川口聖二が叩くと、取鳥は番手に飛びつく。松岡篤哉を飛ばして番手を取り切ったが、そこを打鐘過ぎ4コーナーから永澤剛がまくると、続いた和田圭(写真)がゴール前抜け出した。
 「打鐘で行き頃になったけど、まだ長すぎると思った。(出切って)後ろ見たら6番(渡辺正光)が離れてるし、その後ろに9番(松浦悠士)が見えたから縫って来られたらまずいので、(車間を)離してギリギリ行けばと思った。結果、ワンツーでよかった」
 永澤剛は前がモツれる好展開を逃さずまくって2着に粘った。
 「取鳥がイン切りなら追い上げようと思ったけど、展開が向いた。でも打鐘で行ければよかったね。行けると思ったけど見ちゃった。最後ももういっぱいで(和田に)残してと思ってました」

<4R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 前受けの坂本貴史は杉森輝大、成松春樹の上昇を待たずに青板バックから主導権を握る。それでも叩きに行った成松は出切れず後退。これですんなり中団を確保できた杉森輝大(写真)は1センターまくりで山崎芳仁のけん制を乗り越えた。
 「自分に展開が向きましたね。とにかく前々に踏んでと思ってたし、(成松が不発で)あとは誰も来ないと思ったので自分のタイミングで脚を溜めながら。山崎さんがイエロー(ライン)ぐらいまで持って来てたけど、とりあえず(まくれて)よかった。踏んだ感じもよかったんで、悪くないと思う」
 2着の山崎芳仁は第一声「止められんかったなあ」と悔しがる。
 「(番手から)出る作戦でも(坂本が)先行する作戦でもなかったから。出させるはずだったのに、6番(成松)が遅いよね。出るつもりなら楽勝だったけど、貴史が駆けてくれたので頑張んなくちゃと思った。人気になってたし杉森を抜ければよかったけど無理だった」

<5R>

松川高大選手
松川高大選手
 北日本勢が主導権を握って、中団は稲毛健太と松川高大(写真)で併走。両者の4番手取り合いは1周以上続いて、新山がペースで逃げる。前団での決着かに思われたが、最終的に4番手を取り切った松川がまくりでとらえた。
 「展開は想定通りです。内側の風がない位置で楽をできた。併走になったけど、さばけるように準備はしていました。なんとか乗り切れた感じだけど、勝てて良かったです」
 中団のもつれをしり目に逃げた新山響平は、2着に反省の弁。
 「ほかのラインが前へ出てくれて、後ろ攻めが取れたのは良かったけど。あの距離ならば、逃げ切れないとダメですね」

<6R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 押さえて出た阿竹智史が赤板で先行態勢。長島大介がすんなり中団を手に入れて、山田英明は一本棒の7番手。最終ホーム手前から、山田が車間を詰める勢いでまくり上げる。長島も合わせて出て、逃げる阿竹の番手の橋本強も外を張りながら番手まくり。橋本と山田の踏み合いを渡部哲男(写真)が、橋本マークから追い込んで突き抜けた。敢然と風を切った阿竹、3着で準決進出がかなわなかった橋本を気遣い振り返る。
 「(橋本は山田のまくりを)止めたかったんだと思う。イエローラインくらいまでいってたし。ただ、2コーナーの出口だったから、止まる感じはなかった。阿竹も(橋本)強も前々に踏んでくれたから、最終的に自分がいいところを持っていったようになってしまった。流れも良かったし、脚の感じもいい。ちょっと複雑ですけど、強の方がもっと複雑だと思う。先行選手は残したいし、後ろには同県の先輩がいたんで」
 7番手に立ち遅れたものの、山田英明はロングまくりで前団を仕留めて2着。
 「見過ぎてしまった。強も張ったし、長島君もいたんで。それでも緩めるわけにはいかないんで、思い切りいきました。ジャンでワンテンポ待ったぶん、ホームまくりのタイミングも遅れた。それで(長島に)中団から出られた。大塚(健一郎)さん、柏野(智典)さんに迷惑を掛けたんで、準決はしっかり気持ちの入るレースをしたい」
 阿竹の先行を利した橋本強は、結果的に番手から出る苦渋の決断。
 「直線だったし(山田の)スピードが違った。僕が前に踏むしかラインが生きる方法がなかった…。ギリギリまで引きつけてと思ったんで、そのぶん脚が足りなかった。ラインで決めたかったんですけど」

