『第5回ウィナーズカップ(GII)レポート』 3日目編

配信日:3月27日

 松阪競輪場で開催されている「第5回ウィナーズカップ(GII)」は、3月27日に3日目を迎えた。見ごたえのバトルが展開された準決では、守澤太志、清水裕友、郡司浩平のS級S班の3人が1着で決勝進出を決めた。28日の最終日には、波乱のシリーズを勝ち抜いた9人による決勝が行われる。また、「ガールズケイリンコレクション2021松阪ステージ」は一発勝負で争われる。
 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、シリーズの4日間の入場は、事前抽選に当選された方のみとなりますので、ご理解をお願いいたします。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<2R>

根田空史選手
根田空史選手
 周回中は7番手にポジショニングした根田空史(写真)が、赤板過ぎに南潤を押さえてペースを握る。4番手に宮本隼輔が続いて、単騎の河合佑弥は7番手。南は後方まで下げて打鐘を迎える。別線の動きを警戒しながら根田は、最終ホーム目がけてペースアップ。武井大介は根田の踏み出しにいっぱいで離れる。4番手から宮本がまくるが差は詰まらず、4車身の差をつけた根田が逃げ切った。
 「南君が前を取りにいったんで、それだったらととっさに(周回中は)後ろでと思った。宮本君に切られるとめんどくさいので、そこだけ気をつけていた。(2日間)新車の感覚があんまり良くなくて、昨日(2日目)はずっと引きずっている感じだった。(3日目は)別の種類のチェーンに換えて、それで半コマ詰めたら別の自転車みたいに軽くなった」
 中団から最終2コーナーでまくった宮本隼輔が2着。
 「(4番手だったんで)それだけですね。あとはもう自分のタイミングで行きました。(武井は)車間を空けてるのか思った。自分の感覚としては全然ですけど、ボチボチやります」

<8R>

取鳥雄吾選手
取鳥雄吾選手
 赤板2コーナーから仕掛けた取鳥雄吾(写真)は、3番手に切り込むように関東コンビの内をすくって打鐘の2センターで先頭に立つ。5番手に立て直した小林泰正が最終2コーナー手前からまくるが不発。山田は3コーナーからインを突いて、後続がもつれる。風を切った取鳥が、二の足で踏ん張って押し切った。
 「外を行きたかったけど、小林君もかなり踏んでいた。それで内に行きました。あとは香川(雄介)さんが(後ろに)いるのがわかったんで、(最終)4コーナーまで先頭でいければと。出し切れて入るけど、連日内に行ってるんで情けない」
 最終バック8番手から外を強襲した新山響平は3着まで。
 「(打鐘前に)1回ブレーキをかけて勢いが止まった。結果的にまくり追い込みになってしまって、飯野(祐太)さんには申し訳なかった。直線が長いんで伸びるとは思ったけど、1着までいきたかった。今回は新車を使って、その感覚が日に日に良くなってる。2日目に(セッティングを)変えて、それでバッチリ出た。脚も新車に合ってきてるし、もっとそうなればもうちょっと自信をもって先行できると思う」

<9R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 野口裕史が黒沢征治を打鐘で叩いて主導権を取る。3番手から仕掛けた黒沢は松谷秀幸に止められるが、その上を山本伸一がまくり上げる。山本のスピードをもらった松本貴治(写真)が大外を強襲した。
 「赤板で切って踏んでと思ったけど、よくわからんようになって8、9番手になった。(最終)ホームで行ける感じはあったが、初日とかもそうだったけど、踏んでも出ない感じがあった。そのうちにどんどん掛かっていって、山本さんの仕掛けに乗っていく感じになった。余裕はあるんですけどね。フレームが潮時なのかもしれない」
 山田久徳との連結を外してしまった山本伸一だが、最終バックから自力に転じて2着に入った。
 「難しかったですね。(山田)久徳が入っていって、付いていかないといけないんだけど、(阿部)力也と併走しているよりはと。久徳が仕掛けると思ったので、分断されている以上、それより先に行けない。久徳の様子を見てから仕掛けた。脚を使ってなかったので伸びましたね。脚は十分戦える状態です」

<10R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 北津留翼が切った上を北日本コンビが出て、赤板2コーナー手前で高橋晋也は早くも先行態勢を取る。3番手で北津留と重なった山口拳矢が仕掛けるが、高橋が突っ張って主導権をキープする。守澤太志に張られた山口は後退して、3番手で浅井康太と併走。6番手の大石剣士が、最終2コーナー過ぎにまくるが不発。浅井は3コーナーから外に持ち出し、中を突っ込んだ鈴木裕が落車。アクシデントをしり目に番手絶好の守澤太志(写真)が、高橋を差し切り北日本ワンツー。
 「あれで出させてしまうと後手後手になってしまうんで、(高橋)晋也君がいい先行をしてくれた。(最終)ホームで確認したら、真後ろに浅井さんがいて、外に山口君が追い上げる形で(自分たちには)いい展開だった。浅井さんが(単独で)3番手だと軽くまくられちゃうと思った。僕は楽をさせてもらったし、晋也君が本当に強かった。全日本選抜の準決は自分だけになっちゃったんで、晋也君と上がれて良かった」
 迷いなく積極策に出た高橋晋也が、昨年のウィナーズカップ以来のビッグ優出を遂げた。
 「ホッとしました。先行するって決めてたんで、(先頭に出たら)もう出させないつもりでした。あとは守澤さんが全部さばいてくれると思って安心して駆けました。この1年間、いろいろ悩むこともあったけど、先輩方に助けられた。それでまた(ビッグの)決勝で戦えるってことは成長しているのかと。(決勝は)落ち着いて出し切れるように。楽しみたいですね」
 北津留に託した山田英明だったが、最終バックで9番手。内を進出すると落車を最内に避けて、木暮安由との3着争いを微差で制した。
 「(最終)ホームのところはどうするべきだったのか、正解がわからないですね。北津留君は調子がいいし、信頼して我慢しようと。自分が動かない以上は展開も人任せになるし、あとは今後のためにも落ち着いてと思っていた。ちょっとずつ自分のいい時の感覚に戻ってきて手応えもある」

