『第6回東西王座戦(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月25日


 宇都宮競輪場で開催されている東西王座戦は、今日25日が最終日。好天の下、東西の王座を目指して、10、11レースで決勝戦が争われた。西王座の決勝では、予選で圧倒的な強さを見せていた小嶋敬二が逃げ切って快勝し、完全Vで人気に応えた。東王座の決勝は先行一車と組み合わせにも恵まれた佐藤友和が、豪快にまくって圧勝。前回奈良の記念初Vに続き、G2初制覇を飾った。

 

西王座決定戦ダイジェスト

 最内の小嶋敬二がすんなりと前を取ると、浜口高彰―山田裕仁―山口富生の岐阜トリオがこれに続く。選手紹介では小嶋後位を主張した小野俊之は、まず中団から様子を見る作戦。ここに九州勢の加倉正義―紫原政文が任せる。初手は山田の内で車を下げなかった村上義弘―前田拓也の近畿勢だったが、青板の4コーナーで車を下げると、今度は小野のインへ。さらに赤板の1センターで八番手に下げると、そのまま打鐘前から上昇を始める。
  村上が打鐘の4コーナーで先行態勢に入ると、小嶋が引く。そして小嶋の番手には最終ホームで小野が追い上げた。三番手の小嶋は村上に追い出しをかけるが、村上はなかなかペースを上げない。すると小嶋は1コーナーから山を上りながら仕掛け、車を振りながら合わせて踏み込む村上の大きく外を一気に駆け抜ける。番手は小野が浜口を締め込んで奪取に成功。浜口は内から村上の番手にスイッチするのが精一杯。小嶋の豪快な走りに三番手の加倉は離れ気味になり、優勝争いは小嶋と小野の二人にしぼられた。小野はゴール前で懸命にハンドルを投げるが、小嶋がこれを振り切ると歓喜のガッツポーズ。3着には離れた加倉の後ろで立て直した村上が抜け出した。

ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ

 

東王座決定戦ダイジェスト

 号砲で佐藤友和と渡辺晴智がスタート争い。内枠の渡辺が正攻法を取り切り白戸淳太郎―渡辺の南関勢が前受け。三番手に構えた佐藤友の後位はインに有坂直樹―佐藤慎太郎、アウトに神山雄一郎―飯嶋則之で競りに。北日本別線の岡部芳幸―斎藤登志信が後ろ攻めで周回を重ねる。
  イン競りの有坂は赤板の2コーナー手前から一旦車を下げると、すかさず打鐘で番手に追い上げる。まだ仕掛けない佐藤友後位の争いは徐々に激しさを増して最終ホームを通過。白戸、岡部に動きはなく、1センターから佐藤友がまず仕掛ける。佐藤友の加速に対し番手で競る二人は離れ、2センターから白戸を捨てて渡辺が佐藤友を追う。それでも佐藤友はさらに加速すると、そのまま後続を千切ってビッグ初優勝。2着には追いかけた渡辺が入るが、3着に入線かと思われた神山がゴール直前で渡辺の後輪と接触して落車。代わって外を鋭く迫った岡部が3着に強襲した。

ゴール
ゴール
表彰式
胴上げ
表彰式
胴上げ

<5R>
幸田光博選手
幸田光博選手
   まずは前半戦のF1シリーズ決勝の5レースから。吉田勇人が栗田雅也、中村一将を相手に主導権を握った。幸田光博(写真)が吉田ラインの三番手から直線で一気に抜け出し、地元Vを達成した。
  「前の2人が頑張ってくれたおかげ。おいしいところだけ持っていった感じですね。初日、二日目と情けないレースをしたし、今日は気合が入っていました。本当は王座戦の方にでたかったけど、前座のF1でも優勝できて良かったです」
  内田慶も番手の仕事をきっちりこなし、満足そうにレースを振り返る。
  「吉田さんが駆けてくれたし、まくってくる選手は絶対止めるつもりでした。力は出し切ったし、幸田さんが強かったから2着は仕方がないですね。次につながるレースはできました」


<6R>
稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
   6レースからは東西混合の敗者戦。前団のもつれを稲垣裕之が力強くまくり、志智俊夫がゴール前できっちり捕らえた。
  「展開に恵まれただけ。稲垣君のスピードが良かったです。今日は良かったけど、予選2走は中途半端な競走をしてしまった。もう少し考えて走らないとダメですね」
  2着の稲垣裕之(写真)も表情は明るい。
  「今日は早めのカマシかまくりを考えていたし、思い通りのレースができました。インフルエンザの影響で調子を落としたけど、だいぶ力が戻ってきました」


