『第6回ウィナーズカップ(GII)レポート』 3日目編

配信日:3月20日

 宇都宮競輪場を舞台に開催されている「第6回ウィナーズカップ(GII)」は、3月20日に3日目を迎えた。準決では、松浦悠士、脇本雄太、清水裕友の3人が勝ち星を挙げてファイナルに進んだ。3月21日の最終日には、タフな長走路を勝ち抜いた9人による決勝の号砲が鳴らされる。また、「ガールズケイリンコレクション2022宇都宮ステージ」が一発勝負で争われる。
 なお、宇都宮競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<4R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 阿部大樹が切って出ると、岩本俊介も動いて3番手に追い上げる。山崎賢人は落ち着いて前団の様子をうかがい、打鐘の4コーナーからスパート。最終1コーナーで山崎、伊藤颯馬(写真)の2車が出切る。阿部が3番手に飛び付いて、山崎は軽快に風を切る。山崎の掛かりが良く、別線は仕掛けられない。伊藤が山崎を差し切った。
 「(山崎の踏み出しに)ちょっとだけ空いてしまいました。ダッシュが強烈でしたけど、リカバリーできました。出切ってからは自分も少しだけ余裕があったんで、車間を切って(別線を)確認できました。(1着だし)悪くない。(山崎は)九州で一番強い自力屋なんで(いろいろ勉強になった)」
 2日目に落車に見舞われた山崎賢人だったが、さすがのスピードを披露。別線をクギ付けにして、2着に粘り込んだ。
 「岩本さんが動きそうかなっていうのがあったんで、空けながら見てました。(2日目に)転んだあとにしては、意外と(感触は)いいです。(影響は)多少はあるけど、全然マシですね。(自転車も)大丈夫です」

<7R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 打鐘の3コーナーで先頭に立った松井宏佑は、菊池岳仁をすんなりと出させる。松井と新田祐大(写真)が、4番手で併走になり最終周回。2コーナーから8番手の島川将貴がまくると、ためた新田がバックから踏み込む。芦澤辰弘のけん制を乗り越えて、新田がシリーズ初勝利を挙げた。
 「前々に攻めながらポイントが来たタイミングで仕掛けようと思っていました。欲を言えば松井君と併走にならなければ良かったですけど、想定の範囲内でした。連日、いろんなことが重なってしまって勝てなかったんですけど、なんとか修正できたのかなって思います」
 島川将貴は、新田マークの渡部幸訓を押し込みながら新田を追いかける。直線で追い込むも、4分の3車身差の2着。
 「ちょっとスピードタイプぞろいだったので、後手を踏まないようにって思っていたんですけど。松井君も引かない感じでしたし、様子を見て仕掛けようと思っていました。菊池君も掛かっていましたし、ヤバいかなって思った。自転車自体は進んでくれたと思います。新田さんが1人で出てきた感じだったので、渡部さんに当たられてヤバかったですけどなんとか。消極的に走ろうとは思っていないですけど、そういうレースが続いてしまっていますね」

<8R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 吉田有希を警戒しながら打鐘の2センター過ぎに先頭に立った取鳥雄吾は、吉田の巻き返しに合わせてフルアクセル。吉田と取鳥の主導権争いになり、5番手の飯野祐太は車間が空く。取鳥に突っ張られた吉田は外に浮いて、吉澤純平(写真)は岡山コンビの後ろで脚をためる。最終2センターで吉田が力尽きると、吉澤が追い込んで抜け出した。
 「(吉田は)いつもだったら(取鳥と)併走でも出ちゃうんだろうけど、(吉田)有希は本調子じゃないんだと思います。自分も迎え入れたかった。でも、(最終)2コーナーを回ってたし、取鳥君と力勝負かなと。取鳥君も踏み直して伸びてたんで、有希もいけないなって。それであとは柏野(智典)さんと(自分との)勝負かなと。今回は自力を出してないから、感覚はあんまりわからないですね」
 スタートけん制のあとに誘導を追いかけた三谷竜生は、息が整う前に赤板。苦しい流れで後方に置かれたが、2着に強襲した。
 「再発走してもしょうがないと思って、(誘導を)追いかけた。だいぶキツかったです。前がどうなってるのか見えてなかったけど、自分の行けるところから行った。みんなキツかったと思うし、僕は地脚だから思ったより出ました。調子自体はいいので、あとはしっかりと結果を出していくことですね」

<10R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 地元コンビが出て寺崎浩平と郡司浩平で3番手が併走になる。空いたインを寺崎が進出するも、打鐘の4コーナーから踏んだ太田竜馬が先行策。3番手の寺崎には長島大介が続く。6番手になった郡司が最終2コーナーからまくるが、逃げる太田の掛かりもいい。郡司は不発で佐藤慎太郎が3コーナー過ぎから踏み込む。後続との間合い取って、直線で追い込んだ松浦悠士(写真)が3連勝。
 「太田君の先行に尽きるかなと。うまくサポートできたかなと思うんですけど、ちょっと早めに踏んでしまった。本当に太田君が力で残ってくれた。(2人での優出は)相当うれしかった。1着だけだったらできることかなっていうのはあるけど。あれだけ(太田が)展開をつくってくれたんで、ラインで決めることが大事だなと。それが達成できて良かった。状態はすごくいいです」
 郡司が寺崎とからむと、佐藤が空いたコースを3コーナー過ぎから踏み込む。成田和也は、松浦と太田の間に進路を取って鋭く伸びた。
 「恵まれました。郡司君と佐藤さんの後ろですごいチャンスのある位置だった。それを生かせて良かったです。(最終)バックで郡司君が仕掛けたときにキツくて、なんとか追いかけた。そこからはいけるところをいった感じです。思い切って(突っ込んで)いければ良かったけど、松浦君は余裕がありそうだったんで1回待ちました」
 松浦と息の合った連係で3着に踏ん張った太田竜馬は、全日本選抜に続いてビッグ連続優出。先行策での決勝進出は、自身もうれしい誤算だったようだ。
 「(別線の)様子を見ていいところで(仕掛け)行けたかなと。残るとは思わんかったですね。いいペースで力は出せたけど、まさか残るとは。意外に踏めたし、結果が付いてきてるんで素直にうれしいです」

