『令和6年能登半島復興支援・第8回ウィナーズカップ(GII)レポート』 2日目編

配信日:3月22日

 取手競輪場で開催されている令和6年能登半島地震復興支援競輪「第8回ウィナーズカップ(GII)」は、3月22日に2日目が行われた。メインの「毘沙門天賞」では、単騎でもタイトルを奪取している眞杉匠が俊敏な立ち回りで1着。勝負の準決に弾みをつけた。また、二次予選は残念ながら地元勢が全滅したが、同じ関東地区の坂井洋、鈴木庸之、森田優弥が勝ち上がり、シリーズを盛り上げた。シリーズは早くも正念場、3月23日の3日目にはファイナルをかけて準決で熾烈なバトルが繰り広げられる。
 ウィナーズカップ開催中の毎日、「高木真備」トークショー、選手会ブースでのグッズ販売、茨城の特産品が当たる未確定車券抽選会、専門解説者によるレース予想会などが予定されています。また、3月23日の3日目には、いばらき大使「カミナリ」のお笑いライブもあります。取手競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

毘沙門天賞出場選手特別紹介
毘沙門天賞出場選手特別紹介
毘沙門天賞1番車 松浦悠士選手
毘沙門天賞1番車 松浦悠士選手
毘沙門天賞2番車 脇本雄太選手
毘沙門天賞2番車 脇本雄太選手
毘沙門天賞3番車 眞杉匠選手
毘沙門天賞3番車 眞杉匠選手
毘沙門天賞4番車 北井佑季選手
毘沙門天賞4番車 北井佑季選手
毘沙門天賞5番車 清水裕友選手
毘沙門天賞5番車 清水裕友選手
毘沙門天賞6番車 佐々木豪選手
毘沙門天賞6番車 佐々木豪選手
毘沙門天賞7番車 古性優作選手
毘沙門天賞7番車 古性優作選手
毘沙門天賞8番車 犬伏湧也選手
毘沙門天賞8番車 犬伏湧也選手
毘沙門天賞9番車 深谷知広選手
毘沙門天賞9番車 深谷知広選手

毘沙門天賞 レース経過

 やや見合ったスタートから北井佑季が誘導員を追う。北井-深谷知広、清水裕友-松浦悠士、この後ろがインに脇本雄太-古性優作、アウトに眞杉匠で併走。後方が犬伏湧也-佐々木豪で周回を重ねたが、青板手前で脇本が6番手に下げた。
 赤板を過ぎても後方からの動きはなく、北井が誘導員の車間を切って後ろの動きを警戒。すると1センターから犬伏が凄まじいダッシュで前に出る。バックで犬伏が先頭、北井が3番手に入るも、最終ホーム目がけて清水が巻き返す。清水が1センターで犬伏を捕らえ、松浦は口が空きながらも必死に追い掛ける。バックでは佐々木、北井、脇本がまくるも車の出は悪く、2センターで眞杉が最内を突いて3番手を確保。直線では松浦が抜け出しを図るも、中国勢後位を捌いた眞杉が強襲し松浦を捕らえた。松浦が2着、切り替えて伸びた古性が3着。


<6R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 赤板2コーナーで山田諒が押さえた上を、3車のラインの長島大介が出て主導権。山田が引き切る前の打鐘4コーナーで窓場千加頼(写真)が、6番手から仕掛ける。最終1センターで窓場が出切り、近畿勢に続いた北津留翼が2コーナーでさらにまくり上げる。逃げる窓場も懸命に合わせて3コーナーに入る。稲川翔が山田英明を大きく張って後ろはもつれる。直線でも窓場が踏ん張って、九州勢を退けた。
 「車番が悪いんで、無理に位置取りの作戦は考えずに1回動かしてからと思ってました。北津留さんが後ろにいる時点で、自分が6番手であのペースで落ち着いてしまうとっていうのがありました。北津留さんのカマシ、まくりはキツいんで、とにかく先に仕掛けて、あとは稲川さんを信頼してと思ってました。長島さんを叩いた時点でフォームを固めて、極力、風の抵抗を少なくしようと思ってた。調子の波があって、後ろに付いてくれるマーク選手に迷惑を掛けてばかりなんで、もうちょっとしっかりしたい。それでお互いの信頼関係をつくっていければ」
 北津留翼は8番手から反撃のアクションを起こしかけたところで、6番手の窓場が踏み込む。北津留は冷静に窓場ラインを追いかけてからまくったが、伸びはいまひとつだった。
 「(残り)1周の前から態勢が整ったので、どこから行くかでした。(仕掛けるのが)ここだと思って踏んだら、前(窓場)も出ていったんで付き直した。(まくりは)出なかったですね。風の影響もありましたし、稲川さんもいたんで我慢して回っていった。もうちょっと自転車が半車輪くらい前に出てほしい。イマイチかなと思います」

