『第36回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

配信日:2月23日

 川崎競輪場で開催された第36回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月23日に最終日を迎えた。S級S班の6人をはじめ、好メンバーで争われた決勝で主導権を握ったのは、今年静岡に移籍した深谷知広。番手まくりで平原康多を合わせた郡司浩平が、昨年の競輪祭に続いて2度目のGI制覇。ホームバンクの川崎で優勝をつかんで、賞金3000万円(副賞含む)と年末に静岡で行われる「KEIRINグランプリ2021(GP)」の出場権を一番乗りで獲得した。

決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介

決勝戦 レース経過

 松浦悠士、平原康多のスタートが早く周回は前団に平原-諸橋愛、中団に清水裕友-松浦-園田匠が入ると、深谷知広-郡司浩平-和田健太郎の南関勢は後ろ攻め。単騎の守澤太志は南関勢の後ろでレースを進める。
 中団の清水が車間を空けて波を作るが、赤板前から迷いなく踏み上げた深谷が1コーナーで先頭に立つ。前受けの平原が5番手、清水は7番手で残り1周半の鐘が入る。深谷は打鐘過ぎから徐々にペースを上げる。一本棒の隊列から最終ホームで清水が反撃を開始すると、合わせるように平原も2コーナーから巻き返し、バックからは郡司が番手まくりに出る。3コーナーからは平原と郡司で踏み合いになるが、4コーナーで郡司と接触した平原が車体故障で後退。郡司、和田の順でゴール線を通過する。審議対象となった郡司だったが結果はセーフで地元、川崎で55年ぶりに開催されたGIを制覇。3着には終始、南関勢を追っていた守澤が続いた。






<7R>

渡邉一成選手
渡邉一成選手
 前受けから8番手に下げた渡邉一成(写真)は、打鐘過ぎ2センターから一気のカマシ先行。番手を回った成田和也の好ガードにも助けられて、押し切りでシリーズ2勝目を挙げた。
 「今日(最終日)はレースの通り、誰が先頭に立っていても行けるタイミングから行こうと思っていました。出切れないと意味がないので、ほぼほぼ全開でいきました。バックで中本(匠栄)君がすごい勢いで来ていたので、自分じゃなく成田さんがすごかった」
 渡邉のカマシに続いた成田和也は最終バックまくりの中本をブロックすると、内に切り込んできた鈴木裕の動きにもしっかりと対応。逆転こそならなかったが、番手で大立ち回りを演じた。
 「ホームは本当にギリギリ付いて行けた感じなので(渡邉)一成が強かった。いいレースをしてくれましたね。中本君が来ていたので止めないとって思ったら、内に入られたので必死でしたね。キツかったです」

<8R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 中団の外併走で根田空史が仕掛けるタイミングを計っていると、包まれていた松本貴治(写真)は赤板の2コーナーでインを進出。同時に根田が外を踏む。根田が主導権を握って松谷秀幸が続くが、松坂洋平は連結を外す。北日本勢をすくった松本が3番手に入る。最終1コーナーで松坂にすくわれた松本だったが、キメて直線勝負。松谷との踏み合いを制した松本が1着。
 「根田さんが止まらずに出てくれたら、すかさず行こうと思ってた。でも、あそこまで引っ張られたら、もう出させてくれないだろうと。それで内が空いてたんで。そのあとは(松坂にすくわれて)焦りましたけど、僕の方が出てたんでなんとかなりました。まくり追い込みで1着にいけたんで良かった」
 逃げた根田の番手から差し脚を伸ばした松谷秀幸が2着。
 「(根田が)すごい落ち着いていたんで安心してました。2日目に松井(宏佑)にピタリと付いて失敗したんで、車間を空けてました。(今シリーズは)地元ってこともあって、いつも以上に意識して緊張しすぎた感じがある」

<9R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 赤板過ぎに押さえた長島大介が、打鐘過ぎからピッチを上げて主導権取り。後方まで下げた寺崎浩平が最終ホーム手前から巻き返しを狙ったが、長島をリードしていた鈴木庸之が最終3コーナーで好ブロック。返す刀で抜け出しを狙ったが、内をすくって宿口陽一を飛ばした山崎芳仁(写真)が直線で鋭く伸びた。
 「今日(最終日)は寺崎君に前を取らせて、自分が後ろか関東が後ろって考えていました。寺崎君が仕掛けてきて(最終)1コーナーでもうかぶってしまったので早めにまくりは無理だと判断した。ああなったらあとは内しかないので、浅井(康太)に降りられないように気をつけて。1回バックを踏みましたけど、もう1回待ったら空いたので踏みました」
 ゴール寸前でシリーズ初勝利を逃した鈴木庸之は、悔しがることしきり。
 「長島があんなに行くとは思っていなかった。寺崎君がなかなか来なかったから長島を残せるかなって思っていたんですけど。止められると思って3コーナーでもっていった。甘さと言うか優しさと言うか失敗しましたね。あのまま踏んでいれば、宿口君と決まったと思うので申し訳ないですね」

