『第2回ウィナーズカップ(GII)レポート』 2日目編

配信日:3月19日

 松山競輪場を舞台に開催されている「ウィナーズカップ(GII)」は2日目を迎えた。メーンの優秀「毘沙門天賞パンサー杯」は、三谷竜生が勝利。打鐘の4コーナーでカマした平原康多ら関東コンビに続くと、バック手前からまくって激戦を制した。また、二次予選からは村上義弘、新田祐大、原田研太朗らも準決勝に駒を進めた。3日目は、いよいよシリーズのベストナインが決まる。
 本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。開催を通して先着360名様に2車複車券のプレゼントや、3日目はラジオパーソナリティの「井坂彰」と愛媛支部所属の新人選手によるケイリントークショー(1回目は12:40~13:55、2回目は14:50~15:05)、佐々木昭彦氏&名輪会による予想会(1回目は13:37~13:52、2回目は15:25~15:40、3回目は16:05~16:20)などのイベントを予定しております。3日目も「ウィナーズカップ」を、ぜひ松山競輪場でお楽しみください。

長田真友子ライブ
長田真友子ライブ
57期によるトークショー
57期によるトークショー
スピーチーズライブ
スピーチーズライブ
パンサーの「競輪、始めました。」公開収録
パンサーの「競輪、始めました。」公開収録

毘沙門天賞 レース経過

 スタートけん制の後で愛知両者が誘導員を追いかける。深谷知広-吉田敏洋が前受け、以下は三谷竜生、小川真太郎-桑原大志、竹内雄作-浅井康太、平原康多-武田豊樹の順で隊列は落ち着く。
 青板から平原が早くも上昇開始。前団に並びかけると、前受けの深谷はすんなり6番手まで下げる。深谷と併走になった竹内が踏み上げて赤板前に先頭に立つ。合わせて動いた小川が3番手に収まり、5番手の位置を平原と深谷で併走する。外併走の深谷が打鐘で仕掛けるが、竹内の抵抗で前団がもつれたところを平原がすかさずスパート。武田は口が空き、これを追っていた三谷がバック前から力強くまくって快勝した。最終ホームで愛知コンビの後位に切り替えていた浅井が2コーナーから外を踏み上げて2着に入った。後方から懸命に外をまくった小川が3着に食い込んだ。

ゴール
ゴール
表彰式
表彰式

<1R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 後攻めから動いた山下一輝-小川勇介を、金子哲大が押さえると、すかさず元砂勇雪が叩いて先行態勢へ。一度中団で休んで、1コーナーから再度踏み上げてきた松坂洋平をブロックした東口善朋(写真)は粘る元砂を直線できっちりととらえた。
 「ライン2車なのに元砂君があれだけ駆けてくれたからね。僕のブロックは大したことないけど、それぞれがラインの仕事をした上のワンツーだったので嬉しい」
 1周半を踏み切り2着に残った元砂勇雪の表情も明るい。
 「作戦はほぼレースどおり。思ったとおりに先行できたし、松坂さんの仕掛けにも対処できた。もちろん、東口さんがブロックしてくれたからですけど。ゴール前の踏み直しも悪くなかったと思います」

<2R>

坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 初手で前から2番目の位置を取った高橋和也は別線が動いたところを狙いどおりにホームガマシ。続いた坂口晃輔(写真)がゴール前できっちりとらえた。
 「和也さんがカマシが理想って言ってたし、そういう展開になった。あとは踏み出しに集中やと思ってました。出切ったときに流さず全開で行ってくれたんで、後ろで飛びつく人もキツいだろうと思った。2センターでちょっとずつ後ろも見えてたけど、片折(亮太)君を殺しながら、うまく引きつけられましたね。和也さんのおかげです」
 カマした高橋和也は2着に粘った。
 「ホームガマシを狙ってたし、初手で中団が取れたんで展開が向いた。逃げの決まり手を久々につけられました。バックは取れても残れてなかったので、4カ月ぶりぐらいじゃないかな。これをきっかけにまたグレードレースでいい競走ができれば」