<7R>

鈴木裕選手
鈴木裕選手
 野口裕史の上昇に合わせて踏んだ嘉永泰斗が赤板過ぎに切って、南関勢を受ける。福永大智が2コーナーで仕掛けるが、先行態勢の野口もペースを上げる。福永は4番手で止まり、嘉永との併走で最終周回。逃げる野口の番手で鈴木裕(写真)は車間を空けて態勢を整える。嘉永は2コーナーで外の福永をさばいて、バックからまくりを打つ。が、今度は鈴木裕が3コーナーから踏み込む。嘉永が新田康仁を押し込んで、2センターで荒井崇博が落車。先頭で直線を迎えた鈴木裕がそのまま1着。
 「ジャンでいつもよりハイペースになった。嘉永君は(最終)3コーナーで来たので、あそこで自分が踏まないと新田さんの権利がなくなると思って前に踏ませてもらいました」
 最終2コーナーからまくった山岸佳太が浮くと、鈴木庸之は3コーナー過ぎに内よりに進路を取り、さらにアクシデントを回避。直線で伸びて3位入線も、嘉永の失格で繰り上がった。
 「(最終)2コーナーで内に降りて、コースを見つけてと思っていた。ギリギリでしたけど、コケなくてラッキーでした。新田さんの車輪が壊れているのがわかったので、踏み込んでみてとらえられればって。今回は調整してきたので、初日がピークで上がる感じはしないですけど頑張りたい」

<8R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 小松崎大地、和田真久留、橋本優己の順番で切って出て、前受けの森田優弥は打鐘4コーナーから仕掛ける。最終ホームで橋本を叩いた森田に、坂井洋、河野通孝まで出切る。2コーナーから踏んだ和田は4番手までで、今度は松谷秀幸が追い込む。番手で間合いを取った坂井洋(写真)が、松谷との踏み合いを制した。
 「全部、(森田に)任せていて、隙のない走りをしてくれました。しっかり追走するのが自分の仕事なので、後輪だけを見て付いていった。自分の脚力不足で河野さんにチャンスのない走りになり悔しい。2日間、番手回りで自力を出していない。準決勝に上がれたので、出し切れるように。体調をちょっとでも良くするようにしたい」
 和田マークの松谷秀幸は、和田の動きを見極めて小松崎に合わせて外を踏み込む。坂井を4分の1輪まで詰め寄って2着。
 「(和田は)橋本君とからんで、(最終)3コーナーで降りたと思う。そこを内に行ったので、踏むしかないと思った。感覚は昨日(初日)の方が良かったです。今日は踏んだりやめたりでキツかった。上積みはなさそうだけど、初日くらいの感覚になるようにクールダウンしたい」

<9R>

山田久徳選手
山田久徳選手
 道中は6番手からの組み立てになった新山響平は、赤板2コーナーからダッシュを利かせて叩きに出る。南潤も誘導を降ろして合わせてスピードを上げる。新山の加速に渡部幸訓は車間が空いて追いかけるが、山田久徳(写真)にブロックされて連結を外す。打鐘4コーナーで新山が主導権を握り、番手には南が収まって最終ホームを通過する。山田にさばかれた渡部は、今度はその後ろで山本伸一とからむ。橋本瑠偉は不発になり、まくりに転じた鈴木竜士は4番手付近まで。鈴木を張るように3番手の山田が外に持ち出して、ゴール前で新山をとらえた。
 「新山がすごいダッシュで行ってしまったんで、僕はできることをしようと。(渡部をさばいて)結果、良かっただけで、たまたまです。(最終)バック過ぎくらいに(鈴木が来たのが)わかったけど、南も3着に入れそうだった。あとはどれだけ引きつけられるかだった。僕は余裕もあったんで1着が取れて良かった」
 後ろからの組み立てを強いられた新山響平は、赤板2コーナーの下りを使っての“一撃必殺”。渡部が付け切れず援護を失ったが、2着に逃げ残った。
 「車番が悪かったんで、前は取れないだろうなって。だいたいは後ろからを想定していた。南も山田さんと山本さんがいるんで、積極的に行くだろうと。あとは仕掛けどころさえ間違えなければ、なんとかなるかなと。バックが向かい風なんで、(南は)低速からのダッシュはキツいと思った。僕がカントを使っていけばと。南も本気でダッシュしている感じがなかったので、僕はわりとすんなり出られた。昨日(初日)よりは全然マシだと思う。ただ、もうひと粘りほしいですね」

