『第8回東西王座戦(GII)レポート』 2日目編
配信日:2月14日
うどんの郷・高松で開催中の第8回東西王座戦は今日二日目が東西予選の第2走目。今回から採用されているポイント制度による勝ち上がりは、微妙に選手の競走心理に影響を与えているようです。西日本戦で中部5車が鉄の結束を見せれば、東日本では山崎芳仁や昨年度覇者の佐藤友和が相次いで敗れるハプニングも。そして遂に東西決勝メンバー18人が出そろいました。
また、明日(15日)は、元スポーツ新聞記者の児島一彌氏による解説会「レースはこう読め!」を中央スタンド南側禁煙ルームにて開催します。その他にもチータカ広場ではチビッコランドが開園したり、先着2000人に配布されるラッキーカードによる豪華抽選会などバンクの外でも楽しいイベントがめじろ押し。ぜひ、この機会に本場へと足をお運び下さい。
<3R>
吉川悟選手
準決勝最初のレースは大波乱。昨日、自らまくった
吉川悟(写真)
が直線三番手から強襲して大金星を挙げた。
「S級で準決勝に乗ったのも4回目ぐらい。もちろん優参は初めてです。青森君が積極的に行ってくれましたね。僕自身もバックでは余裕があったし、直線ではいいのかなって感じで楽に車が出ました。鰐渕さんが前を残しにかかっているのは分かってましたよ。ちょっと(踏むのが)早かったかな(苦笑)」
鰐渕正利
は2着という結果に終わり複雑な表情を見せたが、「昨日、別線で走っている青森君があれだけ行ってくれたのは素直に嬉しかったね。駆けてくれたら後ろは止めてやると話していたんですが、地区が違うのにあそこまで逃げてくれるとはね。こういう先行屋との信頼関係は大切にしていきたいし、今年は自分らしいレースをしていきたい」と決勝に向けて決意を語った。
<4R>
大西祐選手
地元の
大西祐(写真)
が見事なまくりを決めて地元優参。派手な勝ち方に場内は大いに沸いたが、当の本人は検車場に戻るなりへたり込んだ。
「エラい! 今回は前検日が体調のピークで、日に日に感覚が悪くなっていますね。今日も力で勝った訳じゃないですよ。レース後にこんな苦しいのは久しぶり。今日は乾さんを潰して駆けるレースになると考えていたのに。オッズを見たら僕から売れていたので余計に緊張してしまいました。普段は見ないのに」と、勝者とは思えぬコメントを残す。
乾準一の番手から伸びた
馬渕紀明
が2着。
「しっかり考えて駆けてくれたんで何とか残したかったんだけど、大西君がいい勢いできたのが見えたし、スピードが違う感じだったので前に踏んで何とかしようとしたんだけど…。明日のことを考えると、乾君がいるのといないのとじゃ全く変わってしまうから」
<5R>
児玉広志選手
濱田浩司
が堂々の横綱相撲で快勝。きっちりと決勝に駒を進めた。
「今日はフタされてしまうのかと思っていたので、すっと引いてカマす展開を考えていたんですけどね。誘導のペースも上がったし、最終ホームで(後ろが)来なかったので腹をくくって駆けました。感触は悪くないですね」
児玉広志(写真)
が濱田に続いて地元優参を果たす。
「久しぶりに地元に呼んでもらったし、昨日から気合だけは入ってますよ。正直言ってお世辞にも好調とは言えないデキだけど、気持ちだけで走っている状態です」
<6R>
合志正臣選手
合志正臣(写真)
がようやく長いトンネルの出口を見つけたようだ。石丸寛之のカマシに乗って今年初勝利だ。
「何しろ、今年最高が5着でしたから。ようやくですよ。競輪は展開ですね。今日はバンクが重く感じた。石丸さんとは相性もいいし、こうして1着を取ることが何よりの薬になりますね」
石橋慎太郎
は前受けから突っ張る素振りを見せたが…。
「今日はやる気だったんですよ。中部を出させて二段駆けされても苦しいし、来るタイミングによっては突っ張りも考えてました。一応、理想はカマシだったんですよ。今日は久しぶりに朝の練習から軽かったから、中村さんにもこういう感じで行きたいと話していました。着はともかく、気持ち的には吹っ切れてきましたね。良い時は勝って当たり前というプレッシャーがキツかったけど、今は負けて当たり前だから(笑)」
<7R>
永井清史
が果敢に先行勝負。太田真一、小橋正義らに交わされたものの3着に粘って久しぶりに笑顔が戻った。
「昨日、山田さんから先行した時のペース配分を色々とアドバイスしてもらったんですが、それをレースに生かせました。今回は調子も良いし、久しぶりに気持ちの入った練習をしてこられました。末が足りないのは練習で補えばいい。良い感じをつかめたので、次が楽しみです」
<8R:西予選>
山田裕仁選手
柴崎淳に岐阜4車が付け、異例の長ラインとなった中部勢。赤板で柴崎が発進すると最終バックからは
山田裕仁(写真)