<3R>

筒井裕哉選手
筒井裕哉選手
 中井太祐が竹内翼にフタをする形から打鐘で飛び出して、そのまま主導権。番手の筒井裕哉(写真)は巻き返しを狙ってきた竹内をけん制すると、内に切り込んできた小倉竜二の動きにも冷静に対応。最後は8番手からまくり上げてきた杉森輝大も合わせて白星をゲットした。
 「小倉さんが入ってくるのは分かっていたので。外に差し込もうと並びにいったらそのまま出る形になってしまいました。(杉森に)合わせたというよりたまたまタイミングが合っただけですね。でも奈良記念からフレームを換えて道中で脚が溜まるようになった。今までとは感覚が全然違いますね」
 筒井に合わされながらも踏み続けた杉森輝大が2着に入線した。
 「(中井が)ずっと(竹内に)フタをしていたのでモガキ合いになると思っていたので、あとは自分のタイミングかなって。番手発進される形になるとキツいですよね。感じ的にももう少しですね。伸びが足りないです」
 杉森を懸命に追った江連和洋が3着に入った。
 「今日は前に任せていたので。前に続けているし(前に千切れてしまった)前回よりはいいと思う。これで4日目まで走れるので頑張ります」

<4R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 人気に推された木暮安由(写真)が期待に応えた。レースは後ろ攻めから動いた坂本周輝が、先に切った森川大輔を打鐘の3コーナーで押さえて主導権を握る。前受けから下げた木暮は6番手にポジショニング。最終1センターから踏み込んで、前団を一気に抜き去った。
 「ホームで詰まって、小嶋(敬二)さんの内に差して抜くのが大変でした。でも、まくりは(体感で上がり)10秒7くらい出た感じですね。ワンツーが決められてよかったです。(3日目の結果次第で)特別優秀までいけるので、あと2走も頑張りますよ」
 天田裕輝は、佐藤一伸の抵抗を受けて目標の木暮と口が空いてしまう。それでも、懸命に追いかけて2着に入った。
 「木暮さんは落ち着いていたし、構えたので仕掛けるところはわかっていました。でも、(最終)3コーナーが難しかったですね。雨で見えなかったし、佐藤君が思ったよりもってきて離れてしまいました。すんなり付いていったら差せるかなと思ったけど。甘くはなかったです」

<5R>

中村浩士選手
中村浩士選手
 堀内俊介が打鐘で先行態勢に入ると、3番手は藤田勝也と金子幸央で併走。中団に阿部拓真が入り、北津留翼は8番手に置かれた。最終ホームから北津留が巻き返すが、2コーナーで失速すると、そのタイミングで阿部がまくりを放つ。先頭に迫る勢いだったが、堀内が自らブロックすると勢いは止まり、その内を突いた中村浩士(写真)が抜け出した。
 「3番手が併走で難しかった。大きな動きをすると危ないし、ラインは2車なので内をすくわれる可能性もある。展開的にも阿部君にまくりやすい展開になり止められなかった。1着は堀内君が頑張ってくれたからですよ」
 2着の金子幸央は位置取り重視になったレースをこう振り返る。
 「(南関勢の後ろで)勝負すると決めたので引かなかった。すぐに(藤田を)飛ばして仕掛けたかったけど、最終ホームではかなり押し込んできましたね。こういう競走も経験しないと覚えないので。ただ、脚を使い切った感じはしないですね」

<6R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 原田研太朗にフタをした山岸佳太は打鐘過ぎから先頭に立つ。松岡健介をキメて3番手を狙いに行った原田だが、松岡がそこにこだわると見るやホームから山岸を叩いて主導権を握る。番手の渡部哲男(写真)は後続の巻き返しをけん制するとゴール寸前で原田を交わして連勝で準決勝に勝ち上がった。
 「原田君は浮かされるよりもという判断だったと思う。とっさに判断してカマしてくれたんで。かかりもよかったので、バックで山中(秀将)が来てたけど、仕事すれば前で決まるんじゃって感じでした。坂本君は残念だけど、前2人で決められたんで。初日で不安を一掃できたのが大きいですね」
 渡部に差されて2着の原田研太朗だが、打鐘過ぎの判断は光った。
 「空いてたんで入ろうと思ったら(松岡に)返されたんで行った感じ。結果、ワンツーなんでよかったです。山岸さんも1回流したように見えたし、長島(大介)さんに番手まくりされたらキツいんで先に切ってしまえばと思った。キツかったけど、何とか持ってくれた。こういうレースを続けると幅が広がるし、最近はひと開催に1回は逃げてるんで、それでレースにも余裕が出てる」
 ホーム8番手からまくった山中と長島が2センターでからんで外に膨らむと、その内を踏んだ海老根恵太が3着に入った。
 「前まで遠かった。やっぱハラケン(原田)は強いなと思いました。山中が前から消えたんで、僕はまっすぐ踏んだだけ。もうちょっとピッタリ付いて行ければよかったけど、口が空いたんで。でも恵まれましたね」