<7R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 嶋津拓弥の上昇に対し、前受けの原田研太朗は赤板前から突っ張り先行に出るが、番手の山形一気が続けず嶋津が番手にはまる。そこを打鐘前から松岡貴久が叩きに行くが出切れず、1コーナー過ぎに大きく外に膨らむと、松岡後位から自力に転じた中川誠一郎(写真)が鮮やかに前団を飲み込んだ。
 「貴久のタイミングがよかったし、いいところで行ってくれた。そこ(嶋津と外併走)で勝負すると思ってみてたけど、コースを空けてくれたんでとりあえず行ってみたら行けました。(感じは)ちょっとずつよくなってますね」
 嶋津マークの成田和也が4コーナーから鋭く伸びて2着。初日に4着に繰り上がって二次予選に進んだツキを生かした。
 「原田は突っ張るか微妙な感じだった。山形も口が空いてたんで、嶋津を迎え入れました。ツキしかないですね。今日もバタバタみたいだったけど、初日の分が大きいですね」

<8R>

竹内雄作選手
竹内雄作選手
 竹内雄作が赤板ホーム手前で先頭に立つと、内を締めた3番手の西岡正一が石井秀治を落車させてしまう(西岡は失格)。前に出た竹内がペースを緩めると、そこを山田義彦が叩いて前へ。目標を失い内をすくってきた佐藤慎太郎と稲川翔がからむと、打鐘過ぎ4コーナーから巻き返した竹内について行けない。7番手から巻き返していた黒田淳が竹内に続く形になったが、出切った竹内雄作(写真)がそのまま押し切った。
 「キツい…。後ろのことはあんまり。(山田に)行かれた時点でテンパっちゃった。ちょっと流しすぎましたね。昨日のことがあったんで。2周で出てるし、そのまま行けばよかった。後ろに迷惑をかけました。(打鐘過ぎ4コーナーは)自分のタイミングで仕掛けただけなので、6番(黒田)が来てるのはわからなかったです。今日はやることをやってダメならと思ってたし、行かれた時点で反省ですね」
 竹内の仕掛けに続く形になった黒田淳が2着に流れ込んだ。
 「予想外な展開になったけど、とりあえずは。落車もあったし、山田が流したところで詰まったから行った感じ。たまたま入れて運もあったのかな。GIの準決勝は初めて。いままで二次予選止まりだったので」
 直線中を割った筒井敦史だったがわずかに届かず。
 「やっぱり3着の選手だな。(コースが)空かなくて入るのが遅かったし、雄作が寄ってきて狭くて踏めなかった。最大のチャンスを逃したなあ」

<9R>

坂本亮馬選手
坂本亮馬選手
 90期の同期でタッグを組んだ早坂秀悟が、野原雅也を叩いて打鐘で主導権。最終2コーナーから別線の反撃が襲い掛かると、坂本亮馬(写真)はバック手前からまくりを打って白星をもぎ取った。
 「野原君の動きが見えたので、前へ踏ませてもらった。(早坂とは)地区は違ってもラインを組んだ以上、先行選手を残したい気持ちはあったのでそこだけがね。最近のビッグレースは準決が壁になっているので、今回こそ乗り越えたい」
 武田豊樹が離れ、天田裕輝ひとりが3番手に入って、野原は4番手。南修二は野原のまくりが外に浮くと、さすがのコース取りで坂本の後ろまでたどりついて2着。
 「野原君が無理にでも仕掛けてくれたから。僕は判断を間違わないように突っ込んだ。そのあたりはできていると思う」
 最終ホームで9番手の岡村潤は、2センターでポッカリ空いたインを進出して3着に届いた。
 「僕は前に離れないように集中しただけ。別に自分でコースをこじ空けたわけじゃないですよ」