<11R>

脇本雄太選手
脇本雄太選手
 吉田拓矢が誘導に続いて、新山響平は前との車間を大きく空けた3番手で仕掛けるタイミングをうかがう。脇本雄太(写真)は7番手。詰める勢いで新山がスパートして最終2コーナー手前で出るが、すぐさま脇本が襲い掛かる。スピードの違いに番手の小松崎大地も対応できず、脇本がラインでの独占で勝ち切った。
 「同じナショナルチームだった新山君を意識するなかで、ラインで決まるように考えながらでした。新山君も僕のことを意識していたと思いますし、内に詰まるよりは後ろから勝負しようと思っていたので想定通りだった。正直、行きたいところで体は動いてくれていないんですけど、今節はこれが精いっぱいだと」
 脇本の踏み出しに対応した古性優作は、直線で外に持ち出して追い詰めるも半車身まで。
 「なんすかね。(脇本は)奈良で付けた時とフォームが違って、前みたいな感じで付いていてすごかったですね。強烈でした。(今節は)しんどいんですけど、初日も今日も前の選手の頑張りに助けてもらっている感じです」
 最終3コーナーに突入するとあおりもあった浅井康太だが、近畿勢との連結を外すことなく3着。脇本の3番手流れ込みは、簡単なことではない。
 「今回、近畿勢に付いた理由としては脇本君には初日にもお世話になりましたし、全日本選抜で古性君にも付いている。日本一の先行選手と(グランプリ)王者の後ろに付けられてうれしい気持ちでした。脇本君のスピードに離れないように意識した。ジャンからずっと前に踏んでいく感じで、ずっと踏んでいる状態でした。なんとか付け切れて、内か外か考えたんですけど、外を踏んでみたら全然ダメでしたね」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 単騎の岡崎智哉が深谷知広の抵抗にあいながらも切って出て、そこを町田太我が仕掛ける。町田が主導権を奪い清水裕友(写真)まで出切るが、井上昌己は岡崎にからまれる。5番手の平原康多は、最終バック手前からまくりを打つ。清水は平原をけん制しながら、4コーナーから踏み込む。平原は伸びず、内の神山拓弥、外の深谷知広を退けた清水が1着。
 「(町田が)すごい強かったです。だから、平原さんはこの掛かりで来るのかっていう感じだった。来ないイメージだったんで、ビックリしました。(平原を)ヨコに振って、なんか来られそうな感じだったんで、前に踏んだんですけど。人の後ろなんで、自分の状態はわからないところがある。ラインに助けられてますね。(決勝も含めて)一節間を通して、ずっと自力じゃないのは初めてじゃないですかね」
 けん制で平原が浮くと、神山拓弥は中のコースを探して清水の内を伸びた。
 「平原さんを全面的に信頼してました。平原さんがダメで自分がダメでも後悔はないと思っていた。(あの町田の掛かりのなかで仕掛けてくれた平原を)関東の自力の若い選手も是非、見習ってもらいたい。清水君が出ていく時に一瞬余裕が出たんでしっかりと見てから(あのコースに)入りました。(地元で)決勝に乗れたのはすごくうれしいです」
 8番手の深谷知広は、大外を踏んでゴール前で伸び切り3着に届いた。
 「単騎の岡崎さんの動きが想定外だったので、そこで脚を使ってしまった。(そのあとは)迷いもあって後ろに迷惑を掛けてしまった。自分で進む感覚がなくて、外を我慢してギリギリ届いた感じです。スピード自体は悪くないけど、それをコントロールすることがうまくできてない」

<最終日・9R ガールズケイリンコレクション2022 宇都宮ステージ>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 今年最初のコレクション。昨年のグランプリでは3着に敗れて、グランプリは3連覇でストップした児玉碧衣(写真)は、王座奪還を今年の目標に掲げる。
 「いつも通りしっかりバンク練習ができた。(直前は)一時期暖かかったんですけど、ここに来る直前は寒かった。暖かい時期と比べたらタイムはあまり良くなかったんですけど、今日(前検日)の宇都宮は寒さは感じていないので、暖かいときのタイムと同じくらいのタイムが出たらいいなっていう感じです。500バンクは正直言って苦手ですね。メンバーがすごくいいので、出遅れたら自分の見せ場はなくなるなって思っている。ここから仕掛けようかなっていうのは考えているんで、あとはそこでみんなとかぶらないように行きたいなって感じです(今年の目標は)女王奪還、1つだけです」
 昨年のグランプリを獲った高木真備は、怪我の影響もあり、今年の3場所でまだ優勝がない。
 「(今年は)怪我しちゃったりもあったのがあるんですけど、思うような成績が出せていないっていうのは感じてます。(復帰戦の3月平塚は)練習の感じでは、もうちょっと走れるかなって思ったんですけど。納得いくような感じではなかったです。(平塚を)1走したことで落ち着いてできるかなっていうのもあります」