『第3回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

配信日:3月24日

 大垣競輪場を舞台に開催された「第3回ウィナーズカップ(GII)」は、3月24日に最終日が行われた。20代が半数以上を占めた決勝では、今シリーズの初日に30歳になったばかりの脇本雄太が力の違いを見せてまくりV。優勝賞金2130万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンコレクション2019大垣ステージ(FII)」は、脇本と同じくナショナルチームでの活動で久々の実戦となった小林優香がまくりで制した。

決勝競走 特別選手紹介
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ガールズケイリンコレクション2019大垣ステージ 特別選手紹介
ガールズケイリンコレクション2019大垣ステージ
特別選手紹介
岩瀬仁紀氏&山本昌氏 レジェンドピッチャートークショー
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岐阜 濃know姫隊ライブステージ
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ウィナーズカップ決勝戦 レース経過

 佐藤慎太郎がスタートを取り、目標の山崎賢人を迎え入れる。初手の並びは山崎-佐藤、太田竜馬-松浦悠士、脇本雄太-浅井康太、渡邉雄太-郡司浩平-中村浩士の順で落ち着き、周回を重ねる。
 青板の2センターから渡邉がゆっくり上昇。この動きに合わせて太田が3番手から動いて先に切る。そのうえを渡邉が叩いて先行態勢を取るが、6番手となった山崎が打鐘の3コーナーから反撃。ホームで渡邉を叩いて逃げる。このラインを追いかけた脇本は2コーナーからまくる。瞬く間に前の2人を抜き去り、続いた浅井と一騎打ちの態勢。浅井の追撃を振り切った脇本が通算3度目のビッグ制覇を果たした。懸命に続いた浅井が2着に入り、渡邉マークから2コーナーで自力に転じた郡司が3着に食い込んだ。

ガールズケイリンコレクション2019 大垣ステージ レース経過

 号砲で外枠から梶田舞が飛び出して正攻法に構える。以下は石井寛子、山原さくら、児玉碧衣、小林優香、石井貴子、梅川風子の順で周回を重ねる。
 青板の3コーナーから梅川がゆっくり上昇を始め、3番手の山原の外でしばらく止まる。打鐘で2番手から石井寛が踏み込んで前に出ると、そこを梅川が叩いて最終ホーム前から逃げる。児玉も後方からほぼ同時にスパート。2コーナー過ぎに梅川を抜き去ると、石井寛がこれにスイッチして追いかける。さらにその外をまくり上げた小林が4コーナーで児玉をとらえて優勝を飾った。2着に児玉、石井が3着に入った。

<1R>

中西大選手
中西大選手
 同型の伊早坂駿一を警戒しながら中西大が、打鐘で主導権を握って近畿3車が出切る。4番手に五十嵐力が入り、巻き返した伊早坂は中団で早々に力尽きる。最終2コーナーから坂上樹大がまくると村田雅一がブロック。空いた内をすかさず突いた三谷将太が、逃げる中西をとらえた。
 「風もキツかったし、そんなに余裕があったわけじゃないです」
 レースを支配した中西大(写真)が2着。初ビッグの今シリーズは、4日間すべて主導権を握った。
 「(フレームを換えた)3日目の時点で初日、2日目よりも良かった。それからハンドルとかを微調整して、最終日の方がさらにいいですね。4日間、(最終)ホーム、バックを取らせてもらったけど。先行させてもらっているっていう感じです。自分の力がどれだけかっていうのもわかったし、改善するところもたくさんある」

<2R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 堀内昇が打鐘で金子哲大を押さえて風を切る。しかし、7番手の近藤隆司(写真)が、最終ホームの手前から反撃を開始。一気に前団を飲み込むと、後続を9車身千切って圧勝した。
 「関東(別線となった堀内と金子哲大)がやり合うことはないと思ったし、1周は踏むと決めていました。バックの風はすごいけど、ホームは追い風で。その勢いに乗って行けましたね。勝てたことは嬉しいけど、脇本(雄太)君の強さを見ていて、このままじゃいけないと思っています。ここから先のレベルは全く違うところにある。フォームやフレームなど、今後も試行錯誤していきたい」
 金子哲大は近藤を目掛けて仕掛けるが、車が進まない。その後ろから、木暮安由が外のコースを踏んで2着。レース後はシリーズを振り返り、今後の課題を口にした。
 「初日に歯車が狂ってしまいましたね。でも、(4日間すべて番手回りで)前で頑張ってくれる後輩がいますから。そういう位置(後方に置かれた場合)になった時にどうやっていくか。そこを努力していくしかないですね」

