『被災地支援競輪第1回ウィナーズカップ(GII)レポート』 初日編

配信日:3月17日
 平成28年熊本地震被災地支援競輪「第1回ウィナーズカップ(GII)」が開幕した。一次予選から激しいレースの連続。メーンの特選3個レースは河端朋之、新田祐大、竹内雄作がそれぞれ勝ち名乗り。18日の2日目は優秀「毘沙門天賞パンサー杯」をメーンに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 2日目の18日も「ニッチェ」爆笑ステージをはじめ、 ティラノサウルス・ウォーキングショー、魅惑の大道芸人「タカシェンカ」ショーなど場内イベントは満載。ぜひ高松競輪場でお楽しみください。
青空のもと力強い敢闘宣言で幕を開ける
青空のもと力強い敢闘宣言で幕を開ける
「高松千春」オンステージ
「高松千春」オンステージ
「ホリ」ものまねステージ
「ホリ」ものまねステージ
「ほたるゲンジ」トークショー
「ほたるゲンジ」トークショー
<1R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 赤板過ぎに神田龍が誘導員を下ろして先頭に立つと、中団外併走を嫌った山田久徳が押さえて前が入れ替わる。一本棒となり打鐘が入ると、7番手から郡司浩平が猛然とスパート。郡司が最終ホーム手前で先頭に立つと別線のまくりは進まず、2センターでは後方の佐藤友和が落車するアクシデントも発生した。直線に入ると、郡司がやや粘りを欠き、追走した渡邉晴智(写真)がきっちり抜け出した。渡邉はいつも通り、前を任せた後輩を労う。
 「郡司君が良いタイミングで仕掛けてくれたし、ホントに強かった。すべて彼のおかげ。強い郡司君を抜けたのだから調子は良いのでしょう。今日は僕が番手を回ったから、この展開になったと思う。山賀君には『たまには後ろを回って3番手の勉強もしてみろ』とアドバイスしました(笑)」
 マークして2着に入った山賀雅仁は「今日は付いていっただけ」と恐縮しきり。
 「3番手回りは数回あるだけ。僕も郡司君のような仕掛けができればいいなって思いました(笑)。勉強になりましたね。加速が抜群だったから、ちょっと口が空きました。後ろを見たときに事故があったからどの辺かなと思ったら、後ろの方だったので大丈夫かと。状態は問題ないと思います」
 郡司浩平は7番手になったものの、早めの巻き返しはさすが。3着も内容あるレースに納得の表情を浮かべる。
 「前回の1レース1番車は展開を見て構えてしまったので、今回はしっかりと仕掛けようと思ってました。打鐘では『まだ早いかな』と思って一瞬見てしまったけど、ペースが上がる前に踏めたので。少し重かったけど、朝イチであったり、バンクコンディションの問題もあると思うから。2日目以降から体の状態は良くなっていくと思います」

<2R>
三宅伸選手
三宅伸選手
 杉森輝大が後ろ攻めから押さえて出ると、打鐘前に野口大誠が叩いて主導権を握る。野口が軽快に逃げていくなか、後方からの反撃に合わせて井上昌己がバックから番手まくりを敢行。最後はその後ろの三宅伸(写真)が差し切った。
 「ちょっと差し過ぎたかな。外を杉森君が伸びてきたけど、昌己も何とか残ってくれたね。でも、番手まくりして俺に差されるようではダメだよね。今日は体調が良かったので。地元(玉野記念)の貯金がまだ残ってるので。こんなに囲まれるのは久しぶりだね」
 井上昌己はゴール寸前でタレたものの、2着に踏み止まる。
 「早めに叩いてくれたし、あそこまで行ってくれたからには絶対にキメないとダメだと。あそこで1回バックを入れたらヤバいと思ったので行かせてもらいました。仕上がりは見てもらった感じですね。前回(伊東)のナイターから(今回朝)早いレースなので、ちょっとボーっとしてます」
 中団の杉森輝大は仕掛けたが、三宅の後ろに付け直して3着を確保した。
 「中団を取って早めに行ったけど、井上さんに番手まくりされたので。あの上を行くのは厳しいですね。仕掛けが難しかった。修正します」