<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 赤板の1センター過ぎに黒沢征治が、押さえて先頭に立つ。近畿コンビが続いて、5番手に単騎の小川真太郎。高橋晋也が6番手になり、山崎賢人は後方に置かれる。後続を一本棒にして、黒沢がそのままペースを上げる。空けた車間を詰める勢いで小川がまくると、吉田拓矢(写真)は最終バック過ぎに番手まくりを打つ。合わせ切った吉田が押し切った。
 「黒沢さんが全部一人でやってくれた。もうあそこまで行ってくれたんで、1着は絶対に取らないとっていうのがありました。もっと(番手の)勉強してかないとっていうのもあります。自分が先頭で走る時に、この経験がプラスになる。(シリーズを通しては)セッティングとかを変えたりして、徐々に良くなっていった」
 「今日は付いてただけでした」と、吉田後位から2着に入った稲川翔
 「仕掛けたかったけど、仕掛けられなかった。もっとタテ脚があれば仕掛けられたと思う。吉田君もいつも踏み込める態勢だったし、もっと自分の脚力があれば…。先頭で走る以上は、なにかアクションを起こさないと」

<11R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 太田竜馬、新山響平の順で切ったところを松井宏佑(写真)が叩いて、打鐘過ぎ4コーナーから主導権。車間を切って援護する岡村潤を振り切って南関ワンツーを決めた。
 「本当は新山さんの後ろから組み立てたかったんですけど、スタートでみんなが前に出たのであの位置からになりました。中途半端に仕掛けても新山さんは強いので、出切れず終わると思ったので結構、踏みました。風は強かったですけど、なんとか最後まで踏み切れました」
 車間を空けて波を作った岡村潤は、内を締めながら直線で迫ったが逆転ならず。
 「ジャンが勝負だと思っていた。しっかりと付いて行けたし、あのスピード域で後ろから来るのは難しい。来るとしたら真後ろの新山君だと思ったので、そこのタイミングだけズラせればと。抜けるかなって思ったんですけど、しっかりと踏み直されましたね」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 深谷知広の逃げに乗った郡司浩平(写真)は最終2コーナーから番手まくりで押し切ったが、3コーナーからの踏み合いで接触した平原康多が車体故障したため審議対象となってしまう。審議の結果はセーフで郡司は、昨年11月の競輪祭に続いてGIを連覇。地元、川崎競輪場で56年ぶりに開催されたGI開催を最高の形で締めくくった。
 「深谷さんが早め早めに仕掛けてくれたので付いていくだけでした。平原さんというより清水君が来るかなと思って。影が見えたので踏んだら平原さんが来ていたので焦って踏みました。車体故障もあってどうかなって半信半疑で。確信はできなかった。いろいろとサポートしてくれた人たちには結果で返すしかないと思っていましたし、最高の形で終われました」
 和田健太郎が、郡司に続いて南関ワンツーが決まった。
 「赤板からジャンも大事でしたけど、自分の中でスタートでミスをして前が取れなかった。それでもあれだけ行ってくれて。本当に前の2人のおかげですね。あとは自分がしゃくられないように気を付けて集中していました。(落車後のシリーズでは)やったほうだと思います」
 周回中から南関ライン後位にいた守澤太志は、脚を溜めてじっと我慢。直線でコースが開けると鋭く伸びて3着争いを制した。
 「ジャンでは理想的な展開になったんですけどね。内はビッシリ締まっていてコースがなかった。南関勢に隙はまったくなかった。決勝の3着はうれしいですけど、なにもできなかった。やっぱりラインがないと。次こそ(北日本の)みんなと走れるように」
 5番手まくりを郡司に合わされた平原康多は、車体故障でゴール後に落車に見舞われた。
 「深谷か清水が思い切り行くと思ったんで、あとはスピードが合ったところでと。(深谷が)ものすごいスピードで最低、中団にはいた。あれで郡司を越えられるかと思ったんですけど…。あの2人(深谷、郡司)が並ぶとキツいですね」

次回のグレードレースは、いわき平競輪開設70周年記念「いわき金杯争奪戦」が2月25日~28日の日程でいわき平競輪場において開催されます。
S級S班は不在ながら、実力拮抗した選手が勢ぞろいしました。どの選手にもチャンスのあるシリーズとなりそうです。
2月13日時点の出場予定選手データを分析した、いわき平競輪開設70周年記念「いわき金杯争奪戦」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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