<7R>
金子貴志選手
金子貴志選手
   7レースからは2着に入った金子貴志(写真)を取り上げたい。
  「先行するつもりだったけど、武田(豊樹)さんが思っていた以上に行く気だったので、引いて自分のタイミングで仕掛けました。今開催はまずまずの感触だったし、徐々に調子は上がっています」


<8R>
山内卓也選手
山内卓也選手
   8レースの特選は山内卓也(写真)が会心のレースを披露。目標不在だったが、勝負どころで内に斬り込んで手島慶介を競り落とすと、直線で粘る平原康多を鋭く差し切った。
  「平原がすんなり逃げる展開で厳しかったけど、(中川)誠一郎が車を持ち出したので、行けるところまで行こうと思って内に斬り込みました。手島さんの横まで行けたのはラッキーでした。今回は状態面で少し不安があったけど、思ったより踏めました」
  2着に逃げ粘った平原康多は「後ろの状態は分かっていたけど、俺は自分のレースをするしかないですからね。今回は調子は悪くなかったんですが、流れがあまり良くなかった。悔しい思いをしたので、また次の開催で頑張ります」


<9R>
加藤慎平選手
加藤慎平選手
   9レースは加藤慎平(写真)が市田佳寿浩のまくりを差し切り、最終日に初勝利をマークした。
  「今日は市田さんのおかげですね。展開に恵まれました。最終日まで走れたのは今年に入って初めてなんですよ。まだ、本調子ではないけど、焦らずにゆっくり調子を上げていきます」
  混戦をまくった市田佳寿浩は「状態的に今はまだ何とも言えないけど、レースの流れは作れるようになってきました」。


<10R>
小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
小野俊之選手
小野俊之選手
   10レースの西王座決勝は人気を集めた小嶋敬二(写真)が危なげない走りで完全優勝を飾った。
  「逃げるのは村上(義弘)君だと思っていましたし、前受けからレースを組み立てました。3連勝するつもりで来たし、それが達成できて嬉しい」
  小嶋敬二の番手は浜口高彰と小野俊之(写真)で競り合い。最終的に小野が競り勝ち、2着に流れ込んだ。
  「九州を引っ張ってきた先輩2人に前を任されたし、自分のやることは1つしかないでしょう。浜口さんは強いし、胸を借りるつもりで精一杯やりました。番手を取り切ったけど、小嶋さんが踏んだり止めたりするので、結構脚を使わされました」
  3着の村上義弘は「デキのいい小嶋さんを後ろに置きたかったが…。中部は別線といっても結果的に連係している感じだったし、(自分の)ラインの層の薄さが響きました。結果は3着だけど、面白くないですね」
  加倉正義は離れながら小野俊之を追ったが、直線で力尽きて4着。
  「小嶋さんは山降ろしで仕掛けたし、離れてしまった。第2先行の形できつかったし、最後に交わされてしまった。もったいないですね」


<11R>
佐藤友和選手
佐藤友和選手
渡辺晴智選手
渡辺晴智選手
   最終11レースの東王座決勝は佐藤友和(写真)が力強くまくって後続を千切った。
  「ビッグレース初優勝ですが、嬉しいという気持ちしかないですね。中団から落ち着いて自分のタイミングで仕掛けました。作戦は特に考えていなかったけど、理想通りの展開になってくれました」
  白戸淳太郎マークから2着に入った渡辺晴智(写真)は「作戦は前を取ることだけで、後は白戸君に任せるだけでした。白戸君が思った以上に頑張ってくれたし、ラインのおかげですね。2着が続いているけど、決勝に乗れたから十分です」
 岡部芳幸はまくり届かず3着に。
  「追い出しをかけたけど、(佐藤友が)あそこまで駆けないとは…。まくる形になったけど、前と距離がかなり離れていましたからね」
  佐藤友の後位を奪った地元の神山雄一郎だが、最後まで付け切れず、ゴール直前で落車してしまった。
  「番手勝負は今朝決めました。競りなので、ギヤを1枚下げて挑んだ。離れてしまったけど、飯嶋(則之)も付いていたので、必死に踏みました。ゴール前は一杯で、下を向いていたので落車を避けられなかった。幸い怪我は大したことありません」
  競り負けた有坂直樹は「作戦通りだったけど、神山さんは持って行き過ぎ。危なかった。次にやった時は負けないようにします」。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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