<7R>

新山響平選手
新山響平選手
 後ろ攻めを選択した脇本雄太が4番手から合わせて上昇を狙った新山響平を叩いて打鐘で主導権を奪う。8番手まで車を下げた岩本俊介が最終ホームから一気のスパート。大きく車間を空けてけん制する稲川翔と逃げる脇本を乗り越えたが、成清貴之が離れてしまう。5番手の新山響平(写真)は2コーナーから岩本を目がけて仕掛けると直線で岩本を抜き去った。
 「重注を増やせないので(重注が)つかないところから仕掛けようと思っていました。でも意外にもいい位置が取れたし、作戦のひとつにもあったので落ち着いて走れました。脇本さんも岩本さんも強くて意表を突かれる感じになってしまったけど、上手く切り替えられてよかった。アップの時は初日より重く感じたけど、レースでは普通に走れました。今のデキを考えて勝ち上がりで1着を取れるとは思っていなかったし自信になりますね」
 抜群のスピードで脇本ラインを飲み込んだ岩本俊介だが、後方に置かれた組み立てを反省する。
 「新山君の動きには合わせられなかったけど、せめて横山君のところで粘らないと。結局8番手になってしまいました。そのあとはしっかりとタイミングを取っていけたからよかったですけど、後ろに迷惑を掛けてしまいました」
 バック8番手から仕掛けた横山尚則が粘る脇本をゴール寸前でとらえて3着に。
 「赤板のところで脇本さんが遅かったので新山君よりも先に自分で切るべきでした。連日、組み立てが甘いですね。でも反省しながらですけど、勝ち上がれているのは大きいのでしっかり修正して頑張りたい」

<8R>

村上義弘選手
村上義弘選手
 中団の吉田拓矢が赤板ホームで動くと、その上を真船圭一郎が打鐘前から叩いて前に出る。真船が一度ペースを落とすと、そこを2センターから稲毛健太がカマして先頭に。番手の村上義弘(写真)が車間を切って別線の反撃に備えると、吉田拓矢の巻き返しに合わせて直線抜け出した。
 「2コーナーからバックで後ろがモツれそうな雰囲気があったんで。健太が一生懸命前に踏んでくれたので、しっかり残したいなと思ったんですけど難しかった。吉田も伸びて来てたし、最後は何とか踏ん張れてよかったです」
 ホームで口が空いた8番手になった吉田拓矢だったが、詰めた勢いでバックから外に持ち出すと2着に迫った。
 「キツかった。1回動いて出てから考えようと思った。稲毛さんもすぐ行くと思ったし、落ち着いて。落ち着きすぎて、ホームで空いた。そこが反省点ですね。もう少しすんなり付いてれば芦澤(辰弘)さんも。反省点はあるけど、脚の状態としてはいいかなと思う」
 バックで小松崎大地、伊藤信の落車を避けた井上昌己は3コーナーから吉田に続く形で3着に。
 「ラッキーでしたね。でも要所、要所で全部遅れてるからもうちょっと気持ちを入れて走らないと。最初は北の後ろで遅れて、どうしようと思ったら打鐘が鳴ってて…。でも伸びはよかった。欲を言えばアタマまでいければね」

<9R>

香川雄介選手
香川雄介選手
 中団の近藤隆司は後ろ攻めの太田竜馬をにらみながら先に踏み込むと、打鐘前からハイペースで駆ける。太田も力ずくで仕掛けてホームで近藤を飲み込むと、この動きに香川雄介(写真)もピタリと追走。最後は後続の巻き返しに合わせて鋭く抜け出した。
 「太田君とは特に作戦などは立ててないよ。彼のタイミングもあるしね。よく頑張ってくれたけど、強引に出たからかいつものスピードではなかったし、最後は残せるような感じではなかった」
 単騎の中川誠一郎は口が空いた9番手で最終バックを通過。それでも2センターから加速すると、大外を鋭く伸びて2着に強襲した。
 「道中は太田君の動き出しが遅いと思って内を追い上げたり(坂本)亮馬と併走になって下げたりとムダ脚ばかり使った。組み立て的には全然ダメなんだけど、8Rで(井上)昌己が外を届いていたので諦めずに踏みました」
 近藤の番手から香川後位へ切り替えた和田健太郎が3着。競輪祭、全日本選抜に続きビッグレースの準決勝に進出した。
 「近藤君は早めからペースを上げるのが持ち味だけど、『ちょっと踏み過ぎじゃない』って感じで。1コーナーでは入れてもまだ大丈夫と思い車間を空けていたけど、2コーナーではもう無理だったから。後ろも僕が踏んだり止めたりしたので付きにくかったと思う。ラインの人に助けられての結果です」

