『第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)レポート』 最終日編

配信日:10月8日

 前橋競輪場を舞台に開催された「第27回寬仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」は、10月8日に最終日が行われた。決勝はオールスターからGI連覇のかかる脇本雄太と今年3度目のGIVに挑む三谷竜生がタッグを組んだ近畿勢に人気が集まった。清水裕友のカマシを受けて冷静に3番手を確保した脇本が、鮮やかなまくりで通算2度目のGI制覇。優勝賞金2890万円(副賞含む)を手にした。

決勝出場9選手がバンクで意気込みを語る
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静岡GPキャラバン応援ソング 太田克樹 歌謡ショー
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虎舞士パフォーマンス
虎舞士パフォーマンス

決勝戦 レース経過

 号砲で三谷竜生が飛び出して、脇本雄太-三谷が前受け。以下は、清水裕友-柏野智典、単騎の浅井康太、平原康多、渡邉一成-小松崎大地-佐藤慎太郎で周回を重ねる。
 青板1コーナーから動いた渡邉を、脇本は誘導員を降ろして突っ張る。結局、渡邉は初手と同じ7番手まで車を下げた。次は清水が赤板2コーナー手前から仕掛ける。清水は打鐘で脇本を叩き、柏野もなんとか清水に続く。中国コンビを追いかけようとした浅井は、打鐘の2センターで三谷に弾かれて後退。その浅井をすくい平原が近畿コンビに続き最終回へ。絶好の3番手を確保した脇本は、2コーナーを立ち直ったところから車間を詰める勢いでまくり出て中国両者に迫る。脇本は4コーナーで先頭に立つとそのまま押し切り、オールスターに続くGI連覇を果たした。三谷が2着に続き近畿でワンツー。平原が近畿コンビに続いて3着に入った。後方に置かれた渡邉は、下がってきた浅井と併走になり仕掛けられず4着。







<1R>

牛山貴広選手
牛山貴広選手
 赤板で飛び出した利根正明にすかさず巴直也が襲いかかる。利根がこれを突っ張ってハイピッチで逃げる。打鐘の4コーナーから吉田敏洋が反撃。ジワジワと前団に迫るが、松川高大が最終1センターから番手まくりを放つ。3番手を確保していた金子幸央も吉田に合わせてまくる。続いた牛山貴広(写真)が直線で粘る金子を鋭く差し切った。
 「金子君が頑張ってくれました。いい位置を取ってくれたし、吉田さんに合わせてしっかり仕掛けてくれたのが大きいですね。余裕はありました。ちょっと早く抜きすぎたけど、ワンツーが決まって良かったです。まだまだ足りないところがあると感じたので、また次に向けて頑張ります」
 好位をしっかりキープした金子幸央は番手まくりの松川をねじ伏せて2着。人気の栃茨コンビで連を独占した。
 「最低限の走りはできました。あの位置を取って仕掛けられたんですけど、できれば1着を取りたかったですね。2着に残って、ワンツーですけど、なんかバタバタしてました」

<2R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 赤板で中部3車を受けた中井太祐が中団をキープ。単騎の小岩大介が近畿勢に続いて、人気の山崎芳仁(写真)は7番手に置かれる。逃げる神田龍を射程圏に入れた中井だが、最終ホームを迎えても動かない。山崎にとっては苦しい流れに思われたが、2コーナー過ぎから踏み出すと力の違いで前団をまくりでのみ込んだ。
 「僕が相手だから(神田と中井での)叩き合いはないかなと思ってた。中井君のまくりに乗っていこうと思ってたら、中井君が行かないんで自分で行くしかないと。スピードの乗りも良かったんで、中井君が浮いてたけど乗り越えられた」
 神田の逃げを利した谷口明正が、最終バックから踏み込むも2着。
 「神田君がしっり駆けてくれたんですけど、僕に甘いところがあった。もうちょっと流れに乗って、しっかり判断をしていかないと。それで(山内)卓也さんに迷惑を掛けてしまった。(初めてのGIで)自分に足りないものがいっぱい見つかった。自分も怪我明け(2場所目)で不安なところもあって、違和感もあるけど、気にせずやっていきたい」

