『第5回ウィナーズカップ(GII)レポート』 2日目編

配信日:3月26日

 松阪競輪場で開催されている「第5回ウィナーズカップ(GII)」は、3月26日に2日目が行われた。メインの「毘沙門天賞」では、郡司浩平が追い込みで勝ち、ビッグ連覇につなげた。また、注目の山口拳矢もビッグ初勝利を飾り、二次予選を勝ち上がった。27日の3日目はファイナルをかけた準決の3個レースがメインで争われる。
 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、シリーズの4日間の入場は、事前抽選に当選された方のみとなりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

毘沙門天賞出場選手特別選手紹介
毘沙門天賞出場選手特別選手紹介

毘沙門天賞 レース経過

 号砲で飛び出した寺崎浩平が前を取り、岡崎智哉との近畿コンビが前受け。以下は、清水裕友-門田凌、浅井康太、郡司浩平-守澤太志、山田英明、吉田拓矢で周回を重ねる。
 青板の2センターから動いた郡司を寺崎は赤板から突っ張ってそのまま先行態勢に入る。清水は踏み遅れて車間が空き、郡司が冷静に3番手に降りて打鐘。山田は郡司ライン乗って上昇したが、清水が5番手を譲らず、最終ホームから加速して前団に迫る。しかし、山田を追いかけた浅井がバックからまくり上げて、2センターで山田をとらえて先頭に。さらに、その外を吉田と清水も踏んで直線へ入ると、バックで浅井の後ろにスイッチした郡司がゴール手前で鋭く伸びて「毘沙門天賞」を制した。2着は山田の外をまくった浅井。3着には大外を踏んだ清水が入った。




<6R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 打鐘の3コーナーで出た中部コンビの上を、大石剣士が最終ホーム手前で叩いて先行策に出る。山口拳矢は3番手を確保して一本棒。バックを迎えても別線は動けず、7番手の原田研太朗は不発。菅田壱道は3コーナーでインを突く。逃げる大石の番手で絶好の内藤秀久がけん制しながら追い込むが、その外をシャープに伸びた山口拳矢(写真)が、ビッグ初出場の今シリーズで2日目に勝ち星を飾った。
 「(大石が来て、出させるか突っ張るか)ちょっと迷いながらって感じでした。出す予定ではあったんですけど、もうちょっと早く来ると思った。来た時点で2車なのはわかったので冷静に。あとは自分が届くところからと。(最終)3コーナーくらいから行きたかったけど、だいぶ波をくらって苦しかった。今日(2日目)は作戦通り走れたんで、9車でやっと初めてうまく走れました。ただ、慣れたというより、たまたまうまくいった感じです」
 山口こそ阻めなかった内藤秀久だが、ラインの大石とともに準決に進んだ。
 「大石君の強さですよね、それに尽きます。風の強いなかで大石君が走りやすいように伸び伸びやらせてあげようと思っていた。自分の動きは問題ない」

<7R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 赤板の2コーナーで松川高大を叩いた新山響平が主導権を握る。打鐘の2センターで6番手から早めの反撃に出た吉田敏洋は新山に合わされるが、前団の混戦を岩本俊介(写真)が一気にまくって最終バックで先頭に立つと、そのまま後続の追撃を振り切って人気に応えた。
 「思った以上に重くてみんなキツかったと思う。吉田さんの仕掛けはさすがですね。あそこではなかなか仕掛けられない。(自分は)瞬時に判断してスイッチできた。このレベルになると、判断が大事で命とりになりますからね」
 鈴木裕は、岩本のまくりに微差まで迫った。
 「ワンツーでうれしい。強い風で脚が溜まらなかったです。(岩本は)無理やりですごい。仕上がりはいいと思いますよ。新山をまくっているし。(自分は)いいとは思うが、岩本君ほどじゃない。もう少し詰められる気がする。体の使い方の部分ですね」

<8R>

古性優作選手
古性優作選手
 上田尭弥と小林泰正で踏み合っているところを高橋晋也が打鐘の2センターで叩いて風を切る。しかしながら、赤板1コーナーで竹内智彦が落車に見舞われて、北日本勢は2車。3番手には踏み勝った小林が入って最終回へ。前団の様子をうかがいながら中団まで押し上げた古性優作(写真)は、2コーナーから仕掛ける。逃げる高橋をスピードの違いでとらえた古性が1着。
 「展開一本ですね。今日(2日目)換えたところがあったんですけど、初日のに戻そうと思います。思ったより進んでなかった。自分の踏んだ感じでは、(最終)ホームくらいから(仕掛けて)行きたかった。(2日目は)流れなかったけど、戻したら初日くらいは走れると思います」
 椎木尾拓哉が流れ込み、離れた3着には逃げた高橋晋也が踏ん張った。
 「ちょっと長かったけど、出られて良かった。あとは(風が)軽いところだけ上げて、強いところはキープするような感じでした。自分だけ残ってしまったんで、ラインには申し訳ないです」