<10R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 太田竜馬に合わせて動いた菅田壱道が赤板で主導権を握ると、古性優作が飛び付いて番手を奪取。菅田もペースを上げるが、その上を太田が強引に叩く。古性はすかさず反応して、打鐘の2センターで太田後位の井上昌己をさばいて太田を追いかける。太田に追いつきざまに古性がまくって、稲垣裕之(写真)、村上博幸の追走。稲垣が直線で余裕をもって抜け出した。
 「(古性は)むやみやたらに内をすくったりしないで、周りを見ていい位置を取ってくれた。前々に攻めてすごくいいレースをしてくれた。(付いてて)安心感があります。そこからも脚を溜めることなく(まくって)すぐ仕掛けるあたりが、古性君の強気のスタイルだと思う。自分は初日に失敗したんで修正をしました。セッティングもまだまだだし、調整する箇所もある。体の感じはいい」
 打鐘の2センターで園田匠をさばいて、危なげなく稲垣を追走した村上博幸が2着に流れ込んだ。
 「あんまり気負いもなかった。全体を見ながらどうなるかっていうのがあった。初日に古性に付いているのも大きかった。あとは内を締めて、飛んで来る選手をと。園田君を警戒していたけど、ジャン過ぎに飛んで来てあれで(園田が)脚を使ってくれた」
 稲垣も絶賛した古性らしい強気のスタイルで別線を一蹴。古性優作は3着にも、ラインでの上位独占にホッと一息つく。
 「ラインで決まったんでよかった。(菅田の番手を取って太田が来て)あそこにいる意味もないんで、しっかり自分で仕掛けようと(太田に対応した)。(今度は太田の番手で)もういっぱいだったけど、力勝負をして行けるところまでと。いいレースができたかなと思います。(初日から)セッティングをいじって、これでだいぶ良くなった。力を出し切れる範囲内のセッティングになったと思います。準決も気持ちを引き締めて、しっかり力を出し切りたい」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 赤板ホームで根田空史に合わせて踏んだ平原康多(写真)はきっちりと3番手を確保。2コーナーからまくると、粘る千葉コンビを飲み込んだ。
 「たまたま。(初日の落車で)正直キツい。でも諸橋さんが(グランプリ出場の)勝負かかってるし、責任持って力を出し切ろうと。まだこれで終わったわけじゃないし、ひとつ突破しただけ。根田君がとにかくいいかかりで、ニュートラルに入らない感じ。脚が溜まってるかわからなかったけど、まくりに行こうと思ってたので2コーナー過ぎに行きました」
 続いた諸橋愛は「余裕は合ったけど、抜ける感じはなかった。どこまで行っても抜けない」と平原の強さに脱帽。それでも二次予選をきっちりと突破して、準決勝へ駒を進めた。
 平原ラインに乗る形で3着に入った吉田敏洋だがレース内容を反省する。
 「結果オーライというには寂しい内容。ダメでもホームで行くべきだったかな。自分では冷静にと思ってたけど、ダメ元で勝負。そのほうがスッキリしたのかな。とりあえずは準決勝に乗れたし、初日の川口聖二、今日の(山内)卓也さんの分も頑張ります」

<12R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 「ローズカップ」は青板周回から深谷知広と脇本雄太で壮絶なモガき合いに。打鐘で脇本が力尽きると4番手に入った三谷竜生が最終ホームから巻き返し。これに合わせて1センターから番手まくりを打った金子貴志(写真)が激戦を制した。
 「深谷と浅井のおかげですね。深谷が強かった。僕はワッキー(脇本)が来たのに気づかなかったのに、それを合わせてくれたので。6番(三谷)が見えたんで(番手から出た)。浅井も後ろを固めてくれたんで心強かったです。感じはいいと思います」
 続いた浅井康太も笑顔でレースを振り返る。
 「深谷と脇本ですごいモガき合いだったんで後ろに付いててもキツかった。僕は3番手で後ろから来ないように、タイミングをずらすように心がけてた。そのなかで対応できたし、深谷の仕上がりもすごくいいんじゃないですか。金子さんを抜けると思ったけど、全然でしたね。準決勝は深谷とワンツーが目標でありノルマなんで。しっかり頑張ります」
 単騎の新田祐大が2センターから大外を強襲して3着に。
 「(前がモガき合ったが)勝負どころを逃しちゃった感じ。単騎なのもあったし。昨日のダメージが体だったり、自転車だったりあったので、今日はその辺の具合を確かめたかった。しっかり戦えたんで、準決勝も戦えると思います」
 深谷知広は脇本を相手に主導権は譲らなかった。
 「(近畿勢が)ポンと前を取ったから突っ張るかと思った。(青板前に誘導員を交わしたら失格になることは)忘れてました。ワッキーしか見てなかったです。あのメンバーで後手を踏んだらチャンスがないし、自分の力を出したいと思った。ワッキーが強かったし、キツかったです」