<3R>

小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 青板バックでカマした廣田敦士が全開で飛ばす。4番手に雨谷一樹、6番手に佐藤博紀、8番手に成松春樹の一本棒で赤板、打鐘を通過。最終ホーム前からまくった佐藤博紀に反応した小嶋敬二(写真)がけん制しながら合わせて出る。佐藤に出切られそうになった小嶋だが、内から盛り返して踏み勝った。
 「(廣田は)出た時に流せば良かったのに、いっちゃうんだもん。強いし、若いね。若いっていいな。彼もここ数日の競走内容からやる気があったね。彼の頑張りにつきるよ。それにしてもキツいレースだったし、補充とは思えないよ。(佐藤を)張ったのではなく、外に外しただけ。最後も内が空いただけですよ」
 佐藤博紀は出脚鋭いスピードでまくったが、出切れず2着。ツメの甘さを反省する。
 「(日本大学の先輩である)小嶋先輩の上がり(けん制)が効いた。踏み出しは全開で行って行けるかなと。ホームで出切れるようにと思っていて。(道中では)バックを踏まないように(前と)車間を切るのを覚えましたよ。それが良いんじゃないかと。最後もしっかり締めながらいけば、竹内(智彦)さんとワンツーだったと思うし、悔しいレースでした」

<4R>

松岡健介選手
松岡健介選手
 後ろ攻めから早めに動いて先行態勢を取った河端朋之を打鐘過ぎに佐々木龍が叩いて最終主導権。これに福島コンビが続く。5番手の位置を取った松岡健介(写真)は最終2コーナーからまくる。合わせて番手から踏み上げた成清貴之を乗り越え、連勝を飾った。
 「単騎でもしっかり動こうと思ってました。最終的に仕掛けて1着が取れたんで良かったです。今回は初日から久しぶりに感じが良かった。連勝で終われたんで次につながると思います」
 前々に攻めた須永優太がしぶとく2着に入った。
 「しっかり流れに乗ることができました。あれで仕掛けられればもっと良かったんですけどね。成清さんも番手から出そうだったんで、戦況を見てという感じになりました。今回は初めてのGIで勉強になることばかりでした。最終日にこれだけのメンバー相手に結果も出たので自信になります」

<5R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 赤板で切った佐々木豪(写真)を永井清史が叩いて出る。そこを後方から一気に早坂秀悟が踏み上げ、両者で激しいもがき合いを演じる。早坂が永井を強引で叩き切ったが、中団でためていた単騎の佐々木が豪快にまくって圧勝した。
 「前々に攻めることができました。スピードは早かったんですが、落ち着いて行けました。サーっと回して、ファーっと行けました。今回は初日、2日目はダメだったけど、仕上げてきていたので。今回だけでサドルを7ミリ上げて、今までとは別物なんですけど、力が入ります。これからもサドルは上げ続けます」
 永井と即席タッグを組んだ地元の小林大介が最終バックから自力に転じて2着に入った。
 「即席ラインでしたけど永井君を信頼してました。早坂君も2車で来て、激しいレースになりましたね。一人で(佐々木が)来たのは対応できなかったけど、地元の意地で行きました。今回は2日目、3日目がかなり悔しかったですね。若い時は40歳になるのが嫌だったんですが、実際に40歳になって精神的に図太くなりました。気持ち的にはまだまだやれると思っています」

<6R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 青板のバックで接触した池田良と園田匠が落車。7車になって赤板を迎える。先頭に立った和田真久留は、2コーナーから巻き返した杉森輝大を自ら張る。杉森が車体故障を起こして和田が外に浮くと、堀内俊介が自力に転じる。山本伸一(写真)も同じタイミングで反撃に出る。園田の落車でひとりになった山本が、最終バック手前で堀内をとらえて1着。
 「もうあそこ(打鐘過ぎ)では、いつでも行ける態勢は整えていました。展開もありますけど、脚の感じは悪くない。シリーズを通しては積極的に攻める部分が足りなかった。脚というより気持ちですね」
 目標の和田が浮いて先行策に出た堀内俊介は、失格の和田を気遣いながら汗をぬぐう。
 「僕が仕事をできればよかったんですけど、和田君とは初めてだったしすごいダッシュだと思ってるから。まずは付いていってと考えていた。(和田が外に浮いて)一瞬、待ってバックを踏んだ。その時(山本)伸一さんに来られちゃいましたね」