<10R>

橋本強選手
橋本強選手
 池田勇人、清水裕友、柴崎淳の順で動くと、前受けから下げた渡邉一成が打鐘からカマして主導権を握る。ホームからすかさず巻き返した清水がバックで渡邉を飲み込むと、続いた橋本強(写真)がゴール前で逆転した。
 「清水君がここで行けば決まるってところで仕掛けてくれた。さすがですね。あそこすかさず行けるのは普段先行で戦ってる証拠。(6Rで原田)研太朗と(渡部)哲男さんがワンツーを決めたので、僕も続きたいって気持ちが強かった。初日、ワッキー(脇本雄太)に引きずられて脚が上がった。2日目は感触がよかったです」
 渡邉が出切るとホームから間髪入れずに仕掛けた清水裕友の動きもよかった。
 「よかったですね。渡邉さんも前に出て流してたんで、バックまでに出れたらチャンスだと。思い切って行けました。末も甘いし、出て一杯でしたね。初日がちょっと不甲斐なかった。よくなかったんで、平常心で頑張りました。準決勝もまた頑張ります」
 3着は高原仁志と渡邉晴智で同着。渡邉の飛びつきをしのいだ高原が初日の着で上回り準決勝進出を決めた。
 「様子を見ながらでフワフワ感があったけど、3コーナーで前もって踏んでおいたのがよかった。最後は何とかなったかなと思ったけど、だいたいあのシーンは負けるパターン。これでたぶん(準決勝に)乗れると思うんで、たぶん頑張ります(笑)」

<11R>

新田祐大選手
新田祐大選手
 人気を背負ったS班の新田祐大(写真)が自慢のスピードを発揮して別線を圧倒。単騎のカマシとなった取鳥雄吾を8番手まくりで仕留めて、同県の佐藤慎太郎とワンツーを決めた。
 「仕掛けて来る感じはしたのであとは自分がどのタイミングで仕掛けるかだけでした。取鳥君を目標というか目掛ける感じで上手くスピードに乗せることができた。田中(晴基)さんが一度張った後にもう一度きたのでびっくりしましたけど。2人で勝ち上がれてよかったです」
 新田の仕掛けに必死に食らいついた佐藤慎太郎はホッと胸をなでおろす。
 「いやー嬉しいね。初めてではないけど最近付け切れていなかったから。マーク屋としてついていくのは最低限ですけど、新田はなかなかついていくのが難しい選手なので。一歩前に進んだ気がします」
 3着には新田にまくられながらも粘り込んだ取鳥雄吾が入線した。
 「取れた位置からって作戦でしたけどまさか(前受け)って思いました。打鐘で失敗したかと思ったけど、その後すぐに仕掛けられたのでよかった。最後は一杯でした」

<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 優秀の「毘沙門天賞パンサー杯」を制したのは単騎の三谷竜生。竹内雄作、深谷知広の踏み合いを最終ホームから平原康多がまくると、このラインに乗ってバックまくりでシリーズ連勝を飾った。
 「並び的に平原さんラインの後ろになったので、そこからと思ってました。(最終ホーム9番手は)流れの中でそうなって、でもそこは反省するところ。落ち着いては走れましたけど、難しいところですね。踏み込んだ感触はよかった。1着も取れてるし、初日よりよかったと思う」
 ホームで竹内が叩かれると、スイッチして2コーナーから自力に転じた浅井康太(写真)が2着に食い込んだ。
 「みんないいレースしてましたね。ホームでは絶体絶命かなと思ったけど、そこから吉田(敏洋)さんを乗り越えて前に踏んで2着なので。もう少し踏み応えが欲しいかなって感じだけど、最後までしっかり踏み切れたかな」
 浅井のまくりに合わされた小川真太郎だったが、粘り強く前に踏んで3着に。
 「外併走がしんどかったです。でも持ち味は出ました。(各ラインの動きに)スイッチして、もう少し早く動きたかったけど、脚は悪くない」
 平原マークの武田豊樹は三谷らに次々とまくられ4着に敗れた。
 「すごいスピードで余裕がなくなった。平原も必死でバックを取るまくりだったし、ホームは僕も苦しかった。ちょっと反省ですね。修正して、また準決勝」
 目まぐるしく動いたレースで最終バックを取った平原康多は「行くべきところで行けたので悪くない。まくられたのは今の力です」と出し切ったレースを振り返った。