<3R>
海老根恵太選手
海老根恵太選手
 後ろ攻めから上昇した土屋壮登が赤板過ぎに誘導員を下ろしてハナに立つと、吉田敏洋が中団に収まり、根田空史が7番手となって打鐘を迎える。土屋が逃げていくなか、吉田が後方の根田を警戒し、車間を詰める勢いで1センターからスパート。最終バックを吉田が制し、中部ラインで決着かと思われたが、根田に勢いをもらった海老根恵太(写真)が直線で外を突き抜けた。
 「根田君の外は無理だと思って内へ。4着には入りたいなって踏んだら思った以上に伸びました。後ろになってしまったけど、根田君は落ち着いてましたね。バックで内に行きたかったけど、まだ仕掛けてなかったから待ちました。結果的に一緒に勝ち上がれてよかった」
 絶好の展開となった金子貴志であったが、海老根の強襲劇に敗れ悔しがる。
 「3人で決まったと思ったんですけどね。良い位置を取ってくれて。良いところで仕掛けてくれて。見えないところから(海老根が)来たので難しかったですね。今日はちょっと重かったのもありますね」
 3着で勝ち上がりを決めた志智俊夫はホッと胸をなでおろす。
 「きつかったですね。久々のビッグだったけどやっぱり違いますね。勝ち上がれてよかったけど、前回の前に結構追い込んでやったつもりだったけど足りなかった感じですね」

<4R>
山田英明選手
山田英明選手
 打鐘で先頭に立った岩本俊介を最終ホームで片折亮太が叩いて主導権を握る。動いてこの5番手を確保した山田英明(写真)が最終2コーナーから鮮やかにまくって快勝した。
 「せっかく(ライン)3車だし、7番手では意味がないので。しっかり動いて、あとは周りの動きを見てと思ってました。考えていた通りのレースができました。一歩目の踏んだ感触がかなり良くて、自分でもびっくりしました。タイトルを獲ることを頭に入れながら練習しているし、決勝にいきたいですね」
 山田ライン3車で確定板を独占。3番手から小倉竜二を交わした三宅達也が2着に入った。
 「前のおかげです。自分は付いていっただけ。山田君が強かったです。2コーナーで離れかけましたけど、落ち着いていけました。小倉さんを抜けているので悪くないと思います」
 追走一杯の小倉竜二は3着まで。
 「山田君がいいレースをしてくれた。2コーナーの踏み出しで、けっこう脚にきていて、山田君が出切って流したときには一杯だった。余裕がなかったですね」

<5R>
荒井崇博選手
荒井崇博選手
 赤板から後攻めの坂本貴史が上昇を試みるも、中団の荒井崇博に警戒されて隊列はそのまま。坂本は態勢を立て直してカマシ勝負に出たが、前の長島大介が誘導を下ろして打鐘から突っ張り先行となった。坂本はいったん中団に入り立て直し、再度2コーナーからまくって出たが、木暮安由に番手まくりで応戦されて万事休す。その後方から荒井が猛然と迫ったが、木暮がかろうじてしのぎ1着を手にした。
 「作戦は中団か後ろ攻めだったけど、長島君が突っ張って駆けてくれました。彼の頑張りが1番大きい。坂本君は打鐘後の4コーナーでけん制したけど、調子が良いからもう1度踏み上げてきましたね。長島君の頑張りに結果で応えたかったので、前に踏ませてもらいました。体は動いていると思います」
 ゴール前は接戦となったが、志村龍己が2着を死守。初のビッグレース出場で一次予選を突破した。
 「長島さんが駆けたのはびっくりしました。木暮さんの激しい動きを後ろで見られて勉強になる。車間はどうしても空き気味になりますね。このクラスで僕の(自力の)スピードは求められないと思うので、自分に与えられた位置でどのように走れば良いかと考えていきたい」
 荒井崇博(写真)は7番手から勢い良く迫ったが3着まで。
 「(長島が)突っ張るか確認するために上がっていっただけ(笑)。打鐘で踏み遅れたので、そこから最終ホームまでに脚を使ってしまった。その分が最後の伸びに影響したのでしょう」

<6R>
鈴木庸之選手
鈴木庸之選手
 鈴木竜士が中団の山本伸一にフタをしたのち、打鐘で先頭に出て主導権を握る。山本はホームから巻き返していくと、鈴木竜も懸命に合わせて踏み合いに。バックで神山拓弥が外をブロックすると、近畿3人が落車。その外を単騎の鈴木庸之(写真)が力強くまくり、後続を引き離して快勝した。
 「展開がよかったですね。ホームで(山本が)『ずっとフタしておいて』と思ってました。前が止まっている感じだったから、落車がなくても行けたとは思うけど、落車した瞬間、自分も絶対にからんだと思いました。神山君が失格してしまったのは残念だけど、個人的には勝ち上がれてよかった」
 内で落車を避け、筒井敦史が直線で中を伸びて2着に入る。
 「松浦君が頑張ってくれたけど、落車があって思うようにはいかなかったですね。内に閉じ込められたけど、落ち着いてはいました。あそこから松浦君がどうさばいていくか見たかったけどね。落車があったし、2、3着までが精一杯ですね。ただ、状態は良い感じです」
 神山拓弥は3着入線も、押し上げで失格。松浦悠士が繰り上がって確定板入り。
 「落車がなくても持っていきながら踏んでたと思うけど。ただ、デキに自信をもっていないので、できる限りのことはやりますと言ってただけですけど。避けることしか考えてなかったですね。湊(聖二)さんまで勝ち上がれたらよかったんですけど」
 「繰り上がりだけど、勝ち上がれたので」と話すのは、首の皮がつながった鈴木竜士
 「1回先頭に立ってから、もうあのタイミングでは出させないと思ってました。かかりは悪くなかったけど、前半に踏み過ぎたぶん、後半がタレましたね。でも、押さえ先行で勝ち上がれたので、価値はあると思います」

