『第10回東西王座戦(GII)レポート』 最終日編
 
配信日:2月6日


 今年で第10回を迎えた東西王座戦(G2)。豊橋競輪場を舞台に、東西のトップレーサーたちが連日にわたり熱戦を繰り広げた。10Rの西王座、11Rの東王座戦決勝ともに激戦。西は村上博幸が昨年の雪辱を果たし、東は武田豊樹が連覇を達成。弾みをつけて次の特別競輪・名古屋ダービーに乗り込む。



東王座決定戦 レース経過

 号砲で兵藤一也がゆっくりと出て、目標の海老根恵太を迎え入れる。海老根-兵藤で前受け、中団に平原康多-武田豊樹-神山雄一郎-飯嶋則之、後方が新田祐大-渡邉一成-岡部芳幸の順で隊列は落ち着く。
 青板のバックから新田が早くも上昇を開始。前受けの海老根は車を下げず、誘導員の後位でしばらく併走する。打鐘前に新田が誘導員を交わして先行態勢に入るも、すかさず平原が仕掛けて両者で激しいもがき合いに。内の新田が平原を突っ張り切るが、態勢を立て直した武田が2コーナーから自力発進。懸命に逃げる新田を武田が3コーナーであっさり捕らえると、そのまま後続を千切って圧勝した。神山が離れながらも武田を追っていくが、その上をまくり上げた海老根が2着。神山追走の飯嶋が直線最内をしぶとく伸びて3着に食い込んだ。

東王座ゴール
東王座ゴール
レース後
表彰式
レース後
表彰式

西王座決定戦 レース経過

 スタートで出た坂本健太郎が坂本亮馬を迎え入れるが、小川勇介-園田匠が車を上げて前に収まる。3番手以降は坂本亮-坂本健、村上義弘-村上博幸、吉田敏洋-加藤慎平となり、小嶋敬二が最後方で周回を重ねる。
 吉田は青板のバックからじわりと上昇を始め、小川に併せ込み赤板を迎える。2コーナーで誘導員を下ろした吉田に加藤が続くが、打鐘ですかさず村上義が押さえる。先行態勢を取った村上義には村上博が続く。吉田は3番手に下げて加藤、小嶋、小川-園田の隊列に。8番手まで引いた坂本亮は車間を切って2センターから一気にカマす。坂本亮は最終ホームで村上義を叩いて主導権を奪取した。坂本亮に坂本健まで出切り、村上義-村上博、吉田-加藤、小嶋に態勢は変わり、小川は動けず一本棒の8番手に置かれ園田が最後方。3番手で立て直した村上義は車間を詰める勢いで2コーナー過ぎからまくりを打つ。坂本健は村上義をブロックしながら、2センターから早めに踏む。吉田も中団からまくり追い込みで迫るが伸びは今一息。村上博はまくりを止められた村上義から坂本健の後位にスイッチして直線を迎える。坂本亮の番手から抜け出した坂本健を村上博が急追し、ゴール寸前で村上博が坂本健をとらえ優勝。吉田に乗り直線で内に進路を取った加藤が外強襲の小嶋を押さえて3着。

西王座ゴール
西王座ゴール
レース後
表彰式
レース後
表彰式

<5R>
加倉正義選手
加倉正義選手
   南関ラインの3番手を選択した加倉正義(写真)が直線で追い込み、補充参戦で1勝を挙げた。
  「根田君は赤板からあんなに行ってくれるとは思わなかったですね。恵まれました。萩原(孝之)君が番手から出なくても、もしかしたらまくられてなかったかも。それくらいスピードが出てた。萩原君は合わせる感じで外に持ち出してたから、後ろからすくわれるんじゃないかと自分は外行ったり戻ったりで中途半端でした」
  根田空史は今日は金澤竜二を徹底マーク。大敗覚悟で潰しに出た。
  「昨日は叩かれてるし、今日は絶対に潰そうと思ってました。流したら行かれてしまうから全開で踏んでたんで、一杯になってしまいました」


<6R>
山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
   山崎芳仁(写真)が最終日にしてようやく1勝を挙げた。レースは8番手に置かれたものの、バックからスパートすると4コーナーの山おろしで前団をごぼう抜き。前2日間の鬱憤を晴らした。
  「7番(水谷好宏)のスピードが良かったんで車間が空いてしまいましたね。上原(龍)も中途半端に追い上げてたりしてたし、あれでよく行けたと自分でも思います」
  水谷好宏のカマシに乗り、稲川翔が2着に入る。
  「後ろを見たら離れてたし誰も来てなかったんで決まったかと思ったんですけどね。良いスピードだったし後ろも一杯だろうと思ってたら、山崎さんが見えない位置から来た。あれでは1着は難しいですね」
  才迫勇馬が前との車間を詰めて3着に入る。
  「前に追い付くと思ったけど、8番(稲川)に合わされる感じになったし、その上を山崎さんにすごいスピードで行かれてしまった。今回は課題が見えたし、良い経験になりました」