<11R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 赤板で飛び出した門田凌が、後続を一本棒にしてハイペースで駆ける。6番手となった岩本俊介が最終2コーナーからまくると、すかさず松浦悠士が番手まくりを打つ。続いた清水裕友(写真)が、ゴール寸前で逆転した。
 「(赤板で)つっかかって危なかった。僕もしんどかったですね。3番手なりのことをしようとは思った。門田が上に上がった時に自分のとこに来られたらいけないし、そこで来られたら面白くないので(内を締めていた)。前が頑張ってくれたので、台なしにしないように。(3日間)全部確定板に乗れているけど、全日本選抜の方が状態はいい」
 番手まくりの松浦悠士は2着。ラインの絆で勝ち上がれたことを強調した。
 「(門田は)ホームでしんどそうだったので、自分がどこから出るかっていう感じになった。古性(優作)君も見えたので、しっかりそこを合わせて。本来の調子にはほど遠いので、最後まで踏み切れていない。門田君と(清水)裕友に助けられた感じです」
 古性優作は俊敏な立ち回りで中四国勢を追ったが、仕掛けられなかったことを悔やんだ。
 「先に切りたかったけど、粘ると思われたのか、させてもらえなかった。(最終の)1コーナーしか行くタイミングはなかったけど、間合いを作っていなかったので、詰まる感じで行けなかった。それで流れ込みになってしまった。自分のしたいレースができなくて悔しい。自分の力でラインを連れていければいいけど、勝負どころであれでは戦えない。(2月はあっ旋が止まっていて)GIを一本走ってないので、グランプリまで遠のいたなと思っていた。決勝に乗れてホッとはした」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 赤板1センターで吉田拓矢が勢いよく近畿ラインに襲い掛かる。が、寺崎浩平も突っ張り、打鐘前から両者の踏み合い。寺崎が主導権を死守も、番手に吉田が入り、稲川翔、岡崎智哉と続く。両ラインが消耗したところを、満を持して最終ホームから深谷知広が発進。番手から出た吉田をねじ伏せた深谷に、郡司浩平(写真)が続く。和田真久留はさばかれ、稲川が3番手に切り替える。稲川を外にけん制しながら追い込んだ郡司が1着。
 「(寺崎と吉田の踏み合いは)想定外といえば、想定外だけど、いい意味での想定外でした。それで深谷さんも行きやすくなったんじゃないかと。(準決の)今日に関していえば、自分のなかで手応えもあった。走っていて脚の面、気持ちの面で余裕があった。状態はいいと思います」
 深谷、郡司にスイッチした稲川翔は、直線でそのまま外を伸びた。
 「(3日間)全部、ギリギリで勝ち上がれているんですけど、(状態は)悪くないと思います。寺崎があんだけ頑張ってくれたのに、連結を外してしまって申し訳ない気持ちの方が大きい」
 平原がシャープに迫ってきたが、深谷知広がわずかに先着。3着に粘り込んだ。
 「吉田君が自分が引いてるタイミングでカマしていったんで、ちょっと対応できずに勝負どころで離れてしまった。あとはその中で冷静に判断しました。(別線が先行争いになったけど)併走しててくれてたら良かったんですけど一本になった。それで思ったより(まくり切るのに)時間が掛かって、(和田)真久留まで出切ることができなかったのが残念です」

<最終日・9R ガールズケイリンコレクション2020 松阪ステージ>

高木真備選手
高木真備選手
 昨年末に平塚で行われたグランプリ7選手と6人までが同じ顔ぶれ。当然のことながら、グランプリ3連覇を遂げ、現在も11連勝中の児玉碧衣に期待がかかる。
 「(前回のあとは)練習はいつも通りやってきた。自己ベストのタイムは出せていないんですけど、調子のいいタイムには戻ってきている。(前回の)別府までは練習では、なかなかいいタイムは出せてなかった。優勝を逃したこともあって、なかなか思うような結果が出せてない時に自信を失くしてるのがちょっと続いた。でも、別府でいいタイムを出せて完全優勝できたことが、ちょっと自信になりました」
 児玉と対戦した前回の別府決勝で連勝は17でストップした高木真備(写真)だが、デキに不安はなさそうだ。
 「やれることはすべてやってきた。今の状態でどこまでやれるのか、すごい楽しみです。(児玉と対戦した前回の決勝は)コレクションとか以外で戦えるチャンスってなかなかないって思ったので、収穫のあるレースにしようと思ってうれしいなと思いました。みんな強いですけど、チャンスはあると思うのでしっかり走りたいです」
 前回の2月取手で落車に見舞われた梅川風子は、気持ちを前面に押し出す。
 「怪我は胸椎が2本折れてしまったんですけど、なんとか走れる状態には戻してきたと思います。練習を始めて2週間ちょっとですかね。大丈夫と思って来ました。自分があきらめなければチャンスはあると思う。とにかく自分自身、あきらめずに走り切りたい」