<7R>
中村浩士選手
中村浩士選手
 人気を背負った南関ラインが確定板を独占した。後ろ攻めから早めに上昇した山中秀将が誘導員の後ろに入ると、中団まで下げた中井俊亮の外で箱田優樹がフタをする形で赤板を迎える。箱田が打鐘前に押さえた上を中井がさらに叩いて先行態勢に入るも、残り1周手前から巻き返しを狙った山中が前団を一気に飲み込む。好追走の中村浩士(写真)がゴール寸前で捕らえて白星をつかんだ。
 「山中君の切れ味がすごかったですね。中井君も踏んでいるところで無理やり仕掛けていくんだからやっぱり絶好調ですね。自分は何とか付いて行けて、最後は展開に恵まれて差せました。山中君の頑張りに尽きますね」
 ライン決着に導くまくりを披露した山中秀将ではあったが、反省点を交えてレースを振り返る。
 「中井君のカマシに付いて行って仕掛けられれば100点でしたけど、結果的に7番手に置かれてしまって。レースの流れを考えたら隙を作る形になってしまったし80点くらいですね。調子自体はずっと良いし、自信を持って走れている。やっとレースで自分のイメージに近い走りができるようになってきたと思う」
 山中のまくりを止められず4着となってしまった村上博幸
 「中井君がかかり切る前に来られてしまった感じですね。自分としても持って行きづらい感じになってしまって。でも結果的にスピードが違ったので止めるのは無理でしたね。番手か3番手に飛び付ければ良かったけど、気温が上がってきてセッティングが微妙に違うなって感じでそれも無理でしたね。でも脚の感触的には悪くないのでしっかりと修正したい」

<8R>
稲川翔選手
稲川翔選手
 赤板で飛び出した渡邉雄太に金子哲大が襲いかかる。池田勇人が離れて金子の後位にはまった渡邉だが、ホーム前からすかさず踏み上げる。さらに古性優作もスパート。渡邉をバックでねじ伏せて先頭に立つ。最後は稲川翔(写真)が番手有利に追い込んだ。
 「全部、古性と澤田さんのおかげです。一番しんどくて、行きたくないところで古性君が行ってくれました。あれで出切るんだから強いですね。2コーナーで古性はかなりしんどそうだったけど、4着に残ってくれて良かった。ワンツースリーなら一番良かったんですが、自分だけにならないように気をつけてました」
 大塚玲が南関ラインの3番手回りから2着に突っ込んだ。
 「(渡邉)雄太の頑張りのおかげですね。自分は瞬間的な判断が遅かったです。イナショウ(稲川)の内か外で迷ってしまった。最後は余裕はあったんですが、途中がダメですね」
 直線で力尽きた古性優作は4着で二次予選に進出した。
 「あそこで叩いてラインで決められると思ったんですけどね。判断は悪くなかったけど、しんどかったです」

<9R>
石井秀治選手
石井秀治選手
 4分戦らしい入れ替えの激しい攻防になった。6番手からインを切った河村雅章を打鐘で小笹隼人が押さえると、3番手の外併走になった飯野祐太が最終ホーム前からすかさず叩いて先行態勢に入る。人気の石井秀治(写真)は後方へ置かれたが、飯野が先頭に立った時点では踏み出しており、2コーナーでは前団を一気に飲み込んだ。豪快なまくりで人気に応えた石井は饒舌にレースを振り返る。
 「高松バンクはカマシ、まくりが決まりにくいイメージがあるので攻略方法を考えていた。いつもは飯野君が出切ったことを確認するけど、今日は出切れることを前提に仕掛けた。ある意味では賭けになる(出切れないと飯野ラインが外に浮いて邪魔になる)のだけど。今日は作戦がはまってくれたので、ライン3人で決められたし、最後も踏み直せた。最近は首に違和感があり、鍼や整体でケアをして練習も体と相談しながらになっているけど、8、9割程度には仕上がっていると思う」
 2着は石井マークの岡村潤がしっかりと続いた。前回は完全優勝を果たすなど好調をキープしている。
 「110点を超える競走得点になり、今が選手生活で一番成績が良いですね。最近はトップクラスに混じっても気後れしないで平常心で走れるようになった。特別なことはしていなけど、コツコツと練習をして積み上げてきたつもりだから、簡単に崩れないと思っている。『練習は嘘をつかない』と思っているので。今は南関、特に千葉勢に勢いがあるので僕も乗り遅れないように付いていきたい。その上で静岡の若手も育てられればね」