<10R>

皿屋豊選手
皿屋豊選手
 寺崎浩平、小林泰正の順番で出たところを、藤井侑吾が豪快にカマして打鐘手前で主導権。先頭に立った藤井は、そのままグングンと加速して、3番手の小林、5番手の寺崎はそれぞれ車間が空いて立ち遅れる。最終2コーナーを迎えても、小林は車間が詰まらない。その後ろの武田豊樹は付いていけず、まくりを打った寺崎はかなり前が遠い。直線の入口でも、中部コンビがセーフティーリード。番手の皿屋豊(写真)が余裕をもって交わした。
 「(初手で2つ目が取れて)理想的な形になりましたね。車間を切るだけでいっぱいで藤井君が強かった。小林君なり寺崎君なりが来てもなにもできないよっていう掛かりでした。(最後は)もう誰も来る感じじゃなかった。(藤井は)判断もなにも自分に仕事を与えてくれない感じだったので、番手初心者の自分にとっては安心でした」
 得意パターンのカマシだったにせよ、抜群のインパクトを与えた藤井侑吾は、2度目のビッグ出場で準決にコマを進めた。
 「(周回中は)もう誰がどの位置でも前中団って思っていたので、その通りになってくれました。順番が来たら仕掛けて、あとは皿屋さんにお任せって感じでした。(別線が)いつまくってくるかわからなくて、踏みっぱなしでしたね。もう脚がパンパンでキツかったんですけど、(ラインで)ワンツーだったので。昨日(初日)は出し切れなかったので、それをぶつるける感じだった。積極的にいけて結果がついてきたので、力を出し切れれば戦えるんだなって」

<11R>

伊藤颯馬選手
伊藤颯馬選手
 前受けの晝田宗一郎の突っ張りを警戒するように、伊藤颯馬(写真)が赤板過ぎに勢い良く飛び出す。九州ラインで出切るが、4番手から晝田が2コーナーで巻き返す。打鐘過ぎに晝田が主導権を奪い返し、河端朋之、単騎の坂口晃輔が続くが、伊藤は坂口を弾いて3番手を確保する。後方の松井宏佑は、3コーナーから仕掛ける。佐藤慎太郎が松井に遅れて、最終1コーナーで河端が切り替える。その後ろに割り込んだ佐藤だが、前には追いつけない。4番手で立て直した伊藤が、3コーナーからのまくりで前の2人をのみ込んだ。
 「(周回中に)後ろは嫌だったけど、あの並びになると思った。晝田君に突っ張られる雰囲気もあって、しっかりと切ってでしたけど。晝田君がまた来て、追っかけるだけでした。早く動いたぶん、少し休むところはできましたね。ちょっと余裕がありました。(佐藤)慎太郎さんに入られたところは反省点。離れていたのでキツかったが、(外に)持ち出しました。みんな脚を使っていたので吸い込まれてアタマまできましたね」
 松井に出られた河端朋之は、かぶる前に的確な判断でスイッチ。松井を交わして2着に入った。
 「ジャンで叩きに行くと思っていなかったけど、いい判断でしたね。松井君が来た時に後ろが離れているのが見えて、うまくスイッチをできた。松井君に追いついてからも脚がたまらず、脚的には不安が残る。松井君の踏み直しもすごかったですね。本当に晝田君のおかげ。思い切って風を切っていないので、なんともいえないけど、落ち着いてはいるのかな」

<12R>

眞杉匠選手
眞杉匠選手
 8番手の犬伏湧也は赤板1センター過ぎに仕掛けて、打鐘で先頭に立つ。前受けの北井佑季が3番手に飛び付くが、ペースが落ち着いた2センターで清水裕友が5番手から踏み込む。合わせて抵抗する犬伏を清水がとらえて、松浦悠士は遅れながら続く。北井が外に持ち出すも、佐々木豪も最終バックで切り替える。単騎の眞杉匠(写真)は中国コンビを追えず、佐々木の内を3コーナーから進出。後ろで間合いを取った松浦が追い込むが、その外を眞杉が突き抜けた。
 「(周回中に脇本雄太と5番手が併走になったのは)あの位置がほしかったんで。(前の中国勢が仕掛けたところは)そこで口が空いてしまって、深谷(知広)さんとハウスしながらだった。そのあとはちょっと内に行ってしまった。今日(2日目)はハナを切ったわけじゃないので、(脚の状態は)わからないけど悪くはないです」
 清水の強烈な踏み出しに車間が空いた松浦悠士は、こう振り返る。
 「(清水の仕掛けに遅れたのは)僕が先にスタンディングをやめちゃった。(清水)裕友はスタンディングをしたまま行っちゃったんで、その辺は油断があったのかもしれない。(清水)裕友がめちゃくちゃ強かった。(最終)2コーナーくらいで追いつく感じがあったんですけど、一気に詰めちゃうと後ろを引き出してしまうので、ゴールでって感じだった。ただ、それまでに脚を使ってたんで最後はいかれてしまった。感触は良かったけど、裕友が強すぎて、自分はまだまだかなと」
 8番手の脇本は最終2コーナーからまくるが、あおりもあってスピードが鈍る。2センター過ぎからインに急降下した古性優作が、直線強襲で松浦と微差の勝負に持ち込んだ。
 「感触的にも今日(2日目)は良かったですね。(脇本は初日の)昨日もですけど、すごい出力で踏んでいった。あとはこのメンバーでどこまでいけるかと思っていた。(最終)3、4コーナーで3車併走になった。脇本さんでもこのメンバーだとキツくなるのかなと。コースを見極めて入ったんですけど、今日はおそるおそる入った。感触は良かったんで、(3日目以降も)しっかり走るだけかなと」