<9R>

北津留翼選手
北津留翼選手
 打鐘付近で和田健太郎、蕗澤鴻太郎、東口善朋が落車するアクシデント。先行態勢に入っていた深谷知広は、そのまま主導権を握って佐々木雄一が追いかける。北津留翼(写真)は佐々木を追った山田久徳を目がけて最終バック前から仕掛けると、吸い込まれるようにまくり切った。
 「(落車のアクシデントで)レースがぐちゃぐちゃになった。風が急に吹くし車間がなくなってしまうので、そうなってしまいますよね。山田久徳選手が(前に)入って追い付く形ができたのがポイントでした。オーバーワーク気味で来たので、昨日(初日)より今日(2日目)の方が良かった」
 連日、力強い先行を見せている深谷知広が2着に逃げ粘る。
 「風が強かったのと、追いつくのを待ってから踏んだぶん、自分のペースではなくいっぱいになった。行くタイミングは悪くなかったのでそのペースが反省点。勝ち上がっているので、チャンスはある場所にいられる。(自転車とのマッチは)100%ではないが、レースごとが大事ですから。(準決も)自分の力を出して頑張りたい」

<10R>

平原康多選手
平原康多選手
 前受けから近畿勢を受けた黒沢征治が、3番手から踏み込んで打鐘で出る。山降ろしで加速した黒沢に4番手の中井太祐は置いていかれ、関東ラインの3人で大きく後続をちぎる。最終2コーナーで6番手の阿竹智史が踏み出すと、稲川翔が自力に転じて合わせる。4コーナーでようやく関東勢に稲川が追いつくが、番手の平原康多(写真)が余裕をもって抜け出した。
 「黒沢はこの風のなかでも、掛かりは良かった。(ラインが)3人だったんで残るかと思ったけど、最後の向かい風でタレましたね。昨日(初日)は郡司(浩平)に対して反応がツーテンポくらい遅れて、自分の判断ミスでした。それを生かして今日(2日目)はやったつもりだし、(初日が)終わったあとセッティングを見直して今日の方がだいぶ安定してきた。昨日は力が抜ける感じがあったけど、今日は伝わる感じがあった」
 中井の余力を見極めて最終2コーナーから前に踏んだ稲川翔は3着。
 「阿竹さんが来た時に、かぶるとどうしようもないので(自分で踏んでいった)。(前が)遠い上に風もキツかった。それでもとらえられるかと思ったけど、平原さんも余裕があった。(一戦、一戦)集中することだけを考えて、そうすれば力が出せるっていうのはあります」

<11R>

諸橋愛選手
諸橋愛選手
 打鐘の3コーナーで飛び出した野口裕史が、ハイピッチで駆ける。3番手をキープしていた眞杉匠が松浦悠士に合わせて最終バック前からまくる。和田真久留がこれをけん制しながら早めに追い込むが、諸橋愛(写真)が内をすくって鋭く抜け出した。
 「(眞杉は)赤板から誰も出させない気迫を感じていた。バックも行ってくれたけど、まくれるスピードではないと思って、あとはコースだけと。誰かに内に行かれる前にと思って内に行った。今日(2日目)は天候が(強風で)僕向きでしたね。(初日に)1走してレース勘が戻っていますね」
 打鐘の4コーナー、8番手からロングスパートに出た松浦悠士は眞杉に合わされながらもしぶとく3着に入った。
 「脚に上積みはあったけど、昨日(初日)のレースが脳裏をよぎって内に行ってしまった。もう少し早くに仕掛けて行ければ。上積みがかなりあったのでそれで何とか(準決に)上がれた。体調面はいいので力が出ない感覚はない」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)を赤板で突っ張った寺崎浩平が、そのままペースを握る。郡司は3番手に降りて、5番手で清水裕友と単騎の山田英明が併走して打鐘を通過する。8番手でじっくりと溜めていた浅井康太が4コーナーから仕掛けると、外併走から山田も最終ホーム手前で踏み込む。3コーナーで山田が逃げる寺崎をとらえるが、その上を浅井がまくり切る。浅井に切り替えるように外に持ち出した郡司が追い込んで1着。
 「結果オーライだったけど、ヒデさん(山田)が追い上げる前に踏んでいかなきゃいけない。情けないですね。(脚の)感じは悪くない。ただ、展開の読みだったり、流れをつかみ切れてないところがある。余裕がないってわけじゃないけど、もうちょっと周りを広く見られるように」
 単騎ながらも打鐘4コーナーから踏み込んだ浅井康太は、内容のある走りで2着。地元でしっかりと魅せた。
 「(単騎でも)どこかで仕掛けようと思ってた。ヒデさんが外併走からまくると思ってなくて、ヒデさんよりも先に仕掛けようと。自分のなかではもう少し欲しいけど、(初日が)番手で(2日目に)自力を出せて、両方の感覚がわかった」
 大外をまくり追い込みで強襲した清水裕友が3着。
 「単騎だったけどヒデさんを入れたらっていうのがあって、そこにはこだわった。そのあとヒデさんが行った時にすかさずスイッチできたら良かった。自分が踏んで行ったのが(最終)3コーナーだったんで、上りで苦しかった。ただ、それでも踏み負けずに吉田(拓矢)君を越えられたんで、(脚の感じからは)勝負になるかなって思います」