<10R>
河端朋之選手
河端朋之選手
 松岡貴久が赤板で押さえて誘導の後ろが入れ替わるところを、吉田拓矢が打鐘で叩いて先頭に躍り出た。後続の反撃はなく、吉田はホームからペースを上げて逃げていく。吉田が軽快に逃げるなか、稲垣裕之が1コーナーからスパート。稲垣はスピード良くまくり上げていくと、番手の吉澤純平が懸命にブロック。稲垣も必死にこれを堪えたが、その外を河端朋之(写真)が猛スピードで突き抜け1着をさらった。
 「今日は周りが動いてくれたし、自分の力ではないけどワンツーが決まってよかった。流れと展開が良いですね。状態としては特別良い訳ではないし、前回(大垣記念)と変わらず。ホント今日は展開に助けられました。7、8番手に置かれててしまい、岩津(裕介)さんには申しわけなかったですね」
 岩津裕介が続いて岡山ワンツー。
 「(落車があって)あぶなかったですね。間一髪でした。打鐘過ぎに前が流したから行くかと思ったけど。ホームでも行くかと思ったけどタメていくんだなと。結果良かったし、落ち着いてたね。このバンクの特徴で、外が張れやすいから、みんな中を行くんで危ないところなんだよね」
 吉澤の援護を受け、吉田拓矢が3着に粘り込んだ。
 「相手が強いし、どんどん前に踏んで行こうと思ってました。吉澤さんが落車して残念だったけど、吉澤さんが守ってくれたおかげ。バンクが軽く感じましたね。でも、軽く感じるってことは脚は良いのかと。ただ、軽すぎるイメージなので修正していきます」

<11R>
新田祐大選手
新田祐大選手
 新田祐大(写真)が巧みなレース運びを披露した。後ろ攻めから上昇した三谷竜生が赤板で誘導員を降ろして先頭に立つと、その上を取鳥雄吾が叩く。深谷知広が外に浮いていた金子幸央をどかして打鐘手前に5番手の位置から一気に叩きに行くと、8番手まで下げていた新田がうまく中部勢を追う形で残り1周手前で3番手をキープ。最終バック前からまくり上げると、浅井康太のブロックを乗り越え、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「きつかったですね。深谷君と浅井さんにうまくレースを作られてしまった。仕掛けているのに車が全然出て行かなかったです。思ったレースができなかったので、最終日までには思い通りのレースができるように修正したい」
 新田を懸命に追走した渡邉一成は三谷にからまれながらも2着を確保。福島ワンツーが決まった。
 「4コーナーで新田が合わされかけた時に(車間が)空いてしまって。三谷君にからまれた時には何が何だかわからなくなりそうで、2着キープに気持ちを切り替えました」
 取鳥後位から切り替えて2センターで内へと斬り込みコースを探した山田庸平が3着に食い込んだ。
 「川村(晃司)さんのところでちょっと見てしまって自分の中では判断が少し遅れました。でも走る前も思ったよりも緊張しなかったし普通に走れました。最後まで諦めずに踏もうと決めていたので3着に入れて良かった」

<12R>
竹内雄作選手
竹内雄作選手
 最終レースは竹内雄作を警戒しながら新山響平が打鐘前で一気に踏み込んで主導権を握る。これを追って3番手をキープした竹内雄作(写真)が最終2コーナーから力強くまくって完勝した。
 「先行したかったけど、消極的になってしまったので、反省したいですね。でも、落ち着いてレースはできたと思います。逃げられてないので、状態は分からないですけど、スピードは悪くなかったです」
 原田研太朗が中部コンビを追う形から直線で外を伸びて2着に。
 「前の松岡(篤哉)さんが離れているのか空けているのか分からなくて、難しかったです。平原さんが来たら仕掛けるしかなかった。前に付いて行って、スピードをもらってまくり追い込む形になりました。地元地区なんで勝ち上がれて良かったです」
 珍しく後方の7番手に置かれた平原康多は最終4コーナーで内を突いて3着に食い込んだ。
 「見せ場なく終わってしまった。脚は悪くなかったけど、レースに対応できなかったのは力不足です」
 竹内のまくりに離れながらも懸命に追った松岡篤哉は4着で優秀戦進出を逃した。
 「雄作が強かったです。踏み出しから終始、離れてました。きつかったですね。ちゃんと付いて行ければ決まっていたはずだし、もったいないです。調子はいいと思うので、タイミングでしょう」
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