<7R>

坂本貴史選手
坂本貴史選手
 吉澤純平が赤板で伊藤裕貴を叩いて先行態勢を取る。8番手となった川村晃司が2コーナーから反撃。好スピードで前団に迫るが、出切れずに最終1コーナーで力尽きる。川村ラインを追っていた坂本貴史(写真)が2コーナーから前団の混戦を力強くまくり切った。
 「みんなすごかったですね。立ち遅れないようにと思ってました。いつもなら川村さんが行ったところを待ってしまうんですけど、付いていったので、まくれたんだと思います。今年は全日本選抜とダービー、そしてここが最後のGIだったので、しっかりインパクトを残そうと思ってたんですけどね。予選を突破できず、成績は納得がいかないですけど、次の松戸(千葉代替)記念も同じ33なんで、そこでしっかり結果を残したいですね」
 前々に攻めた伊藤を目標にした小倉竜二が2着に突っ込んだ。
 「激しいレースでしたね。(伊藤が)前々にいってくれたから。ずっと詰まっていてコースを探していた。2着でいっぱいでしたね」

<8R>

荒井崇博選手
荒井崇博選手
 赤板過ぎに山田英明を叩いた中井俊亮が後続を一本棒にしてハイピッチで駆ける。別線の仕掛けを波を作ってけん制していた古性優作は3番手からまくってきた山田を張って前に踏み込む。そのまま押し切るかと思われたが、古性の後ろに切り替えた荒井崇博(写真)が微差交わしてシリーズ2勝目を挙げた。
 「ヒデ(山田)にはあたりたくないし、ちょっと待ったんだけどね。(古性の後ろに入った後から)あの距離からよう抜いたな。勝てるところで勝つ。与えられたところをきっちり勝つ」
 古性優作は先行した中井を称え、1着を取れずに悔しい表情。
 「(中井)俊亮がすごいいいレースをしてくれたおかげ。かなりハイピッチでしたね。張ったけど、スピードが違ったので、踏ませてもらった。力不足ですね。今回でセッティングは出たし、次回以降も頑張りたい」

<9R>

山崎賢人選手
山崎賢人選手
 山田久徳が赤板で押さえて出ると、山崎賢人(写真)がすかさずその上を叩いて逃げる。後ろの競りは成田和也に押し込まれた井上昌己が落車。成田が続くが5位入線の失格。最終1センター過ぎから成田が離れ出して、山崎はセーフティーリードを保って押し切った。
 「(後ろに)井上さんがいなかったんで、もしかしたら(落車したのが)井上さんかなっていうのはありました。準決は早駆けになったし、(最終日は)出てから冷静に駆けられました。(1着は)なんとかですね。まだ脚も足りないですけど、組み立てをもっと勉強しないとダメです」
 3番手キープの山田久徳が、最終バック手前からまくって2着。
 「とりあえず(山崎を)突っ張ろうっていうのがあったけど、全然だったですね。そのあとも(まくって)行くところがなくて、2コーナー過ぎに行ったけど無理やりだった。(仕掛けが)遅れてました。脚力差を感じた。しっかり練習し直してきます」

<10R>

椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
 飯野祐太、木暮安由の順で切ったところを赤板前で南潤が叩いて主導権を握る。南が快調に飛ばしてレースを支配。番手の椎木尾拓哉(写真)が車間を空けて別線の動きをけん制する。最終バックでは4番手の木暮が柴崎淳の仕掛けに合わせて出るが、椎木尾がけん制すると外にふくらんで別線は厳しくなる。最後は椎木尾が粘る南をとらえて和歌山勢のワンツー決着となった。
 「南がしっかりと駆けてくれたああやってやってしっかりやったほうがあいつの力が出る。最近は勝ちたい気持ちが強かったのかな。2周からだったし、3日目に失敗した分もと思っていた。本当は準決勝でワンツーが良かったけど、差してのワンツーが決まったのは初めてかな」
 南潤はシリーズを通して先行を貫いた。その中でGI初勝利や準決勝を経験して、さらなるステップアップを目指す。
 「逃げ切りたかったですね。準決勝も逃げ切れる展開だったのに、今日くらい踏めていれば良かったけど。4日間先行できたのは良かったけど、もっと脚をつけて、余裕を持って、脚もだけど、気持ちにも余裕を持っていたい。それで仕掛けも変わると思うから。流れの中でうまく先行できたし、一番いいレースができて、村上(義弘)さんにも褒めてもらった。脇本(雄太)さんみたいな目標もいるし、同期の山崎(賢人)君もいる。これからも体を大きくして競輪選手っぽい体を作っていきたい」