<3R>

内藤秀久選手
内藤秀久選手
 小原唯志が打鐘で出ると、巻き返してきた阿部拓真を突っ張って踏み合いに。中団を確保した田中晴基は、最終1センターから踏み込んで別線を一蹴。最後は続いた内藤秀久(写真)が差し切った。
 「スタートで誘導を追って、脚が削られてしまって。ジャン前からキツかったですね。(田中のまくりに)ギリギリ付いていった感じです。最後に差せたのはまぐれです。次のGレースはダービー。(2日目に)落車したけど体は悪くないので、もっと上を目指せれば」
 2着の田中晴基は、冷静な組み立てで南関ワンツーを決めた。
 「どのラインも先行しそうですけど、佐伯(辰哉)君が1番行くかなと。そこの後ろからと思っていました。小原さんは、イン切りと思ったら突っ張りましたね。佐藤(友和)さんに(3番手に)降りられたけど、そこはそれでよかった。そこからは、被る前にと思って仕掛けました」

<4R>

志村太賀選手
志村太賀選手
 赤板の2コーナー過ぎに先頭に立った島川将貴がペースを緩めると、内を盛り返した坂本貴史が粘り原田研太朗と併走。前団の隊列が凝縮されて、天田裕輝がカマす。天田、志村太賀(写真)で3番手以下を千切る。車間を詰めてまくった島川を阻んだ志村が、追い込んで1着。
 「もうアマちゃん(天田)のおかげ。絶好のタイミングで行ってくれたし、これ以上ないって感じでした。あれで(天田が)残ればいいんですけど…。島川は振れば止まると思ったけど、真後ろに(坂本)貴史がいるのもわかってた。ギリギリ(踏んで1着)ですね」
 「あそこでバックを踏んでも仕方ない。粘りたくはなかったんですけど」とは、やむを得ず徳島分断策に出た坂本貴史。島川後位を取り切って2着に伸びた。
 「(番手で粘って)そのあと島川も流してたんで、(天田に)行かれちゃうなって思った。自分もあれで引いてたら勝負権がないですから。これが終ったら地元(八戸)に帰るんで、学校に入る弟もいるし練習します」

<5R>

松尾信太郎選手
松尾信太郎選手
 仕掛ける順番が回ってきた佐々木豪が、打鐘の2センターで松坂洋平を叩いて最終主導権。そのまま力強く駆けると、別線はお手上げ。絶好の展開となった松尾信太郎(写真)が、ゴール前で交わした。
 「(佐々木が)最高のタイミングで行ってくれた。2日目に、まっちゃん(松川高大)の後ろで初めて(ビッグの)確定板に入って、今回で初勝利ですね。あれだけ行ってくれたから、出切った後は差せるかもと思った。落ち着いていたし、自信になりましたね。次の小倉GIIIに良い感じで臨める」
 佐々木豪は、持ち前のパワーを発揮して別線を完封した。
 「風がめっちゃ強かったです。発表されている風速より、体感ではもっと感じましたね。踏んだ距離が長くてキツかったです」

<6R>

中本匠栄選手
中本匠栄選手
 赤板過ぎに出た南潤が、別線を警戒しながら先行勝負に出る。吉澤純平は、打鐘の2センターから踏み込んで南をまくり切る。が、武田豊樹が離れて援護を失う。中団を確保した中本匠栄(写真)はバックで東口善朋を掬うと、直線で吉澤と番手にハマった南の間を踏んで1着。
 「(4番手から)まくれたらよかったんですけど。最後も、もっと上手い人なら勢いを殺さないで追い込んでいると思います。力勝負で勝てればいいんですけど、(位置を取るとか)そういうことしかできないので。僕らしいところは見せられたけど、そこ(脚力を付けること)は課題でもありますね」
 吉澤純平は孤軍奮闘したが、中本に屈して2着。
 「南君が流したので。叩いた方がいいと思ったし、行けそうだったので仕掛けました。途中で後ろがいないことはわかりました。最後はギリギリ押し切れなかったですね。でも、気持ちを出して走れたのでよかった」