<7R>
渡邊秀明選手
渡邊秀明選手
鈴木裕選手
鈴木裕選手
   前座といえども迫力あるレースが展開された。S級シリーズの決勝は連日好走した鈴木裕が中団外並走から伊藤信をひとまくり。最後は渡邊秀明(写真)がゴール寸前で交わして優勝した。
  「今日は鈴木君のおかげです。優勝は2,3年ぶりくらいで覚えてないですね。ギアを3.92に上げて正解だったね。優勝できてよかった」
  鈴木裕(写真)はS級初優勝をあと一歩で逃したが、「ホームであのままカマせる感じではなかったんで、中団で1回休みました。渡辺(十夢)さんのブロックも怖かったんで。優勝はできなかったけど、次に繋がるレースができたし、手応えをつかみました」と納得の様子だった。


<8R>
芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
   8レースは藤木裕が先行する展開となった。神山拓弥が迫ると、番手の南修二がこれを大きくブロック。開いたコースを芦澤大輔(写真)が駆け抜けた。
  「前が頑張ってくれたおかげですね。スピードに乗せてもらえたし、コースが空いたので。欲を言えばもう一つ上のレースに乗りたかったけど、特選で1着がとれたんで自信になりました」
  ハコ回りの南は2着となり、3着には小倉竜二が入った。
  「柴崎君がバックで行きかけたけど、戻ってきたんでキツかった。あそこから外は厳しいし、柴崎君には悪いけど内を行かせてもらいました」


<9R>
中野彰人選手
中野彰人選手
   9レースは波乱の結末となった。レースは人気の佐藤友和と伏見俊昭が、山口富生の強烈なブロックでまさかの着外に。もつれたところを、北の4番手を回った斉藤正剛が外を突き抜けた。
  「今日は伸びましたね。今回2勝もしちゃったし、何かこの後も走れる予感がするね(笑)。次も頑張れる気になってきました」
  中近コンビの山口富生が2着となり、逃げた中野彰人(写真)は3着に粘った。
  「今日シューズを替えたら脚がものすごく軽かったし楽だった。ビックリしました。最終日に自分のレースができたし、このメンバーで3着に入れたんで自信になりますね」


<10R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
   西王座は村上博幸が優勝し、準Vに敗れた昨年の雪辱を果たした。坂本健太郎(写真)は優勝をつかみかけたが、ゴール寸前でスルリと手からこぼれ落ちた。
  「悔しい…。(村上)義弘さんは行ってしまう感じだったんで、車間を空けてブロックしました。そこから絶対に博幸さんも来ると思ったし対処したんですけどね。脚は全然使ってなかったのに。完全に脚負けでした。3番手に(小川)勇介が付いてきてればまた違った展開になったと思うんだけど、仕方ないですね。また次、しっかり仕上げてきます」
  加藤慎平は表彰台入りし、「今のデキで3着なら上出来ですよ」と素直に喜ぶ。
  地元で期待された吉田敏洋(写真)は見せ場を作れず。
  「今日は一発狙いのレースだったんで仕方ない。村上(義弘)さんはもっとスッとまくってくれるかなと思ったし、自分はそれに乗っていければと思ったけど」


<11R>
平原康多選手
平原康多選手
新田祐大選手
新田祐大選手
   東王座の決勝は、平原康多、新田祐大がお互いに意地と意地のぶつかり合い。一歩も譲らぬ壮絶なレースとなった。これを尻目に武田豊樹がバックからまくって優勝。2連覇を達成した。昨年に続き、平原康多(写真)が武田の優勝に貢献した。「やり合って久々に気持ちの良いレースができました」と清々しい。「でも、武田さんが強いから、こういうレースができるんですよね」。
  新田祐大(写真)は突っ張った経緯を説明する。
  「初めは武田さんのところに粘ろうと思ってたけど、平原さんが見ながら押えてきたんで突っ張りました。バックで脚は一杯だったし、あそこまで頑張れたんだから良い方でしょう。次も頑張ろうという気持ちになれました」
  神山雄一郎は武田を懸命に追走したが、最後は力尽きて4着に沈む。
  「1コーナーで武田がバックを踏んだと思ったら、すぐに行ってしまったんで付け直すのに苦しかった。2着キープと思って必死に踏んだけどダメでしたね」
  海老根恵太はあと一歩届かず2着に終わる。
  「展開が良かったのに。悔しいですね。あともうワンテンポ早く仕掛ければよかったかも」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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