<11R>

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手
 赤板前から先行態勢を取った取鳥雄吾だが、マークの松浦悠士は立ち遅れて、新山響平が番手に収まる。橋本強が打鐘で内をすくって3番手の位置を取りに行くと、新山が2番手から取鳥を叩いて、そのまま後続を引き離す。ほぼ同時に後方から踏み上げた渡邉雄太(写真)が車間を詰める勢いで猛追。直線で新山を一気に抜き去り、シリーズ2勝目を挙げた。
 「まさか新山さんが(取鳥の)番手にはまるとは思わなかった。新山さん待ちになってしまった。前でからんで(新山が)一人になっていたので、そこをめがけて仕掛けました。しっかりとらえられたんで良かったです。今回は自分が思ってる以上に戦えました。次はもっと頑張りたいですね」
 上がり8秒8のタイムで後方からまくり上げた単騎の中川誠一郎が2着。新山響平は末を欠いて3着に敗れた。
 「自分のスタイルを崩してしまって情けないレースでした。番手に入って出ていくタイミングを見計らっていたけど、後ろに迷惑をかけてしまったし、最後もタレてしまった」

<12R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 後ろ攻めから早めに動いた渡邉一成を前受けの脇本雄太が突っ張る。渡邉は車を下げて最初の隊列に戻る。3番手を回っていた清水裕友は赤板の2コーナーからカマして先制。このラインを追った浅井康太は三谷竜生に阻まれて後退。絶好の3番手となった脇本は車間を詰める勢いで中国両者を一気に抜き去り、GI連覇を達成した。
 「なるべく早くレースを動かしたいと思っていたので、前を取れなくても前々から攻めたいと思っていました。あんまり遅い仕掛けになると(渡邉)一成さんの得意パターンになってしまうので、そこだけを注意して。残り3周なら引こうと思ったが、2周半だったんで、自分が仕掛けてもいい距離だと。(清水の動きは見えなかったけど)そこからの動きは冷静でした。かぶったら仕方ないくらい。バックでは自信を持ってゴール前勝負できると思ってました。満足できる結果。(GI連覇で)今回は自分の中でこれからにつながることができるすごい経験深いシリーズでした。(連日人気になっていたが)本命を背負って緊張する一戦だったけど、しっかり人気に応えられて嬉しく思います。今後のGI、グランプリでもしっかり結果を残せるように頑張ります」
 三谷竜生(写真)はしっかり脇本をアシストして続いたが、今度こそは抜けるようにとその先を見すえる。
 「やることをやってのワンツーですし、僕が抜けるかどうか。やっぱり強いですね。どうにか抜きたかったですけどね。準決勝より楽に付けたし、脚の状態は悪くなかった。次は抜けるように頑張りたい」
 関東で唯一決勝に進出した平原康多は近畿勢を追う形から直線で中を割るも3着が精いっぱいだった。
 「最後に中を割りにいってる。柏野(智典)さんがいてバックを踏んでゴールをしてしまった。要所、要所の判断は良かったけど、外を踏むスピードではなかったので、内で脚をためていた。(脇本は)強いですね。自分が(差を)つめても引き離される」
 初のGI決勝に挑んだ清水裕友は脇本を相手に先行して見せ場を演出した。
 「緊張したし、雰囲気に慣れずに上がってしまった。あのまま3番手にいてもまくれるかというとほぼまくれない。わりと単調なレースになってしまった。もう1周半だったんで、自分の力を出そうと。次につながると思います。これがマグレだと思われないように、また頑張りたいです」

次回のグレードレースは10月13日~16日まで松戸競輪場で開催予定の「千葉競輪場開設69周年記念・滝澤正光杯(GIII)」となります。
10月1日時点の出場予定選手データを分析した「千葉競輪場開設69周年記念・滝澤正光杯(GIII)」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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