<7R>

不破将登選手
不破将登選手
 赤板1コーナーで上昇した地元コンビに、松岡貴久が割り込む。先行態勢を取った不破将登(写真)に松岡貴、北村信明で出切る。松岡篤哉が追い上げるが、その上を吉田拓矢が仕掛ける。鈴木謙太郎が連結を外して、主導権を奪った吉田を不破が追いかける。ジワジワと吉田との車間を詰めた不破が、横一線のゴール勝負を制して1着。
 「3日目の失敗も含めて長い距離でも、誰も出させないつもりだった。叩きに行った時、(松岡篤と)呼吸が合ってなかった。運良く番手に入れたけど、なかなか詰まらなかった。最後は気持ちだけでした」
 打鐘から巻き返した吉田拓矢が、ダッシュ良く主導権を奪い、ラインの援護を失うも2着に踏ん張った。
 「(鈴木がいないのは)うっすらわかりました。僕のなかでは(仕掛けは)悪くなかったけど、もうちょっとうまく流れてくれれば。バンクコンディション的に休めるところがなくて苦しかった」

<8R>

福田知也選手
福田知也選手
 鈴木竜士、三谷竜生の順で動く。前受けから下げた簗田一輝はインを突いてハナに立つと、踏み込んだ鈴木を受けて3番手を確保。最終2コーナーから踏み上げて前団をまくり切る。簗田マークの福田知也(写真)が差し切って、連勝を果たした。
 「連日、前が強い。(簗田は)内をしゃくって前までいく形から先まくりだからね。このメンバーでもポテンシャルがある。簗田のまくりは、なかなか後ろを抜かせないけど、抜けているし、良いね。このメンバーでの1勝は大きい。次の地元(川崎)記念につながる」
 簗田一輝は俊敏な動きを見せて連対を果たした。
 「まくり切って、ワンツーが決まったので良かった。初日、2日目と調整に失敗してしまった感じだったけど、3日目から踏めていましたね。組み立ては良かったし、あとは脚。福田さんに差されないように脚を付けたい」

<9R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 「ガールズケイリンコレクション2019大垣ステージ」は、小林優香が力でねじ伏せて制覇。最終2コーナーから大外を踏み上げると、スピードに乗って一気に前団へ。抵抗する児玉碧衣を直線半ばでとらえてV。「(ガールズケイリンを走る)数少ない機会なので、結果を出したかった」。約8カ月ぶりのガールズケイリンで、世界レベルの脚力を見せ付けた。
 「緊張していたけど、(同じくナショナルチームで練習している)脇本(雄太)さんの走りを見て勝ちたいと思いました。(児玉)碧衣にだけに頼らないで、自分で動けたのがよかったですね。風がキツいところで仕掛けたんですけど、乗り越えられたら伸びると思ったし、自信をもっていけました。今後の競技の予定は、5月にロシアの大会に出ます。(東京五輪に向けて)ケイリンだけじゃなく、スプリントでもポイントを取りたい。ガールズケイリンは、4月の(伊東GIIIで行われる)インターナショナルレースに出ます。そこでロリーヌ(ファンリーセン)とかと走るので負けないように」
 児玉碧衣(写真)は、小林に敗れて2着。「全然ダメでした」と肩を落とした。
 「とにかく風が強くて。バックが向かい風だったので、タレないように踏んだら、最後に踏み直す力が残っていなかったです。もうちょっと接戦だったらよかったけどダメですね。でも、(小林)優香さん以外のメンバーには先着できたし、そこはプラスにとらえて。悔しいけど出し切れたし、課題も見つかった。この経験が今後に生きてくると思う」
 児玉の仕掛けを追いかけた石井寛子だったが、流れ込みの3着までが精いっぱい。
 「組み立てはイメージ通りで、流れは作れましたね。でも、飛び付いたし、休めるところがなくていっぱいでした。小林さんに上を行かれたら勝ちめがないから、合わせて踏もうと思っていたけど。体調が万全ではなくて、いつもの状態ならいけていたかも」