が満を持して番手まくりを敢行し、1~4着を岐阜勢で独占。1着でゴール線を切った山田裕二は喜びよりも安堵の表情が目立った。
「5車並んでの番手は責任重いし本当に走りづらかった。柴崎も、4人に任されて前を走るんじゃ平常心では駆けられないだろうし、もしもの時は僕が援護しなくっちゃだからね。連係が決まってとりあえずホッとしましたよ」
対中部勢の急先鋒となった
渡部哲男
はバックからまくるも5着まで。
「やっぱり相手に捨て身の選手がいたら厳しいですね。変に粘るより、一旦下げてまくりでどこまでいけるかという作戦でしたけど…。もうちょっといい勝負をしたかったですね。後ろにも迷惑をかけてしまった。ちょっと疲れが残っているのかなぁ」
<9R:東予選>
山崎芳仁選手
新田祐大-山崎芳仁の北勢を相手に後ろ攻めとなった海老根恵太が打鐘で叩いてそのまま先行。直線で
渡邉晴智
と村本大輔が抜け出し南関勢で連独占。北日本勢を一蹴した。
「今日の作戦はスタートで後ろを取っての先行。新田君がまくってきたら俺と(村本)大輔で死ぬ気で止めるはずでしたが、海老根君が上手に駆けてくれた。あのスピードならまくられないでしょう。南関勢の結束の固さを見せられて良かったです」
殊勲の先行策を見せて3着に粘った
海老根恵太
も満足そうに検車場へと引き揚げてきた。
「勝ち上がりの事を考えると自分も大敗だけは避けたかったから、全開で踏み出すタイミングをギリギリまで遅らせました。昨日1着を取れていたので、気持ちは多少余裕を持って競走が出来ましたね」
スタートからジカ競りに来た幸田光博を巧みにさばいた
山崎芳仁(写真)
だったが新田祐大が不発。共倒れに終わり決勝進出を逃した。
「新田が踏み遅れたら自分で出て行こうと思っていた。最終ホームでカマそうとも思ったが、新田を見てしまいタイミングを逸してしまった。やっぱり道中の競りで結構脚を使ってしまいましたね。何度もバックを踏まされてしまったし…」
<10R:西予選>
稲垣裕之選手
先行する稲垣裕之を、七番手の
井上昌己
が最終バックからまくると、村上義弘の懸命のブロックをかいくぐって連勝。決勝へと駒を進めた。
「村上さんのブロックが厳しいのはわかっているし覚悟はしていたけど、今日は想定していた以上に厳しかった。まくり切った後は、脚が一杯なので後ろに交わされると思ったけど何とか粘れましたね。競輪祭の決勝で敗れたことが悔しく、今回はかなり練習してきたので明日も狙っていきますよ」
果敢な先行を見せた
稲垣裕之(写真)
は、末の粘りを欠き5着に沈むも、紙一重で決勝ボーダーに残った。
「実質先行一車のメンバー構成なのに、それをモノに出来なかったのは自分が精神的に弱いということ。今日は村上さんとワンツーを決める意識が強すぎて、落ち着いて競走できずペース配分を間違えました。先行するだけなら誰にでも出来る。やっぱり残れる先行をしなくてはいけませんよね」
<11R:東予選>
神山雄一郎選手
ポイント制による自動番組制度のアヤで、北日本勢の顔ぶれはほぼ前日のレースと同じ。大挙5人が同乗したが、迎え撃った関東勢は武田豊樹が打鐘から先行。援護に回った
神山雄一郎(写真)
が直線で交わしてワンツー決着。共に決勝へと駒を進めた。
「北日本が5人もいるので、今日は初手で中団確保から一発勝負の作戦でした。最後は必死でしたよ。武田と僕がお互い決勝に行くには僕が1着で武田が2着に残るしか無い。抜けなかったら僕の決勝はないし、早く抜き過ぎても武田を残してあげられない。本当に厳しかったけど最後はなんとかギリギリ交わせました」
好走劇を見せ北日本勢を一蹴した
武田豊樹
も満足そうな表情を浮かべる。
「何とか結果を残せて良かった。決勝メンバーを北日本勢に独占されたら情けないですからね。今日は踏み出しで結構脚を使ってしまい、僕の感触的には最後は残れなさそうだった、神山さんの好援護のお陰で何とか残してもらいました。明日も頑張っていい競走しますよ」
3連覇がかかっていた
佐藤友和
は仕掛けのタイミングを逸して8着。昨日の小嶋敬二に続き東日本もディフェンディングチャンピオンが姿を消した。
「終わっちゃったあ。最終ホームでまくろうと思って車間を切ったけどそこに成田さんが入ってしまったので、仕掛けを躊躇してしまった。今思うとあそこは行けたしで行くべきでしたね。「たられば」ですけど。3連覇はまた来年から狙います。あー、でも悔しいな…」
↑ページTOPへ
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
写真撮影:日刊プロスポーツ新聞社 Takuto Nakamura
COPYRIGHT(C) JKA, All Rights Reserved.