<10R>

中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 赤板の2コーナーから松川高大が襲い掛かるが、新山響平が合わせて突っ張り主導権をキープする。最終ホームで中川誠一郎(写真)は、5番手に降りて態勢を立て直す。稲毛健太のまくりは不発。その外をまくり追い込んだ中川が前団をのみ込んだ。
 「(松川は)出切れると思ったんですけど、新山のダッシュが良かった。ちょっと(齋藤)登志信さんのところが空いてたんで迷ったんですけど、あそこに降りられれば。半車くらいは空いてたんで、ああいうところができるようにならないと。あとは稲毛が早めに来たんで見送ってからでした」
 新山の逃げを利した菅田壱道が追い込んで2着。
 「(新山)響平の(先行に対する)気持ちが強かった。松川も(中川)誠一郎さんが付いてヤル気あるだろうし。あとはそこを稲毛がどうするかだと。稲毛まではなんとかできたけど、誠一郎さんは(止めるのが)無理だった」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 赤板の2コーナーで出た川口聖二がペースに入れると、8番手の清水裕友は打鐘の2センターから一気の巻き返し。最終バックの手前で川口をとらえる。しかし、清水を目掛けて踏んだ平原康多(写真)が、その上を襲い掛かる。平原は、抵抗する清水を直線半ばでまくり切って白星締め。
 「ワンツーが決まったのがなによりですね。清水の上を行けたけど、必死こいて行きました。最終日に自力で走れて結果を出せたし、気持ちがよかったですね。自分で走れば悔いもない。こういう走りを後輩に見せていきたい」
 平原マークの長島大介が2着に入った。
 「平原さんに勉強させて貰いました。自分だったら、ホームでバックを踏んだところから立ち上げるのはなかなか難しい。付いてはいけますけど。平原さんの後ろを回るのは初めてだったけど、ああいう脚とレースを後ろから見たかった。(平原は)やっぱり強いですね」

<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 8番手に車を引いた脇本雄太は、打鐘の4コーナーからスパート。先に仕掛けた山崎賢人を最終2コーナーでとらえると、3番手以下を突き放してゴールを目指す。最後は浅井康太の追撃も振り切って、優勝を飾った。
 「4日間で、1番展開が向いたと思います。(山崎の仕掛けが)自分と同じタイミングだったので、運が良いなと思いました。(優勝して)ホッとしたのが8割です。人気になっているのもわかっていたし、それに応えないと。うまくいって良かったです。(今後は)ダービーが終わるまで、国内で仕上げて。それから5月の終わりから大会が始まる。S級S班ですし、今年もグランプリに出たい意識はあります。数少ない(出走回数の)中で頑張っていきたい」
 浅井康太(写真)は脇本を交わせず2着。しかしながら、脇本の驚異的なスピードに付け切った。
 「前を取らなかった時点で、ワッキー(脇本雄太)には楽な展開でしたね。(差せなかったのは)残念ですけど、まずは付いていくことだったし。まくりに付け切れたのはよかったです。(脇本と)同レベルだと、深谷(知広)、新田(祐大)ですし。もうちょっと脚力を強化して、抜くことをやれたら。あとは自転車のセッティングを出して、武雄記念、高知記念で試して、ダービーへ」
 郡司浩平は最終2コーナーから自力に転じたが、前と4車身差が空いての3着。
 「(渡邉)雄太も良いペースで道中は行ってくれているけど、(山崎の)踏み出しのスピードが違った。(渡邉)雄太も追い付くのはキツいし、申し訳ないけど自分で行かないと1、2着は目指せないなと。結局、前が掛かっていたので、追いつかなかったですね」
 山崎賢人は脇本に力勝負を挑んだが、まくられて敗戦。
 「前(南関勢)が駆けなければ、行くと決めていました。脇本さん待ちよりも、力勝負をしようと。残り1周で仕掛けて、あんなに早く(脇本に上を)行かれるとは。振ったけど、止まらないですよね。力不足を感じました」
 太田竜馬は、後方に置かれて見せ場をメイクできず。
 「先に切って、脇本さんを後ろに置いて。前(南関勢)が駆ける展開と思ったんですけど。思い通りにいかないですね。脇本さんは強すぎます。(クラスは)S級の上がある感じ。ステージが違う」

次回のグレードレースは、3月29日~31日まで小倉競輪場において、「第1回小倉濱田翁カップ」(GIII)が開催されます。
九州のエース中川誠一郎を筆頭に、好調の園田匠や唯一のS班・村上博幸等が白昼のドームで白熱した戦いをどう魅せるか、期待です。
ガールズも同時開催され、主役はもちろん児玉碧衣も、小倉で練習している山原さくらは怖い存在かもしれません。
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